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アンパンマンだけじゃない!朝ドラ『あんぱん』のモデル やなせたかしさんが生み出した、愛と勇気の世界

2025年上半期の朝の連続テレビ小説『あんぱん』は、やなせたかしさんご夫婦がモデルです。

アンパンマンの生みの親として知られるやなせたかしさんですが、実は「アンパンマン」だけにとどまらず、そして絵本のみでもなく、漫画家、グラフィックデザイナー、編集者、舞台美術制作、放送作家など実に様々な活動を行い、多くの作品をこの世に生み出してきました。

やなせたかしさんの歩まれた軌跡をたどりながら、遺した作品の数々を紹介します。

アンパンマンの原点となる絵本たち

まず初めにおさえておきたいのは、やはりアンパンマンの絵本です。

最初の「アンパンマン絵本」がこの世に出たのは、1973年のこと。

フレーベル館の月刊絵本「キンダーおはなしえほん」として登場した『あんぱんまん』が幼児たちの中で驚異的な人気を博し、絵本『あんぱんまん』として出版されました。

その後、「やはりパンという感じはカタカナでないとピンとこない」というやなせたかしさんの意向によってカタカナの『アンパンマン』に改名し、シリーズで出版されるようになります。

絵本『あんぱんまん』誕生50周年を記念して新装版として出版されたアンパンマンの原点となる絵本をご紹介します。

アンパンマン原点を描いた不朽の名作!巻末に掲載された「あとがき」も必読

あんぱんまん

広い砂漠の真ん中で、お腹がすいて動けなくなっている旅人がいます。その時、西の空から大きな鳥のような人が近づいてきます。そして、その不思議な人は言うのです。

「さあ、ぼくの かおを たべなさい」

旅人は驚き、それでも彼の言うままにおそるおそる頭にかじりついてみると……そのおいしいこと! あっという間に半分食べてしまいました。

「さようなら、がんばれよー」

顔が半分になっても笑顔でさっそうと飛びだっていく、その人の名前は「あんぱんまん」。困っている人やお腹をすかしている人がいると、どこからか飛んできて顔を食べさせてくれる正義のヒーローです。森の中で迷子になった子どもに残りの半分の顔を食べさせてあげると、もう彼には顔がありません。このままで人を救えるのでしょうか。

でも、大丈夫。パンづくりのおじさんが新しい頭をすぐに作ってくれます。おや、新しくなった頭は前よりも少しふっくらしていて……そう、私たちの良く知っているあの「あんぱんまん」の姿です。

今や誰もが知っている、子どもたちの憧れるヒーロー「アンパンマン」。初めて絵本に登場したのは1973年、月刊「キンダーおはなしえほん」10月号でした。2023年には誕生50周年を迎える記念として、さらに長く読み続けられるよう、原点となるこの絵本が新しくよみがえりました。

「ほんとうの正義というものは、けっしてかっこうのいいものではないし、そして、そのためにかならず自分も深く傷つくものです。」(巻末に掲載されている、1973年当時のあとがきの言葉より抜粋)というのは、作者であるやなせたかしさんの言葉。

50年の時を越え、あんぱんまんの存在、そしてその行動は、今の私たちの目にどう映るのでしょう。親子で一緒に楽しんでくださいね。

1981年9月刊の『それいけ!アンパンマン』が「やなせたかしのあんぱんまん1973」シリーズとしてよみがえる!

それいけ!アンパンマン

助けを呼ぶ声があればどこへでも飛んでいき、みんなを助けるアンパンマン。こざるに顔を分け与え、かいじゅうに襲われても、ジャムおじさんに新しい顔を焼いてもらえば何度でも蘇ります。
ーーー
アンパンマンが初めて絵本で登場したのは1973年、月刊「キンダーおはなしえほん」10月号でした。
その後、多くの絵本が生まれ、世界を広げていきます。
絵本『あんぱんまん』誕生50周年を記念し、未来に向けて長く読み続けていただけるよう、アンパンマンの原点となる絵本たちが新しくよみがえります。

アンパンマンの映画の絵本

昭和の終わりである1988年10月に、アニメ『それいけ!アンパンマン』が放映スタート。

月曜の午後5時という「何をやっても視聴率2%しかいかない」時間帯に、いきなり視聴率7%を叩き出しました。

このとき、やなせたかしさんは69歳。アニメ初期は原作も提供されていました。

当時のテレビアニメは、『鉄腕アトム』や『ドラえもん』のように漫画原作からアニメ化される作品がほとんどの中で、絵本からアニメとなったアンパンマンは異例の存在でした。

