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医師から学ぶ!子どものうちに身につけておきたい食習慣

[連載第4回] 子どものうちに身につけておきたい!食べ方に関する食習慣

 

今回の連載では、子どもたちが、今から将来にわたって健康でいるために、子どものうちに身につけたい食習慣についてお話しています。

今回は食べ方に関する習慣です。子どもうちに身につけておきたい習慣は以下の3つです。

  1. 早食いをしない・よく噛む
  2. 自分の食べたものを意識する
  3. 食と身体がつながっていることを知る

では、それぞれについて説明していきます。

教えてくれるのは……

河埜玲子(こうのれいこ)さん

 

医師・料理家・キッズ食育トレーナー。小学校2年生の娘を育てる働くママ。

「家庭のキッチンで出来る病気予防」をテーマに、簡単・美味しい健康レシピで、食の観点から予防医学を家庭に広げていくことをテーマに活動中。

1. 早食いをしない・よく噛む

子どもがなんでもパクパクと勢いよく食べてくれる姿を見るのは嬉しいことです。

 でも、丸呑みで、よく味わわずに食べるくせがついているとしたら・・健康上、問題が出てくる可能性があります。

 

子どもでは、よく噛まないと顎の発達にもよくありませんし、消化が悪く、胃に負担がかかったり、お腹が痛くなったりする場合もあります。

また、早く食べる子どもは、肥満のリスクが高まるという研究結果も報告されています(※1)

 

しかし、日本の学校・社会では、「早く食べる」ことが求められがちだなと、個人的に感じています。

学校の給食時間は短いですし、短時間で食事を済まさなければいけない職場も少なくないと思います。

だから、子どもさんが食べるのが遅くて心配しているママもいるのではないでしょうか。

 

私も、自分自身が学校給食などで苦労した経験があるため、「あまりに食べるのが遅いと、困ることがある」という思いもあり、娘にもついつい「早く食べて」と言ってしまいます。

 

でも、「今は遅刻しそうだから早く食べなきゃいけないけど、本当はよく噛んでゆっくり食べたほうがいいんだよ。」

「早く食べられるのもすごいけど、ゆっくり楽しく食べることも良いことなんだよ。」

と、なるべく説明するようにしています。

 

そして、時間があるときは、あまり急かさないように気を付けています。

 

現状では、早食いが求められる場面は多々あるので難しいですが、本当はよく噛んでゆっくり食べたほうが良いということを教えてあげて、早食いがくせにならないようにしてあげたいと思っています。

 

例えば、食べるのが遅い原因が、

  • 歯の噛み合わせが悪くて、うまく噛めずに口の中に食べ物がいつまでも残っている
  • 運動不足・おやつの食べ過ぎ・寝不足などで食事の時に空腹感がない

などの場合は、矯正歯科に相談したり、生活習慣を見直すなどの対策が必要な場合もあります。

 

しかし、そうでなければ、健康の面ではゆっくり食べる方がメリットが大きいですし、日本が、食事時間をもう少し大切にするような、良い意味でのゆとりある社会になればいいなと思います。

2. 自分が今日食べたものを意識する

子どもに関わらず、人は自分が食べたものを意外に覚えていません。

ある調査によると、だいたい実際食べたものの1割~2割は忘れています。

そして、肥満の人ほどよく忘れる傾向にあるそうです。(※2)

 

大人の健診で、「間食なんてほとんどしてないのに太る。」と言う人に、よくよく聞いてみると、

「よく思い出してみれば、小さい菓子パンをつまんで、気づけば8個入りを1日1袋は食べてるかも・・・」という事もありました。

覚えていないと、自分は食べ過ぎてるのかどうか、何を改善したら良いかわかりません。

だから、健康的な食生活の第一歩は、「自分が食べたものをきちんと認識すること」だと思います。

 

子どもが食べたものを意識するようになる良い方法があります。

「今日の給食は何だった?何が1番美味しかった?」と子どもに聞くことです。

はじめはあまり覚えてないのですが、毎日聞いていると、子どもは意識して覚えてくるようになります。

そして、自然に自分が食べたものを意識できるようになっていきます。

ぜひ、ためしてみてください。

3.食と体がつながっていることを知る

このコラムを読んでくださっている皆さんは、食と体が関係しているのは当たり前のように知っていると思いますが、意外に大人でもわかっていない人が多いです。

 

これが分かっていない人は、食生活の乱れが原因で調子が悪くなった時に、「最近、ちゃんと食べていなかったからだな」と気付けないのです。

若いうちは、仕事で無理をしたり、友達との付き合いを優先して食事が乱れがちです。

しかし、いざ自分の体調が悪くなった時に、食と体が関係している事を知らないと、「ちょっと食生活を気をつけなくちゃ」と気付けません。

 

だから、子どもの頃から、少しずつ食と体がつながっていることを意識出来るよう、声かけしていく事が大切です。

 

この時に注意したいのが、マイナスイメージではなく、なるべくプラスイメージの言葉で伝えることです。

 

「ちゃんと食べないと病気になるよ!」

「好き嫌いしてると大きくなれないよ!」

というのは、マイナスイメージの言葉です。

 

マイナスイメージの言葉を頻繁にかけられると、食事自体が、楽しくなく嫌なものになってしまう可能性があります。

 

「しっかり食べたら、風邪もひかない強い子になれるよ!」

「野菜を食べたらお肌がつるつるで綺麗になるよ!」

など、良いイメージの言葉で教えてあげてください。

最後に…

全4回にわたり、子どものうちに身につけたい食習慣についてお話してきました。

全て完璧にするのは難しいと思いますし、その必要はありません。

ご家庭の事情に合わせて、できるだけでも、少しずつ身につけていってください。

 

正しい食習慣は、必ず子どもたちの健康を守ってくれ、将来の輝かしい未来を作る糧となります。

参考文献

※1:Self-reported rate of eating and risk of overweight in Japanese children: Ryukyus Child Health Study.
Journal of nutritional science and vitaminology. 2012;58(4);247-52.
※2:佐々木敏の栄養データはこう読む!女子栄養大学出版部 p135-144

子どものうちに身につけておきたい食習慣について教えてくれたのは…

河埜玲子(こうのれいこ)さん

 

1978年三重県生まれ。   

滋賀医科大学医学部医学科卒業後、麻酔科医として勤務。臨床に携わっていくなかで、予防できるはずの病気で苦しむ人の多さから、予防医学と食育の普及の必要性を痛感し、現在は検診業務にも携わる。

また、自ら、働きながら子育てをし、家族の食生活を管理してきた経験を生かし、忙しい家庭でも実践可能な健康レシピを提案する料理家としての活動も行う。

さらに、大人になってからの食生活を改善することの難しさから、子どもの頃から自然に正しい食生活を身に付けることが最大の予防医学になると考え、子どもの食育に関する活動も開始。現在は医師として勤務するかたわら、企業への健康・料理に関するレシピやコラムの提供、料理教室講師・予防医学や子どもの食育に関する講座の講師など行っている。

 

メディア掲載など実績例

  • 雑誌;「サンデー毎日」「ゆほびか」「SAITA」等。健康・医療・食に関する情報
  • TV「サタデープラス」「NHKマサカメテレビ」、「朝チャン」等
  • 新聞「NIKKEIプラス1」
  • その他:子育て情報誌「まみたん」、おあじはいかが、ネットサイトでのコラム・レシピ担当等
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