【第2回】子どもが野菜を嫌いになる理由
なぜお子さんが野菜を苦手なのか、その理由を考えたことありますか?
もちろん「味が嫌い」ということもありますが、実は理由はそれだけではありません。
なぜ食べないのか、その理由を知れば、適切な対応がとりやすくなりますし、「なんで食べてくれないの?!」というママのストレスも少なくなると思います。
そこで、連載2回目の今回は、子どもが野菜を苦手な理由についてお話します。
河埜玲子(こうのれいこ)さん
医師・料理家・キッズ食育トレーナー。小学校2年生の娘を育てる働くママ。
「家庭のキッチンで出来る病気予防」をテーマに、簡単・美味しい健康レシピで、食の観点から予防医学を家庭に広げていくことをテーマに活動中。
子どもが野菜を苦手になる理由
1.味
味の好みには個人差がありますが、一般的に人間が本能的に苦手とする味は「苦味(にがい)」と「酸味(すっぱい)」です。
それは、苦味=毒、酸味=腐っているものだと脳が判断するからだそうです。
通常子どもが好きな、お肉や主食(ごはん・パン・麺)、お菓子は、甘味や旨味が主で、苦味や酸味がありませんよね。
でも、野菜には苦味や酸味のあるものも多く、子どもは苦手になりがちです。
特に、苦味のあるピーマン・ゴーヤ・玉ねぎ、酸味の強いトマトなどは苦手な子が多いですよね。
大人は、今までに食べた経験から苦かったりすっぱかったりしても、この食べ物は毒や腐っているものではないと分かっていて、味に慣れているので美味しく食べられます。
でも、子どもは、まだ経験が少なく、慣れていないので食べられないのです。
でも、子どもも、練習を積むことによって、徐々に食べられるようになっていきます。
ただし、一度拒否したから、と食卓に出さないでいると、慣れることができないので、大人になっても食べられないままになるかもしれません。
もし子どもが食べなくても「嫌い」と決めるのではなく、「まだ、慣れてないだけ」と考えて、食卓に出し続けることが大切です。
2.食感
子どもの場合、食べやすさや食感も、時として味以上に、好き嫌いの原因になります。
特に3歳までは、咀嚼能力が未熟(上手に噛むことが出来ない)なので、生野菜や硬いお肉など、食べにくいものは、味とは関係なく嫌われる傾向にあります。
同じ野菜でも、生ではなく柔らかく煮たり、切り方を工夫するだけで食べられる事があるのは、このためです。
その後、3歳頃には、上下の歯が20本以上揃うので、機能的には何でも食べられるようになります。
ただ、上手に噛めるようになる年齢には個人差があります。
味と同じように、経験を積むことが必要なので、やはり「嫌い」と決めつけず、根気強く練習が積むことで何でも食べられるようになっていきます。
3.見た目
料理は見た目より味、と言ったりもしますが、子どもの場合は見た目も好き嫌いに影響します。
一般的には、「初めて見るもの」「いつもと違うもの」は安心感が持てないので拒否する傾向にあります。
どんな見た目が嫌なのかは、その子によってもちろん違います。
綺麗な色を好む子もいれば、逆にカラフルピーマンのような派手な色を嫌がる場合もあります。
また、嫌いな野菜も他のものと混ぜて分からないようにしてしまうと良い場合もありますが、逆に色々な食材が混ざっていて、何が入っていると分からないと警戒して拒否する子もいます。
うちの子は何に警戒しているかな?と考えて、その原因を取り除いてあげると食べてくれるかもしれません。
うちの娘も赤いパプリカは、初め「赤色が怖い」と言って食べませんでした。
でも、何度か食卓に出し、私がおいしそうに食べているのを見せました。
一口食べて見る日もあれば、全く食べない日もあり・・・を繰り返していましたが、そのうち「食べたら美味しい」と分かり食べられるようになりました。
やはり、この場合も「慣れる」ことが大切なようです。
4.味・見た目意外の要因
これは、野菜に限ったことではないのですが、その野菜に対して「悪い情報の記憶」があると心理的に拒絶して嫌いになることがあります。
たとえば