 

1989年には、映画『それいけ!アンパンマン キラキラ星の涙』が公開。

やなせたかしさんは、2013年公開の『それいけ!アンパンマン よみがえれ バナナじま』まで、アンパンマンの映画をオリジナル絵本として出版されてきました。

アニメの映画とは少し違うオリジナル絵本の世界も、ぜひお楽しみください。

やなせたかしさんが描く、アンパンマンの映画のオリジナル絵本

とばせ!きぼうのハンカチ

ばいきんサーカスのメカがヨゴスゾウに変身して街中を汚し、アンパンマンが大ピンチ! 雲の上からやってきた象の子、パオはきれいにできるハンカチを鼻から出そうとがんばりますが…。やなせたかしオリジナル絵本。

やなせたかしさんが手掛けた名作絵本

高知県で育ったやなせたかしさんは、東京高等工芸学校図案科に進学するために上京。

卒業後は製薬会社宣伝部でデザインの仕事に従事したのち、高知新聞社での記者、編集、漫画、表紙絵、三越宣伝部でのグラフィックデザイン、そして舞台美術制作やキャラクターデザイン、放送作家、漫画連載など、様々な活動を行っていきます。

1962年、文化放送のディレクターを務める知人から「台本が間に合わなくて穴が開きそう、何でもいいから明日までに1本書いて!」と頼まれ、その夜のうちに書き上げたのが、『やさしいライオン』でした。あまりにも時間がなかったので、以前にコントとして書いたこの作品を30分のドラマに仕上げたそうです。

このラジオドラマが好評を博し、縁あってフレーベル館より絵本としても出版。これをきっかけに、ついに子どもの本の世界に足を踏み入れることになります。

やなせたかしさんの絵本には、生きていく上で避けることができない哀しみや無情さ、そして人と人の絆など、人生の大切なことがたくさん詰まっています。アンパンマンの世界にも通じるやなせたかしさんの絵本の世界を、ぜひたっぷりと味わっていただければと思います。

やなせたかしさんの絵本作家活動の原点となった、胸締め付けられる不朽の名作

やさしいライオン

ある国の野外動物園にいた、みなしごライオンのブルブル。お母さんがわりをしたのは犬のムクムク。ブルブルは、ムクムクの優しい子守歌を聞きながら、どんどん大きくなります。とうとうムクムクよりも大きくなって立派なライオンになった頃、お別れの時がきます。都会の動物園にうつされることになったのです。

ブルブルは、今ではサーカスの人気者。それでも夜になると思い出すのは、なつかしいムクムクの子守歌。そんなある夜、遠くの方から聞こえてきたのは……。

やなせたかしさんの絵本作家活動の原点となった、不朽の名作がリニューアル。優しい心を持ったまま育ったブルブルだけれど、愛する母親の危機を察知し、一目散に駆け出すその姿は、誰もが恐れるライオンそのもの。物語は悲しい結末へと向かっていくけれど、そこには喜びや希望も同時に描かれます。

かつて子どもだった私たちが味わってきた絵本の世界を、また子どもたちへ。読み継がれていってほしい名作が、没後10年記念出版「やなせたかしの名作えほん」シリーズとして新たに誕生です。

やなせたかしさんだからこそ描ける、チリンのつぶらな瞳からは想像できないドラマチックで哀しいお話

チリンのすず

この春に生まれたばかりの子羊、チリン。危険な目にあったらわかるように、首には、風にチリンチリンと鳴る金色のすずがついています。「あんまり遠くへ行ってはだめよ。おおかみに食べられますよ」とお母さんが言うけれど、幼いチリンは「ほんとかなあ」とピンときません。でもある夜、おおかみのウォーが牧場を襲撃。お母さんはチリンをかばって死んでしまいます……。

チリンのつぶらな瞳からは想像できない、ドラマチックで哀しいおはなし。お母さんの仇であるウォーに弟子入りしたチリンが、おはなしの後半では、まるでウォーの相棒か分身のような“けだもの”の姿になっていく様子が描かれます。

