【今週の今日の一冊】成人の日のお祝いに ~これからを歩く人へ贈る絵本~
成人の日は、迎える本人も見守る親御さんにとっても特別な節目の日ですね。いざ成人を迎えて、目の前に広がる未来に希望を持ちながらも、同時に不安を感じることもきっとあるでしょう。
今週は、成人の日のお祝いに、これからを歩く人の心に寄り添う絵本をお届けします。新しい一歩を踏み出す時、またこの先の人生の途中でふと立ち止まったとき……、そっと応援してくれるような絵本を集めました。
2026年1月12日から1月18日までの絵本「今日の一冊」をご紹介
1月12日 成人の日に…。あなたにとって、たいせつなのは?
月曜日は『たいせつなこと』
スプーンは、手でにぎれて、そのくぼみで色々なものをすくいとる。
でも、スプーンにとって大切なのは、それを使うと上手に食べられるということ。
ひなぎくは真ん中が黄色く、くすぐったい香りがする。
でも、ひなぎくにとって大切なのは、白くあること。
雨にとって大切なのは?
草にとって、りんごにとって、空にとって大切なのは?
自分たちの身の回りのものと一つ一つ向き合い、
優しく語るその文章を読みながら、読者はゆっくりと思いをめぐらせます。
そしてその静かな時間を決して邪魔することなく、
それでも印象的で美しい絵が、私たちの形のない思考を助けてくれるのです。
1949年にアメリカで出版されて以来読みつがれているこの絵本。マーガレット・ワイズ・ブラウンとレナード・ワイスガードによって生まれたこの傑作は、内田也哉子さんの丁寧な翻訳により、日本でも幅広い年齢層の読者に愛され続けています。
子どもたちにとって、本当に大切なこと。
今、自分が本当に大切にしなくてはいけないこと。
何度だって確かめたい時。答えがわからなくなった時。
目の前にあるものをしっかり見て、耳をすましてみる。
誰かの声を聞いてみる。
この絵本を読んでみる。
すると、何回だって答えてくれます。
「あなたは、あなた。
あなたにとって、たいせつなのは……?」
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者の声より
グラスやスプーン、ひなぎくや雨など、日常にある様々なものについて「たいせつなこと」は何かを語っています。
ひとつひとつ読みながら、それぞれについて大切なことは何か想像していました。
当たり前のことばかりだけど、なかなか自分では思いつかないことばかりで感心させられました。
ここに出ていないいろいろなものについて、大切なことは何か考えてみるのも面白いかもしれません。
絵本では最後に「あなた」についてかかれています。
あなたにとってたいせつなことは
その隣のページに手書きで記された言葉が、心にズーンと響きました。
何かにくじけたとき、自己嫌悪に陥ったとき、心に迷いが生じたとき・・・この言葉が心の助けになるかもしれないと感じました。
(こりえさん♪ 30代・ママ 女の子2歳)
1月13日 どらごんごんどら どんぶらどんぶら 願いをこめて
1月14日 あるひ、ぼくは、おおきなかばんをもって…。
水曜日は『ぼくのたび』
小さいけれど居心地のいいホテル。
ぼくがこのホテルをはじめてどのくらいになるだろう?
世界中からやってくるお客さんから知らない国の話を聞き、ぼくはこの町について話す。この町の事なら何でも知っているからね。だけど、いつか……。
彼は、夢の中では大きなかばんを持ち、飛行機に乗って、知らない町から町へと自由に出かけていく。みんなが教えてくれた、世界中のまだ見ぬ憧れの地へ。海岸線を眺めながら風に吹かれたり、明るい日差しの下で開かれるパーティーで友人にもてなしを受けたり、果てしなく続く景色の中で車を走らせたり。
いつも心の中で大切にあたため続けている旅への想い。ホテルの主人である「ぼく」を通して、世界的な評価を受ける絵本作家みやこしあきこがリトグラフという版画の手法を使って印象的に描き出す。
それは夢の中のようであり、でも確かにそこにある具体的な風景であり。流れる空気や温度、静かに吹く風の音や賑やかなしゃべり声まで見えてくるよう。豊かな色彩の版を丁寧に重ねながら、自らも旅に憧れる作者の気持ちが、その少し切なくも美しい景色の数々を生み出していくのでしょう。
私たち読者は絵本をめくりながら、「どこか遠くへいきたい気持ち」を主人公に重ね合わせ、少し胸を締めつけながら、やはり旅への想いをかき立てられていくのです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者の声より
みやこしさんの新作としり、楽しみに読みました。素晴らしい絵にひきこまれ、自分も旅に出たい!と強く思いました。 大人の人にぐっときそうな絵本かなあ、と。旅好きの人、旅にでたいと思っている人にプレゼントしたいと思いました。
(あんじゅじゅさん 40代・その他の方)
1月15日 「でも、きみは進む。雨や風にふかれても」
読者の声より
きみは、行きたい方角へちゃんと行ける
つまらなそうな道へは、行くこたあない
何が起こってもだいじょうぶ
読んでいるうちに、どんどん心強くなってきます。まるで、誰かが背中を押してくれているかのように。
文章自体は抽象的ですが、山あり谷ありで、ちゃんと壁にもぶつかる。
だから、すごくリアリティを感じます。
何かに挑戦しようとしているとき、あたらしい一歩を踏み出そうとしているとき、壁にぶつかったとき…。
きっと支えてくれる、そんな一冊だと思います!
