【今週の今日の1冊】今週はユニークな記念日が目白押し! 絵本と合わせてご紹介します。
2022年5月16日から5月22日までの絵本「今日の1冊」をご紹介
今週は、毎日ユニークな記念日が続きます。どの記念日も絵本と合わせて紹介したら面白そう! と思い、通常は1週間ごとのテーマにしているところを今週は毎日違う記念日に合わせた絵本をお届けしていきたいと思います。
さて、1週間で7つのテーマ。どんな記念日と絵本が登場するでしょうか。じっくりお楽しみ下さい。
5月16日 日本各地の懐かしい風景が季節の移り変わりとともに
※5月16日は「旅の日」。
日本旅のペンクラブ(旅ペン)が1988年に制定。
元禄2年3月27日(新暦1689年5月16日)、松尾芭蕉が「奥の細道」の旅へ旅立った。
せわしない現代生活の中で「旅の心」を大切にし、旅のあり方を考え直す日。
月曜日は『旅の絵本 8 日本編』
出版社からの内容紹介
旅の楽しさを描く『旅の絵本』、待望の日本編
繊細な筆使いで、世界各地を舞台に旅の楽しさを描いてきた「旅の絵本」シリーズ。第8巻となる今回の旅の舞台は、待望の日本です。作者の安野光雅さんが生まれ育ったころの津和野をはじめとして、日本各地のなつかしい風景が、お花見や田植え、お祭りに紅葉などの、季節の移り変わりとともに描かれています。巻末には、「電気のなかったころのこと」と題して、東日本大震災後の日本を思う、著者のエッセイを収録。
5月17日 インターネット探検の旅へ、親子で出かけよう!
※5月17日は「世界電気通信および情報社会の日(World Telecommunication and Information Society Day)」。
元は、国際電気通信連合(ITU)が1973年に「世界電気通信の日(World Telecommunication Day)」として制定した。これは、1865年のこの日にITUの前身である万国電信連合が発足したことを記念したものである。2005年11月の国連総会の会期中に開かれた世界情報通信サミットにおいて世界電気通信の日と同じ5月17日を「世界情報社会の日(World Information Society Day)」とすることが決議され、国連総会で採択された。翌2006年のITU全権大使会議において、2つの国際デーをあわせて「世界電気通信および情報社会の日」とすることが決議された。
火曜日は『ルビィのぼうけん インターネットたんけん隊』
出版社からの内容紹介
世界20か国以上で翻訳!
ベストセラー絵本『ルビィのぼうけん』シリーズ第3弾が登場!
親子でインターネットを楽しむ絵本
今回のテーマは『インターネットってなに?』。楽しいけどちょっと危険なインターネット探検の旅へ、親子で出かけましょう!
【あらすじ】
「ルビィは想像力と行動力でどんなことだってできちゃう女の子。好きな言葉は『どうして?』
ある雪の日、ルビィと、友だちのジュリア、ジャンゴは、積もった雪でインターネットのお城を作ることにしました。インターネットってどんなもの? 何でできてる? ときにはこわいこともあるけれど、きちんと気をつけていれば大丈夫。みんなで作ったステキなインターネットは、雪の上でどんなふうにかがやくでしょう?」
本書はフィンランドのプログラマーであるリンダ・リウカスがつくった知育絵本です。この絵本では、プログラミングのいわゆる「コード」は一文字も出てきません。5~8歳の子どもでも親と一緒に楽しめる工夫がされており、前半の「好奇心いっぱいの女の子、仲間たちインターネットを探検する絵本パート」と、後半の「練習問題パート」を通じて、インターネットやネットワークとはなにかを学んでいきます。
リンダが描く、色彩豊かな可愛らしいイラスト・キャラクターたち。主人公が女の子という、子ども向けプログラミング関連の書籍にはめずらしい手にとりやすさが特長です。子どもたちにとって、インターネットは当然の環境になりつつあります。インターネットのしくみに触れ、正しい知識を身につけて、安全で楽しいインターネットを「一緒に」作り出していく、初めの一歩になる絵本です。
5月18日 人々をつなぐ「ことば」 それは希望です。
※5月18日は「ことばの日」
五(こ)十(と)八(ば)で「ことば」の語呂合せ。
5月19日 ボクサーは、打って、打って、打った。
※5月19日は「ボクシングの日」
日本プロボクシング協会が制定。
1952年のこの日、挑戦者・白井義男が世界フライ級チャンピオンのダド・マリノに判定勝ちし、日本初のボクシングのチャンピオンになった。
湯川秀樹博士のノーベル賞受賞、古橋広之進選手の水泳自由形世界新記録と並んで、敗戦でショックを受けた日本人の心に希望の灯をともした。
木曜日は『ボクサー』
みどころ
ボクサーは、打って、打って、打った。
子どもの頃から、なんでも打った。
ハートの刺繍がされた父の形見のグローブをはめ、草原を、雲を、木を。昼も、夜も、何年も。すべてを打ちくずし、粉々にし、やがてハートの刺繍は色あせ、それでも彼は打ちつづけた。打つことが楽しくて仕方がなかったのだ。そうしてある日のこと、ボクサーの動きが止まった。打つものがなにも残っていなかったんだ! その時、彼は初めて考える。
「父さんは、どうしてボクシングを教えてくれたんだろう」
見あげるほど大きな体に、長い手足。一心不乱に打ちつづけるボクサーの背中は山のように盛りあがり、そのこぶしはどこまでも伸びていく。迫力のあるその姿は、寡黙であり、近寄りがたくもある。ところが、その背景に描かれる街の様子や自然の景色のなんと豊かで美しいこと。
第27回ブラチスラバ世界絵本原画展(BIB)でグランプリを受賞したこの作品が生まれたのは、言葉と詩の国であるイランから。孤独なボクサーのこぶしの先にあるものとは? 一度立ちどまってから見えてくるその世界の変化とは? 力強い言葉や伸びやかで自由な色彩に込められているのは、どんな感情なのでしょう。
私たちは、その魅力ある繊細な表現を味わいながら、様々なことを想像し、考えるのです。「世界と出会う絵本」シリーズの第一弾。イランという国に興味を持つ、そのきっかけとなる1冊になってくれそうです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
5月20日 いろいろな「はかる」が登場!どうやってはかる?
