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親子で楽しむハーブのある健やかな暮らし by Yomeishu

「食べて、巡らせる、薬膳セミナー」潜入レポート

だるい、体が重い、なんとなく体調がすぐれない……。そんな風に感じることはありませんか?
とくに、季節の変わり目は自分が思っているよりも疲れたり、不調を感じたりするものです。2016年7月21日、夏の不調を改善するための「食べて、巡らせる、薬膳レッスン」が、代官山の蔦屋書店がある「T-SITE」で開かれました。講師は、料理研究家で国際中医師の資格をお持ちで、薬膳に関する著書も多数出版されている植木もも子さん。今回、たくさんご応募いただいた中、当選された絵本ナビユーザーさんと一緒に薬膳セミナーを受講。その様子をレポートします!


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※応募は終了しました※

教えてくれたのは 【植木もも子 先生】

 

料理研究家、管理栄養士、国際中医師、国際中医薬膳管理師。
東京家政学院大学家政学科管理栄養士過程卒業。
中医学や雑穀などを取り入れた、おいしいだけでなく、体によい料理が評判。
『温活レシピ』(主婦の友社)、『40代からの不調に悩む女性のための食べ合わせの本』(日東書院)、『からだを整える薬膳スープ』(マイナビ)、『きょうの健康』(NHK)など、著書、連載多数。

食べて、巡らせる夏の不調を改善する薬膳セミナー

会場となった東京・代官山の蔦谷書店がある「T-SITE」。あいにくの雨の中、絵本ナビユーザーを含め、たくさんの参加者が訪れました。

会場内には、生薬やスパイスなどの展示もずらり。実際に手に取ったり、匂いを嗅いだり。普段はなかなか目にしないものに触れ合うことができる貴重な体験です。
 

あなたの体は、かさかさ?じめじめ?体質チェックシート

まずは受付で体質チェックシートが配布されました。
体の基本は、陰陽のバランスで健康が保たれているって知っていましたか?陽が足りないと冷えて水分が多めに!陰が足りないとのぼせてカサカサになるのだそうですよ。体質チェックシートでは、体型や顔色、飲食の好み、よく起こる症状などが細かく記載され、思い当たるところにチェックを付けると、5つの体質に分けられたうちのどれかに当てはまります。

みなさんの体質はどのタイプですか?

◆陽虚(温める力が足りない)
□ 体型・顔色など:痩せ、むくみ、顔が白い
□ 生理的な症状:寒がり、下痢をしやすい
□ 飲食などの好み:温かいものを好む
□ よく起こる症状:冷えると腰や膝、関節が痛む、やる気が出ない

◆陰虚(血や体液が足りない)
□ 体型・顔色など:痩せ、ほほが紅い、舌が細くて紅い
□ 生理的な症状:体が火照る、喉が渇く、便秘
□ 飲食などの好み:冷たいものを好む
□ よく起こる症状:手足の裏が熱い、不眠、耳鳴り、動悸

◆血虚(血が足りない)
□ 体型・顔色など:虚弱、顔色が青白くツヤがない、爪の色が薄い
□ 生理的な症状:便秘、月経周期の遅れ、月経量が少ない
□ 飲食などの好み:温かいものを好む、食欲が低下しがち
□ よく起こる症状:肌荒れ、抜け毛、精神不安、不眠、集中力の低下

◆気虚(気が足りない)
□ 体型・顔色など:痩せ又は肥満、顔色が淡泊、多少のむくみ
□ 生理的な症状:胃腸が弱い、軟便、便秘
□ 飲食などの好み:温かいものを好む
□ よく起こる症状:疲れやすい、息切れ、動悸、風邪をひきやすい

◆水毒(水分代謝が悪い)
□ 体型・顔色など:肥満又はむくみ、ぽっちゃりしている、顔色が黄色みがかっている
□ 生理的な症状:下痢をしやすく尿が少ない、からだ全体が冷たい、むくみ
□ 飲食などの好み:脂っこいものが好き、水分の摂り過ぎ
□ よく起こる症状:体が重だるい、むくみやすくとくに下半身が疲れやすい

