大人こそ救われる?! 愛しき“忘れんぼう絵本”特集
昨年末、注目の「忘れんぼう絵本」が立て続けに出版されました。今回は、それら新刊を含めた「忘れんぼう絵本」を特集いたします。
「忘れんぼう」というのはとても身近な存在であり、子どもも共感し、面白がれる絵本の定番コンテンツでございます。 そして今回は、“物忘れ”という言葉を意識し始めている大人の皆さまにも、ぜひお楽しみいただきたいのでございます。
あくまでわたくしの場合ですが、忘れることに対する必要以上の恐怖感や過剰な意識を癒やしてくれるのが「忘れんぼう絵本」でございます。忘れることを全肯定するわけではございませんが、忘れることへの罪悪感を和らげる効果はあるのではないかと……。この機会に、大人の方にこそ「忘れんぼう絵本」をご体験いただければと存じます。
まずは、昨年11月に出版されました、「パンどろぼう」シリーズでもお馴染み、人気絵本作家の柴田ケイコさまの最新刊『わすれぽんたくん』(PHP研究所)でございます。書店で見かけた際に、「あっ!『情熱大陸』に柴田さまが出演された際に、執筆中だったアノ作品だっ!」と、思わず手に取った絵本でございます。
「みんなあるある」シリーズ第2弾!
ぽんたくんはわすれものが多い男の子。学校へ行くのにパジャマのままだったり、ランドセルをわすれたり……。
学校に着いたぽんたくん。うわばきぶくろは持ってきたのに、中身のうわばきをわすれてしまいました。でも、ぽんたくんは全然気にしない。
ぽんたくんのわすれものは、よくあるものから、ちょっと変わったものまでいろいろです。しゅくだいはやったのにわすれてきたり、歯医者のスリッパで家まで帰ってきたり……。でも、ぽんたくんは気にしない気にしない。気にしないからまたわすれちゃう。そんなぽんたくんを、友だちのまもるくんはいつもやさしく助けてくれます。
まもるくんが、体育の時間に足をひねって学校を早退しました。まもるくんが水筒をわすれているのに気づいたぽんたくんは、届けてあげることにしました。ところが……?
主人公のぽんたくんは、宿題をやったのに持っていくのを忘れたり、玄関に水筒を置き忘れたり、公園に上着を忘れてきたり、誰もが経験のありそうな、「子どもの忘れんぼうあるある」満載の男の子でございます。
そんな忘れんぼうスペシャリストのぽんたくんをいつも助けてくれるのが、友だちのまもるくんでございます。ところがある日、まもるくんの方が忘れ物をしてしまいます。忘れんぼうスペシャリストのぽんたくんは、果たして忘れることなく、無事にまもるくんに忘れ物を届けることができるのか…。というお話でございます。最後には素敵なオチ(お楽しみ)もご用意されております。
お次はこちら。
昨年12月に出版されました『うろおぼえ一家のおでかけ』(理論社)でございます。注目の人気絵本作家、出口かずみさまの人気シリーズの最新作でございます。
前述の『わすれぽんたくん』では、忘れんぼうは、主人公のぽんたくん一人でしたが、こちらは忘れんぼうだらけのお話でございます。一家全員、一人残らず忘れんぼうで、主人公でございます。かつて、ドリフのコントで「もしもシリーズ」というものがございましたが、まさに「もしも、家族全員が忘れんぼうだったら」でございます。設定からして、面白くないはずがございません。さらにゴイスーなのは、「忘れんぼう」レベルの高さでございます。前述の『わすれぽんたくん』は、「あるある!」と共感できるレベルでございましたが、こちらは「そこまでやる?」レベルでございます。史上最強の忘れんぼう絵本と言ってよいかもでございます。
スーパーの行列に並んでいたはずが……?
くらしよいまちに住むうろおぼえ一家は、早起きしておでかけの準備万端です。どこに行くのかなにしに行くのかやっと思い出し、新しくできたスーパーへ。開店セールの長い行列に並んでいたら、あれれ、ここは豪華客船の中!?
