【今週の今日の一冊】猫の日×絵本ナビ2024:キュートで頑張り屋の黒猫さん大集合!
まもなく今年も2月22日の「猫の日」がやってきます。今年も絵本ナビでは、2週にわたり、猫の絵本を大特集! ロングセラーからこの1年で発売された新刊までおすすめの猫絵本をたっぷりとご紹介していきます。まず今週は、キュートで頑張り屋さんの黒猫の絵本から。今年もあらたなお気に入り猫絵本を見つけてみませんか。
2024年2月12日から2月18日までの絵本「今日の一冊」をご紹介
2月12日 ひげが ながすぎるって たいへんな ことなんだ。
月曜日は『ひげが ながすぎる ねこ』(2024年1月刊の新刊)
みゃあは ひげが ながすぎる ねこだ。
きみは しらないと おもうけれど、
ひげが ながすぎるって たいへんな ことなんだ。
いい ことなんて なにひとつ ない。
まいにち ほんと いやなこと ばかりだよ。
え? どういう いやな ことが あるかって?
たとえば……
不平だらけのみゃあの毎日に、ひそんでいたのは、小さなしあわせでした。
かわいいみゃあのひとりごと、きいてあげてね。
2月13日 ぴっちはいろんなものにあこがれて…
火曜日は『岩波の子どもの本 こねこのぴっち』
リゼットおばあさんの家に住んでいる子ねこのぴっちは、ほかのきょうだいたちとはちがうことをして遊びたいと思いました。ところが、アヒルのまねをして池で泳ごうとして、おぼれてしまいます。
読者の声より
初版は1954年の大ベストセラーです。私は子どもの頃に読んでずっと心に残っていました。子どもが生まれて、再び読む機会を得ました。
石井桃子さんの柔らかな口調、可愛い絵も大好きです。
こねこのぴっちが、ねこ以外のものに興味を持ち、ちょっとした冒険に出かけます。見聞を深めて、やっぱりねこが一番!と平穏な生活に戻るというおはなしです。
今の自分、今の場所よりももっといい何かが……ぴっちの気持ちがわかるような気がして、ぴっちの冒険にどきどきし、無事に戻れてホッとする、子どもも大人もそんな人が多いのではないでしょうか。
ぴっちやねこのきょうだい達、犬のベロ、それにりぜっとおばあさんの暮らす毎日は、とっても楽しそうで憧れ、ぴっちを始めみんなの幸せを願わずにいられません。
(ぶんぶんぷんさん 40代・ママ 男の子 14歳、男の子11歳)
大型版はこちら。
2月14日 6匹のねこと女の子のほほえましい1日
水曜日は『こねこのトト』(2023年10月刊)
朝起きて、女の子がいちばんにするのは、ねこたちのごはんの準備。うちには6匹のねこがいるんです。ボスねこのボボや、蝶ネクタイの首輪をつけたロロや……。くわしくは絵本を読んでほしいのですが、とにかく中でもいちばん小さくて、「ごはんですよ」という声に誰よりも早く走ってくるのが、水色のリボンをつけた黒ねこのトト。
でもトトってごはんのとき以外は、名前を呼んでもすぐにやってこないんです。呼ばれたらまず背中をふくらませ、前足を出し、後ろ足を伸ばし、それからようやく……のんびりと来ます。おもちゃで遊ぶのは大好き。日なたぼっこも上手……。そんなトトをはじめとするねこたちと女の子との他愛ない日常が、おしゃれで躍動感のある筆致で、淡々と描かれます。
『王さまのお菓子』(石井睦美/文)や『レミーさんのひきだし』(斎藤倫・うきまる/文)など、文章作家さんと組んで、それぞれ西洋の映画を切り取ったような、雰囲気のある絵本を描いてきた、くらはしれいさん。本書はくらはしさん初めての、文・絵を共に手がけた絵本です。ねこ6匹の個性と、ねこと暮らす幸せな空気が描かれています。ねこ好きの人にはたまらない一冊です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
読者の声より
くらはしれいさんの、そこはかとなくユーモアが漂う上品なイラストが大好きなので、こちらも読みたいと思いました。こちらはくらはしさんが初めて文章も手掛けた作品とのことです。
6匹の猫と女の子のいちにち。ねこの中で一番小さいトトは、なんでも一番にやりたがり、でもすぐに飽きちゃう、ちょっとやんちゃな子。でもそんなトトがとてもかわいいのです。
眺めているだけで幸せな気持ちになる作品でした。
(クッチーナママさん 40代・ママ 女の子19歳、女の子16歳、男の子14歳)
2月15日 早めに店じまいしたら、ねこは散歩に出かけます
木曜日は『ほんやねこ』
遠くに海の見える見晴らしのいい場所にあり、中に入れば壁一面の本。中心には大きならせん階段があり、店主はねこ。なんて素敵な本屋なのでしょう。
最後の小さなお客さまをお見送りしたあと、今日は早めに店じまい。ねこは散歩に出かけるのです。ところが、窓を一か所閉め忘れてしまったから大変。強く風がふきこんだ時、パラパラとめくれた棚の絵本から、物語の人たちが窓の外へ飛ばされてしまったのです。
そうとは知らずに、野原でねころび、のんびり毛づくろいをしていたねこ。そこへ小さな声が聞こえてきます。
「ここから ぼくを おろしてくださいな」
木の枝にぶらさがっていたのは、ピノキオ! さらに川の近くにいたのは……。
シンデレラにラプンツェル、3びきのこぶたに白雪姫。大好きな物語の世界の人たちが、本屋のねこと一緒に夕暮れのまちを歩き回る。偶然とはいえ、内緒とはいえ。これはなかなかの大冒険。魔女やおおかみと手を取り合うのもちょっとドキドキ。でも、のんびりした性格のねこの背中は思ったよりも広く、なんだかいい雰囲気。
本の世界に触れる楽しさを、こんな形で体験させてくれるなんて。子どもたちの姿を力強く描き続ける絵本作家、石川えりこさんの新境地。ペローやアンデルセンの物語を読んだことがある人にも、まだ知らない人にも。力を抜いて楽しめる、「すきまの時間」の素敵なお話です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者の声より
舞台は、ヨーロッパの港町を思わせる、どこかの町。
最後のお客さんを送り出した、本屋の猫。夕方の暖かい日ざしの中へ、日課の散歩にでかけるのですが…。
猫はうっかり、窓を一カ所閉め忘れてしまいました。そこに、強い風が吹き込んで…!