- その野菜を食べている時に怒られた。
- その野菜を食べているときにたまたま体調が悪くて吐いた。などです。
だから、お子さんが野菜を食べられなかった時に、怒ってしまうと、怒られた事による不快な気持ちがその野菜とリンクして、余計嫌いになってしまう可能性があります。
ついつい怒りたくなる気持ちはよく分かりますし、私も自分が疲れている時には、怒ってしまった事もありました。
でも、怒られて無理やり食べても、好き嫌い克服にはつながりませんし、余計悪い結果を招くこともあります。
焦らず、少しずつ食べるように促していくことが大切です。
逆に、良い思い出は、好きになるきっかけにもつながるので、一口でも食べられたときには、思いっきりほめてあげると良いです。
次回からは、これらの理由をふまえて、調理や食卓での対応で、具体的にどうすれば良いかについてお話します。
参考資料
小児の発達栄養行動 摂食から排泄まで/生理・心理・臨床 医歯薬出版株式会社
子どもが野菜を嫌いになる理由を教えてくれたのは…
河埜玲子(こうのれいこ)さん
1978年三重県生まれ。
滋賀医科大学医学部医学科卒業後、麻酔科医として勤務。臨床に携わっていくなかで、予防できるはずの病気で苦しむ人の多さから、予防医学と食育の普及の必要性を痛感し、現在は検診業務にも携わる。
また、自ら、働きながら子育てをし、家族の食生活を管理してきた経験を生かし、忙しい家庭でも実践可能な健康レシピを提案する料理家としての活動も行う。
さらに、大人になってからの食生活を改善することの難しさから、子どもの頃から自然に正しい食生活を身に付けることが最大の予防医学になると考え、子どもの食育に関する活動も開始。現在は医師として勤務するかたわら、企業への健康・料理に関するレシピやコラムの提供、料理教室講師・予防医学や子どもの食育に関する講座の講師など行っている。
メディア掲載など実績例
- 雑誌;「サンデー毎日」「ゆほびか」「SAITA」等。健康・医療・食に関する情報
- TV「サタデープラス」「NHKマサカメテレビ」、「朝チャン」等
- 新聞「NIKKEIプラス1」
- その他:子育て情報誌「まみたん」、おあじはいかが、ネットサイトでのコラム・レシピ担当等
河埜さんのレシピ本販売中!
鮭とかぶのクイックポトフ、えのきと豆苗のナポリタン、目玉焼きピザ…。忙しい人のために“一品で”栄養バランスが取れるレシピを紹介。とにかく簡単で、“作りおきができる”もしくは“12分以内で作れる”レシピが満載。
身近な材料や買いおきしやすい食材で作る、電子レンジで簡単に仕上げる、フライパンひとつでこしらえるなど、料理が苦にならない工夫が盛り込まれているのに満足感があり、栄養のバランスが考えられている…。そんな「きちんと美味しい!」と料理関係者から絶賛される料理で注目を集めている著者が、とっておきのレシピを披露します。
本書では特に、“作りおき”できる、または“12分以内で”できる主菜を多数紹介。この一皿があれば、白いごはんを添えればよいだけ。一汁三菜を肩ひじはって作る必要はありません。番外編として、“プラス一品”で食卓が華やぐ副菜やごはんものも収録し、計100品以上を掲載。多忙な方の毎日に役立つ1冊です。
【目次】
・4日前でも! 作りおきおかず…肉を使って/魚介類を使って/その他
・12分以内で! 簡単メニュー…肉を使って/魚を使って/その他
他、あると嬉しい副菜やスープを収録
- 家族が健康になれる食卓を実現するためのレシピやヒント満載!無料メルマガ:ご登録はこちら→ https://48auto.biz/balance-kitchen/registp.php?pid=2
- 医師が教える!作り置き・時短レシピと子どもの食育ブログ:http://balance-kitchen-reiko.blog.jp/
- 名古屋4期キッズ食育トレーナー養成講座:講座詳細→http://kids-shokuiku.jp/guide/detail/
この記事が気に入ったらいいね!しよう ※最近の情報をお届けします |