【小学2年生におすすめ】母の日に読みたい本『かあさんのしっぽっぽ』
お母さんの愛情が深く伝わってくるお話を、母の日に向けて
子どもたちにとって、お母さんは大好きな存在。けれど、怒られた時にはムッとして反発してしまったり、お母さんが忙しそうな時には、ちょっとさみしく感じてしまったり。
今回ご紹介するお話に出てくる結衣も、忙しいお母さんに対して複雑な思いを抱いているようです。もっとかまってほしいし優しくしてほしいという複雑な気持ちが、たまたま読んだ民話のキツネの話と合わさって、目の前のお母さんはキツネが化けているに違いない、と思い込んでしまうのです。そうしていくうちに、結衣とお母さんの気持ちはどんどんすれ違っていき・・・。けれども最後はさすがのお母さん! 結衣のこんがらがってどうしようもなくなってしまった心を、深い愛情と包容力で溶かしていったようですよ。
2年生の皆さんは、主人公の結衣ちゃんと一緒に、ムカっとしたり、ハラハラしたり、ホッとしたりしながら、お母さんの愛情をじんわりと感じてみて下さいね。一方、大人がお母さんの立場から読むと、子どもの目線や気持ちをあらためて発見したり、自分の子どもの頃の気持ちが蘇ってくるようです。ぜひ親子で読んで、お子さんと感想を交流してみてはいかがでしょうか。
『かあさんのしっぽっぽ』忙しいお母さんと、まだ甘えたい年頃の女の子。すれ違ったり、反発したり、心を通わせたり…。
『かあさんのしっぽっぽ』
みどころ
和菓子屋「はごろも堂」を切り盛りする結衣のかあさんは朝から晩まで大忙し。お店の目玉はふっくらした塩大福と豆大福。大なべで練ったあんこを、ゴムべらでボウルに移すかあさんの姿はたくましい!けれども、娘の結衣が学校から帰ってきて「ねぇ、かあさん」と声をかけても返事がないし、きらいなお風呂そうじは頼まれるし、夕飯も一人・・・。まだ二年生の結衣はさみしくて仕方がありません。寝る前に、学校の発表会でやることになった「しろぎつねのおんがえし」の民話を読んでいると、キツネに飲みこまれて体をのっとられてしまったおかみさんが出てきました。そのお話を読んだ後、お風呂そうじのことでかあさんにこわい顔でおこられた結衣は、本物のかあさんはきっとキツネに食べられてしまって、目の前のかあさんはキツネが化けているに違いないと思い込みます。そしてなんとかキツネのしっぽをつかもうとするのですが…。
物語と現実の間で揺れる子どもの心情がよく表されていて、ぐっとひきこまれます。大人でもそうなのですから、子ども達が読んだらもっとひきこまれて、結衣と同じようにかあさんがキツネなのではないかと、ハラハラすることでしょう。
お話を書かれたのは、子どもたちや大学生、お年寄りの方などさまざまな年齢の方と絵本を読みあい、大学でも絵本を介したコミュニケーションを研究されている児童文学作家の村中李衣さん。本作品も、村中さんならではの、子どもの心の動きや気持ちの揺れが丁寧に描かれ、読めば読むほど深みが増す作品です。さらに、藤原ヒロコさんのさし絵も魅力たっぷりで、とくに子ども達の表情やしぐさが生き生きと描かれ、結衣の気持ちが1つ1つ手に取るように伝わってきます。
さて、結衣とかあさんは、離れかけた心をどんな風に通い合わせるのでしょうか?
その通わせ方には、ことばを超えた深い母子のつながりを感じます。同時に、かあさんがもつ大きな愛情に圧倒されてしまいました。
絵本から読みものへの架け橋となる低学年向けシリーズ「おはなしいちばん星」の第5弾。ぜひ親子で読んで、お子さんと感想を交流してみてほしい作品です。
(絵本ナビ児童書担当 秋山朋恵)
読者の声より「わたしのお母さんもキツネかな?」
実際に読んだ方や子どもたちには、どんな反応があったのでしょう?絵本ナビユーザーから寄せられたレビューをご紹介します!
