[連載第3回] 子どものうちに身につけておきたい!おやつに関する食習慣
今回の連載では、子どもたちが、今から将来にわたって健康でいるために、子どものうちに身につけたい食習慣についてお話しています。
今回はおやつについてお話します。
おやつに関する食習慣は以下の3つです。
肥満やメタボリックシンドロームの人では、お菓子の量が多かったり、お菓子を食事がわりにしている人が多いです。
子どものころから、おやつについてはどのように気を付ければいいかみていきましょう。
教えてくれるのは……
河埜玲子(こうのれいこ)さん
医師・料理家・キッズ食育トレーナー。小学校2年生の娘を育てる働くママ。
「家庭のキッチンで出来る病気予防」をテーマに、簡単・美味しい健康レシピで、食の観点から予防医学を家庭に広げていくことをテーマに活動中。
1. おやつは決められた時間に決められた量を
子どもは活動量が多く、特に幼児期では一度の食事で食べられる量も少ないため、おやつは必要なエネルギーや栄養素を補うという役割があります。
そのため、お菓子ではなく、おにぎりやサンドイッチ、お好み焼き、ふかしいも、牛乳など、エネルギーや栄養素を補えるものが理想的です。
でも、子どもにおっておやつは「楽しみ」であり、心の栄養としての意味もあるので、お菓子も適量食べるのならもちろん大丈夫です。
おやつ(特にお菓子を食べる場合)は、次の食事に支障をきたさないことが大切です。
お菓子を食べ過ぎると、食事の量が減ったり、偏食になったりし、必要な栄養素が摂れない場合があります。
また、お菓子からの摂取エネルギーが過剰になれば肥満の原因にも。
つまり、おやつの食べ過ぎは、その子によって、肥満の原因にも栄養不足の原因にもなります。
おやつの量は…
1~2歳で約100~150kcal、
3~5歳で150~200kcalが目安です。(※1)
小学生以降は、活動量などに個人差が大きくなるので、その子に合わせて調節します。
ふかしいも約1/3本(約80g)は100キロカロリー、おにぎり100gで150キロカロリーくらいです。
市販のおやつはパッケージに記載されているものが多いので表示で確認できます。
食べる時間に関しては…
- 時間を決めずに何回もだらだら食べるのと、夕飯の直前・夕食後にお菓子を食べるのは避けた方が良い。
時間を決めずに、何回もだらだらと食べるのは、虫歯の原因になります。
口の中の健康は、全身の健康と関係があり、歯周病予防の重要度が増しています。
また、夕飯直前や寝る直前にお菓子をたくさん食べると、その後の夕食・朝食を食べなくなり必要な栄養素が不足する場合があります。
夕飯の直前にどうしても食べたがって我慢できない場合は、お菓子ではなく夕飯の一部をあげるという方法も1つです。
すでに出来ているおかずや、おにぎりなどをあげて、夕飯時にはそれ以外のものを食べます。
また、夕飯後のお菓子は、肥満の人に非常に多い食習慣です。
夕飯後に甘いお菓子をたくさん食べる習慣は、早めに絶っておいたほうが良いです。
食後のデザートをもし食べるなら、寝る直前は避けて、ヨーグルトやフルーツなど、胃に負担がなく、ビタミンやカルシウムなど不足しがちな栄養素が補えるものを適量がおすすめです。
2. 食事をお菓子で代用しない
食事をお菓子で代用するのもよくない習慣です。
今の若い世代では、
- 「面倒だから」「時間がないから」とスナック菓子で食事を済ます
- 「ケーキが食べたいけど、太りたくないから」と夕飯はケーキのみ
- お昼ご飯は、クリームパンとデニッシュだけ
というような食事パターンがよく見られます。
このような人は、肥満だったり、体型はやせていてもLDLコレステロールや中性脂肪の値が高かったり、脂肪肝があったりました。
また、鉄分が足りずに貧血になっている場合もあります。
お菓子や菓子パンの栄養はほぼ糖質と脂質でエネルギー源にはなりますが、ビタミンやミネラル(カルシウムや鉄など)はほとんど含まれないからです。
だから、「お菓子や甘い菓子パンだけで食事で済ませるのは変だよね」という感覚を、子どものうちに身につけておきたいです。
子どもさんの食事をお菓子で済ましてしまっているご家庭は少ないと思いますが、菓子パンだけで食事を済ますことはあるかもしれませんね。
菓子パンがお菓子というイメージはないかもしれませんが、栄養的にはお菓子と変わらないので、注意してください。
そして、お子さんが、親の手を離れた時に、安易な気持ちでお菓子を食事がわりにしないように、きちんと教えてあげたいですね。
3.ジュースは嗜好品。「おやつ」と考える
