【今週の今日の1冊】11月1日は「紅茶の日」。お茶を楽しみながら読む絵本は…?
11月1日~11月7日までの絵本「今日の1冊」をご紹介
今日から11月。月の始まりの日が月曜と重なると、月の切り替わりがよりはっきりと感じられますね。11月1日は「紅茶の日」だそうです。由来は、1971年の11月に大黒屋光太夫という人物が、ロシアの女帝のお茶会に招かれ、日本人として初めて、外国での正式の茶会で本格的な紅茶を飲んだという逸話からきているのだとか。だんだん寒さが増していく季節、暖かい部屋の中でお気に入りのお茶を飲みながら、ゆったりと絵本の世界に浸ってみませんか。今週は、紅茶やお茶が絵本の中に印象的に登場する作品をご紹介します。
11月1日 窓をのぞくと、おめかしした動物たちのお茶会が!
月曜日は『もりのおくのおちゃかいへ』
出版社からの内容紹介
雪の朝、キッコちゃんは森のむこうにあるおばあちゃんの家へケーキを届けに出かけます。ところが、途中で転んでしまい、ケーキはぺしゃんこに。泣くのを我慢しながら森のなかを歩いていくと・・・見たことのない館にたどりつきました。そっと窓をのぞいてみれば、沢山の動物たちがおめかしして、お茶会を開いているではありませんか!
読者をふしぎな体験へ誘う、とっておきの絵本です。
読者の声より
小さい頃、私にとって「おちゃ」という言葉は特別でした。
普段はご飯の時も牛乳を飲んでいるような子でしたが、
『3じのおちゃにきてください』『おちゃのじかんにきたとら』などなど、
うっとりとして読んでいました。
世の中には、牛乳とは違う「おちゃ」という素敵な世界があるんだ、と思いながら。
この絵本を読んだら、そんな当時の特別な気持ちがよみがえりました。
キッコちゃんが迷い込んでしまった動物たちの「おちゃかい」。
みんなとびきりのお洒落をして、音楽を楽しみ、
温かいお茶とケーキが待っている。
これ、これ!私が夢見ていたお茶会!
あぁ、子どもの頃の私に読ませてあげたい。
きっと自分がここに迷い込んだ時の練習をする。
そして、必ず、見開きケーキのページで息をのむ!
(だって、今の私もハッとしたもの)
息子がもう少し大きくなったら一緒に読もうと思っていますが、
息子にこのときめきわかるかしら。
(一郎太さん 30代・ママ 男の子1歳)
11月2日 世界各国の「おちゃのじかん」を満喫できる絵本
火曜日は『おちゃのじかん』
みどころ
「おちゃのじかん」が大好きなみなさん。はい、集合です。
世界各国の「おちゃのじかん」を満喫できる絵本ですよ。
きっかけはアルゼンチンのおみやげのマテ茶。
マテ茶は、のむサラダって言われるくらい、ビタミンとミネラルがいっぱい。
くせになる味のこのお茶の飲み方は、ちょっと変わってる。
ホストが入れ物に茶葉とお湯を入れて、ボンビージャっていうストローみたいので飲んで、
飲みきったら次の人にまわします。アルファホールっていうお菓子を食べながら、こんな風にご馳走になっていると、色々な話がいっぱいできてとても楽しいのです。
ほら、ここの家でも次々と自分の思い出の「おちゃのじかん」話を披露し始めましたよ!
おとうさんの思い出は、仕事でいったモロッコのお茶。
おかあさんは太極拳の先生のおうちでご馳走になった、台湾のお茶。
他にもイギリスのアフタヌーン・ティーやモスクワのロシアンティーまで。
どの「おちゃのじかん」もみんな全然違って興味津々。
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読者の声より
世界各国の「おちゃのじかん」を満喫できる絵本
お茶を飲みながら、楽しいおしゃべり。そんな何気ないひとときの幸福感を
朝目覚めた時の一杯、仕事の合間の一杯、食事の後の一杯・・・。
お茶って、どんな時でも心を癒してくれる
不思議な力がありますよね。
そしてみんなで飲むお茶は、
ひとりで飲む時の何倍も力を発揮してくれます。
お茶はもともと大好きですが、この絵本では
世界のいろんな国の「お茶の時間」を覗くことができて
とても興味深かったです。
マテ茶はペットボトルでも売っていますが、
正式な飲み方をはじめて知ったので
とても驚きました!