◆気滞(ストレス過多)
□ 体型・顔色など:痩せ又は肥満
□ 生理的な症状:便秘や下痢になりやすい、生理不順、イライラしやすい
□ 飲食などの好み:とくにないがストレスで過飲過食になるタイプと食欲不振になるタイプがいる
□ よく起こる症状:怒りやすい、口が苦い、情緒不安定、不眠、鬱状態

「薬膳」というと難しく感じるけれど・・・

私たちの体の細胞一つ一つは、毎日食べているもので出来ています。「薬膳」とは、季節や一人一人の体質に合った食材を組み合わせて作った料理のことです。食材から、エネルギーや栄養素はもちろん、「生命力=その食材がもつ精気」をいただくこと。これが薬膳にとってはとても大切なのだそうです。


「私が薬膳を始めたきっかけは、原因不明の肌トラブルでした。いろいろ試したけれどなかなか良くならず。あるとき、偶然に薬膳と出会い、勉強して取り入れたところ、驚くほど効果がありました。私自身が薬膳に出会えてとてもよかったと感じたので、それを少しでもいろいろな方に知っていただけたら嬉しいです」と植木先生。

「冷え」対策は、自分の体質を知り、それに合った食事や生活習慣を心掛けること。

セミナーのメインテーマは「冷え」。冷え対策といえば、寒い季節のイメージがありますが、暑い季節は体感が熱いため、冷えに対する備えがおろそかになっていることが多いのだそうです。
実は、冷えは食事で改善することができるのだそう。知らなかった!

熱心にメモをとる参加者のみなさん

「大事なことは“生命力”のあるものを口にするということ。生命力があるものというのは、その食材がもつ精気のこと。それを摂ることによって、体をつくっている「気」「血」「津液(体液)」が順調に巡ります。上手に働かせることで、効率的にエネルギーを生み出すことができます。」植木先生は、薬膳の基本的な知識についてとても分かりやすくお話しをしてくれます。話は薬膳において切っては切れない「陰陽」について触れます。
 

「陰は沈静や冷え、陽は活動や熱を意味します。どちらが良い悪いではなく、あくまでバランスをとることが大切です。陽が少ない人は「陽虚」、陽が多い人は「陽盛」とされますが、陽虚の人は温める元火が少ないので、すなわち体が冷えやすい。逆に温める力が強い「陽盛」タイプだと体が火照ってしまいます」。

 

また、女性の場合ですが、7年後ごとにホルモンの状態が変わり、体質や体調に変化が起こりやすいといわれているそう。「20代後半にホルモンの状態が最もいいとされ、それを境に下降するといわれています。その下り坂のカーブをゆるやかにすることが大切。食養生や生活習慣で、下り方をゆるやかにすることができるのです」。

では、具体的にはどのように食養生をすればよいのでしょうか。
「五性と五味という言葉を聞いたことがありますか? 五味は、酸味、苦味、甘味、鹹(しおからい)を指し、五性は、熱性、温性、涼性、寒性、平性を指します。そして、この五性と五味の組み合わせで体質に合ったものを摂ること、それが薬膳なのです」。

五味

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五性

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真剣に先生の話に耳を傾ける絵本ナビユーザーさん

「薬膳というと、ちょっと難しそうと思われるかもしれませんが、身の回りにある食材で構いません。たとえば、夏に葛きりを食べますね。葛は涼性なので穏やかに熱を取る性質があります。また、トマトやメロン、スイカなどは寒性なので非常に体の熱を取ってくれます。このように、食材にはひとつひとつ性質があります。その性質をうまく組み合わせ、効果的に体に取り入れるように調理すること。それが薬膳であり、食養生なのです」。

食材ひとつひとつの特性を知り、より効果が得られる調理法を。

参加者の皆さんにふたつの「きのこの巡りスープ」が配られました。ひとつは白いスープ、もうひとつは黒いスープ。白いほうはあっさりとした味わいですが、滋味深く、きのこの食感がよいアクセントになっています。もうひとつはスパイシーで、濃厚な味わい。飲んだそばから身体が温まってくるのを感じられます。