(しゅうくりぃむさん 40代・ママ 女の子9歳)
1月16日 「なんなんなんのため?」をさがして…
金曜日は『なんなんなん?』
花たちに声をかけながら庭仕事をしているおばあちゃんに、ぼくは聞いてみる。
「ね、なんのために いきているのかな?」
おばあちゃんはなんなんなんでも知っている。
「なんなんなん……」
言いかけて、おばあちゃんはぼくにささやいた。
「そのこたえを さがすんだよ」
ぼくは旅に出た。出会った人たちに聞いてみる。
「なんなんなんのために いきているんだろう?」
漁師さん、俳優さん、町はずれのねこ、大工さん。みんながそれぞれ答えを持っている。ぼくはそれを聞いて、わかるようなわからないような。他の人にもどんどん話を聞いていく。そして、ある時出会った哲学者の話を聞いているうちに、ぼくはいてもたってもいられなくなって……。
アメリカのベストセラー作家のコンビによって生まれたこの絵本。「人は何のために生きているのか」。聞くと難解に思えるこの問いかけに、これ以上ないくらいシンプルに、けれど壮大なスケールで、全体的にユーモラスな雰囲気を漂わせながら答えてくれるこの絵本。声に出して読めば、小さな子どもにも身近で楽しく読ませてくれるのは、ユニークな翻訳の効果でもあるのでしょう。
ぼくの旅は決して短いものではないけれど、大切なのは自分の中から何かが「わいてくる」ということ。そのためだったら、いつまででも旅は続けていられる。そんな風に思わせてくれるこの絵本は、忘れられない一冊になりそうです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者の声より
自分は何者なのか?
何のために生きるのか?
少年は問い続けて旅をします。
人々のこたえに心を傾けるも、納得は得られず、旅は続く。続く。つづく。
しかし、やがて気付く。
この問いに答えることは簡単ではなく、それには長い年月がかかることもあるでしょう。
それと同時に何度も問い続けることが大切だとも教えてくれます。
初めて読んだ時、軽い衝撃を受けるほど、素晴らしい絵本でした。
図書館で借りましたが、いつかお迎えしたい一冊です。
(みいつけたさん 30代・ママ 女の子4歳)
1月17日 きみは たいせつだよ。なぜかっていうとね……
土曜日は『きみはたいせつ』
自分がどうしようもなく小さく思える。
誰にも気にされていないんじゃないかと感じる。
そんなきみにこそ、伝えてあげたいのは。
「きみは たいせつだよ」
ってこと。なぜかっていうとね……。
気づかれないほど小さな微生物も、やっかいものだと思われてる生き物も、足並みを揃えることのできない子や、助けを求めても気が付いてもらえない子も。
たとえ、きみが抱えきれないほど大変なことが起きたとしても、大切な人と信じられないほど遠く離れていたとしても、たまらなくさびしくなったとしても。
みんなひとりじゃない。この宇宙の中で、生命の進化の中で、そのすべてのつながりの中で生きているきみの存在には、意味がある。
素朴な可愛らしい絵で優しく語りかけてくれるのは、『おばあちゃんとバスにのって』(鈴木出版)でコールデコット賞オナーブックに選ばれ世界で注目されている絵本作家クリスチャン・ロビンソン。『きみはたいせつ』も世界8か国、6万部以上も出版されているそう。原書はYou MatterというBlack lives matterにも呼応するタイトルで、子どもたちも含め、誰も排除されない社会への願いがこめられています。
「どんなきみだって、たいせつ」
ゆっくりと、そして、くり返し。一緒に読み続けてあげてくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
1月18日 新しい始まりに向けて贈りたい詩の絵本
日曜日は『あしたのあたしはあたらしいあたし』
アナグラム(つづり換え)や早口言葉、少女の気持ちをときに元気に、ときにナイーブにうたった詩など、著者の第一詩集。全28編。
読者の声より
言葉遊びでは一目置いている石津ちひろさんの詩集。
大橋歩さんが、控えめながら、シンプルで存在感のある絵で伴走しています。
題名から、すでに詩。
でも、なんて素敵なフレーズでしょう。
そして、続きはもっと素晴らしいです。
軽快な言葉のシャワーに、ほんのり体温を感じます。
まさに生きた言葉。
そして、意外な視点に、元気をチャージできると思います。
小学生くらいから、大人まで、詩の醍醐味を、ぜひ。
(レイラさん 50代・ママ)
いかがでしたか。
新しい門出を迎える人たちに応援の気持ちを伝えたい時、絵本に思いを託してそっと贈ってみてはいかがでしょうか。
秋山 朋恵(絵本ナビ副編集長)
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