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未来の今日の一冊 ~今週はどんな1週間?~

【今週の今日の1冊】もう一度読みたい、教科書の名作特集! 4月10日は「教科書の日」

2022年4月4日から4月10日までの絵本「今日の1冊」をご紹介

新学年・新学期が始まると、真新しい教科書が配られますね。2010年より4月10日は「教科書の日」と制定され、「良(よ)い図(と)書」という意味がこめられているのだそうです。そこで今回、絵本ナビのスタッフに記憶に残っている教科書作品についてアンケートを取ってみたのですが、これが大いに盛り上がり、いかに子どもの頃に触れた作品が心に強く残っているものかを実感しました。

今週は、そんな教科書の名作を、ユーザーさんからの「読者の声」も交えながらご紹介します。

さて、あなたの記憶に残っている作品はなんですか?

4月4日 ふたりの友情が優しい「おてがみ」のお話はこの本に

月曜日は『ふたりはともだち』

ふたりはともだち

みどころ

仲良しのかえる、がまくんとかえるくん。ふたりの間で繰り広げられるのは、濃くて、可笑しくて、ちょっぴり切ない……様々な愛すべきエピソード。アーノルド・ローベルの「がまくんとかえるくん」シリーズは幼年童話の傑作として、子どもから大人まで、たくさんの人たちに40年以上も愛され続けています。

そのシリーズ第1作目が『ふたりはともだち』、5つのお話が収録されています。

春が来たからと大急ぎでがまくんの家に走っていき、「おきなよ!」と大きな声で呼びたてるかえるくん。お日さまがきらきらして、雪も溶け、新しい一年がはじまったかと思うと、いてもたってもいられないのです。ところが、がまくんは布団の中。もう少し寝ていたいのです。11月から眠っているがまくんは「5月半ば頃にまた起こしてくれたまえよ。」なんて言うのです。そこで、かえるくんは……?

がまくんを外に連れ出して遊ぶためなら頭の回転だって早くなるかえるくんと、カレンダーに合わせて簡単に5月だと思い込んでしまうがまくん。最初のお話「はるがきた」で、幼さと可笑しさがたっぷり詰まったふたりのキャラクターを存分に味わうことができます。

続く「おはなし」と「なくしたボタン」では、それぞれのやり方でお互いを思いやっている様子(大いに巻き込みながらね)を、「すいえい」ではちょっぴりブラックな面をのぞかせつつ、思いっきり笑えるエピソードを披露してくれます。

すっかりふたりの世界観に夢中になった頃、登場するのが最後の「おてがみ」です。

悲しそうな顔で玄関にすわっているがまくん。なんでも「もらったことのないお手紙を待つ時間」なんだと言うのです。それを聞いたかえるくんは、がまくんに内緒でお手紙を書くことにします。ところが、配達を頼んだのがかたつむりくんだったので……。

国語の教科書に採用されたことで、今では多くの子どもたちに知られているのがこのお話。いずれ届くことも、その内容までもわかっているお手紙をじっと待つがまくんとかえるくん。その幸せそうな様子に、「手紙」の持つ力を感じずにはいられませんよね。

シリーズ4冊。がまくんとかえるくんのキャラクターを知れば知るほど、どのお話も読み返したくなる珠玉のエピソードばかり。日本では三木卓さんの翻訳で楽しむことができます。

(磯崎園子  絵本ナビ編集長)

読者の声より

子供の教科書に載っていた「おてがみ」
自分の教科書にも載っていたと懐かしくなり、
この本を手に取りました。
「おてがみ」以外のお話も素敵で
かえるくんとがまくんの友情にじんわりきました。
さすが長く読まれている本だけありますね。
子供も大好きな本ですが、
大人になったからこそ良さがわかる部分もあって
大人でも子供でも楽しめると思います。
(のりりん☆さん 40代・ママ)