カップに入れられた温かいスープが配られる。
この日は気温が低かったこともあり、温かいスープはよりおいしく感じられました。

◆きのこの巡りスープ(白) 気滞タイプ向け
気滞タイプの人におすすめ。ストレスで傷つく「脾」を養う、クコの実、ハトムギなどを使い、きのこのとろみ成分で胃腸の粘膜を保護して腸の動きを活発に、代謝の促進を図ります。

 

◆きのこの巡りスープ(黒) 陽虚タイプ向け
陽虚タイプの人におすすめ。ナツメ、八角、シナモン、クローブなど温性の食材を使うことで、腎を補い、温める力がアップします。

スープを試食する参加者の皆さん。
あちこちから「おいしい!」「体が温まりそう」という声が聞こえてきました。

植木先生が試食をしている参加者の皆さんに語りかけます。
「どちらのスープにも生姜が入っています。生姜に身体を温める力があるということは、皆さんもよく知っていると思います。でも、同じ生姜でも食べ方によって全然役割が違ってくるということを知っていますか?」

◆生生姜
生のしょうがは体を穏やかに温めますが、大量に摂ると逆に体を冷やしてしまいます。また、生のしょうがには、魚介類の毒を出すという作用もあるといいます。

 

◆干し生姜
 “大熱”といって身体を強く温める効果があるので、とてもおすすめ。作り方も簡単で、しょうがを薄切りにしてざるなどに並べて干すだけです。湿度の低いときなら数時間ででき上がります。

 

◆蒸し生姜
こちらも体を温める効果はありますが、発散作用はありません。


きのこの巡りスープ以外に、生姜甘酒ドリンク、ミントティーの試食も。これらの食材もやはり、ひとつひとつ性質があり、それを組み合わせることによって体の不調に効果があるとのこと。薬膳は奥が深いことですが、少しでもこういったことを知っておくと、献立を立てたり、調理をしたりする際に役立つと植木先生は繰り返し伝えます。

日頃から体の声に耳を傾けると、ちょっとしたサインに気付けるように!

「ちょっとした気づきを持つことが大切です。例えば、お腹が痛い、頭が痛い、どこかしら調子が悪い……。そんなときは何かしらのサイン。黙って見過ごさず、すぐに対処すると、そのあとが全然違ってきます」。

暑い季節でもできるだけ体を冷やさないようにする工夫をと植木先生。とくに、足首と首の後ろを冷やさないように、レッグウォーマーやストールなどで冷え対策をするのがおすすめとのこと。また、日ごろの変化を知るためには、舌のチェックが効果的だといいます。
「歯ブラシをする際にベッと舌を出して鏡で見てみてください。熱を持っていると舌は赤くて細くなったり、体調が悪いと青黒くなっていたりするものです」。

 

「最後になりますが、薬膳はとても身近なものです。難しく考えず、いつも使っている食材で、気楽に始めていただければと思います。ただし、調味料だけはいいものを使ってくださいね。お値段もそうですが、できるだけ天然のもの、昔ながらの製法のものを選ぶと安心ではないかと思います」。
こうして先生の講演は終了。続いて、植木先生への質問コーナーへと移りました。ここでは、実際に挙がっていた質問と植木先生の回答をご紹介します。

◆質問
子どもにも薬膳の料理を食べさせてもよいのでしょうか?

植木先生
もちろん構いません。薬膳は奈良時代からあるとされているものです。また、子どものころから、各家庭でおばあちゃん、ひいおばあちゃんなどが孫などに自然とやってきたこと。もちろん、お子さんにも十分に効果がありますよ。

 

◆質問
五性についてですが、涼のものは、冷やして食べるのがよいのでしょうか?温めても性質は変わりませんか?

植木先生
体の熱を取るという意味では温かく調理しても、冷やして食べても性質は変わりません。ただし、胃に負担がかからず、効果的に栄養を取り入れるためには、スープ、おかゆ、煮物などに調理するのがおすすめです。

◆質問
夫がとても暑がりで、私は冷えが気になります。そういう場合は、どういう食事にしたらよいでしょうか。

植木先生
男の方は一般的に暑がりなことが多いですよね。それならば、スパイスを上手に使うのはどうでしょう。唐辛子やシナモンなど、体を強く温めてくれるスパイス類をご自分の分のお料理にあとから加えるなどしてみてください。とくに、シナモンはとてもおすすめです。同じく体を温める紅茶に加えるのもいいと思います。

 

◆質問
干し生姜についてなのですが、どんなふうに調理に使うのがいいですか? また、しょうが自体は食べなくてもいいですか? 