お話はというと…。一家は、スーパーの開店セールに向かいますが、持ち味の「うろおぼえ」を遺憾無く発揮!気がつくと、全員豪華客船に。そんなことある?でございますが、ここが「うろおぼえ一家」の真骨頂でございます。果たして、どんなうろおぼえ旅になるのか…。規格外の物忘れ(うろおぼえ)を是非ご体験いただければと存じます。
ちなみに、「うろおぼえ」と「うるおぼえ」、どっちだっけ?となることもございます。正しくは「うろおぼえ」でございます。空(うろ)のように記憶が空っぽな状態を表す「うろ覚え」が正しいとされております。
「うるおぼえ」は、全国的に見られる言い間違えという説や、茨城県の一部地域で使われる方言という説などもあるようでございます。
そして、最後にご紹介する「忘れんぼう絵本」は、昨年11月に続編(リベンジ編)が出版された『おだんごとん』(マガジンハウス)でございます。
かわいいケンちゃんの“はじめてのおつかい”
ある日、ケンちゃんはママから『おだんご 5ほん』のおつかいを頼まれます。
おつかいするものを忘れないように
「おだんご ごほん」
「おだんご ごほん」
と繰り返し言いながら、ケンちゃんは元気にお店に向かいます。
そんなケンちゃんが歩く道の横を
「ガタン ゴトーン」
「ガタン ゴトーン」
と電車が通りました。
すると、大変!
ケンちゃんの繰り返す『おだんご ごほん』が
『ガタンゴトン』とまざって
『オダン ゴトン』に変わってしまったのです。
ケンちゃん、早くまちがいに気づいてー!!!
ケンちゃんはちゃんと『おだんご 5ほん』買って帰れるのでしょうか?
本作は、ガタロー☆マンの圧倒的な画力で描かれた
昭和レトロでノスタルジックなイラストと、
各ページに仕込まれた小ネタなど、見どころ満載。
読めば読むほど面白く、笑わずにはいられなくなる中毒性のある絵本です。
失敗してもやり直せる!!!
リベンジを誓った少年が、相棒の猫の友情に守られ「おつかいロード」を爆走する!!!
はたして『おだんご5本』、買えるのか…!?
「あきらめない勇気」と「友をおもう心」を育む、“抱腹絶倒”の読み聞かせ絵本。
作者のガタロー☆マンさまは、数々の超シュールな爆笑漫画を描かれている漫画界の奇才、漫☆画太郎さまでございます。近年、絵本も手がけており、そのペンネームが「ガタロー☆マン」でございます。画風は超個性的で、大人も笑える中毒性のあるくりかえし展開が特徴でございます。そんなガタロー☆マンさまの「忘れんぼう絵本」でございます。
お話は、主人公のケンちゃんの「はじめてのおつかい」でございます。ママから「おだんご5本買ってきて」とおつかいを頼まれたケンちゃんが、“忘れないで”無事「おだんご5本」を買って、家に帰ってくることができるか…というお話でございます。
『おだんごとん リベンジ』より
この“忘れないで”という展開は、最初にご紹介した『わすれぽんたくん』と共通しております。しかし、まったく違ったアプローチが施されておりますので、そのあたりも是非読み比べて楽しんでいただければと存じます。
今回は大人の方にも楽しんでいただきたい「忘れんぼう絵本」を3冊ご紹介させて頂きました。
「忘れんぼう絵本」は他にも、五味太郎さまの『なくしたものみつけた』(偕成社)、岡田よしたかさまの『フルーツパフェをちゅうもんしました』(PHP研究所)をはじめ、たくさんございますので是非是非ご体験いただければと存じます。
忘れんぼう絵本いろいろ
N田N昌さんの絵本
「じゃあね」「さよなら」
夕方、公園で遊んでいたこどもたちが家に帰っていきます。
「いいなぁ いいなぁ」
遊具のパンダは他の遊具が止めるのも聞かず、ぴょんぴょんと公園外に出ていってしまいました。
「ぼくもいっしょにかえっていい?」「みんなあそぶのやめてまでかえるんだからすごくたのしいことがあるんでしょ」と、一人のおとこのこを背中に乗せて、ぴょーんとその子の家へと向かいます。
「ただいまー」とおとこのこ。
(ただいまってなんだろう)。
パンダはおとこのこが入った家の窓から中をのぞいていると、ごはんをつくるママ。仕事から帰ったパパと三人で食卓を囲む楽しそうな姿が。パンダは急に公園に帰りたくなり・・・。
ふだん何気なくしている、大切なことに気づく心温まるお話。
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