『うんちっち』誕生のウラ話~ステファニー・ブレイクさんと対談イベント開催
絵本ナビ代表カナガキによる、ゆる〜いコラムをスタートします!記念すべき第1回の今回は、先月国際子ども図書館にて開催された講演会のときのお話。
なんと、『うんちっち』の作者:ステファニー・ブレイクさん来日イベントで、カナガキが対談相手に選ばれたんです。
読み聞かせで大人気の絵本『うんちっち』をご存知ですか?
「むかしむかし あるところに、うさぎのこがいました。うさぎのこは ことばをたったひとつしかいえませんでした。それは・・・」
お母さんやお父さんやおねえちゃんが何を言っても、いつも答えは「うんちっち」。
ある日オオカミがやってきて、「ぼうやをたべてもいいかい?」と聞くとうさぎの子は・・・。
そんなお話しですが、お察しの通り、子どもたちは大好きです。おうちではもちろん、お話し会で大人気。みんなで「うんちっち!」と叫んで大笑いです。
僕は、パパによるユニット「パパ’s絵本プロジェクト」のメンバーとして全国各地で「出張絵本ライブ」を行っていますが、『うんちっち』はメンバーの田中尚人氏の十八番。もう子どもたちこんな感じです。
ね、楽しそうでしょう。
世の中には「役に立つ絵本」と「役に立たない絵本」の2種類がありますが、この絵本は「役に立たない絵本」ですね(僕は「役に立たない絵本」が大好きです!)。
この「役に立たない」、でも最高に面白い絵本は、パパに大人気。そして今ではすっかりママにも大人気です。絵本ナビのレビューを見てみてくださいね。
フランスの絵本の『うんちっち』。作者のステファニー・ブレイクさんが来日!
『うんちっち』は、実はフランスの絵本です。そう。もともとフランス語なわけですが、そう聞くと皆さんこうおっしゃいます。「『うんちっち』って訳したのがすごいわね。フランス語では何ていうんでしょうね?」
僕もそう思ったのですが、思ったところで誰も調べたりしませんよね。『うんちっち』は、フランス語で何というのでしょうね?知ったところでどうなるわけではないのですが、ちょっと気になりますよね。
さて、そんな『うんちっち』の作者、ステファニー・ブレイクさんが来日することになりました。
ところでステファニー・ブレイクさんってどんな方なんでしょうか??
こちらがステファニー・ブレイクさん。アメリカ生まれのフランス育ちのとてもチャーミングな方…偶然にもカナガキとは同い歳だそうです!
来日記念イベントで対談相手に指名されました!
ステファニー・ブレイクさんの来日イベントは、在日フランス大使館とアンスティチュ・フランセ日本の主催で、東京・上野の国際こども図書館で講演とワークショップを開催。
講演は対談形式のトークイベントにしたい、との希望があったそうで、対談相手は絵本ナビのカナガキさんに決まりました、とフランス大使館からオファーのご連絡が。
えっ!?僕ですか??
なんと光栄なお話しでしょうか。メルシー!
ということで、慎んでお受けすることにしました。
対談イベントの打合せ場所は、東京・港区にあるフランス大使館。警備は厳重、入口ではパスポート提示を求められます。中はおしゃれで素敵な建物でした!
打合せは半分日本語、半分フランス語で1時間ほど行われましたが、要約すると「カナガキさんにおまかせします」とのことでした。たぶん…
ところで、今回のイベントの主催者団体のひとつ、アンスティチュ・フランセ日本って何でしょう?
これはフランス政府公式機関としてフランス語講座やフランス発の文化、思想、学問を発信している組織とのこと。以前の日仏学院ですね。今回のイベントでは、フランスの作家さんを日本に呼んで、日本の皆さんに作品や文化を知ってもらおうという主旨で開催が決まったそうです。
講演会「ステファニー・ブレイクのアトリエで」当日の様子
さてさて、イベント当日の2017年6月24日がやってきまして、国際子ども図書館に100名を超えるお客さんがいらっしゃいました。
アンスティチュ・フランセのパルマンティエさんと、国際こども図書館館長の本吉さんのスピーチからスタート。お集まりの皆さんの雰囲気も含めてなんとなく格調高くはじまりました。 でも・・・うんちっちですよ!みなさん!