これなら、会ったばかりの人とでも
すぐに打ち解けられそうだなあ。
でもやっぱり、最後に登場するお茶にホッとするあたりが
「我ながら日本人だなあ」と感じました。
茶器やお茶請けの事まで細かく描かれているので、
隅々まで十分に楽しめると思います。
(なーお00さん 20代・その他の方)
11月3日 「お茶の時間にご一緒させていただけませんか?」
水曜日は『おちゃのじかんにきたとら』
おはなし
ソフィーとお母さんが台所でお茶の時間にしようとしていました。すると突然、玄関のベルが鳴り……、そこにいたのは毛むくじゃらの大きなとら。「ごめんください。ぼく、とてもおなかがすいているんです……。お茶の時間にご一緒させていただけませんか?」。とらが礼儀正しくお願いすると、「もちろんいいですよ」とお母さん。こうして、ソフィーたちはとらと一緒にお茶をいただくことになりました。でも、とらは大きいし、おなかをすかせていたので、テーブルの上のサンドイッチやパン、ビスケット、ケーキだけでなく、家にある食べ物をすべてをたいらげてしまい……。
読者の声より
「おちゃのじかん」という海外の風習をベースにしたものがたり。
お茶とクッキーとケーキとサンドイッチがならぶお茶の時間。
牛乳屋さんや雑貨屋さんが配達にきてくれる、という風景も
身の回りにはないので、こどもたちには新鮮だったようです。
おかあさんも、おんなのこも、とても素敵な色使いの服を着ていて
デザイン的にも見ていてたのしいです。
買ってしばらくは「おやつの時間」が「おちゃの時間」になりました、笑。
(OKIREMさん 30代・ママ )
11月4日 こぼれ落ちた涙のお茶はどんな味がするのでしょう
木曜日は『ふくろうくん』
おはなし
〈おきゃくさま〉寒い冬の夜、ふくろうくんの家にやって来たお客様は、冷たい風と雪の「ふゆくん」でした。
ふゆくんは家の中で大暴れして、暖炉の火を消し、部屋の物を凍らせます。
〈こんもりおやま〉ベッドに入ったふくろうくんが眠ろうとした時、毛布の下にこんもりしたふたつのおやまを見つけました。「もし、ぼくが寝ている間にどんどん大きくなったらどうしよう?」って気になって、気になって・・・。
さて、こんもりくんの正体とは?
〈なみだのおちゃ〉涙でお茶を入れることにしたふくろうくん。涙を溜めるために悲しかったことを考え始めます。いろんなことを思い出してはこぼれ落ちる涙を集め、いっぱいになった涙でやっと入れることのできたお茶を飲んで幸せなふくろうくん。
どんな味がしたんでしょう?
〈うえとした〉ふくろうくんの家の1階と2階をつなぐ階段は20段。1階にいる時は上が気になり、2階にいる時は下が気になるので、何とかいっぺんに上と下にいられる方法はないかと考え、階段を大急ぎで上り下りし始めます。
〈おつきさま〉ある晩、海辺に出かけたふくろうくんを大きなまんまるのお月様が照らします。「友だちになろう」って言っても返事はなし。なのに、帰ろうとするとずっとずっとついて来るんです。ぼくの家のドアには入らないのに・・・。
読者の声より
「がまくんとかえるくん」のシリーズを子供たちと読んで、アーノルドローベルの描く、ユーモアのあるやさしい雰囲気が大好きになりました。子供たちはがまくんとかえるくんが好きですが、わたしはふくろうくんの方が好きかも。読むたびに温かな気持ちになります。
一人暮らしをしているふくろうくんの日常を描いた、ほのぼのとした短いお話が5つ入っています。
何事にも真剣なふくろうくんなのですが、ちょっとずれているというか、まがぬけていて。でもそれがまた愛らしいのです。
3つ目のおはなし「なみだのおちゃ」では、自分の涙でお茶をいれるという、なんだかすごい行動にでます。ティーポットを抱えるふくろうくんの姿。かわいくて抱きしめたくなっちゃいました。
(クッチーナママさん 30代・ママ 女の子9歳、女の子6歳、男の子4歳)
11月5日 おいしいクッキーをたべるのは大変!?
