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未来の今日の一冊 ~今週はどんな1週間?~

【今週の今日の一冊】チョコレートと一緒に贈りたい絵童話

もうすぐバレンタインデー。今週は、チョコレートを味わう贅沢な時間のお供に、また大切な人へのチョコレートに添えるギフトとして、大人の方にもおすすめの絵童話をご紹介します。あまーいチョコレートとお茶を傍らに、優しい絵童話の世界にゆっくり浸ってみませんか。

2024年2月5日から2月11日までの絵本「今日の一冊」をご紹介

2月5日 甘いチョコレートとオルゴールの調べに誘われて……

月曜日は『コロキパラン 春を待つ公園で』

コロキパラン 春を待つ公園で

ある二月の日曜日、広い公園の真ん中に開店したチョコレート屋さん『ムッシュ・チョコット』。チョコにそえるカードに、あげた人の似顔絵がついていたら、もらった人はきっとうれしいにちがいない。そう思いついた店長さんのお手伝いで、チョコを売る係の森田さんと一緒に、似顔絵をかく係となった「わたし」。

コロキパラン‥‥‥キロラポン‥‥‥
コロキパラン‥‥‥キロラポン‥‥‥

開店準備をしているわたしたちのところに時おり流れてくるきれいなオルゴールの調べ。それは、少し離れたベンチのそばで、ひとりのおじさんが車輪つきの大きな木箱のハンドルを、ゆっくりゆっくり回すところから聞こえてきます。「楽しいっていうか、ふしぎっていうか、なんだかおとぎばなしみたいな感じ」と喜ぶ店長。いよいよお店の開店です。

「まあ、似顔絵をかいてもらえるの?」
チョコを買ったお客さんがつぎつぎに、「わたし」の前に座ります。

キュイ(ちら)、キューイ(ちら)、ショショショ(ちらちら)、サッサ、キョイキョイ‥‥‥。
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(秋山朋恵  絵本ナビ編集部)

2月6日 はたらきもので、素早くて、愛らしい。

火曜日は『ちいさなトガリネズミ』

ちいさなトガリネズミ

はたらきもののちいさなトガリネズミの1日は、毎朝6時の目覚まし時計からはじまります。朝ごはんははちみつビスケットを3枚、お気に入りのお皿で食べて、決まった時間に、決まった電車で、決まった仕事場にいき、きちんと仕事をはじめます。同僚の信頼も厚くて、ちょっとした会話も楽しげです。帰り道のお買い物もまた、ふわっといい香りが漂ってきそうで……。

本書はボローニャ・ラガツィ賞優秀賞、NY公共図書館絵本賞など、国内外でいくつもの絵本賞を多数受賞しているみやこしあきこさんのはじめての絵童話。「トガリネズミのいちにち」「トガリネズミのあこがれ」「トガリネズミのともだち」の3つのお話が入っています。静謐で、ささやかな楽しみとおかしみの漂う、やさしい日常の空気感に満ちています。

冒頭でまずトガリネズミのかわいいあくびに心を掴まれるし、まじめな仕事ぶりには好感しかないし、おまけに首に巻いているチェック柄のえりまきがまたおしゃれでたまらないのですが、なんと2番目のお話ではえりまきを手放してしまうんですね。トレードマークかと思ったのに、いったい、なぜ!? 気になる方、ぜひ本をお読みください!

みやこしさんが今回水彩と木炭で描いたという陰影のある美しい絵は、今作も期待を裏切りません。
親しみさえ感じる温かい闇の色、モノクロのタッチの美しさはもちろん、晴れた日にトガリネズミが仕事場まで歩くひらけた道や、トガリネズミのつぶらな目に思いがけずうつった美しい景色など、カラーページのはっとするほどの透明感も見どころです。

みやこしさんは10年ほど前、南ドイツの友人を訪ねたとき、散歩中に森でトガリネズミを見かけたそう。その繊細で美しい毛並みが忘れられなかったそうです。本書は、そんな繊細な毛並みのちいさな生きものの愛らしさが、まさにぎゅっと詰まった作品! そばに置いてときどきページをめくりたくなります。たとえば、夜寝る前、明日のいい1日を願って子どもと本を開くひとときにも、ぴったりの絵童話です。

(大和田佳世  絵本ナビライター)

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=177281
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読者の声より

