vol.12 そこまでして…!? に溢れた絵本
今日はちょっと疲れたな。
仕事から帰ってくると、ぐったり。
何とか家族にご飯を出して、自分はばったりゴロリ。
そんな日もあります。
すると、一緒の時間に帰ったはずの同僚から報告が。
「どうしても前に食べたフムス(豆料理)が忘れられなくて」
家にあったひよこ豆を戻して茹でてみたけど、フードプロセッサーがない。近所に買いに行ったけど、売ってなかったから、すり鉢とすりこぎで代用したけどうまくいかない…というところですでに夜11時。
なんかすごく頑張っている熱意だけが伝わってくる。
私はここでダウン。朝、見ると更に報告は続いています。
「もう一回火を通して柔らかくしてみる」
まだ諦めていなかった!更に、なんだかんだとスープにして飲んでみたけど…と続く。
結局次の日の仕事帰り、私も付き合ってフードプロセッサーを購入。その日の夜には無事に完成したフムスの写真が送られてきたので、私も答えます。
「…よかったね。」
自分もそこそこ食い意地が張っている方だと思うけれど。本物の「食いしん坊」を目の当たりにすると、まだまだ私なんて未熟だと自覚するのです。それはもう、この一言に尽きると思うのです。
「そこまでして?」
あ、これは食べる事を愛してやまない人たちへの最大の賛辞なんですよ。そして、全く同じことをこの絵本の中の愛すべき「ちょい悪軍団」たちにも感じてしまうのです。
ノラネコぐんだん パンこうじょう
ここはワンワンちゃんのパンこうじょう。
クリームパンにメロンパン、サンドイッチにコロッケパン。美味しそうなパンがずらーっと並んでいます。
あれあれ、窓にずらっと並んで中を覗いているのはノラネコぐんだん。何かねらっている?何か企んでいる?
夜になるとぐんだんはこうじょうにそっと忍び込み、ごそごそと何かをはじめます…!?
ちょい悪のノラネコぐんだん、悪いことしているっていうのと、意外と熱心なのと、ワクワクしちゃっているのとが全て混ざった表情っていうのがもう…本当にたまりません。可愛くて笑っちゃうのです。
見よう見まねでパン作り。食いしんぼうが止まらなかったんだね。
でも、結局とんでもない事が巻き起こり、気がついたらぐんだんは情けない正座姿に(笑)。
その後の健気な姿も含めてノラネコぐんだんワールドを楽しんでください。
月刊「MOE」で連載中の4コマ漫画「ワンワンちゃん」のキャラクターとして誕生したノラネコぐんだん。
それがこんなにも可愛くて、笑える絵本になって登場したのは嬉しい限りですよね。
そもそも「ちょっと悪い」主人公っていうのが新しい。でも、なぜか工藤ノリコさんの手にかかれば小さな子でも大喜びしちゃうんですよね。彼女の笑いのセンスに年齢は関係ないらしいのです。
もちろん今回も細かく描かれた小物や食べ物(あ、大きいのも登場しますね)、他に登場するキャラクターたちをじっくり見る楽しみも忘れずに!
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
もちろん、彼らはどんな目に遭っても「懲りる」ことなんてありません。これからも、ずっと同じバイタリティーで行動し続けるのです。すごいですよね。
という訳でやっぱり世の中、尊敬すべきは「本物の食いしん坊」なのかもしれません。
まだまだ続きますよ!「ノラネコぐんだん」シリーズ
磯崎園子 (絵本ナビ編集長)
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