【今週の今日の一冊】「図書館記念日」を知っていますか? 図書館の意義と楽しさが伝わる物語特集!
4月30日は「図書館記念日」。日本図書館協会が、今日の図書館発展の基盤となった図書館法公布の日(1950年4月30日)を記念して制定した記念日なのだそうです(※)
誰もが等しく、原則無料で利用できる図書館は、子どもから大人までさまざまな人の知的活動や文化活動を支え、心の拠り所にもなる素敵な場所です。図書館の魅力がたっぷり伝わる小説や物語もたくさんありますね。今週は、その中から児童書作品をピックアップし、図書館の意義や楽しさが伝わる物語をご紹介します。とくに、図書館や本、司書さんとの出会いを通して、図書館がかけがえのない存在となっていく子どもたちや、その周りで本を愛する大人の姿にも注目ください。
※「日本図書館協会」HP参照
2023年4月24日から4月30日までの絵本「今日の一冊」をご紹介
4月24日 1人の少年と図書館との素晴らしい出会いの奇跡
月曜日は『希望の図書館』
一九四六年、アメリカ。「黒人は、図書館に入れない」とラングストンの母親は言っていた。しかし、新しく越してきたシカゴの町で、ラングストンは、だれもが自由に入れる図書館を見つける。そこで、自分と同じ名前の詩人が書いた本と出会い、母親の「秘密」にふれることになる…。読書の喜びを通じて、小さな自信と生きる勇気を手に入れていく少年の物語。
4月25日 少女と図書館司書の心の交流が紡ぐ希望の物語
読者の声より
学校にいけない草子(そうこ)は図書館通いをしていて、でも、それを見た大人が不用意に言う「学校どうしたの?」にいつもおびえていて…。
そんな草子を見守っている司書の深津さんの一言が
「しずかな子は魔女に向いてる」
そんな一言から物語が動き出します。
この本は、現実の草子パートと『しずかな魔女』という、草子に手渡される本という形の物語パートの二重構造になっていて、それぞれが共鳴しあって、一つの作品として成立しています。
キーとなる登場人物のおばあちゃんが言う
「よく見ること、角度や距離を変えて、よく見ること。そして考えること」という言葉が物語が進むにつれて、じわじわと染みてきます。
魔女の使う魔法は、奇想天外でファンタジーな非現実だけでなく日常のどこにもあふれていて、人の心に何かをともすことができたら(たとえそれがおいしいお茶でも)それは「魔法」なんじゃないか。
たとえおとなしく口下手でも、書くこと(手紙や物語など)で魔法も起こせるんじゃないのか。それならば人は誰でもお魔法使いだな。
心の深いところをそっと温めてくれるような、しずかな一冊です。
(やこちんさん 50代・ママ 女の子16歳)
4月26日 大切なのは、心のそこから信じること。
水曜日は『図書館にいたユニコーン』
トマスや、山や森の自然のなかで遊ぶのが大すきな男の子。本を読むのなんか大きらい。ところがある日、お母さんにむりやり連れて行かれた図書館で、すばらしい司書の、木でできたユニコーンに出会う。そのおかげで本が好きになったトマスだが、やがて戦争がやってきて…。本の力にみせられ、戦火から本を守りぬいた人々の姿を、幻想的なユニコーンとともに描いた感動作!
読者の声より
マイケル・モーパーゴさんは、私が信頼する作家さんです。今まで読んだどの本も、読みごたえがあり素晴らしかったです。戦争を扱った作品は苦手なのですが、モーパーゴさんの作品からは、戦争の悲惨さを超えて、未来への希望や人間の持つ力の素晴らしさが伝わってきます。
この『図書館にいたユニコーン』には、「おはなし」や本の世界の楽しさ、素晴らしさ、そして言論の統制や戦火からそれらを守りぬこうとする人たちの命をかけた行動が描かれていました。読み終わり、静かな感動を覚えました。
戦火から本を救い出す場面では、『バスラの図書館員』(晶文社)を思い出しましたが、訳者あとがきによると、実際に図書館の本を救ったロシア人司書の話を基に書かれたとのこと。世界のあちこちで同じようなことがあったのだと改めて知りました。
この本は比較的大きな字で書かれていて読みやすく、文章もそれほど多くありません。本を読むことに慣れていない子どもさんにもおすすめできると思います。
(なみ@えほんさん 50代・その他の方 )
4月27日 あおぞら図書館で出会ったのは!?
4月28日 居場所を探してたどりついた図書館で出会ったのは…
金曜日は『虹いろ図書館のかいじゅうたち』
心凍らせた少女かおりといじめを受けた少年ケン。体の中にかいじゅうを飼い、出口を探す二人にイヌガミさんと図書館の人々は――?大好評シリーズ第3弾。世界は決してあなたを見捨てない。
『虹いろ図書館のへびおとこ』『虹いろ図書館のひなとゆん』に続く
大人気シリーズ第3弾!
