【編集長の気になる1冊】ごきげんななめ日和。『ごきげんななめな おさるさん』
今日はいつもよりちょっと遅い時間。ひとりで歩く道がちょうどいい。教室についてもみんな「おはよう」って言わないで。「きのう楽しかったね」なんて話しかけないで。
トイレに行くのだって、自由時間だって、お昼の時間だって、ひとりがいい。お弁当の中身なんて絶対に見せたくない。だって、そうしたいから。
どうしてそんなに楽しそうに笑ってるの? そのまま私に話しかけてこないでよ。一緒に笑っちゃうじゃない、思わず自分から話をしちゃうじゃない。ほら、そしたらもうすっかりいつもの一日になっちゃった。せっかく「ごきげんななめ日和」だったのに……ね、おさるさん。
ごきげんななめな おさるさん
朝、目がさめると……。
ジム・パンジーは、なにもかもが気に入らないことに気づきます。こんなに素晴らしく晴れた日なのに! おひさまは照りすぎるし、空はあおすぎる。バナナは甘すぎるし、友だちは心配してくれる。モヤモヤ、イライラ。どうなってんだ?
「たぶんきみは、ごきげんななめなんだよ」
ジャングルの仲間たちは、ジムの気分をかえてやろうと、色々な楽しい遊びに誘います。歌ったり、ブランコしたり、土の上で転げまわったり。散歩したり、寝っころがったり、あしぶみしたり。水遊びしたり、笑ったり、おふろに入ったり。なんて素敵な仲間たちなのでしょう。でも、しかめっつらしたジムは言うのです。
「きげんわるくなんて、ない!」
だけど、一人になったジムは……。
そうだよね。どんなに天気がよくたって、どんなに友だちが優しくたって、「ごきげんななめ」になってしまう日はあるものです。自分ではコントロールできないからこそ困ったものです。それでも、素直に奮闘するジムの姿はとても愛らしくて、ちょっと可笑しくて、どこかで見たことあるような? 自分の姿にほんのり重ね合わせながらも、思いっきり楽しんで読んでくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
「おはよう! ねえ聞いて。昨日こんなおもしろいことがあってね」
あれ、つれない表情。なんで笑ってくれないの? つまんないの、せっかく今日はいい気分なのに。
これだから困ったものです。大人になったんだから、気をつけないといけませんね。反省。
まだまだいるよ、ごきげんななめの子たち
磯崎 園子(絵本ナビ編集長)
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