ポッドキャスト番組【五味太郎 絵本の時間】#2『みち』『みんなうんち』/結局は生まれつきだから
日本を代表する絵本作家の一人、五味太郎さん。1973 年に『みち』(福音館書店)でデビューしてから 50 年以上、これまで350 冊以上の絵本を手がけ、そのうち 100 点以上の作品が世界 30 カ国以上で翻訳出版されています。
いまも新しい作品を生み出し続ける五味太郎さんが、その創作の背景や絵本への思いに加え、普段の考えから本音の話まで本人の語りで届けるポッドキャスト番組「五味太郎 絵本の時間」がスタートしました。(放送は全9回を予定)
本記事では、12月19日(金)の第二回目配信で取り上げた絵本を紹介します。
番組内で紹介された絵本『みち』『みんなうんち』
今回配信で取り上げたのは、絵本『みち』と『みんなうんち』(ともに福音館書店)の2冊。どちらも福音館書店の月刊絵本「かがくのとも」の作品として誕生した2冊ですが、『みち』は1973年に刊行された五味太郎さんのデビュー作です。
「かがくのとも」からこれまで多くの作品を刊行されている五味太郎さんですが、そもそもの"五味太郎さんと「かがくのとも」の出会い"は、編集者さんからの一本の電話がきっかけだったそう。かがくのともを勧められた機会に、五味さんは『こっぷ』(谷川 俊太郎 文 ; 今村 昌昭 写真)を読み、「なんだ、(かがくのともが)おれの範疇じゃん。こういうの好き好き。」と思ったのだとか。
ファンにとっては大スターである五味さんですが、私たちと同じように「人生を動かすきっかけがあった」と思うと、なんだか新鮮で嬉しい気持ちにもなりました。
『みんなうんち』は、刊行当時は編集部も「こういう本、どうなんだろう?」と疑心暗鬼だったとか!? 「しょうがないから8月号で出しちゃいましょう」と勢いで刊行するも、実際は子どもたちから大好評で、どんどん手紙が届いたのだそうです。
今となってはロングセラー絵本で”大定番”のイメージがある『みんなうんち』ですが、実はエポックメイキングだったというのは意外ですよね。五味さんの「うんちがおもしろいんだもん。特に教訓はない。」という言葉も印象的で、そこから広がる話はつい人に教えたくなるエピソードばかりでした。
ほかにも学生時代に学んだ工業デザインやお仕事の話等、ファンには興味津々の話題が五味さんと聞き手・堀井美香さんとの軽快な会話でどんどん繰り広げられます。
五味さんの頭の中を覗かせてもらっているような約30分を、どうぞじっくりお楽しみください。
『みんなうんち』
大きいぞうは、大きいうんち。小さいねずみは、小さいうんち。いきものは食べるから、みんなうんちをするんだね。さかなも、とりも、むしだって。形や色やにおいだっていろいろ。
へびのおしりはどこ? くじらのうんちはどんなの?
うんちの仕方も色々。止まって、歩きながら、あちらこちらで。ぼくたち人は決めたところでするよね。
「うんち」と聞けば思わず笑っちゃうけど、子どもたちは興味深々。だって、みんなも「うんち」するんだから。あたりまえのことだけど、大事なことなのです。
ママやパパが子どの頃から読み継がれている、五味太郎さんによるこの傑作絵本。うんちを明るくユーモラスに、そして科学の視点からもわかりやすく、読み返せばすぐに思い出すほど印象的に、みんなのうんちが描かれています。どうか、子ども達が、トイレの時間と仲良くなれますように!
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
配信は以下【「五味太郎 絵本の時間」を視聴する】より視聴可能です。ぜひ五味太郎さんの生の声で、改めて絵本を味わってみてくださいね。
ポッドキャスト番組「五味太郎 絵本の時間」について
本企画は、五味太郎さんの作品を刊行する複数の出版社(福音館書店、偕成社、岩崎書店、絵本館、ブロンズ新社、文化出版局)の協力により制作されています。
デビューから半世紀以上、今なお第一線で活躍している五味太郎さんの魅力を絵本ファンのみならず多くの方に知ってほしいとの思いで、出版社の垣根を越えて実現しました。
番組では、それぞれの出版社が刊行する代表作を通して、五味太郎という作家の多面的な魅力を紹介し、聴き手が “耳で絵本を読む” ように楽しめる番組を目指しています。
- 番組名:五味太郎 絵本の時間
- パーソナリティ:五味太郎(絵本作家)/堀井美香(フリーアナウンサー)
- 配信開始日:2025年12月12日(金)10:00スタート ※毎週金曜日10:00頃~ 配信
- 配信プラットフォーム:Spotify/Apple Podcasts/Amazon Music/YouTube Music ほか
- 配信回数:全9回(予定)
- 企画:福音館書店、偕成社、岩崎書店、絵本館、ブロンズ新社、文化出版局
- 制作:TBSラジオ
- 協力:絵本ナビ
五味太郎(ごみたろう)さんプロフィール
1945 年生まれ。工業デザイナーを経て絵本の世界へ。著作は 350 冊を超える。サンケイ児童出版文化賞、ボローニャ国際絵本原画展などで数多くの賞を受賞。絵本に『きんぎょが にげた』『ひよこは にげます』『みち』『みんなうんち』(以上、福音館書店)『かくしたのだあれ』『たべたの だあれ』(ともに文化出版局)『さる・るるる』(絵本館)「ことわざ絵本」シリーズ(岩崎書店)『まどから おくりもの』「言葉図鑑」シリーズ(ともに偕成社)「らくがき絵本」シリーズ(ブロンズ新社)など多数。絵本論『絵本をよんでみる』(平凡社)、絵本の仕事をまとめた『五味太郎 絵本図録』(青幻舎)がある。海外翻訳も多数。2025 年『ぼくは ふね』(福音館書店)で第 30回日本絵本賞大賞を受賞。
展覧会「五味太郎 絵本出版年代記展 ~ON THE TABLE」が開催中!
絵本作家・五味太郎がデビュー以来描き続けた、総タイトル372作に海外30カ国以上で出版された翻訳本を加え、五味太郎の絵本の全貌を展示する展覧会「五味太郎 絵本出版年代記展 ~ON THE TABLE」が、2025年12月12日より東京都渋谷区のLURF GALLERYで開催されます。1階カフェでは、タブロー(絵画)やシルクスクリーンなどの作品もご覧いただけます。
- 会期:2025年12月12日(金)〜2026年2月2日(金)11:00〜19:00(12月30日〜2026年1月6日は休館)
- 入館バッジ(期間中有効)1500円 ※未就学児は無料
- 場所:LURF GALLERY 東京都渋谷区猿楽町28-13
会期中のギャラリートークについて
『五味太郎絵本出版年代記展 ON THE TABLE』では、全著作372タイトル+海外翻訳本を並べ、「本」を作る楽しさ、「出版」という世界の広がりを展示する、絵本作家・五味太郎。
あらためて自身の作業を振り返りつつ、本の魅力について、スペシャルゲストをお招きして語り合うギャラリートークが開催されます。
ギャラリートークは全5回を予定。会場ではもちろん、オンライン配信での参加も可能です。ポッドキャスト番組と合わせて、五味太郎さんの魅力をぜひ味わってみてくださいね。
次回・第三回目のポッドキャスト配信は12月26日(金)を予定しています。お楽しみに!
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