シリーズ4冊がまとめて読める嬉しい合本が2022年2月に発売に♪

4月5日 「はるがきて めがさめて…」

火曜日は『くまさん』

くまさん

みどころ

雪がのこる、春まだ浅い野山。
大木の根元の穴から、くまの親子が顔をのぞかせています。

「はるがきて めがさめて
くまさん ぼんやり かんがえた
さいているのは たんぽぽだが
ええと ぼくは だれだっけ」

104歳まで詩を作りつづけ亡くなられた詩人、まどみちおさんの詩に、ましませつこさんが心をこめて絵を描いた絵本です。

いのちが生き生きと息をふきかえしていく春。
冬眠からめざめて、巣穴からはい出したこぐまの、ちょっととぼけた「ええと ぼくは だれだっけ」「だれだっけ」のくりかえしで、しだいに胸のなかに何かがめざめていきます。
「そうだ ぼくは くまだった」

自分が自分であるという素朴なよろこび!
まどみちおさんの口ずさみたくなるような詩が、心にふくらんでいく思いを受け止めてくれます。
ことばがやさしく胸にしみこみ、思わずにっこり笑顔になってしまう愛らしい絵本です。

『ママだいすき』『ねえあそぼ』など、まどみちおさんと絵本を作ってこられたましませつこさん。
ましまさんご自身も大好きな詩「くまさん」を絵本にするにあたり、場面展開や子ぐまのしぐさなどひたすら考えて制作されたそうです。そして、もこもこの子ぐまの毛並みを表現するため、着物の型染め用の小さい刷毛で描かれたそうです。
山形の雪国育ちであるましませつこさんだからこそ、肌寒い早春の野山と、春がきたよろこびを体で知る子ぐまを、ほのぼのとした味わいで描けたのかもしれません。

本をひらくひととき、子ぐまになったつもりで楽しんでくださいね。

(大和田佳世  絵本ナビライター)

読者の声より

あ、これ知ってるって懐かしい気持ちになりました。
小学校の教科書にのっていて、なぜか今でも暗唱できる詩です。
春、冬眠からさめてなんだか眠そうなクマさんが、ええっと僕はだれだっけ?と考えます。
「自分がくまって分からへんの~?」と娘はびっくり。
春の訪れを感じるたんぽぽや小川の絵の方を楽しんでいました。
(みっとーさん 30代・ママ 男の子6歳、女の子5歳)

4月6日  「クラムボンはかぷかぷわらったよ」

水曜日は『宮沢賢治の絵本 やまなし』

宮沢賢治の絵本 やまなし

出版社からの内容紹介

「クラムボンはかぷかぷわらったよ」など不思議なフレーズが有名なこの作品。
蟹の兄弟が暮らす川底の世界が描かれています。
カワセミが魚を獲り、やまなしが落ちてくる…。
谷川の底でくりひろげられる生命の巡り。

教科書に掲載されるなど、宮沢賢治作品を代表する、珠玉の短編。
淡い色彩で蟹の暮らす川底の世界を美しく描き、読者を幻想的な世界へ連れて行ってくれます。

読者の声より

小学校一年か二年生の時、このお話が教科書に載ってました。

クラムボンは笑ったよ。クラムボンは、かぷかぷ笑ったよ。
不思議なフレーズから始まるこのお話。
全編にわたって、賢治ならではの、美しく不思議な描写により、水面に届く光と、やまなしの綺麗な色合いが、頭の中に浮かんできました。

絵本になるなら、そのイメージを壊さないものが嬉しいのですが、淡い色合いが何とも言えず、雰囲気に合っていて、素敵だと感じました。

宮沢賢治の入り口としては、ふさわしい一冊だと思います。

私は大好きな一冊です。

(子ガメままさん 30代・ママ 男の子8歳)

4月7日 子どもたちに「命の重み」を伝えるために

木曜日は『大造じいさんとがん』

大造じいさんとがん

出版社からの内容紹介

群れの頭領「残雪」の賢さから、狩人の大造じいさんは、がん狩りがうまくいかなくなります。ある日仲間をはやぶさから助けようとした残雪を、一度は狙うも逆に助けたのです。そして、「おれたちは また どうどうと たたかおうじゃあないか」と、しとめたくてしかたがなかったはずの相手が、とびさるすがたを見まもりながら、大きな声でよびかけるのでした。狩人と雁の、敵味方の関係をこえた、あつい交わりをえがいたお話です。

