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おいしい絵本。

vol.6 足りないのは…怒り?

 

「怒りの人」、
…というタイプの人がいます。

 

気がつくと、いつも何かに対して怒っていて、身近にいると割とやっかいです。何しろ、その怒りを全て口に出しますからね。その内容は大きな事からささいな事までさまざまです。納得できない出来事にであえば、すぐに声に出して叫びます。きっとケンカだって頻繁にしているのでしょう。大変です。

 

でも、そんな「怒りの人」を見ているといつも思うのです。ああ、何かを変えていけるのはこういう人たちだなあ、と。パワーがあります。

 

もちろん、自分だって怒ることはあります。体の芯から怒りが沸いてくることも。そんな時、もう一人の冷静な自分が怒っている自分を見て思うのです。
「燃えている…」

 


そんな事を思い出したのには、理由があります。
私には食べ物の「ブーム」というものが定期的にやってくるのですが、今は「餃子」です。沢山の餃子を熱々の状態でモリモリ食べるのがたまらないのです。たまらないので、家で作り始めます。何しろ大量に出来上がりますからね。

 

だけど何か違うのです。「ああー、美味しい!とまらない!」という状態、とまではいかないのです。具のバランスを調整して、皮の厚みも好みのものにして、焼き方もこんがりバッチリ、なのに。今の私には何かが足りない、とでも言うのでしょうか。

 

あ……もしかして!?

 

ということで、この絵本を紹介します。

いかりのギョーザ

いかりのギョーザ

こぶたのブブコさんは、森で拾ったフライパンでギョーザを焼くことにします。

ねぎ、にら、キャベツ、にんにくをみじん切り。
お肉と混ぜてこねこねこねー。
うーん、美味しそう。皮で上手に包んで、後はフライパンで焼くだけです。
ブブコさんがコンロにフライパンを置いて、火をつけようとすると…
「火は いらん、火は いらん」
フライパンがしゃべった? 火がいらないって、どういうこと!?

ところが。完成したギョーザときたら、あつあつで、かわはパリっとして、肉汁じゅわー。
こんな美味しいギョーザは初めて!!とブブコさんが言うのです。
いつものギョーザと一味も二味も違う、その決め手はなんだというのでしょう。

「いかりの火で やいたんや。
 いかりのパワーは すごいんやでえ。」

なるほど!どうやら、このギョーザを焼いた火の源はブブコさんがブウタとケンカした時のいかりのパワーだったようです。気が付いたらブブコさんの怒りはすっかり消えています。だったら、ほかにも怒っている人がいれば、また美味しいギョーザが食べられる?

なんてユニークな発想なのでしょう。確かに怒ると体力を使います。だけど、その分美味しいギョーザが食べられて、話し合いも進むとしたら…とても効率的です。これなら、いつも怒っているあの子のパワーだって役に立つかもしれません。みんなだって、どんどん怒ればいいのです。奇想天外な様で、意外と核心をついたこの仕組み。実現したらいいのになあ。

ところで、みんなの怒りがおさまっちゃったらどうなるの?
…続きは絵本でどうぞ。

 

(磯崎園子 絵本ナビ編集部)

http://www.ehonnavi.net/ehon/12444/%E3%81%84%E3%81%8B%E3%82%8A%E3%81%AE%E3%82%AE%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%82%B6/

確かに「怒り」というのは、パワーです。
(取り扱い方はやっかいですが)
こんな風に、上手に利用できる方法があみだされたとしたら、料理だけとは言わず、きっと色々な革命を起こしていけるはずなのです!

 

さて。
私も怒りを無理におさめようとするのはやめて。
きたるべき「餃子の日」に向けて、パワーを蓄えたいと思います。

(磯崎園子 絵本ナビ編集長)

掲載されている情報は公開当時のものです。
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