※5月20日は「世界計量記念日(World Metrology Day)」
「メートル条約」締結125周年を記念して2000年から実施。
1875年のこの日、フランス政府の提唱により「メートル条約」が欧米17か国間で締結された。
金曜日は『マグナス・マクシマス、なんでもはかります』
出版社からの内容紹介
マグナス・マクシマスは、ものをはかるのが大すきなおじいさん。「マグナス・マクシマスにはからせれば、まちがいない!」と、みんなはいいました。ところが、ある日、めがねがこわれて、はかることができなくなってしまい……。
5月21日 小さなパイロットは、海をこえてアメリカへ
※5月21日は「リンドバーグ翼の日」
1927年のこの日、チャールズ・リンドバーグがパリに到着し、大西洋無着陸横断飛行に成功した。前日の午前7時52分、「スピリット・オブ・セントルイス」と名附けられた飛行機でニューヨークを出発。21日の午後に、「翼よ、あれがパリの灯だ」という有名な言葉とともにパリのル・ブールジェ空港に到着した。飛行距離は約5800km、飛行時間は33時間30分だった。
土曜日は『リンドバーグ 空飛ぶネズミの大冒険』
みどころ
ハンブルクに住む、一匹の知りたがりやの小ネズミ。
彼は図書館に忍び込んで、人間の書いた本を読むのが大好きだった。
ある日、図書館から戻ってみると、仲間の姿がない。
仲間はみんな、新しく開発されたネズミとり捕りに恐れをなして、ニューヨークに渡ってしまったのだ。
仲間のあとを追うためにニューヨーク行きの船に乗ろうとする小ネズミだったが、そこでは見張りの猫が目を光らせていた。
命からがら猫の手を逃れた小ネズミ、その目に飛び込んできたのは、暗闇を飛ぶコウモリの姿だった。
「そうだ! 空を飛んで行こう!」
大西洋を横断してニューヨークへ渡るため、小ネズミの飛行機作りがはじまる!
タイトルにある「リンドバーグ」とは、1927年に世界で初めて、単独かつ無着陸での大西洋横断飛行に成功したアメリカの飛行士、チャールズ・リンドバーグのことを指しています。
表紙に大きく描かれているのは、そんなチャールズ・リンドバーグの愛機「スピリット オブ セントルイス」の機首。
そして蒸気機関搭載の翼を背負った小ネズミが大きな暗がりの中心で小さくスポットライトを浴びています。表紙からも溢れる飛行機愛が匂い立つようで、内容もまったくその期待を裏切りません。
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(堀井拓馬 小説家)
5月22日 主人公は、自転車とその部品たち!
※5月22日は「サイクリングの日」
日本サイクリング協会が2009年4月に制定。
1964年のこの日、同協会が文部大臣から設立認可を受けた。
日曜日は『オレ じてんしゃ!』
みどころ
「オレ、じてんしゃ! はしるのだーいすき!!」
そう言って張り切っているのは、自転車と自転車の部品たち。チェーンにタイヤ、あっちはギアとこっちはペダル。みんなで力を合わせて走り出します。
「ぐぐっ、ぐいっ! ぐる~ん。いいね、いいねー」
タイヤも順調に回りだし、どんどんこいでいきます。トンネルでは、眠っていたライトが目を覚まし、坂道ではギアとチェーンの気合いが入ります。その時、ぷしゅ~と音がして……大変、タイヤがパンクした!?
自転車に乗る男の子が主人公なのかと思いきや、スポットが当たるのは、なんと自転車と、その部品たち。彼らがそれぞれ自分の役割を果たしながら「いくぜ」「おりゃ~」「うんしょ、うんしょ」「きゃっほー」と嬉しそうにつぶやくのです。通りすがりのお兄さんに丁寧に修理もしてもらって。こんなに愛情をかけてもらったら、自転車も走るのがきっと楽しくなりますよね。
よく晴れた日の空の下、川の堤防でのサイクリングは本当に気持ちよさそう。作者・石井聖岳さんの自転車への愛着と、その魅力がたっぷりと伝わってくるこの絵本。読み終われば、自分の自転車もすぐに引っぱり出してきたくなるはずですよ。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
選書・文:秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)
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