「アンパンマン」の作者やなせたかしさんの、1978年刊行作品の復刊。孤独な復讐劇を遂げ、うなだれるチリンの姿に胸をしめつけられます。戦争体験が常に制作の根底にあり、子どもたちへ優しさを届けたいと願っていたやなせさんがどんな思いでこの絵本を描いたのかを想像すると、なんとも言えない気持ちになります。

伸びやかな線、ダイナミックな構図、劇的なストーリーと、子どもをひきつける要素が詰まった名作絵本。アンパンマン絵本に通じる日本的な中間色も味わい深いです。大人になっていく中で、純粋さや正しさだけではないものが自分の中に育っていくこと。子どもだけでなく大人の読者にも胸に迫るものがあるのです。

やなせさんの温かいお人柄をそのまま映したような、優しく美しい世界

しろい うま

やなせたかしさん没後10年にあたり、読み継がれている普及の名作が「やなせたかしの名作えほん」シリーズとしてリニューアルされました。

 

ぼくの部屋に白い馬の絵があります。白い雪山に立つ、気品ある馬。その馬がある日突然、絵の中から飛び出しました。ぼくは馬の足跡を追いかけ、山を登ります。

白い馬が走った跡は、草も木も緑色になり、雪が溶けて花が咲きます。雪は白いひつじとなり、花からちょうが生まれ、ちょうが星になりました。リズム良く塗り替えられるシーンは、だんだんと色鮮やかになり、幸福な雰囲気がどんどん広がっていきます。

こちらはアンパンマンの生みの親、やなせたかしさんの46年前の作品です。やなせさんの温かいお人柄をそのまま映したような優しく美しい世界。今の子どもたちにも、そしてかつて子どもだった大人にも夢と希望を与えてくれるでしょう。

生きることの厳しさや切なさを赤裸々に描く名作絵本

復刊絵本セレクション キラキラ

ひとめ見たものは、その恐ろしさのあまりものも言えなくなるという怪物キラキラ。
一体どんな姿をして、どんな悪さをするというのでしょう。
高い山に住んでいるキラキラを退治すると向かったのは、オビエ村の兄弟の暴れん坊の弟、キリ。
しかし一向に帰ってこないキリを心配した兄のキルは、周囲の反対を押し切って山に向かいます。
そびえ立つ山の頂でキルが見たのは、怪物キラキラと弟キル!弟を守りたい一心で弓をひくキルだったが・・・。

この後の思いもかけない展開は、読者の心に大きな衝撃を与えます。そして、人と人が理解し合うことの難しさを痛感することでしょう。それでも怪物キラキラ、兄弟キルとキリのやりとりは「本当の優しさ」「絆」について考えさせてくれるのです。

キンダーおはなしえほん1975年2月号初出となるこの作品の作者は、「アンパンマン」の作者としてお馴染みのやなせたかしさん。感動作、待望の復刊です。
やなせさんは子どもたちに対して、時に生きることの厳しさや切なさを赤裸々に描きます。
子どもたちは驚いたり、悲しんでしまうかもしれません。
それでも、子どもたちは「人と人との強い絆」について体で感じ取っていくはずです。
大人になっていく為に必要な「強さ」と「優しさ」。
絵本を通して伝えていく作者の覚悟を、親子で一緒に受け取っていきたいと思うのです。

詩人・やなせたかしの本

やなせたかしさんは、詩人としての一面もお持ちでした。

最初の詩集『愛する歌』は、1966年にサンリオから出版されました。

これは、グラフィックデザイナーとしてパッケージや商品のデザインを手掛けていただやなせたかしさんが詩集を出版しようとした際に、サンリオの社長であった辻信太郎氏からサンリオでの出版を提案され、出版されることになったのだそうです。

(サンリオは、この本をきっかけに出版物の企画・販売業務を始めることになります)

また、サンリオの業績が拡大する中で「社長、詩の雑誌をつくらせてくれませんか」と提案し、辻信太郎社長がこれを快諾したことで、1973年に雑誌『詩とメルヘン』が創刊。やなせたかしさんが編集長を務め、2003年8月に休刊するまで通算で385号が発行されました。

作詞家としても「日本の歌百選」にも選ばれた「手のひらを太陽に」などの童謡や、アニメ『それいけ!アンパンマン』関連の楽曲を手掛けるほか、なんと2003年には全曲作詞を手掛けたオリジナルソング集『ノスタル爺さん』で歌手としてCDデビューもなさっているのです。

