子どもの頃から正しい食習慣を!良くない食習慣は将来の生活習慣病を招くおそれも?
良くない食習慣が招く生活習慣病
家族みんながいつまでも健康で。それは、誰もが願うことですよね。
いくら気をつけていてもなってしまう病気もありますが、自分が気をつけていれば予防出来る病気があります。それは、生活習慣病です。
生活習慣病は、食事・運動・お酒・たばこなどの生活習慣が原因となる病気のこと。
高血圧や糖尿病、脂質異常症(コレステロールや中性脂肪の異常値)、肥満、心疾患、脳卒中などがあります。
多くは大人になってから発症しますが、近年では子どもの生活習慣病も増えていると言われています。食生活を含む生活習慣を改善すれば予防できる生活習慣病ですが、すでに病気の状態になってしまってから、食事指導などが行われているのが現状です。
しかし、糖尿病や高血圧などは一度なってしまうと、完全に元通りに治すことは出来ません。また、心筋梗塞や脳梗塞などは命にかかわるか、後遺症が残る場合もあります。
そして、今まで身に付いた食生活を大人になってから直すのはとても難しく、本人の強い意思と努力が必要になる場合が多いです。ダイエットしようかなと一度でも思ったことのある人は、その難しさが分かると思います。
だから、本当は、病気になる前に正しい食生活を知り、実践する必要があります。
生活習慣は子どものうちから作られます。子どものうちに正しい食習慣を身につければ、大人になってから、自然に食生活を送ることができ、本人もとても楽です。
子どもたちが正しい食習慣を身につけることは、自分の健康を自分で守る力をもてるということです。
そこで、今回から4回にわたり、「子どものうちに身につけておきたい食習慣」についてのお話しします。幼い子どもは自分で食を選択することができません。私たち大人が正しい食習慣に導いてあげましょう。
教えてくれるのは……
河埜玲子(こうのれいこ)さん
医師・料理家・キッズ食育トレーナー。小学校2年生の娘を育てる働くママ。
「家庭のキッチンで出来る病気予防」をテーマに、簡単・美味しい健康レシピで、食の観点から予防医学を家庭に広げていくことをテーマに活動中。
肥満の人に特有の食行動
食事は毎日の繰り返しなので、それぞれの人で習慣になっている食べ方や食嗜好(食の好み)があります。
特に、肥満の人には特有の食行動があることが知られていています。
それは以下のとおりになります。
- 早食いで、よく噛まない
- 朝食をとらない
- 夜型の生活で朝が弱い
- 食事の時間が不規則
- 夕食の時間が遅い
- 夜食を食べる
- ファーストフード・スナック菓子、菓子パンをよく食べる
- 濃い味・あぶらっこいものが好み
- 間食が多い
- 和食より洋食が多い
※内科 Vol.117 No.1(2016) p80 図1 食行動質問紙表より一部抜粋
これらは肥満になりやすい、つまりは生活習慣病になりやすい食行動です。若い時は、このような事をしていても、太らない人も多いのですが、太っていないなら気にしなくても良いというものではありません。
夜型の生活・不規則な食事は体内時計を狂わせ、ホルモンや代謝などに影響し、からだの不調を起こすことが知られています。
また、脂っこいもの、濃い味、ファーストフードや間食などが好きな場合は、(太っていなくても)必要な栄養素の不足・塩分や脂質の取りすぎになる傾向があります。
そして、こうした食生活を続けていると、早ければ30代後半から、これらの影響が出て、一気に肥満・生活習慣病を発症する可能性が高くなります。
もし、痛みなどの苦痛があれば改善しようと努力するかもしれませんが、生活習慣病の多くは無症状です。無症状のまま経過し、突然、心筋梗塞などの命に関わる病気を発症してくるのが怖いところです。しかし健診で数値の異常が出ても、まさか自分が心筋梗塞になるわけない、と考える人がほとんどなのです。
子どものうちに身につけたい食習慣
以上のようなことから、子どものうちから、正しい食習慣を身に付けるべきです。
私は、肥満の人に特有な食行動が習慣にならないように、小学生のうちに以下の食習慣を身に付けると良いと思っています。
① 規則正しい食事
- 朝食は必ず食べる
- 遅い夕食・夕食後の間食をしない
② おやつに関する食習慣
