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未来の今日の1冊 ~今週はどんな1週間?~

【今週の今日の1冊】エリック・カールさんの世界に浸る1週間。それぞれの思いを胸に。

5月31日~6月6日までの絵本「今日の1冊」をご紹介

先週、絵本作家のエリック・カールさんが、91歳で亡くなられたというニュースが届きました。
世界中の人たちに愛されているエリック・カールさんの訃報はまたたく間に広がり、メディアでも多くの報道が続いていますね。そこで目にしたり耳にするのは、悲しみの声であると同時に、あの絵本が好き、この絵本を子どもと楽しんだ、この絵本にはこんな思い出がある、といったような、それぞれの人たちの胸に去来するエリック・カールさんの絵本との関わり。今週は、エリック・カールさんの世界に皆さんで浸りましょう、との思いから、エリック・カールさんの絵本特集をお送りします。

5月31日 きょうは月ようび!おなかのすいたこ みんなおいで

月曜日は『月ようびはなにたべる?-アメリカのわらべうた』

月ようびはなにたべる?-アメリカのわらべうた

出版社からの内容紹介

月曜から日曜までの食べ物と動物を織りこんだアメリカのわらべ唄絵本。カールの描く色鮮やかなコラージュが一段と美しく印象的。

読者の声より

アメリカのわらべうた絵本です。
私は全く知らなかったのですが、最後に楽譜が載っているので、初めての人でも、なんとなく歌えると思います。
月曜日はさやいんげん。
火曜日はスパゲッティ。
水曜日はゾープ。
など。
歌詞にあわせて描かれたエリックカールさんの色鮮やかな絵がまたいいんです。
最後は、
おなかのすいたこ、さあたべよう!
元気になれる一冊です。
(tori.madamさん 30代 ママ 女の子7歳、女の子4歳)

6月1日 世界中で愛されている、エリック・カールの代表作

火曜日は『ボードブック はらぺこあおむし』

ボードブック はらぺこあおむし

みどころ

暖かな日曜日の朝、たまごから生まれたのは、ちっぽけなあおむし。
あおむしは、お腹がぺっこぺこ。
食べものを探しに出たあおむし、月曜日にはりんごを一つ、火曜日にはなしを二つ。
まだまだぺっこぺこのあおむしは、水曜日にすももを三つ、木曜日にはいちごを四つ食べ…。
たくさん、たくさん食べたあおむしは、すっかりふとっちょ!
やがて、あおむしはさなぎになり、何日も眠ったあと、それは美しいちょうちょに変身したのです。

世界中で愛されている、エリック・カールの代表作ともいえるこのお話。
小さなあおむしが、卵から幼虫、さなぎ、蝶へと変化する様子を描いているのですが、単なる知識絵本では終わりません。

一つ目のポイントは穴の開いたしかけのページ。これが、まだお話を理解できない小さな子どもたちやあかちゃんをも虜にしてしまうのです。指を入れたり、めくったり。こうして絵本に親しむきっかけにもなっているのですね。

二つ目は、力強いストーリー。ちっぽけだったあおむしが、ぐんぐん大きくなっていき、最後には美しいちょうになるという展開は、何度読んでも元気と希望をもらえます。

三つ目は、エリック・カール作品の大きな魅力の一つでもある美しい色彩! 子どもたちの大好きな食べ物はどれも美味しそうに描かれ、あおむしを見守るおひさまは優しく描かれ、ちょうちょはうっとりするほど美しく描かれています。コラージュの手法により描かれるその世界観こそが、登場する全てのキャラクターを生き生きと輝かせているのです。

ボードブック版の方では、その小ささと頑丈さが扱いやすいと小さな子や赤ちゃんにも大人気なのです。「まだ早いかな…」なんて、しまいこんでいたらもったいないですね!

(磯崎園子  絵本ナビ編集長)

読者の声より

4ヶ月くらいの頃、図書館で通常の紙の方を借りてきて読み聞かせたことがありました。こちらが驚いてしまう程じ~っと絵を見て気に入った様子。さすがロングセラー絵本。

家にも置きたいと思い、通常の絵本と迷ったのですがボードブックを購入。結果、こっちにして大正解!
自分でページをめくりたがるのですが、折れ曲がらないボードブックならくしゃくしゃにされる心配もありません。

そして、あおむしがフルーツを食べるページ。絵本に空いた穴に小さな指をすぽっ!ページをめくって今度は両手の指ですぽっ!赤ちゃんの小さな指が、小さな絵本に描かれたフルーツの穴にぴったり収まる姿はなんとも可愛らしくて…。そう言えば、図書館で借りた絵本も穴のフチが広がるように破れていたっけ。きっと息子と同じ事をした子が何人もいたんだろうな~と思うと、何だか笑いがこみ上げてきました。破れないボードブックにして良かった。

初めて息子が「遊んだ」しかけ絵本です。
お気に入りなので、お出かけにもよく持って行きます。これもバッグにいれやすいサイズならではですよね!
(ひなっこさん 20代・ママ 男の子0歳)

6月2日 エリック・カールさんの深い愛情が詰まった1冊

水曜日は『パパ、お月さまとって!』

パパ、お月さまとって!