読者の声より

小学校5年生の国語の教科書に載っているお話です。
私もちいさい頃、国語の授業で習った記憶があります。
がんの残雪と大造じいさんの対決。
お互いを認めつつ、正々堂々と戦おうとする姿が格好いいです。
我が家の息子も、習って知っているお話ですが、絵本で読むとまた雰囲気が違うらしく、自らページを開いていました。
あべ弘士さんのイラストは、凛としていて、魅力的です。
息子は「もうちょっと優しい感じのおじいさんのイメージなんだけどな」と言っていましたが、十分に優しく、かっこいいおじいさんでした。
(クッチーナママさん 40代・ママ 女の子16歳、女の子14歳、男の子11歳)

4月8日 「これは、レモンのにおいですか?」

金曜日は『車のいろは空のいろ(1) 白いぼうし』

車のいろは空のいろ(1)  白いぼうし

出版社からの内容紹介

男の子がぼうしの中につかまえたチョウをにがしてしまった。松井さんがチョウのかわりに思いついたものとは・・・心温まる短編集の傑作。

読者の声より

白いぼうし、は、私が小学校低学年の頃の教科書に載っていたお話でした。それが、お気に入りだったので、大人になって再開して何度も読みました。他のお話も素敵なファンタジーでした。
表紙絵につられて「読んで」とせがんだ息子もとても気に入ったそうです。
特に1話目が楽しかったそうです。
(lunaさん 20代・ママ 男の子5歳)

4月9日 「ごん、お前だったのか。いつも栗をくれたのは。」

土曜日は『ごんぎつね』

ごんぎつね

出版社からの内容紹介

兵十が病気の母親のためにとったウナギを、いたずら心からついとってしまった“ごん”…。名作の世界を格調高い絵画で再現した大型絵本。

読者の声より

小学生のころ、国語の教科書に載っていました。
それ以来、数十年ぶりに声に出して「ごんぎつね」を読みました。
衝撃のラスト。
あぁ、ここでお話が終わるんだ・・。
もしかしたら友達にさえなれたかもしれなかったのに・・。
銃口から出る煙が、いつまでも漂っているような時が止まったかのような感覚。
ガツンとくる物語です。
(NARIGEさん 30代・パパ 女の子4歳、男の子1歳)

4月10日 教科書でしか読めなかった名作が読める本!

日曜日は『くじらぐもからチックタックまで』

くじらぐもからチックタックまで

出版社からの内容紹介

なつかしい名作ばかり! こくごの教科書からのベスト作品集。
昭和40年から平成16年までの40年間を対象に、全ての教科書に掲載された小学校1・2年生の作品の中から、採用頻度の高い作品、もう一度読みたいリクエスト作品ベスト15と、小学校5・6年生の作品に寄せられたリクエスト作品ベスト5を収録。

 

【目次】
小学校1・2年生作品「くじらぐも」「チック タック」「小さい 白い にわとり」「おおきなかぶ」「かさこじぞう」「ハナイッパイになあれ」「おてがみ」「スイミー」「馬頭琴」「おじさんのかさ」「花とうぐいす」「いちごつみ」「おかあさんおめでとう」「きつねのおきゃくさま」「きつねの子のひろった定期券」
小学校5・6年生作品「きつねの窓」「やまなし」「最後の授業」「譲り葉」「雨ニモマケズ」
出典一覧巻末資料あとがき

読者の声より

懐かしい「くじらぐも」

私が小学校で一番初めに国語の時間に習った話です。一年生の子供たちが体操をしていると、お空のくじらぐもも一緒に体操をするというおはなしでした。懐かしくてかわいくて、微笑ましかったです。

(ひなもちさん 30代・ママ)

 

大人になった今、小学生の頃に読んだ名作を読み返してみたら、どんなことを感じるでしょうか。4月10日にご紹介した『くじらぐもからチックタックまで』のあとがきの言葉がとても心に響きましたので、最後に一部を引用させていただきます。

 

「読んでいくうちに、おとなでも童話から深い感動が味わえることを知り、それだけでなく童話を読むことで子どものころの元気を取り戻せるような気がしました。また先入観なしに生きていた子どものころのまっすぐな感性を呼び覚ませるような気もしたのです。」

 

もしなんだか元気が出ないなと感じた時には、子どもの頃に好きだったお話を思い出して読み返してみませんか。

 

選書・文:秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)

 

 

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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