【英語絵本】左から英語で読む、右から日本語で読む絵本
二人の絵本作家の友情が紡いだ傑作バイリンガル絵本
この絵本の存在を知ったのは、恥ずかしながら実は最近のことです。
日本語と英語で描かれた一冊の絵本。
最近では、多くのバイリンガル絵本が出版されていますが、ちょっと訳が違うのです!
この絵本には表と裏(もう一つの表)、二つの顔があります。どちらが表になるかは、その人の読む言語で変わってきます。私たち日本人が絵本を読むときのように、右から読めば『どこへいくの?ともだちにあいに!』という日本語の絵本に。そして、同じ絵本をひっくり返して左から読むと、”Where Are You Going? To See My Friend!"という英語の絵本に早変わりしてしまうのです。
「きっかけ」は友だち!母国語以外の言語に興味がわく原動力
そして、もう一つ。この絵本には、作者がお二人いるということ。つまり海を越えたお二人の絵本作家さんの共作なんです。しかも、その作者が、日本を代表する絵本作家のいわむらかずおさんと日本でも大人気の『はらぺこあおむし』の作者エリック・カールさんだと知ったら驚かないわけにはいかないですよね。なんて贅沢なコラボレーション!
お二人が初めて出会ったのは、2000年の1月。
いわむらかずお絵本の丘美術館で、トークショーのゲストとして来日されたエリック・カールさんはいわむらかずおさんと意気投合。なんと翌日にお二人で絵本を作ることを決めるのです。
もちろん、通訳さんを介してやりとりをしているわけなのですが、友情が芽生えるときに言葉や年齢なんて取るに足らないものなのですね。お二人は、絵本が大好きで、子どもが大好きで、ジョークが大好き。あっという間にベストフレンドになります。
絵本のアイデアは、エリック・カールさんが、もともと横書きの英語の絵本は左開きではじまるのに対し、縦書きの日本語の絵本は、英語でいう「裏表紙」(右開き)からはじまることをとても面白いと思っていたことから始まります。エリック・カールさんは、そのアイデアをすぐにいわむらさんに伝え、お二人がそれぞれの「表」からお話を描いていって、真ん中で出会うという全く新しい絵本を生み出すことになるのです。
ニワトリはなんて鳴くの?「コッコッコケーコ」”Cock a doodle doo
もちろんバイリンガル絵本です。日本語と英語のそれぞれの言語で読める2冊が1冊になったお得な絵本。犬、猫、ニワトリ、やぎ、うさぎ、たくさんの愛らしい動物がどちらにも登場しますよ。
うたなら ぼくも だいすき。
メェー メェー メェー
ぼくも あいたいな。
I like singing, too.
Baa Baa Baa
May I come with you?
それぞれの絵本作家さんが描く魅力的な動物たちの会話から動物の鳴き声や、繰り返しの表現をお勉強することもできます。また、それぞれの動物のセリフの前にアイコンがついているので、親子やお友だちと動物の配役を決めて順番に読んだり、英語劇に使う題材としてもピッタリです。
読み進めていくと、真ん中でそれぞれの主人公たちが出会う見開きは感動的です!
日本語を勉強している海外のお友だちにも喜ばれるかもしれませんね。
はじめてこの絵本を見た時の感動は未だに忘れません。
絵本がつなぐいろいろな可能性を目撃した気持ちで胸がいっぱいになりました。
是非、お二人の友情から生み出された素晴らしいバイリンガル絵本、読んでみてくださいね。
富田直美(とみたなおみ)
アメリカ在住歴7年。米国ペンシルベニア州に大学留学。卒業後、カリフォルニア州にて就職し、帰国後は、海外プロダクションと映画やゲームの映像制作に関わる。現在は絵本ナビで英語を楽しむ絵本や洋書の魅力を配信中。英語で世界の人とつながる面白さを伝えるべく、我が子におうち英語実践中。二児のママ。
【連載】「絵本をもって旅に出よう」を絵本ナビスタイルで執筆中。https://style.ehonnavi.net/post-series/25324
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