植木先生
干した生姜は食べなくても調理に使うだけでエキスが染み出るので十分に効果があります。スープやお茶などに使うのがおすすめですね。また、生姜を干す時間がないという場合は、生姜を10分ほど煮ると、干したのと同じくらいの効果が得られます。なので、スープを作る際などに長めに煮るといいですね。

先生に質問をする絵本ナビユーザーさん。
食べ物と体の繋がりを知ることができてとても興味深かったと話してくれました。

参加者には、「養命酒」さんと、協賛の「JA全農長野」さんから
「琥珀生姜酒」と3種類のきのこのお土産がプレゼントされました。

最後に、今回のセミナーに参加したユーザーさんの感想をご紹介します。

 

◆ヨガの講師をしているので、「気」や「薬膳」について興味があり参加しました。生活や食べ物から体の不調を整えることができると知れたので、できることから試してみようと思いました。

◆産後、15キロも太ってしまい……。また、体質も変わったようで、なんともいえない不調が続いてモヤモヤしていました。女性の体が7年ごとに変化するということには驚きました。食事や運動でバランスを取り、体の内側から元気になりたいと思いました。自分が元気でいないと家族も健康でいられないと改めて実感しました。

◆もともと料理が好きなのですが、最近、結婚をしたので、もう少し知識を深めたいと思って参加しました。自分は冷えるのですが夫は暑がりなので、その対処法も知ることができてよかったです。スパイスはとくに好きなので、料理やお茶など、いろいろ試してみようと思っています。

 

 

取材協力/結城歩(ライター)


いかがでしたか?
連載企画『ママのためのやさしい「未病」予防レッスン~養命酒「すこやか塾」~』では、ご家庭ですぐに実践できる、ご家族の健康に役立つ情報をイベント・セミナー、そしてレポートを通して、今後もお伝えしていきます!絵本ナビご覧のみなさんが、気軽に参加できる楽しくて健康になる企画を計画中です。
今後もお楽しみに!

【編集後記】

以前から年齢と共に感じる体質の変化や「冷え」についての対策など個人的にも興味がありました。
今回、日ごろから「薬膳」について興味をお持ちの絵本ナビユーザーさんと共にお話しを聞き、大変勉強になりました。敷居が高いと感じていた「薬膳」がとても身近に感じられた充実のセミナーでした。お家ですぐに実践できるコツも先生からたくさん教わることができ、ますます関心が高まりました。
参加された絵本ナビユーザーさんをはじめ、セミナーの参加者のみなさんはとても熱心にメモをとられたり、先生に具体的な質問をされていたのが大変印象的でした。セミナーは、昼の部と夜の部が開催されましたが、どちらの部も大盛況。ご参加された方からは、またお友だちを連れて是非参加したいと感想をいただきました!私もまずは簡単なスパイスを足すことから始めてみたいと思います。

養命酒製造の取り組み

養命酒「すこやか塾」とは?

養命酒の健康セミナー「すこやか塾」では様々なイベントやセミナーを開催しています。
季節に変わり目に感じる疲れや不調を改善したり、実践できる「冷えとり」の方法など、「未病」を防ぎ、健やかな生活を送るためのアドバイスがたくさんです。ご興味ある方はウェブサイトをみてくださいね。
http://www.yomeishu.co.jp/company/csr/wellness/
 

養命酒製造では、経営理念の『生活者の信頼に応え、豊かな健康生活に貢献する』のもと、日々のよくある体の不調の解決に向けて、健康支援活動を行っています。
ライスタイルや環境の変化により、“病気とまではいえないが健康を保てず、病気に向かいつつある状態”東洋医学でいう「未病」にあたる人が増えています。東洋医学の知見から、この「未病」の予防と対策、衣食住や運動、心身も含め健やかなライフスタイルの提案と普及活動をセミナー、イベント、ウェブサイトを通し、生活者の皆さまへ日々、健康情報を発信しています。

掲載されている情報は公開当時のものです。
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