そんなやなせたかしさんの詩の世界も、ぜひ味わってみてください。

『てのひらを太陽に』『アンパンマンのマーチ』など、詩人としてのやなせたかしさんの代表作を収録

やなせたかし詩集 てのひらを太陽に

たったひとりで生れきて/たったひとりで死んでいく/人間なんてさみしいね……「てのひらを太陽に」「アンパンマンのマーチ」他、抒情詩人やなせたかしの代表作を収める。解説:小手鞠るい

詩、イラストなど、珠玉の作品を詰め込んだ作品集

あれはだれの歌 新装版 やなせたかし詩とメルヘンの世界

やなせたかしの代表作である、4コマ漫画「MR.BO」、誰もが耳にしたことのある名曲「てのひらを太陽に」の詩、感動の名作物語「チリンのすず」、心に響く詩「えらくなっちゃいけない」などの他、詩、イラストなど、珠玉の作品を詰め込んだ作品集です。
「この本の企画を聞いた時とてもびっくりした。よくも悪くもこれはやなせたかしのエキスでアンパンマンの血液みたいな本だと思った(やなせたかし)」

やなせたかしさんの代表的な童謡『てのひらをたいように』が、絵本に!

てのひらを たいように

歌えば元気がわいてくる! 「日本の歌百選」にも選ばれ、誰もが一度は聞き、歌い、親しんだ、やなせたかし先生作詩の童謡が絵本になりました。世代を超えて知られており、歌いながらみんなで楽しめます! カバー袖には制作当時のメッセージも特別掲載。初出:「ころころえほん」2011年3月号。初版:「あかちゃんといっしょ0・1・2」35巻(2018年8月刊)。

やなせたかしさんの人生を知ることができる本

57歳でアンパンマンを生み出し、69歳でアニメ化が大ブレイクするまで、曲がりくねる道を歩まれたやなせたかしさん。

どんな思いでその長い道を歩まれてきたのでしょうか。

やなせたかしさんの人生を知ることができる自叙伝やエッセイを、ぜひご覧ください。

やなせたかしさんが歩まれてきた道を知ると、そのユーモアと優しさの根底にある強さや、諦めずに歩き続けることの大切さ、人との縁がつないでくれるものの不思議が伝わってきて、生きる勇気が湧いてきます。

波瀾万丈の人生が明るくユーモラスに語られる、やなせたかしさん自叙伝の決定版!

岩波現代文庫 アンパンマンの遺書

漫画家,絵本作家,イラストレーター,詩人,デザイナー,編集者,舞台美術家,演出家,コピーライター,作詞・作曲家,シナリオライター,ときわめて多彩な顔をもつ著者が,子供時代から,中国での兵士体験,戦後の無名時代を経てアンパンマンの大ブレイク,妻との死別まで,波瀾万丈の人生を明るくユーモラスに語ります.漫画のカット多数収録.
 1995年2月に小社より刊行された『アンパンマンの遺書』.著者75歳の時点での貴重な自叙伝です.93年11月に愛妻を亡くし,茫然自失から立ち直るなかで少しずつ書き進められていきました.文庫化にあたり,近況を綴った遺稿「九十四歳のごあいさつ――「岩波現代文庫あとがき」に代えて」を付しました.

地元である高知新聞に連載されたエッセイ100編を収録!

続 オイドル絵っせい  新装版

2013年に亡くなるまで生涯現役を貫き「人生の晩年を楽しく」という思いをこめた「オイドル=老い+アイドル」高知新聞連載から厳選した随想録。高知での思い出、制作の裏側などユニークに綴った100編のエッセイを収録。(本書は『続・オイドル絵っせい これじゃあ死ぬまでやめられない!』を改題し、新装版として刊行したものです)

インタビュー形式だから読みやすい!人生を生き抜くヒントが詰まった一冊

100年インタビュー 何のために生まれてきたの?