みどころ

今夜はお月さまがとても近くに見える。お月さまと遊びたくなったモニカは、手をのばすけれど、とても届きません。そこで、言うのです。

「パパ、お月さま とって!」

さあ、愛する娘からこんなお願いをされたパパ。一体どうするのでしょう。子どもはワクワク、大人はちょっぴりドキドキしながらページをめくると……?

パパは、絵本を大きくはみ出すほどの(!?)ながーいながいはしごを持ってきて、たかーいたかい山へ運んでいき、またまた絵本を大きく突き抜けるほど(!?)上へ上へとのぼっていき、とうとう着いたのは、大きな大きなお月さまのところ。だけど、こんなに大きくては持って帰ることなんてできません。すると、お月さまは言います。

「わたしは、毎晩少しずつちいさくなっていくんですよ」

さて、パパは無事にお月さまを持って帰ることができたのでしょうか。モニカは思う存分お月さまと遊ぶことができたのでしょうか。

この、ユニークすぎる仕上がりの絵本の作者は『はらぺこあおむし』でお馴染みの絵本作家エリック・カール。なるほど納得ですよね。どうしてこんなに自由に大胆に絵本作りを楽しむことができるのでしょう。何回読んでも、ながーいはしごが登場する前の矢印にドキドキしてしまいますし、大きな大きなお月さまとの対面に驚いてしまうのです。大人になった今でも……です!

カールならではの素敵な色彩で描かれた夜空の絵や、アイデア満載のしかけを満喫しつつ、この絵本を読み終えた時に感じるのは父親としての深い愛情。どうやったら願いがかなえられるのか、どうしたらお月さまのその大きさを教えてあげられるのか。そんなところから生まれたこの解決策は、誰だって嬉しくなってしまいますよね。娘さんとの実際にあったやり取りも、この絵本の誕生の大きなきっかけとなっているのだそうですよ。

(磯崎園子  絵本ナビ編集長)

読者の声より

「パパ、お月さま とって!」こんな娘の願いを叶えてしまうパパ。なんて素敵なんでしょう。誰もが一度は、お月さまを触ってみたいと思ったに違いありません。そんな願いをかなえてくれる人がいたら。それが大好きなパパだったら。
ながーいはしごや大きなお月さまが絵本を飛び出して描かれ、見るものを圧倒させます。
こんなにながいはしごだったら、本当にお月さまに届くかもしれない。
こんなに大きなお月さまだったら、やっぱり触ってみたい。
子どもはそう思うに違いありません。
1歳の娘も、ストーリーはわからなくとも、ページをはみ出ていっぱいに描かれたお月さまを「わっ」と開いてみせると、とても驚いた表情を見せます。ながいはしごをよじ登っている、小さなパパの絵を指でなぞりながら娘は、この絵本を楽しんでいます。パパってお月さまから比べるとほんとにちっぽけな存在なのかもしれない。でも娘を想う愛情は、お月さまを持って帰れるくらいに大きな愛情なんですね。この想いを、娘がいつか理解してくれる日がくるかなぁと今から、楽しみにしています。
(はんぶん×ずっこさん)

6月3日 色鮮やかな動物たちがつぎつぎに登場!

木曜日は『くまさん くまさん なにみてるの?』

くまさん くまさん なにみてるの?

みどころ

画面いっぱいに描かれているのは、くまさん。
そのくまさんに問いかけます。

「くまさん くまさん、
 ちゃいろい くまさん、
 なに みてるの?」

なんて答えるのかな。
くまさんの視線のその先にいるのは……赤いとり。
つばさを大きく広げたそのとりに、やっぱり聞いてみます。

「なに みてるの?」

とりさんの視線のその先にいるのは……黄色いあひる。
あひるさんが見ているのは青いうま、うまさんが見ているのは緑色のかえる、かえるさんが見ているのは紫色のねこ。

こんな風に、ページをめくるたびに違う色をした動物たちが、見開きを大きく使って一匹ずつ登場します。その美しく鮮やかな色が画面いっぱいに広がり、子どもたちの目に飛び込んできます。なんてきれいなのでしょう。うっとりと眺めていると、最後に登場するのは、みんなが大好きな……?

