vol.1 「憧れ」というより、考えさせられる絵本
新連載「私が今ハマっているこの絵本3冊!」、記念すべき第1回に登場してくれたのは、絵本ナビショップ店長の瀬戸口です。
普段は絵本だけでなく、キャラクターグッズからおもちゃ、雑貨まで幅広い商品を扱うショップの店長としてテキパキと業務をこなす彼女。一方、休日になるとウクレレを片手に絵本の読み聞かせパフォーマンスを繰り広げていたり、この春「絵本専門士」の資格を取得したりと、積極的に絵本の世界に関わっていく姿勢がとても印象的だったりします。
そんな彼女にあの質問をしてみると、どんな答えが返ってくるのでしょうか?
選んでみたら「お年頃」だなって…そんな3冊です。
―― 早速聞かせてください。「最近ハマっている絵本3冊はなんですか?」
3冊っていうのが難しいですよね。でも選んでみたら…“お年頃”だなって。
―― お年頃…!? なんだかとても気になりますが、まずは選んでくれた絵本を聞いてみましょう。
1冊目は鈴木のりたけさんの『しごとば』です。
色々な職業の人たちの「しごとば」を実際に覗き見しているようなこの絵本は、すでに大人気なのでもちろん知っていました。でも、最近作者の鈴木のりたけさんのトークショーに参加する機会があり、その徹底したこだわりを聞いたら惹きこまれてしまって。絵本を描くために、実際にのりたけさんが取材に行かれるのですが、その時のやり取りやエピソードもとにかく面白いのです。
その話を聞いた後、今度は展覧会で原画をじっくり見ることができて、とにかく感動してしまったんです! 細かい描写はもちろん、いたるところにギャグが散りばめられていて…(笑)。
最近、他の人の仕事がすごく気になるというか…興味があるんです。 私と同世代の人たちはどんな仕事についているんだろう、自分の仕事場とどう違うんだろうって。夢中で読んでしまいます。
だから、今まさにこの絵本に「ハマって」いるんだと思います。
―― なるほど。他の人の仕事が気になる時期って確かにあるかもしれない。こんな詳しく仕事の現場がわかる絵本があるなんて、子どもたちが本当にうらやましい!って思っていたけど、大人だって知りたいですよね。
では、2冊目を教えてください。
次は『ふたり』という絵本です。絵も素敵で大人っぽいですよね。とても印象的な文章がいくつもあるんです。
例えば…(そう言って絵本を読み聞かせしてくれました!)
―― すごく幸せな内容。 お年頃って、もしかして…?
違うんです(笑)。私のまわりで最近結婚する人が増えてきて。何か絵本を贈りたいなあと思っていた時に出会った一冊です。
読んでいくにつれ、自分にはまだ考えられないし、「ふたり」になるってすごいなあと。
だって「ひとり」より絶対大変なはずなのに、わざわざ「ふたり」になるんですよね。それってどういうことなんだろう、いつかわかる時がくるんだろうか。でもきっと「ふたり」になるってこういう感じなんだろうなとか…色々と頭の中でまわりだしてしまうんです。
私にとってこの絵本は「憧れ」というより、考えさせられる一冊になっています。
ふたり
ひとりで生まれてきたのに、今は、ふたり。ひとりでいられたのに、今は、ふたり。いつかはひとりにもどるのに、今は、ふたり…。なんでもない毎日をつみかさねていくこと。あたりまえのようなきせきを描いた絵本。
―― 「考えさせられる絵本」。ちょっと意外ですが、また時を経てから読むのが楽しみ。まさに「お年頃」のセレクトです。では、最後の1冊をお願いします。
『やきそばばんばん』です。これは好きなポイントが明快!声に出して読むのが楽しいからです。
言葉のリズムがとてもいいので、とにかく読んでいて気持ちがいい。声に出して読む時にしっくりこないと、私の中で少しストレスになっちゃうことも。これはバッチリなんです。
それからもちろん美味しそうな絵も魅力的。見ているだけでにおいまで感じるし、読み終わった時に焼きそばを食べたくなる。これってすごいですよね。子どもたちの反応も見たいし、次のおはなし会では是非読んでみたいと思っています。
作者のはらぺこめがねさんにも注目しています。とても面白い活動をされていますし、絵も文章もダイナミック!これからの作品もとても楽しみです。
―― ありがとうございました!
瀬戸口さんの「私の今ハマっているこの絵本3冊」は、とても等身大で今のご自身に素直なセレクトでした。こうなると、次回にお話を聞いた時にセレクトがどう変化しているのか知りたくなってしまいますね。
自分に選ぶ絵本、子ども達に読みたい絵本。時間をおいて、また聞いてみることにしてみましょう!
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