【今週の今日の一冊】春の草花を探しに出かけよう! 春を感じる絵本特集
春ってどんな色? 春ってどんなにおい? ポカポカ陽気に誘われて外に出てみれば、そこに広がっていたのは……。
暖かい日が増えてきて、お出かけが楽しい季節。今週は、お出かけ先での草花との出会いと合わせて、絵本の中でも、春の美しい自然の景色がたっぷり感じられるような絵本をお届けします。今年出たばかりの新刊もありますので、チェックしてみてくださいね。
2023年3月20日から3月26日までの絵本「今日の一冊」をご紹介
3月20日 バスは、はるの まんなかを はしっていきます
月曜日は『なのはなごうしゅっぱつしんこう』
桜のつぼみもふくらみ、もうすぐ春です。
「おばあちゃんちのキャベツ、おおきくなったかなあ。」
なずなちゃんは、広い畑で大きなキャベツを作っている、ひなのおばあちゃんのおうちへ行きたくてたまりません。
おばあちゃんの手作りロールキャベツはとってもおいしいのです。
でもなずなちゃんには生まれたばかりの弟がいて、しばらくは行けないみたい……。
そこへ、おばあちゃんからキャベツと一緒に「おともだち」が入った荷物が届きました。
「おともだち」って……?
じつはキャベツの葉っぱの上でごそごそ動くあおむしくんだったのです!
なずなちゃんはあおむしくんを大事に育てます。
あおむしくんがいつしかさなぎになり、モンシロチョウになって飛んで行くとき
「なずなのかわりに、おばあちゃんちに あそびに いってあげてね。」
そう約束しました。
次の朝、なずなちゃんが花壇の花びらの中に見つけたのは、ちいさなバスの往復切符でした!
『ひなのおばあちゃんのおうちゆき』と書いてあります。
「なのはなごう まもなく しゅっぱつでーす!」
魔法のようにとつぜんあらわれた「なのはなごう」にとびのり、おばあちゃんちへ一直線!
チョウチョのマークが描かれた黄色いバスは、春のまんなかを走っていきます。
春らんまんの菜の花畑が、なずなちゃんのはずむ心をつつみこむようです。
あおむしを大事に育てるなずなちゃんの表情の愛らしさ。
うきうきする、ちかづいてくる春の気配。
やさしい色彩で描かれた本書は、親子で読むのにぴったりの絵本です。
おばあちゃんのロールキャベツを、なずなちゃんは食べることができたのでしょうか?
田舎のおばあちゃんが大好きなお子さん、ロールキャベツが好きなお子さんにも、ぜひどうぞ。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
読者の声より
春らしい表紙に惹かれて読みました。
遠く離れたおばあちゃんに会いたい女の子。でも小さい赤ちゃんがいるのでなかなか会いにいけません。あるとき、バスの往復切符をもらい、魔法のように「なのはな号」に乗って、おばあちゃんに会いに行くという物語です。
春の美しい景色がイラストになって、読んでいるだけで春を存分に味わえるのがこの絵本の魅力だと思います。魔法のような物語ですが夢があって面白かったです。
(えりこママさん 20代・ママ 女の子1歳)
3月21日 「たんぽぽの わたげは どこに とんで いくのかな」
3月22日 のはらおばさんと不思議な女の子たちの野原散歩
水曜日は『のはらクラブのこどもたち 新装版』
野原が大好きなのはらおばさんは、子どもたちを集めてお散歩をしようと思いつきます。ルールは、知っている植物を見つけたら、それについて話すこと。おもしろそうだと集まった子どもたちと、近所に住むのんちゃんも一緒に、さあ出発!
すずめのかたびら、からすのえんどう、ねこじゃらし。意外にも、動物の名前が入っている植物がたくさん登場します。いろいろな呼び方、遊び方、名前の由来などなど、子どもたちが披露する豆ちしきは大人もたくさん学べる内容で、仕入れたら誰かに教えてあげたくなっちゃいます。
お待ちかねのお弁当タイムでは、ちょっとしたミステリーが起きるので、いっしょになぞときをしてみましょう。ヒントは、集まった子どもたちの名前と披露した豆ちしき。わからなかったら、すぐにパラパラっと前のページに戻って読み直すのがおすすめです。
いつの間にか不思議ワールドに迷い込む、たかどのほうこさんの人気シリーズ「のはらクラブ」の新装版。こちらは、おばさんとのんちゃんと七人の女の子が出会った最初のお話です。同じく新装版となった冬のお話『白いのはらのこどもたち』も合わせてお楽しみくださいね。
(中村康子 子どもの本コーディネーター)
読者の声より
我が家の小学校高学年の娘が、中学年の頃よく図書館でこちらのシリーズを読んでいました。
たかどのほうこさんの本は、「まあちゃんシリーズ」「つんつくせんせいシリーズ」など絵本を幼児期から読んできたので、やっぱり好きなようです。こちらは幼年童話といっていいかもですね。四季を感じる内容もとてもいいです。
絵本の次にぜひ!!
