【今週の今日の一冊】心に残る特別な夏休み ~小中学生に贈る夏の読み物特集~

いよいよ、夏休みが始まりましたね!
時間がたっぷりある夏休みは、特別な冒険に出かけたり、新しい出会いを経験したり、意外な発見があったりする季節。そこには、子どもたちの心がぐんと成長する瞬間が、ギュッと詰まっています。
今週は、夏休みにぴったりの、心に残る特別な物語を集めてみました。ページをめくりながら、現実でも物語の中でも、あなただけの「特別な夏」を心ゆくまで楽しんでみませんか?
2025年7月21日から7月27日までの絵本「今日の一冊」をご紹介
7月21日 二年生の夏休み、いろいろな気持ちがあふれる夏
月曜日は『すみれちゃんのあついなつ』
読者の声より
すみれちゃんが二年生になりました。
シリーズで読んでいます。
夏休みにテレビアニメを見すぎているすみれちゃんとママの攻防戦が、うちの息子と私のやりとりに似ていてつい苦笑してしまいました。
心理描写が細かいのが魅力的です。
息子に読み聞かせをしていたのを夫も聞いていました。
夏休みのお話なので、夏休みの読み物としてもちょうどいいですね。
一年生ものはたくさんありますが、二年生になるとぐっと手薄になることもあるので、二年生の子にもちょうどよさそうで、共感できる内容だと思います。
(はなびやさん 40代・ママ 愛知県 男の子8歳)
「わたしはすみれ」シリーズ
7月22日 「もしも」の果てで、ふたりが見つけた宝物とは…
第1回未来屋アオハル文学賞大賞受賞、おめでとうございます!
(2025年7月18日発表)
火曜日は『かなたのif』
友だちのいない香奈多と、友だちをなくした瑚子。中1の夏、ふたりは、秘密の場所で出会った。瑚子がつむぐ夢渡りの黒いネコ、ドコカのお話。眠りの中で、いろいろな世界をおとずれるドコカは夢渡りのネコ。願いがかなう「虹のしずく」を探して、ひとりぼっちの誰かの前に現れる??香奈多はその物語を聞くなかで瑚子を知り、大切な友だちだと思うようになる。瑚子もまた香奈多と物語を分かち合う喜びを感じた。ある日、香奈多は信じがたい事実を同級生から突きつけられる。悩んだ末に、瑚子に会って自分の気持ちを伝えようとするが……。
物語をなぞるように重ねた「もしも」のはてで、ふたりが見つけた宝物とは――。
7月23日 言葉ではうまく伝えられなくても……
水曜日は『ダンス・フレンド』
レオは、ダンスが大好きな11歳の男の子。
場面かんもく症のため、家族としかしゃべることができず、
学校でも、なかなか友だちができない。
友だちと呼べるのは、愛犬のパッチだけだ。
ある日、レオのとなりの家に、同い年のリカが引っ越してきた。
レオが一言もしゃべらないことを全く気にせず、たくさん話しかけてくるリカ。
そんな明るく元気なリカも、ダンスが大好き。
互いの庭のトランポリンで一緒にポーズをとりながら、楽しい時間を過ごす。
リカとなら、友だちになれるかもしれない...。
レオは勇気を出して、自分がしゃべれないわけや、日々抱えている気持ちを、リカへの手紙に書くことにした。
しかし、元気いっぱいに見えるリカだが、実はだれにもいえない大きな秘密を抱えていた――。
それぞれに困難を抱えるふたりが、互いに支え合いながら友情をはぐくみ、
最高の友達になるまでを描いた、感動作。
7月24日 友情と冒険といのちを謳歌する夏休み!
木曜日は『じゅげむの夏』
「四年生の夏休みを最高の夏休みにしようよ」
待ちにまった夏休み。山あいの村、天神集落で同じ小学校に通う山ちゃん、シューちゃん、かっちゃん、ぼく(あきら)の仲よし四人組は、早速かっちゃんの部屋に集まります。四年生の夏休みを最高の夏休みにしようと言ったのはかっちゃん。そうして四人の冒険の夏が始まります。
その冒険のひとつが天神橋からの川へのとびこみ。天神集落の子どもたちにとって、川へのとびこみは、ちょっと大人へと成長できた気がするような大切な儀式。そのとびこみにかっちゃんが今年の夏、挑戦したいと言います。けれどもぼくたちの気持ちは複雑です。それは、かっちゃんが筋ジストロフィーという病気で、けがや病気をすると、進行が早まってしまうと言われているから。けれどもかっちゃんのどうしてもの願いを聞いてあげたくて、ぼくたちは準備を万端にして見守るのですが……。
慎重なぼく。やんちゃだけれど頼もしい山ちゃん。マイペースなシューちゃん。性格はみんな全然違うけれど、それぞれの方法で、やりたいことをあきらめないかっちゃんの気持ちを汲み取り、全力で手助けしながら一緒に楽しみます。どんな冒険も四人で一緒に挑戦することに意味があるのです。みんなでなんとか頭をひねらせ、できる限りの準備をして一緒に冒険にのぞんでいく友情がまぶしく光ります。
一方、体に病気を抱えていながらも、かっちゃんはいつも明るくて前向きです。将来落語家になりたいという夢を持っていて、お気に入りは「じゅげむ」。この「じゅげむ」が、冒険に向けて不安になった時や、いい方法が浮かばない時にみんなを勇気づける活力になっているよう。
お話を書かれたのは、これまで数々の児童文学賞を受賞され、心に深く残る絵本や児童文学をたくさん生み出されてきた最上一平さん。その骨太なお話に、マメイケダさんの勢いのある挿絵がとてもマッチしています。表紙に描かれている、緑いっぱいの山に囲まれた集落の上に広がる真っ青な空。むっと湿度を含んだ夏の空気と木々の匂いがしてきませんか。
第70回読書感想文コンクール課題図書の小学校中学年の部にも選定されている本書。夏をめいっぱい冒険したい三年生、四年生に。さらに少年たちの友情と冒険といのちを謳歌する日々のこのきらめきを、大人の方にもぜひ感じてほしいです。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
7月25日 生まれてはじめてのキャンプ、友だち、恋……
金曜日は『わたしの心のきらめき』
脳性まひのため、生まれた時から言葉を話すことができず、体もほとんど動かせないメロディは、もうすぐティーンエイジャー。同じような子どもたちだけが参加するサマーキャンプに飛び込むメロディの、忘れられない体験をつづる感動作。スマッシュヒット&ロングセラー『わたしの心のなか』の一年後を描く、待望の続編!
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7月26日 ミンミンとの出会いで気づいた大切なこと
読者の声より
小学校高学年の読書にぴったりな1冊に思いました。
主人公の少年が中国で出会った明明というおばさん。
年代も国も違うおばさんによって、少年が想い感じ心の成長をしていく様子はとても素敵です。
自分とは違う環境や過去を生きてきた人を、どう受け止め想うか、人として大切なことに思いました。
(まゆみんみんさん 40代・ママ 女の子11歳)
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いかがでしたか。こちらで紹介した本は、読書感想文を書く本としてもおすすめです。小中学生の夏休みの読書の参考にぜひ活用してみてくださいね。
選書・文:秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)
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