各界一流のプロの半生をインタビューで解き明かす人物ドキュメント番組「100年インタビュー」(NHKBSプレミアムで放送中)の単行本化。第10弾は、「アンパンマン」や童謡「手のひらを太陽に」の生みの親である漫画家のやなせたかし氏。  やなせ氏は現在93歳。目も耳も悪くなり、がんを患って腎臓も片方がなく、すい臓は三分の一切除。胆嚢もなく、腸閉塞で腸を切り、心臓にはペースメーカーが入っている。しかし、東日本大震災では、「アンパンマンのマーチ」が被災地を勇気づけ、やなせ氏もアンパンマンのポスターを描いて避難所に送り、現地にもかけつけた。漫画家になりたいと上京しながら芽が出ず、様々な職業で生活をつなぎ、くじけそうになるたび、「何のために生まれてきたのか」と初心に戻り、アンパンマンがヒットしたのは69歳。同じ生きるなら自分もまわりも楽しくしたいと、いつも前向きを心がけてきた軌跡には、人生を生き抜くヒントが満載!

心に響くやなせたかしさんの言葉を収録

やなせたかし明日をひらく言葉

「小さな手のひらでも、しあわせはつかめる」など、心に響くやなせたかしの言葉を紹介。アンパンマンの生みの親が示す、生きるヒント。

アンパンマンの声優を務める戸田恵子さんとの、アンパンマン対談!

アンパンマン VS アンパンマン 新装版

『あんぱんまん』が刊行されてから半世紀。みんなに愛されているアンパンマンの生みの親・やなせたかしと、アンパンマン声優戸田恵子によるアンパンマン対談を、24年ぶりに新装版として復刊します。

目次
はじめのはじめのはじめの話 やなせたかし
プロローグ 二人で奏でるまえがきデュオ
まえがきのまえがき
いよいよ始まる本物のまえがき

第一幕 ドキュメンタリー風対談 はじまりはじまり
アンパンマンミュージアムはみんなの故郷
「アンパンマンのマーチ」誕生秘話
専属お化けがやってくる
   ・アンパンマンのマーチ・勇気りんりん
   ・大人たちとアンパンマン

第二幕 運命の星が輝いてアンパンマンが飛び立つまで
最初の登場はラジオコント
クリとトンチ/ボニーさんの話
「あんぱんまん」から「アンパンマン」へ
   ・あんぱんまんについて(最初の絵本のあとがきより)

第三幕 「それいけ! アンパンマン」成功への道
アンパンマンの恩人は子どもたち
アンパンマン三銃士に敗れたり
声との出会いで成功は決まった
「アニメの人気者がほしい」だと?!
希有の経験 仕事仲間がファミリーに
アニメ化でより確かな存在に
     ・最初の予兆

第四幕 クライマックスはこれからだ 登場キャラクター面白話
   増え続けているキャラクターたち
   アンパンマンは太陽
   どこか憎めない敵役ばいきんまん
   ドキンちゃんはスカーレット・オハラ
   インテリしょくぱんまんとやんちゃなカレーパンマン
   ジャムおじさんとバタコさん
   めいけんチーズと犬たち
   農協を気遣って登場 おむすびまんとこむすびまん
   やかまし集団 どんぶりまんトリオ
   もう一人の旅人 ハンバーガーキッド
   アンパンマンワールドの馬たち
   ホラーマンの秘密
   元気でやさしいメロンパンナちゃん
   ロールパンナは宝塚出身?
   パンダで成功 クリームパンダ
   やきそばパンマンとやきそばかすちゃん
   かくれファンが多いてっかのマキちゃん
   あかちゃんまん/みみせんせい
   ユニークキャラクターの話
   キャラクター大募集から誕生 アロエくんとハーブちゃん
   困った時のかびるんるん
   キャラクターは無限大

エピローグ アンパンマンの願いと夢
   世界の子どもたちに愛されるキャラクターに  やなせたかし
   アンパンマンとの出会いに感謝  戸田恵子

閉幕後の無駄話  やなせたかし
  ・プロフィール紹介

平和と反戦への強い思い

やなせたかしさんは、大学卒業後デザイナーとして勤め始めた2年後に徴兵により小倉の野営銃砲隊に入隊。

日中戦争に出征し、上海郊外で終戦を迎えました。

自らの戦地での体験と特攻隊員として出兵した実弟の戦死、そして戦後の動乱を体験されたことで、「正義の戦争なんて存在しない」ときっぱりと語るほどに平和と反戦に対して強い思いを持っていました。

