【編集長の新宿絵本日記】見て見ぬふりをしてはいけない。2020年4月15日『おこる』
ずっと家の中で過ごしていると、今まで見えていなかったことに一つ気づく。
私の中の「怒り」について。
怒りには種類があって、みんな少なからず抱えている。
瞬発的な怒りと、持続する怒りと、もっと底深い静かな怒りと。
淡々と、でも力強く怒りの感情を発することが出来ている人を私は密かに「怒りの人」と呼んで尊敬している。そのパワーが時には人を動かし、流れを変え、世の中を前に進めることが出来るからだ。私には、そんな「怒り」が滞在していないのだろうか…と自分を諦めることだってある。
ところが、だ。
気が付いたら、どうにもならない感情に振り回されている自分がいる。腹が立って腹が立って仕方がない。怒るほどのことではない、と自分に言い聞かせているのに収まらない。ありえない。許せない。理解できない!
扱いきれないのは、それこそ瞬発的な怒り。丁寧にゆっくりひも解いていけば見えてくる。物事はいつもシンプル。受け止めきれない小さな出来事が一つあるだけ。私にも「許せない」ポイントがあるのだ。日頃から薄々感じてはいたけれど。
いつもならどうしていたんだろうと考える。
それはきっと簡単なことで、誰かと話しているうちにいつの間にかその小さな感情の塊が溶けていっていたのだ。知らず知らずのうちの心得ていたのだろう。今はそれが出来なくなっている。
向き合わなくては。見て見ぬふりをしてはいけない。
ちゃんと扱い方を考えなくては……。
おこる
日常生活の中でも、人は色々な感情に振り回される。
笑って、泣いて、そして「怒る」。
人に「怒る」、子どもに「怒る」、自分に「怒る」。
そして、子どもたちは大いに「怒られる」。
でも、ちょっと立ち止まってみる。想像力を働かせてみる。
今、なんで怒ったんだろう?
あの人は、どうして怒ってるんだろう?
ぼくは、どうして……?
そう考えてみると、怒り方ってみんな違う。
「怒る」のが好きな人っているのかな?
前作『ないた』に引き続き、今回は長谷川義史さんとのコンビで誕生した気持ちを考える絵本の新作『おこる』。中川ひろたかさんが「おこる」について考えると、こんな話になるのです。
「なるべく おこらない ひとに なりたいんだけどなぁ。」
子どもだって、みんなそう思っている。私も考え続けている。
だから、大人たちも必死に考えなくてはいけない。
怒りたくなくたって、怒らなくてはいけない時もあるということも含めて。
自分の「気持ち」を考える事というのは、今のこの時代だからこそ、とても大事なこと。
一人でも多く、この絵本が読まれることがありますように。
そして、怒られすぎている子どもがいなくなりますように。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
「怒り」は必要だ。でも怒られたくはない。
勝手だけれど、そう思う。
怒るべき時に怒らない人を見ていると歯がゆいし、
怒られなくてもいい時に怒られている人を見ていると、もっとツライ。
要するに、大人になった今でもまだ整理が出来ていないのでしょう。
だからこそ、取り扱いには人一倍気を付けなくては……と思う日々なのです。
磯崎 園子(絵本ナビ編集長)
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