金曜日は『おちゃかいの おやくそく』
出版社からの内容紹介
クッキーが食べたいこぐま。でも、それには女の子が決めた「おやくそく」を守らなければいけません。きれいにして、みだしなみを整え、ばっちりおしゃれにきめて、ようやく食べられると思ったけれど……。
読者の声より
トロンとしたくまの目がなんだか眠そうに思いました。表紙の絵に惹かれて図書館から借りてきました。
クッキーを食べたい為に、女の子の「おちゃかいのおやくそく」を我慢して女の子の要求通りにするくまに笑えました。お風呂に入るくま・みだしなみを整えるくま・お洒落をするくまと、なかなかクッキーを食べるのには、我慢が大切なようです(笑)髪の毛を3箇所輪ゴムで止めたのが可愛かったです。「くまだぞー!」と、大声で遊んでるのが一番似合ってました。
(押し寿司さん 60代・じいじ・ばあば)
11月6日 大事にしているのは、朝一番のお茶の時間
土曜日は『パンやのくまさん』
出版社からの内容紹介
しっかり仕事をするパンやのくまさんの1日
パンやのくまさんは、朝早く起きて、パンやパイ、お誕生日のケーキを作ります。パンがほかほかに焼きあがると、車にパンをつみこみ売りに行きます。パンが売れると、次はお店に帰りお店番。仕事が終わると、お店の奥の家に帰って、暖炉の前で晩ごはんを食べ、今日いただいたお金を数えた後、2階に上がって眠るのです。こうして淡々と、そしてきっちりと、パンやさんの仕事をこなすくまさんの絵本です。
読者の声より
くまさんが大事にしているのは、朝一番のお茶の時間。
くまのパン屋さんの一日のお仕事のお話です。
朝起きて、オーブンをあたためながらお茶を飲んで
生地を捏ねて
発酵中に朝ごはん
読んでいるとなんだかパン屋さんで見学をしているかのよう。
パン屋さんの疑似体験ができます。
礼儀正しいくまさんは町の人気者。
たくさんの人がパンを買いにきてくれます。
読み終わるとなんだかほっこり。
また繰り返し読みたくなる絵本です。
(しろここさん 30代・ママ 男の子2歳)
11月7日 角砂糖が紅茶に溶ける時、少女は‥‥‥
日曜日は『まばたき』
みどころ
「しーん」
ちょうちょが飛び立つ、その一瞬の間に漂う気配。
「カチッ」
鳩時計が12時を指し、その時間を告げる直前の静けさ。
「はっ」
猫が獲物を見つけ動き出す瞬間、伝わってくるその緊張感。
ピリピリするような、繊細な変化が描かれていくこの絵本。
ものごとが動き出す前のほんの一瞬、そこに永遠がある・・・
そんな秘密めいたテーマを考えついたのは、歌人の穂村弘さん。
私たちは、そこに何が隠されているのか、何を感じとることができるのか。
美しく構築された連続の場面を見ながら、考え、体験していくのです。
そしてやってくる、最後の展開。
「みつあみちゃん」
時の流れの感覚が、一気に撹乱させられるよう。
それでもやっぱり、すべてが「まばたき」する間のできごとなのです。
ドキっとしながら、でも、大好きな酒井駒子さんの絵をじっくりと堪能する喜びにひたれる。
そんな特別な絵本が誕生しました。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者の声より
そもそも話、
「まばたき って何か知ってる?」
と子供達に聞いてみた所、「知らない」とのことだったので、
「目をパチパチ閉じたり開けたりすることだよ」と説明してから読みました。
1ページに1文なので、
読んで、じっくり絵を見せて、めくって、読んで・・・と繰り返しました。
「さっきのページと何が変わったと思う?」
と聞いてみたり。
最後のみつあみちゃんのページは、私はドキッとしてしまいましたが
子供達は大笑い・・・。
まばたきする時間って何秒くらいなのかな。
すごく短い時間だよね。
○○くんも、あっという間に大人になっちゃうのかなー。
と最後に私の感想を述べて絵本を閉じました。
もう少し大きくなってから読んだら、また違った反応を見せてくれるかな?
穂村さん+酒井駒子さん、素敵な組み合わせの絵本です。
(もりもりまりもりさん 30代・ママ 男の子6歳、男の子4歳)
最後に素敵なコラボ企画のお知らせです。
ただいま、世界の紅茶・緑茶専門店ルピシアさんのウェブサイトにて、今こそ味わいたい絵本(絵本ナビ編集長イソザキセレクト)と、その世界へとより深く誘ってくれるオススメのお茶の紹介記事が公開されています♪ こちらも合わせてお楽しみください。絵本にぴったりな紅茶のセレクトも素敵なのです。
「今、味わいたい。絵本とお茶」
クリスマスを待つこの季節。ゆっくりお茶を飲みながら絵本の世界にひたってみませんか? 当たり前の日常が大きく変わった今だからこそ、心に響く出会いがあるかもしれません。
選書:磯崎園子(絵本ナビ編集長)、秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)
文:秋山朋恵
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