世界中が混乱の中にある今こそ、私たち皆が読んでおきたい本が、ここにあります。

日中戦争に出征したやなせたかしさんが自ら体験した戦争について語る、笑いと涙の戦記

新装版 ぼくは戦争は大きらい やなせたかしの平和への思い

アンパンマンの作者が体験した戦争

2013年10月13日に94歳で亡くなった漫画家で『アンパンマン』等の絵本作家、詩人でもあるやなせたかしが自らの戦争体験を語った本。やなせは昭和15(1940)年の春に召集を受け、小倉の野戦銃砲部隊に入隊。召集期間満了直前の昭和16年12月8日の開戦により、召集延長に。その後、中国戦線に派遣され、上海郊外で終戦を迎えた。やなせは、自伝などの中で戦争のことを簡単には語っているが、戦争体験だけをまとめて語るのはこれが初めて。人殺しも団体生活も嫌だったというやなせにとって、軍隊はばかばかしいだけの世界。しかし、辛い中にも何か楽しみを見出してゆく持ち前の性格で、戦争と軍隊を内部から風刺していく。特攻に志願した弟との別れなど、辛く悲しい思い出にも持ち前のユーモアを交えながら語る笑いと涙の戦記になっている。嫌いな戦争のことはあまり語りたくないと考えていたやなせが、90歳を超え、戦争体験、軍隊体験を語り継ぐことで、過去の戦争のことが未来を生きる世代の記憶に少しでも残ればいい、と亡くなる直前まで語ったラストメッセージである。

戦争を生き抜いたやなせたかしさんがたどり着いた「正義」とは?

新装版 わたしが正義について語るなら

<内容紹介>
正義とは何で、正義の味方とはどのような人なのか。
戦争を生き抜き、国民的ヒーロー「アンパンマン」を産みだしたやなせたかしが、その半生を通じて向き合った「正義」のあり方とは。
混迷の時代に生きる勇気をもらえる、やなせ流の人生哲学。

・正義はある日突然逆転する。
・正義とはかっこいいものではない
・正義とはあやふやなものである
・正義のための戦いなんてどこにもない
・正義はある日突然逆転する
・悪人の中にも正義感はある
・傷つく覚悟がないと正義は行えない
・正義でいばるやつは嘘くさい

<著者プロフィール>
1919(大正8)年高知県生れ。東京高等工芸学校工芸図案科(現千葉大学)卒業。1973年月刊「詩とメルヘン」をサンリオより創刊。1988年アニメ『それいけ!アンパンマン』が放映され爆発的な人気となる。作詞家としての代表作には「手のひらを太陽に」、アンパンマンの主題歌などがある。絵本には『チリンのすず』『やさしいライオン』など数多くの名作がある。

大切な人たちについて語った本

やなせたかしさんには、2歳下の弟がいました。

5歳で父を亡くし、弟は子のいない伯父の養子となり、小学2年生で母とも離れ離れに。弟が養子となっていた伯父の家に引き取られ、再び弟と一緒に暮らすことになりますが、養子となっていた弟は義父義母と一緒に寝起きする一方で、やなせたかしさんは書生部屋で寝起きするという複雑な関係が続きました。

それでも、たった一人の兄弟である弟・千尋さんには、強い思い入れがあったようです。

そんなやなせたかしさんが弟との思い出を綴った本を紹介します。

朝ドラ『あんぱん』ともリンクする、弟・千尋さんとの思い出を綴った詩画集

やなせたかし おとうとものがたり

早くに父を亡くし、母とも離れ離れになった、たった二人の兄と弟。アンパンマンの作者やなせたか しが弟・千尋との思い出を綴った幼物語。本書のために書き下ろされたエッセイを特別収録。

やなせたかしさんの愛と勇気の世界を、あなたに

戦前、戦中、戦後と激動の時代を生き抜き、波乱万丈の人生を歩んだやなせたかしさん。遺された数多くの作品を見ていると、その根底にやなせたかしさんの強さと優しさがあふれていることが伝わってきます。

それはまさに、愛と勇気の世界です。

子どもだけでなく大人にもぜひ、その世界を存分に堪能していただければと願います。

洪愛舜(ほん えすん)

ライター・編集者・絵本作家。
1977年大阪府堺市生まれ。出版社勤務を経て、現在は育児・教育系ライターとして雑誌、書籍、Webメディアなどで執筆。絵本の編集や絵本作家のアシスタントを通じて、絵本の世界の扉を開ける。一女一男2児の母。子育て中の体験からアイディアを得て、日本語と英語両方で読めるDual絵本『すき! I like it!』(教育画劇)を出版。子どもに一番たくさん読み聞かせした絵本はたぶん『おたすけこびと』。
掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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