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医師から学ぶ!子どものうちに身につけておきたい食習慣

[連載第2回] 子どものうちに身につけておきたい!規則正しい食事時間に関する習慣

 

今回の連載では、子どもたちが、今から将来にわたって健康でいるために、子どものうちに身につけたい食習慣についてお話しています。

連載2回目の今回は、規則正しい食事時間の習慣についてお話します。

「何を食べるか」はとても大切ですが、「いつ食べるか」も健康のために非常に重要な事がわかっています。 1日に食べているものが同じでも、いつ・どれくらい食べているのかによって、生活習慣病のリスクが高まる場合もあります。

 

子どものうちに身につけておきたい食事時間に関する習慣は以下の2つです。

  1. 朝食は必ず食べる
  2. 遅い夕食・夕食後の間食をしない

それでは、1つずつ説明していきます。

教えてくれるのは……

河埜玲子(こうのれいこ)さん

 

医師・料理家・キッズ食育トレーナー。小学校2年生の娘を育てる働くママ。

「家庭のキッチンで出来る病気予防」をテーマに、簡単・美味しい健康レシピで、食の観点から予防医学を家庭に広げていくことをテーマに活動中。

1. 朝食は必ず食べる

朝食が大切なことは、みなさんよくご存じだと思います。
では、なぜ大切なのでしょうか?

 

まず、朝ごはんを食べないと肥満や生活習慣病のリスクが高まると言われています。
その理由は、次のとおりです。

① 朝食を抜くと昼と夜の食欲が増す

朝ごはんを食べないと、血糖値が下がるので食欲が亢進し、昼と夜にたくさん食べてしまいます。
すると、血糖値が急激に上昇し、その血糖値を下げるために、インスリンというホルモンが過剰に分泌されます。インスリンは、脂肪をため込む方向に働くので、過剰に分泌されると肥満になりやすくなります。

② エネルギー代謝が悪くなる

朝ごはんを食べないと、体温が低下したままになるので、エネルギー代謝が悪くなります。

③ 「食事誘導性熱産生」は朝の方が夜より大きい。

食事をすることによって増えるエネルギー消費を、食事誘発性熱産生といいます。
食事誘発性熱産生は、朝食のほうが、夕食より4倍も大きいといわれています。
つまり、同じカロリーのものを食べても、朝食のほうが、食事をしただけで多くのカロリーが消費されているということ。
逆に言えば、夕食ではエネルギーが余って脂肪になりやすいということです。

※参考:時間栄養学 時計遺伝子と食事のリズム 女子栄養大学出版部

その他の朝食を食べるメリット

また、朝食を食べるメリットは他にもあります。
朝食を食べる人では、そうでない人と比較して・・・

  1. 睡眠の質が良く、不眠傾向の人が少ない(幼児・中学生・成人を対象をした研究)
  2. イライラする、集中できない、という訴えが少なく、心の状態が良好(小学生~大学生を対象とした研究)
  3. 学校の成績や学力テストの点数が良い(中学生を対象とした研究)
  4. 体力テストの成績が良い(小学生~成人を対象とした研究)

 という研究結果が出ています。

※「朝食を食べるとどんないいことがあるの?」農林水産省HPより抜粋

しかし、「朝は食欲がなくて、あまり食べられない」というお子さんもいると思います。 
この場合、「朝が弱くて」と朝に注目しがちですが、実は前日の夜に原因がある可能性が。
つまり、夜に食べ過ぎていたり、遅い時間に食べていたりして、そのせいで朝にお腹がすかない、ということです。
また、睡眠不足も朝の食欲低下を招きます。
朝ごはんを食べられない子は、1日の生活リズムを見直してみるようにしてみてください。

2. 遅い夕食・夕飯後の間食をしない

みなさん、想像がつくことだと思いますが、この「夜食べ過ぎる。または、夜遅くに食べる」という習慣は、肥満や生活習慣病のリスクになります
 
その理由は、「夜は寝るだけで動かないから、消費カロリーが少ない」というだけでなく、体のホルモンも関係していています。
夜は、ホルモンの働きで、エネルギー消費が低下したり、血糖値が上がりやすくなったりしているのです。
  
健診でメタボリックシンドロームを診断された人に、食生活を聞くと、夜遅くにたくさん食べて、朝食や昼食は少ししか食べていないというパターンが非常に多いです。
 
子どもの場合は、多少、夜遅くに食べ過ぎていても、生活習慣病になることは大人よりまれですが、この習慣が当たり前になってしまえば、大人になってから生活習慣病になる可能性が高まります。
  
もし、お子さんが、夕食後にお菓子をたくさん食べる習慣があるなら、将来のために、出来るだけ早く直しておく事をおすすめします。
 
小学生高学年くらいからは、仕事を持つ大人と同じように、塾や習い事で夜ごはんが遅くなる場合も多いと思います。

その場合、夕方にサンドイッチやおにぎり、または夕飯を半量だけ食べるなどし、帰ってきてから夜遅くに食べる量は控えめにするように工夫してみてください。

子どものうちは、健康に影響が出ていない場合もあるので、別に良いかなとなってしまいがちです。
しかし、悪い食生活の影響は、中年以降に何らかの形で現れてくる可能性が非常に高いです。
 
もちろん、各家庭により事情が異なり、完璧を目指すのは難しいかもしれないですし、完璧を目指す必要はありません。
少しでも改善できそうなことから、少しずつ始めてみてください。

子どものうちに身につけておきたい食習慣について教えてくれたのは…

河埜玲子(こうのれいこ)さん

 

1978年三重県生まれ。   

滋賀医科大学医学部医学科卒業後、麻酔科医として勤務。臨床に携わっていくなかで、予防できるはずの病気で苦しむ人の多さから、予防医学と食育の普及の必要性を痛感し、現在は検診業務にも携わる。

また、自ら、働きながら子育てをし、家族の食生活を管理してきた経験を生かし、忙しい家庭でも実践可能な健康レシピを提案する料理家としての活動も行う。

さらに、大人になってからの食生活を改善することの難しさから、子どもの頃から自然に正しい食生活を身に付けることが最大の予防医学になると考え、子どもの食育に関する活動も開始。現在は医師として勤務するかたわら、企業への健康・料理に関するレシピやコラムの提供、料理教室講師・予防医学や子どもの食育に関する講座の講師など行っている。

 

メディア掲載など実績例

  • 雑誌;「サンデー毎日」「ゆほびか」「SAITA」等。健康・医療・食に関する情報
  • TV「サタデープラス」「NHKマサカメテレビ」、「朝チャン」等
  • 新聞「NIKKEIプラス1」
  • その他:子育て情報誌「まみたん」、おあじはいかが、ネットサイトでのコラム・レシピ担当等
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