(まゆみんみんさん 40代・ママ 女の子11歳)
「のはらクラブ」シリーズ春夏秋冬のお話はこちら(新装版で再登場!)
3月23日 月が紫色に輝く特別な夜、夜のお散歩が始まります
木曜日は『はるとスミレ』
はるちゃんは植物が大好き。毎日、庭で花や草木を眺めて過ごします。今日は1番好きなスミレの花を鉢に植え替えて、部屋に持ちかえりました。これでずっと一緒にいられます。
今夜は月が紫色にかがやく特別な夜。月の光が、部屋の中も紫色に照らしだします。すると……鉢に植えられていたスミレの花がむくむくと動きだし、「はるちゃん、遊びましょう」。
さあ、夜のお散歩のはじまりはじまり。
植物たちは根っこで対話している。身近な自然の中の不思議な営みを、ファンタジックな世界観で子どもたちに優しく伝えます。はるとスミレに誘われて読みすすめるうちに、気づけば植物たちの声に囲まれているような、そんな感覚を覚えます。
リソグラフの手法を用いて、瑞々しくグラフィカルに描かれた画面も魅力的です。
3月24日 「今日はみんなでピクニックにいこう!」
金曜日は『わかくさのおかで』
窓から遠くに、雪が残る山々が見えるラビッタちゃんのおうち。
ラビッタちゃん一家は朝からそわそわしています。
なぜって、ようやく春が来て、みんなで外に行けるから。
「きょうはピクニックにいこう!」とパパ。
「おべんとう、いそいでつくるわね」とママ。
ラビッタちゃんも、妹のピョコラッタちゃんも大喜びです。
おいしそうなお弁当をリュックサックにつめて、「ラッタ ラッタ ラビッタ ラッタ♪」と歌をうたいながらピクニックに出発!
春の緑は、なんてまぶしいのでしょう。
川がうつくしく流れ、若草のにおいがします。
丘の上でお弁当を食べ、パパとママはひとやすみ。
ラビッタちゃんとピョコラッタちゃんは探検に出かけますが……。
春のお出かけの一日が、1枚1枚、絵画のように描かれています。
ラビッタちゃんたちの洋服も目を見張るほど素敵なのですが、おいしそうなお弁当に、もう目が釘付け!
たんぽぽの葉っぱにベリージャムを塗った人参サンドイッチ、いちごをのせて焼いたライ麦パイ……。
ぜひ絵本でたしかめてくださいね。
前作『ゆきがふるまえに』でラビッタちゃん一家の冬支度を描き、絵本作家デビューした、かじりみな子さん。
娘さん2人がいらっしゃるお母さんだそうですが、それも納得のやさしいまなざしが作品から伝わってきます。
ラビッタちゃんとピョコラッタちゃん、素敵なパパとママに会いたくて、続編も期待しちゃいますね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
読者の声より
若草色の表紙と、お花が綺麗なのでうっとりとしてしまいます。
うさぎの家族が、ピクニックに行くので、お弁当のこけももジュース
や、にんじんサンドイッチやライ麦パイ(これは美味しそう!)をも
持ってお出かけです。
「お花が きれいねえ。」とママが言うと、パパがそっとママにお花
さりげなく飾ってあげる場面が、すごくいいなあと思いました。
ママは、嬉しくなって、ラビッタちゃんとピッコラッタちゃん二人にも
花飾りをつけてくれました。素敵な家族だなあと思いました。
ピッコラッタちゃんが、迷子になるハプニングもありましたが、無事
解決できたのでほっとしました。丘の上の景色が素敵に描けて
いて、見惚れてしまいました。
(押し寿司さん 60代・じいじ・ばあば)
「ラビッタちゃんの絵本」シリーズ
3月25日 とっとこ とっとこ やぎさん はやい はやい
読者の声より
「どこどこ? ねどこ」が素敵すぎて、作者さんの刺繍のファンになってしまったので、すぐさま、こちらも読んでみました。こちらは、やぎさん。毛の感じとか、思わず触ってしまいたいほど。本当にかわいらしくて、素敵です! 小さい絵本なので、気軽にプレゼントできそうです。
(あんじゅじゅさん 50代・その他の方 )
合わせておすすめ
3月26日 山の生き物たちに春を知らせに
先週は、嬉しい桜の開花のお知らせもあり、咲き始めた春の草花の景色をたっぷり楽しみたいですね。
秋山朋恵(絵本ナビ 副編集長)
この記事が気に入ったらいいね!しよう ※最近の情報をお届けします |