絵本のつくりとしてもわかりやすい、繰り返しの問いかけの形になっており、小さな子どもたちにも、そのリズムの楽しさが伝わります。さらに動物の名前、カタチ、色を認識しながら、それらが次々につながっていく面白さもありますね。エリック・カールの色彩感覚を存分に体感できる、子どもにも大人にも気持ちのいい1冊です。

(磯崎園子  絵本ナビ編集長)

読者の声より

1歳一ヶ月で図書館利用。

もともと本屋さんで手にとった時に、
見開きいっぱいの鮮やかな動物たちの絵に
私自身が惹かれ、息子に見せたい!と
思ってました。

くまの形が好きな息子は表紙を指差し
他に黄色のあひるや緑のかえるなどを
よく見ていました。
動物の名前や色も覚えられるし、
母の愛情みたいなのも伝えられそうな
話の内容になっているし、
もう少し大きくなったら
また見せたいなぁと思ってます。

ミニブックなどもでてるみたいですが、
この本に関しては断然大きいサイズ派です!
英語版もあるようで、そちらも
気になっています。
とても気持ちがいい英語のフレーズで
読み聞かせられるような気がするので。
(こりちゃんのえほんさん 30代・ママ 男の子1歳)

6月4日 一緒に体を動かそう! 楽しいまねっこ遊びの絵本

金曜日は『できるかな?あたまからつまさきまで』

できるかな?あたまからつまさきまで

みどころ

さあさあ、準備体操はいいですか。
今から登場する動物たちのまねっこ、みんなはできるかな?

あたまをくるんと回せるペンギン、きみはできる?
お次は、首をぐいんと曲げられるきりん。あなたはできますか?
今度は、肩をあげさげバッファロー!
腕をゆらゆらおさるさん、できる?
あざらしさんにゴリラさん。
まだまだ続くよ、ねこさん、わにさん。
最後には……!?

エリック・カールさんからの元気になれる贈りもの、まねっこ遊びの絵本。なんて楽しい! そして、なんて息切れする絵本なのでしょう。全身を使って大きな動きをすればすれほど、汗をかいちゃいますね。でも、からだを動かすって、とっても気持ちいい。当たり前のことだけど、それをカラフルで素敵な絵とくどうなおこさんが翻訳された言葉で、何回だって楽しませてくれるのがこの絵本。

今日のあなたは、どこまでできたかな?
あざらしさんのまねっこならできそうかな?
あらら、気が付いたらぜーんぶ簡単にできるようになっているね!

せっかくなら、お子さんの成長に合わせて、何度だって繰り返し遊んでみてくださいね。その反応の違いを味わえるのも絵本の醍醐味ですからね。
(磯崎園子  絵本ナビ編集長)

読者の声より

いろんな動物特有の動きを「できるかな?」と言われてマネするのですが、
息子たちのお気に入りで、おはなしに合わせてマネをします。
3歳の息子は全部できますが、1歳の息子にはまだできないものもあります。
お兄ちゃんのを横目で見ながら、
どうにかやろうとしているのがおもしろいです。

最後には「わたしはにんげん。・・・できるかな?」となるのですが、
そうか!他の動物はこんなことしないな~と感心しました。
わたしたちにんげんも動物の一種。
動物にもにんげんのマネできるかな?
(ドラえもん3さん 30代・ママ 男の子3歳、男の子1歳)

6月5日 受け継がれる命の素晴らしさを、タネの冒険に託して

土曜日は『ちいさいタネ』

ちいさい タネ

みどころ

秋、強い風が吹くようになると、花のタネたちは風に乗って、遠くへ運ばれていきます。
飛び出したたくさんのタネのなかに、とくべつちいさいタネがひとつ。
ちいさいタネはなかまと一緒に飛んでいきます。
タネたちは旅の途中で、太陽に焼かれ、氷の山に落ち、海に落ち、砂漠に落ち・・・力尽きていきます。
風がやんで地面に落ちても、鳥に食べられ、ねずみに食べられ、人に踏まれ・・・。
ちいさいタネは困難を乗り越えて、元気いっぱいに大きくなり、見事な花を咲かせます。

最初のページに描かれた花のタネは10個。この10個の仲間たちが、苦労しながらも力をあわせて旅をする、というのが子ども向けのお話の定石でしょう。
しかし自然界はそんなに甘くはありません。様々な困難を乗り越えて、子孫を残すことができるのは、ほんの一握りの幸運な個体だけなのです。

読む人や時期によって様々な捉え方ができる、とても奥の深い絵本です。

作者は世界的ベストセラー絵本「はらぺこあおむし」(偕成社)のエリック・カール。
独特のコラージュ(貼り絵)に味わいがあります。

(金柿秀幸  絵本ナビ代表)

読者の声より

エリック=カールさんは、命を大切にされているのがこの絵本でよく分かりました!