どこまでもマイペースの猫店主と、よく知られた物語の主人公たちと一緒に、知らない町を散歩する気分になれます。どのイラストも素敵ですが、猫の本屋が特に魅力的です。住み込みたくなるぐらい。とても細かく描かれたイラストが楽しく、印象的な一冊でした。
(こはこはくさん 50代・ママ 東京都 男の子10歳)
2月16日 「いちばんやりたいことってなあに?」
金曜日は『黒ネコジェニーの おたんじょうび』(2023年7月刊行)
はずかしがりやの小さな黒ネコジェニーの、誕生日のおはなし。きょうだいネコのチェッカーズとエドワードが迎えに来て、ニューヨークの中でもにぎやかな場所にある公園へ、バースデイ・ピクニックに出かけます。
途中、プレゼントをくわえた双子のネコに出会い、立ち寄った消防署では、ごちそうの入ったピクニックかごと一緒に、はしご車にみんなで乗り込みます。運転するのは消防ネコのピックルズ。「ジェニーのバースデイ・ピクニックがひらかれる公園へまいります。みなさん、おはやめにご乗車ください!」
花が咲く公園のひんやりした芝生で、ごちそうを並べ、歌を歌って……ネコたちのピクニック・パーティが始まります。そして空に月がのぼるころ、「いちばんやりたいことってなあに?」とみんなに聞かれたジェニーがはずかしそうに答えたのは……?
作者エスター・アベリルは、1902年アメリカのコネチカット州生まれ。パリで児童書出版社を設立、帰国後はニューヨーク公立図書館の児童書部門に勤務するなど、多彩な活動をした人です。1944年に、自身の飼い猫をモデルにした“黒ネコジェニー”シリーズ初作品を発表。日本では「黒ネコジェニーのおはなし」シリーズとして福音館書店より3作が刊行されています。本書はその読み物シリーズのスピンオフで、カラーとモノクロの見開きが交互に展開する、ペン画の繊細なタッチが愛らしい絵本です。
原書「JENNY’S BIRTHDAY BOOK」は1954年にアメリカで刊行。長らく入手できなかった幻の絵本が、石津ちひろさんの訳で、愛らしさ満点の日本語版となりました。古いアメリカの絵本の都会的なチャーミングさ、淡々と流れる時間の心地よさを味わってくださいね。ネコがいっぱい登場するので、ネコ好きの大人にもおすすめ。それにしてもバースデイ・ピクニックって素敵……!
(大和田佳世 絵本ナビライター)
読者の声より
児童書の黒ネコジェニーシリーズが大好きなので、絵本バージョンも出たんだ!とうれしくなりました。
カラフルなイラストが大きな画面で楽しめて、気分が上がります。
白黒ページとカラーページが交互になっているところが、クラシックな雰囲気を醸し出して素敵でした。
(クッチーナママさん 40代・ママ 女の子19歳、女の子16歳、男の子13歳)
「黒ねこジェニーのおはなし」シリーズ、読み物版も合わせておすすめ。
2月17日 ねずみがこわいピンキーが、見つけた特技とは!?
土曜日は『バレエ団のねこ ピンキー』(2023年3月刊)
バレエがだいすきなねこ、ピンキーの仕事はネズミとり。
でも、ピンキーはネズミがこわくて……。
小さな黒ねこが、自分にしかできないことを見つけるおはなし。
『バレエシューズ』などで人気の作家、ノエル・ストレトフィールドと、
「ニューヨーカー」などの挿絵で活躍した画家、スザンヌ・スーバによる愛らしく美しい絵本。
2月11日 はやく、なかよくなりたいな。
読者の声より
私は、ねこは苦手なのですが、表紙のこねこが可愛くて図書館から借りてきました。友達の家で生まれたこねこをもらってきて、こねこが女の子に懐くまでを描いています。先住のレオに挨拶とか結構教えてなくても礼儀正しいんだと思いました。切り絵が可愛く仕草とか行動にも上手く表現されているなあと思いました。ねこじゃらしで遊んでいる様子が楽しかったです。
(押し寿司さん 60代 じいじ・ばあば)
いかがでしたか。
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選書・文:秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)
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