『うんちっち』のフランス語の原題は『Caca boudin』(カカブゥダン)だとか。
Cacaはウンチのこと、boudinはフランスの血の腸詰めの黒いソーセージ「ブゥダン ノワール」のことだそうで、子どもたちがよくつかう(でもあまり人前で言うべきでない)言葉なんだそうです。
ステファニーさんの作品紹介、ということでカナガキが『うんちっち』と『あっ、オオカミだ!』の2冊の絵本を朗読させていただき、とても喜んでくれました!
日本で出版されたステファニー・ブレイク作品。現在は『うんちっち』『あっ、オオカミだ!』の2作品が販売中。
彼女は独学で絵を学び、作品のテーマは自分の子どもたちとの関わりの中での気づきがきっかけになっているそうです。息子さんたちがモデルなんですね。
実は『うんちっち』を描く前、彼女は少し行き詰まりを感じていました。それまで長めのストーリーの絵本を描いていた彼女は、ある日、人間の子どもの絵に大きな耳をつけ足して描いてみたら・・・うさぎの子になりました!これが『うんちっち』の主人公シモンの誕生で、最初からうさぎの子を描いたわけではなかったのです。
そしてそれまでの彼女の絵本の作風とは異なった『うんちっち』のお話しのラフを出版社の編集者に見せたところ、それまでは毎回いろいろと注文を付けていた編集者が「いいじゃない、これでいこう!」と即決で出版が決まったそうです!
こうして生まれた『うんちっち』はフランスの子どもたちに大人気となり、今では世界15ヶ国で翻訳され、300万部を超える大ヒット作品となっています。さらにうさぎのシモンのお話しはシリーズ化されて多くの作品が出ています。
さらに・・・なんとフランスでは、うさぎのシモンシリーズがアニメ化されたのです!!
このアニメ制作では、一人で行う絵本制作とはまったく異なり、大勢のチームで制作を進める大変さと面白さがあったとのこと。シモンが画面を走り回ってしゃべる姿、ぜひご覧ください。
Simon [OfficielHP]
https://www.youtube.com/channel/UCo9j7fWproKYTos4_RY-LUw
このほか、ステファニーさんの絵本作りや子どもたちとの関わりへの想いなどのお話しを伺い、充実した楽しい時間でした。
日本の絵本ファン代表として対談相手を務めることができてとても嬉しく思います。
会場からの質問にも答えて、終了時刻が来ました…という時にステファニーさんから、「カナガキさんの『うんちっち』の朗読がとてもよかったので、もう1回読んで!」とリクエストが!!
まさか作者本人から「もういっかい!」が来るとは!うれしいですね。ということで2回目は「情熱的バージョン」で『うんちっち』を読ませていただき、イベントの締めとなりました。 (実はこの朗読は録音されていて、フランスの出版社がフランスのイベントで子どもたちに聞かせたそうで・・・なぜか大ウケだったとのこと。とても嬉しいです)
お気に入りの絵本の背景を知る楽しみ
今回は海外の作家さんとのトークイベントでしたが、お互いの想いと情熱のやりとりで会場とも一体感が生まれた、素敵な時間でした。
お気に入りの絵本作品の生まれた背景や作者の想いを知ることで、より一層愛着が深まるのではないかと思います。僕も「永遠のファン代表」として、今後もいろんな作家さんと対談していきたいと思います。お楽しみに!
おまけ:こぼれ話
このイベントには、『うんちっち』の原書『Caca boudin』を担当したフランスの出版社エコール・ デ・ロワジールの編集者イザベルさんが参加されていました。
彼女が「絵本ナビ知ってるわよ!」というのでよく聞いてみると、この出版社は僕が大好きな『ウェン王子とトラ』(日本では徳間書店刊)の出版社で、以前この作品をどうしても絵本ナビで全ページためしよみできるようにしたくて、日本の出版社経由で英語のレターと企画書をフランスに送り、全ページためしよみ初の海外作品として許諾をいただいたのでした。
フランスでも絵本ナビは知られているとのこと、嬉しいですね!
併せて読みたい!過去のカナガキの対談レポートはこちら
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