訳者のゆあさ ふみえさんの言葉にもありますが うけつがれる いのちのすばらしさ 命は 巡っているのだという 輪廻の世界のようにも思えました(仏陀の世界観を思いました)

ちいさな タネが かぜにふかれて とばされています 仲間のタネと一緒に・・・・

なかまのタネは 燃えてしまったり 氷の山に落ちたり 海に落ちたり
さばく 鳥やねずみに食べられたり ふみつぶされたり 
いろんな形でなくなってしまうのです  一つとして同じものはないのです
それは 万物のもの すべてに当てはまるものです

人間はもちろん 一人一人の人生は違います
作者は そんな 深い思いを このような カラフルナ絵で 美しく表現して すごいな~! 

一番小さな タネが 生き残り おおきな 花をさかせました!
「こんなに大きな花は、 だれも 見たことがありません
まるで大男の庭に さく 花のようです。」
あまりの 誇張におかしさがこみ上げます   たまたま 小さなタネが花を咲かせたのですが・・・・
そして また タネが風に飛ばされて 命がつながっていく不思議さに感動します!

いのちは 受け継がれていくのです!
深く心に残る絵本でした!
子供たちも この命のつながりをかんじてくれたらと思いつつ・・・・
(にぎりすしさん 50代・その他の方 )

6月6日 さあ「ありえない」「ありえない」のはじまりだ!

日曜日は『ありえない!』

ありえない!

みどころ

いきなり理解できない状態に出くわしたら、私たちは思わずつぶやいちゃうよね。

「……ありえない!」

でも、それって本当にありえない?
もしかしたら、ありえなくもないかも?
いや、ありえないから面白いの、か!?

さあみなさん、あっと驚く「ありえない」ショーが始まりましたよ。カンガルーのお腹から顔を出しているのは、2匹のヘビのケンカの原因は、ドラネコの首輪を引っぱっているのは、スピードは出ないけどどこまでも行けるタクシーの正体は……。いやいや、そんな。ありえないでしょ。

まだまだ「ありえない」は続きます。まさか自分がたおれるなんて、まさか飼っていた犬にあんなことを言われるなんて、まさか本当にとりかえっこするなんて……!

この絵本がお届けするのは、みんなが考えたこともない、常識破りでヘンテコリンな場面の連続。それを詩人アーサー・ビナードさんが見事に楽しく訳してくれています。うーん、確かにこれは、ありえないようでありえるのかも。ありえないというのは思い込みだったのか。みんなの頭がこんがらがってきた頃。

「なああんちゃって!」

ほらほら、エリック・カールさんが舌を出して笑っていますよ。

(磯崎園子  絵本ナビ編集長)

読者の声より

『THE NONSENCE SHOW』が原題。
エリック・カールさんの高度なナンセンス作品だと思います。
訳出は、日本語で詩作をもするアーサー・ビナードさん。
確かに、豪華なコラボです。
原題そのまま、エリック・カールさんによる、ナンセンスな光景集。
前書きで、ルネ・マグリットの作品にささげます、とあるように、
シュルレアリスム的試みではないでしょうか。
ダジャレ風の訳が何とも愉快ですが、なかなか高度です。
やや風刺も入っているからでしょうか、
この味わいを理解できるのは、小学校高学年くらいからでしょう。
ただ、これはこれで、「ありえない」へのチャレンジ入門ととらえることができるかもしれません。
ネズミが言っています。
「ありえないことがあるから このよは たのしいんだぜ」
この視点、なぜか共感してしまいました。
(レイラさん 50代・ママ )

いかがでしたか。それぞれに好きな絵本を思い浮かべたり、お子さんと読んだ楽しいやりとりなどを思い起こしながら、温かな時間をお過ごしいただけますように。また、読んだことのない絵本があったら、手に取るきっかけとしてもぜひご活用下さいね。
 

選書・文:秋山朋恵(絵本ナビ編集部)

 

掲載されている情報は公開当時のものです。
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