柿ノ実町にある古い図書館。司書のイヌガミさんは今日も大忙し。
ある日図書館にやって来たのは、小学六年生のケンと、かおり。
図書館と学校の図書室が居場所のケンは、クラスのはせがわくんにいじめられていた。
お姫様の物語が大好きだったかおりは、ある出来事で心を凍らせている。
イヌガミさんとうつみさん、スタビンズくんたち図書館の人々と
本のあたたかさが、二人の心をじんわりと溶かしていく――
読者の声より
中学生の娘が、小学生時代に『虹いろ図書館のへびおとこ』を読んですっかり虜になり、お気に入りの1冊になりました。
お話の中にたくさんの物語が登場するので、本好きにはたまらないストーリーです。
その続編の最新作が出ていると知って、娘はとても喜んでいました。面白くて止まらなくなり、一気に読んでしまったと言っています。
「チョコレート戦争」や「かいじゅうたちのいるところ」「時計づくりのジョニー」「スイミー」などなど、大好きなお話ばかりが登場するので、私も嬉しかったです。
(クッチーナママさん 40代・ママ 女の子17歳、女の子14歳、男の子12歳)
合わせておすすめ。「虹いろ図書館」シリーズ
4月29日 本が、ぼくらをつないでくれた。
土曜日は『夏休みに、ぼくが図書館で見つけたもの』
本好きの達輝はクラスでは目立たないが、図書館では本の知識や紹介で大活躍。「学校とキャラ違くない?」と彩友に驚かれ、「本探し」を頼まれる。サッカーが上手い令央が図書館で天井を見上げて座っているのを見た達輝はスポーツの物語を薦めてみる。貸した本を汚してしまった令央が謝り「もう図書館に来ない」と駆け去った後、思わぬ事情を知った達輝は…。本にしか興味のなかった達輝の、ひと夏の出会いと友情の物語。
読者の声より
小学生の男の子が、夏休み中にすごした図書館で、本だけでなく、いろんなものを見つけます。
友情、家庭環境の問題、もちろん、素敵な本との出会い・・。
こんな図書館が近くに会ったらいいなぁと思うような素敵な図書館で、そこにいる(描かれている)司書さんが、また素敵なんです。
その司書さんの「図書館に来る人が本に興味がなくてもいいと思ってる。それでもここにたくさんの本があることがとても大事」というセリフは、とても光ります。
『そこに本がある』
それは、いろんなものへの出会いの扉が、そこにあるということだと思う。
いつもそこにあって、どんなときにも迎え入れてくれる存在を感じました。
図書館利用の指南書にもなりそうな一冊です。
(やこちんさん 50代・ママ 女の子15歳)
4月30日 今日は「図書館記念日」。本を愛する全ての人へ
読者の声より
とっても心に残るいいお話でした。
この本は図書館の児童室に置いてありましたし、本の装丁を見ると明らかに「児童書」として作られています。
子どもも読めます。たぶん、本の好きな子なら中学年くらいから、大丈夫です。どちらかというと、高学年や中・高校生の方が納得できる年齢かもしれません。
ただ全編読んでみて、これは子どもより、30代~50代くらいの「本好きの子どもだった大人」が読んだ方がより楽しいと思います。
主人公はさえない人生を送ってきた、40代の中年女性です。なので、このあたりの共感も、子どもたちより、むしろ大人ではないかな~と、いう気がします。もちろん、主人公が40代のおばさんなのに、子どもが読める楽しい作品にはなっていますけど!
作中に登場する「はだかの王さま」「七匹のこやぎ」「おおかみ王ロボ」「うりこひめ」を読んだことがある人なら、なお楽しいはずです!!
この本は、なんだかすごく赤い色の表紙になっています。そのことはお話を最後まで読むと、(頭の回転の早い人は最後まで読まなくても途中で気付くかも)わかります。
繰り返しますが、本好きの人ならぜひ!一度は出会ってほしい。出会いたい作品です。
(てんぐざるさん 40代・ママ 女の子14歳、女の子10歳)
図書館の意義や楽しさが伝わる物語。こちらもおすすめ。
いかがでしたか。
4月23日(日)から「こどもの読書週間」も始まっています。2023年の標語は、「ひらいてとじた 笑顔がふえた」ということで、絵本作家のザ・キャビン・カンパニーさんの明るいピンクが目に飛び込んでくる素敵なポスターも印象的です。
子どもと図書館に足を運んだり、一緒に読書を楽しんだり、本に触れる良い機会となりますように。
※「こどもの読書週間」について詳細はこちらから
http://www.dokusyo.or.jp/jigyo/kodomo/kodomo.htm
秋山朋恵(絵本ナビ 副編集長)
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