- おやつは決められた時間に決められた量を
- 遅食事とおやつをしっかり区別する
- ジュースは嗜好品。「おやつ」と考える
③ 食べ方に関する食習慣
- 早食いをしない・よく噛む
- 自分の食べたものを意識する
- 食と身体がつながっていることを知る
そして、これらは「ママが怒るからダメ」ではなく、子ども自身が「自らの身体のため」と理解している必要があります。
たとえ、子どもの時は守れていても、仕事や友達との付き合いを優先して、食が乱れる時期は必ずあると思います。
しかし、その時に「毎日これではいけないな。」と思えるかどうか。
体調が崩れた時、「最近、食生活が悪かったから、ちょっと気を付けよう」と思えるかどうか。
「子ども自身が理解している」場合は、そう思えるはずです。「ママが怒るから」という理由だけでは、親の目がなくなった時に、一気に食が乱れてしまう可能性があります。
「だめなものはだめ!」と、理由を説明せずに禁止するのではなく、年齢に応じて、子どもが理解できる説明をしてあげることが大切。
子どものうちに身につけた正しい食習慣は、一生ものの宝になります。
次回からは、子どもの頃に身につけたい食習慣について、具体的に説明していきます。
食習慣について教えてくれたのは…
河埜玲子(こうのれいこ)さん
1978年三重県生まれ。
滋賀医科大学医学部医学科卒業後、麻酔科医として勤務。臨床に携わっていくなかで、予防できるはずの病気で苦しむ人の多さから、予防医学と食育の普及の必要性を痛感し、現在は検診業務にも携わる。
また、自ら、働きながら子育てをし、家族の食生活を管理してきた経験を生かし、忙しい家庭でも実践可能な健康レシピを提案する料理家としての活動も行う。
さらに、大人になってからの食生活を改善することの難しさから、子どもの頃から自然に正しい食生活を身に付けることが最大の予防医学になると考え、子どもの食育に関する活動も開始。現在は医師として勤務するかたわら、企業への健康・料理に関するレシピやコラムの提供、料理教室講師・予防医学や子どもの食育に関する講座の講師など行っている。
メディア掲載など実績例
- 雑誌;「サンデー毎日」「ゆほびか」「SAITA」等。健康・医療・食に関する情報
- TV「サタデープラス」「NHKマサカメテレビ」、「朝チャン」等
- 新聞「NIKKEIプラス1」
- その他:子育て情報誌「まみたん」、おあじはいかが、ネットサイトでのコラム・レシピ担当等
鮭とかぶのクイックポトフ、えのきと豆苗のナポリタン、目玉焼きピザ…。忙しい人のために“一品で”栄養バランスが取れるレシピを紹介。とにかく簡単で、“作りおきができる”もしくは“12分以内で作れる”レシピが満載。
身近な材料や買いおきしやすい食材で作る、電子レンジで簡単に仕上げる、フライパンひとつでこしらえるなど、料理が苦にならない工夫が盛り込まれているのに満足感があり、栄養のバランスが考えられている…。そんな「きちんと美味しい!」と料理関係者から絶賛される料理で注目を集めている著者が、とっておきのレシピを披露します。
本書では特に、“作りおき”できる、または“12分以内で”できる主菜を多数紹介。この一皿があれば、白いごはんを添えればよいだけ。一汁三菜を肩ひじはって作る必要はありません。番外編として、“プラス一品”で食卓が華やぐ副菜やごはんものも収録し、計100品以上を掲載。多忙な方の毎日に役立つ1冊です。
【目次】
・4日前でも! 作りおきおかず…肉を使って/魚介類を使って/その他
・12分以内で! 簡単メニュー…肉を使って/魚を使って/その他
他、あると嬉しい副菜やスープを収録
- 家族が健康になれる食卓を実現するためのレシピやヒント満載!無料メルマガ:ご登録はこちら→ https://48auto.biz/balance-kitchen/registp.php?pid=2
- 医師が教える!作り置き・時短レシピと子どもの食育ブログ:http://balance-kitchen-reiko.blog.jp/
- 名古屋4期キッズ食育トレーナー養成講座:講座詳細→http://kids-shokuiku.jp/guide/detail/
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