ちいさなトガリネズミの、ささやかな、誠実な、地道な暮らし…。なんともいえず癒やされます。絵が、いいのです。大人はもちろんだと思いますが、小さい子もよく聞く『ぱんやのくまさん』シリーズのような感じなので、小さい子も喜ぶかもしれないですね。
(水仙の丘さん 30代・ママ 男の子8歳)

https://www.ehonnavi.net/specialcontents/contents.asp?id=1651 はたらきもので、素早くて、愛らしい。『ちいさなトガリネズミ』 【NEXTプラチナブック】

2月7日 美しく豊かな自然の中で楽しいお話が語り継がれて

水曜日は『ナナカラやまものがたり(1) くまおばあちゃんのジャム』

ナナカラやまものがたり(1) くまおばあちゃんのジャム

どこまでも続く青い海と空にかこまれた「ナナカラやま」は、美しく豊かな世界。ナナカラやまには、動物や花や木や魚、虫や石や風‥‥‥など数えきれないほどのいろいろな生きものー「ナナカラたち」が暮らしています。

人間が昔から物語を語り継いできたように、ナナカラたちもたくさんの語り継ぐ物語を持っています。うれしいこと、かなしいこと、ずっと昔からあったことからつい昨日の出来事まで、おはなしやうたにして楽しみながら大切に伝えるのです。

1巻目の『くまおばあちゃんのジャム』では、くまおばあちゃんが孫のこぐまと過ごす日常の中に、自然にお話が溶け込んでいます。
ミツバチたちにハチミツを分けてもらうかわりに語る「はなひつじやま」の話。
夜寝る前に聞く「たぬきのむすめさん」の話。このお話はとくにこぐまのお気に入りです。

どちらのお話にもナナカラやまの自然の豊かさや恵みがたっぷりと感じられて、かつユーモラスで楽しさがいっぱい。そんなおばあちゃんが語ってくれる物語が作品の大きなみどころですが、さらに美味しいものが出てくるところもとっても魅力的!(続きを読む>>>

 

(秋山朋恵  絵本ナビ編集部)

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=177621
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2月8日 あまいチョコレートみたいに優しい、物語の結末は…

木曜日は『チョコレートのおみやげ』

チョコレートのおみやげ

チョコレートの箱をそっと開けるようにページをめくりたいとびきりのお話。
作者は、物語を紡ぎ出す名手、児童文学作家の岡田淳さん。

小学五年生のわたしとお母さんの妹・みこおばさんとの神戸デートの1日。
港の公園のベンチに座って、途中で買ったチョコレートを開けるほんのひとときの時間。
箱のなかにチョコレートは六つ。赤や青や緑色の紙で包まれたちょっと贅沢そうなチョコレート。
わたしとおばさんで三つずつ。まずは私が緑色、おばさんが青。
そっと紙をはがして、ふたりいっしょに口にいれる。
舌の上で、かたまりがゆっくりととけていく。

「時間がとけていくみたい」

そう言って、みこおばさんは、ふいにこんな話をしてくれたのでした。

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(秋山朋恵  絵本ナビ編集部)

読者の声より

「チョコレートを食べると時間がとけていくみたい」という言葉が、妙に心でとろけていきました。チョコレートを舌で感じていると、こんなファンタジーも妙に納得できます。様々に味が違うチョコレートには、魔法があるのでしょうか。
当然チョコレートを味わいながら、読みたいお話です。
(ヒラP21さん 70代以上・その他の方)

2月9日 友だちと一緒に過ごすってこんなに楽しい!

金曜日は『クーちゃんとぎんがみちゃん ふたりの春夏秋冬』

クーちゃんとぎんがみちゃん ふたりの春夏秋冬

カカオの町に暮らす、板チョコレートのクーちゃんと、仲良しのぎんがみちゃん。二人は、どんな一年を過ごしているのでしょう。

春、南からの風に誘われて、家の外に出かけた二人が考えたことは?……「1 春のいちばんはじめの日」
夏の朝、海に出かけたふたりの荷物は大きさがまるで違っていて……「4 なくてもいいもの」
秋も本番、よく晴れた午後、二人はたき火を囲んで……「6 ふたりの音楽」
冬、風邪をひいてしまったぎんがみちゃんとどうしてもおしゃべりがしたくて……「8 マフラーと糸でんわ」