【子どもレビュー】
結衣がお母さんに「ハイは1回」と言われるのは
わたしと同じかなと思いました。
結衣はたくさんおてつだいしててえらいなと思いました。
なぜかというと、わたしはおふろあらいしかしないからです。
結衣がつかっているおふろは、ごえもんぶろなので
ゆぶねのまわりにあたるとアチッとなってかわいそうでした。
でも、少しだけごえもんぶろに入ってみたいです。
結衣は甘美の子どもやくがやだといっていたけれど
わたしはコンコンダンスをおどってみたいです。
わたしのお母さんもキツネだったらどうしようと思いました。
(小3・女の子)
和菓子屋の娘、結衣。
こわーい怒り顔のおかあさんがキツネに見えてしまいます。もしやおかあさんはキツネに食べられてしまった?
おかあさんは忙しいし、小言も言うけれど愛情はしっかりあるんだよ。
子供もわかっていてもやっぱり寂しさ等はどうしてもあるのかなー。
あたたかいお話でした。
(みちんさん 30代・ママ 女の子5歳、女の子3歳)
とても懐かしい五右衛門風呂です。どんなに遅く帰ってきても、冷めてしまったお風呂を焚いてくれた母を思い出して改めて感謝しました。母親も本当に毎日忙しく働いて、働きづめだったです。結衣ちゃんのおかあさんも本当に忙しくて余裕がないのだと思いました。結衣ちゃんもわかっていると思いました。結衣ちゃんとおかあさんと一緒に入る裏表紙の五右衛門風呂の絵が最高に素敵でした。とても幸せそうで癒されました。
(ぴょーん爺さん 60代・じいじ・ばあば)
こちらもおすすめ!お母さんの魅力と愛情にあらためて気づくお話
『かあさんのしっぽっぽ』と合わせて読みたい【小学2年生におすすめの本】
『くしゃみくしゃみ天のめぐみ』表紙はちょっと古風ですが、読んであげればこの面白さが分かります!!
いびき、おなら、あくび、しゃっくりなど、人間の生理的弱点を素材にした、ナンセンスでユーモアにあふれた大らかなお話が5編。読みきかせにも最適です。
読者の声より
一見すると古風な感じの絵柄の本。
ちょっとこれは娘にはどうだろう??と思いながらも
目次を見てニヤっ、そして少し本文を読んでみてさらにニヤっとしました。
クシャミが天井をつき破ってしまうほどの威力?!
「こういう話絶対すきなハズ!!」と思ってさっそく借りてきました。
毎晩毎晩一話づつ読んで親子でじっくり楽しみました。
その他しゃっくりとかいびき、あくび、おなら・・・など人間の自然現象を面白可笑しくつづった昔話が5編。
本当にどれも奇妙で笑えました。
なんども「ありえなーい」といいながら娘は大笑いしていました。
最後のあくびあや太郎とすずめの大群もかなりお話が大胆な感じで気に入りました。
(さえらさん 40代・ママ 女の子7歳)
合わせて読みたい小学2年生におすすめの本
小学2年生の子にはどんな本がおすすめなの?
お気に入りの主人公やシリーズに出会おう
理解できる言葉が増え、ひとり読みがスムーズにできるようになってきた頃でしょうか。まだまだ絵本も楽しんでほしい時期ですが、童話にもどんどん挑戦していってほしいと思います。本が好きになる第1歩は、お気に入りの主人公を見つけることから。人間でも動物でも、他のものでも、好きな登場人物がいたらお友達になってみて下さいね。シリーズで出ている作品もたくさんありますので、気に入ったら続けて読んでみましょう。
絵本ナビ児童書担当 秋山朋恵
小学2年生におすすめの本が毎月2冊届く定期購読のお知らせ
ここで紹介した絵本を、ご家庭やオフィスに毎月お届けする定期購読サービスがあります。それが、絵本ナビの「絵本クラブ」、お届けするのは「幸せな時間」です。
今回ご紹介した『かあさんのしっぽっぽ』は、絵本クラブ小学2年生コース5月の配本です。
5月配本スタートの入会受付は4月30日まで。
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