クーちゃんとぎんがみちゃんが一緒に過ごす春夏秋冬。それぞれの季節の空気がたっぷり詰まった8つのお話が入っています。

お話の中で素敵だと感じたのは、仲良しだからといって、好きなものが同じだったり、性格が似ているわけではないところ。読めば読むほど、面白いほどに二人の違いが見えてきて、読む私たちもクーちゃんやぎんがみちゃんと一緒にびっくりしたり、笑っちゃったり。
たとえば、おしゃれが好きなクーちゃんが、ぎんがみちゃんがもっとおしゃれをしてもいいんじゃないかと考えて、つやつやした水色のリボンを大切に包んで渡すお話。喜んで受け取ったぎんがみちゃんは迷わずあるところに結んでしまって。さて、どこに結んだと思いますか?(続きを読む>>>

(秋山朋恵  絵本ナビ編集部)

読者の声より

『レミーさんのひきだし』『王さまのお菓子』などくりはしれいさんが挿絵を描いているおはなしということで、興味を持ちました。
カカオ町に住む、板チョコのクーちゃんと包装紙のぎんがみちゃんのおはなし。性格は全然違うのに、とても気が合う仲良しふたりの暮らしが、季節をめぐって綴られています。
チョコレートの香りがしてきそうな本。バレンタインの頃にまた読みたいです。
(クッチーナママさん 40代・ママ 女の子18歳、女の子15歳、男の子13歳)

https://www.ehonnavi.net/specialcontents/contents.asp?id=2273

2月10日 りすねえさんとなかまたちのとびきりの時間

土曜日は『りすねえさんのさがしもの』

りすねえさんのさがしもの

くるみの森にすむりすねえさんとなかまたちの、なんでもない日のとびきりの時間。

本を開くとまず登場する「くるみの森のちず」。動物たちが住む家や、とんぼ池、きのこの丘、サキッチョ山など、豊かな自然がいっぱいの森の景色が伝わってきます。くるみの森では、いったいどんな毎日が繰り広げられているのでしょう。

「もうダメだ……」
楽しみにしていた音楽会のチケットをなくしてしまったりすねえさん。どこを探しても見つかりません。ともだちのエナガのアドバイスで、よくたからものを隠している土のなかを探してみると……。
―『りすねえさんのさがしもの』

商売を始めるといういとこのりすおが見せてくれたのは、親戚のりすおじさんとりすおばさんの大そうじで出てきたたくさんのものたち。その中に思いがけずおばあちゃんのケープコートを見つけて……。それはりすねえさんにも、りすおにも、とても思い出深いものでした。
―『りすねえさんとおばあちゃんのケープコート』

秋を感じながら木の実を拾っていたりすねえさんのところへ、いつも旅をしている絵描きのタビーがやってきます。そこにひめねずみのちびたも加わって、タビーの絵を見ながら、旅についてそれぞれに思いをめぐらせます。
―『りすねえさんと絵かきのタビー』

りすねえさんと、気のおけないなかまたちとの楽しい交流のお話を3編収録。「りすねえさんのおはなし」シリーズ最初のお話です。悲しんだり、ワクワクしたり、ほっこりしたり、感情豊かなりすねえさんの様子に、読んでいると気持ちを動かされる楽しさがあります。

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(秋山朋恵  絵本ナビ編集部)

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=232588
https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=232588

「りすねえさんのおはなし」シリーズ2作目はこちら

2月11日 ふたりが出会ったその日から、あたらしい物語が…

日曜日は『うさぎとハリネズミ きょうも いいひ』

うさぎとハリネズミ きょうも いいひ

「うさぎとハリネズミ」シリーズ第1作。
のんびりやで前向きなうさぎと、ちょっと繊細なハリネズミ。
ふたりのおりなすゆるやかであたたかいお話が、子どもから大人まで、心をふわっとつつんでくれます。
あたらしい友だちの、あたらしい物語がはじまります!

1.ちくちくとふわふわ 
   ある日であったうさぎとハリネズミ。
  「ハリ」と「毛」、どちらがやくにたつか?をためしてみることに…。
2.つたえたいこと
   うさぎが持ってきた、クルミのから。これで何をしようというのでしょう?
3.あしたのために
   今日は一日、何にもいいことがなかった!と
   イライラするハリネズミに、うさぎが教えたことは…。
4.たんぽぽのたね
   今日はろくなことがない日だから外に出ない、というハリネズミ。
   さて、ふたりの一日は。

以上4話収録。

いかがでしたか。

まだまだ寒さがつづく2月、絵童話でほっこりしてくださいね。

選書・文:秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)

 

掲載されている情報は公開当時のものです。
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