大人でも、食事中の飲み物として、甘いジュースや炭酸飲料、スポーツドリンクなどを飲んでいる人をたびたび見かけますが、糖類を多く含む飲料は、虫歯、肥満や糖尿病などの生活習慣病のリスクになるとされています。
WHOは糖類に関するガイドラインで、大人も子どもも1日当たり遊離糖類をエネルギー総摂取量の10%未満に減らすように強く推奨しています。
さらに、できれば5%未満を目指すと良いとしています。(※2)
「摂取エネルギーの10%未満の遊離糖類」とは、おおまかに、学童期~大人で約50g、幼児~小学校低学年は約30gです。
しかし、一般的な炭酸飲料や清涼飲料水では500mlのペットボトル1本でWHOの推奨する遊離糖類を超えてしまうものがあるのです。
糖類はジュース以外の食品からも摂っているので、ジュースは飲まなければそれに越したことはありません。飲み物はできるだけお茶(カフェインを含まないもの)やお水にしたほうが良いです。
子どもがジュースを欲しがった時には、水分補給の目的ではなく、あくまで「嗜好品」・「楽しみ」とし、飲みすぎないようにします。
ジュースを飲む習慣は、子どもの頃に作られることが多いといわれています。
「欲しがるから、我慢できないから」という軽い気持ちで制限なくあげてしまうのは、結局は子どもにとって良くないので、親がきちんと管理をしてあげたいですね。
子どもはあると欲しがるものなので、家に買い置きしないようにし、いつでも飲める環境を作らないことも大切だと思います。
まとめ
大人の場合と違うところは、子どもにとっては、おやつはカロリーや栄養の供給源として大切であるということです。
1日の「楽しみ」でもあるので、心の栄養としての意味も大きいので、お菓子も適量食べるのならもちろん大丈夫です。
夜のお菓子は絶対にだめ!などルールを決めて絶対に守ろうとすると、子どもにも親にもストレスになります。
「お菓子の食べ過ぎは健康に良くない」ことを、子どもが大人になるまでに理解することが目的なので、焦らず教えてあげてください。
参考文献
※1:子どもの心と体の成長・発達に良い食事Ⅱ幼児期
※2:http://www.japan-who.or.jp/event/2015/AUTO_UPDATE/1503-2.html
子どものうちに身につけておきたい食習慣について教えてくれたのは…
河埜玲子(こうのれいこ)さん
1978年三重県生まれ。
滋賀医科大学医学部医学科卒業後、麻酔科医として勤務。臨床に携わっていくなかで、予防できるはずの病気で苦しむ人の多さから、予防医学と食育の普及の必要性を痛感し、現在は検診業務にも携わる。
また、自ら、働きながら子育てをし、家族の食生活を管理してきた経験を生かし、忙しい家庭でも実践可能な健康レシピを提案する料理家としての活動も行う。
さらに、大人になってからの食生活を改善することの難しさから、子どもの頃から自然に正しい食生活を身に付けることが最大の予防医学になると考え、子どもの食育に関する活動も開始。現在は医師として勤務するかたわら、企業への健康・料理に関するレシピやコラムの提供、料理教室講師・予防医学や子どもの食育に関する講座の講師など行っている。
メディア掲載など実績例
- 雑誌;「サンデー毎日」「ゆほびか」「SAITA」等。健康・医療・食に関する情報
- TV「サタデープラス」「NHKマサカメテレビ」、「朝チャン」等
- 新聞「NIKKEIプラス1」
- その他:子育て情報誌「まみたん」、おあじはいかが、ネットサイトでのコラム・レシピ担当等
鮭とかぶのクイックポトフ、えのきと豆苗のナポリタン、目玉焼きピザ…。忙しい人のために“一品で”栄養バランスが取れるレシピを紹介。とにかく簡単で、“作りおきができる”もしくは“12分以内で作れる”レシピが満載。
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本書では特に、“作りおき”できる、または“12分以内で”できる主菜を多数紹介。この一皿があれば、白いごはんを添えればよいだけ。一汁三菜を肩ひじはって作る必要はありません。番外編として、“プラス一品”で食卓が華やぐ副菜やごはんものも収録し、計100品以上を掲載。多忙な方の毎日に役立つ1冊です。
【目次】
・4日前でも! 作りおきおかず…肉を使って/魚介類を使って/その他
・12分以内で! 簡単メニュー…肉を使って/魚を使って/その他
他、あると嬉しい副菜やスープを収録
- 家族が健康になれる食卓を実現するためのレシピやヒント満載!無料メルマガ:ご登録はこちら→ https://48auto.biz/balance-kitchen/registp.php?pid=2
- 医師が教える!作り置き・時短レシピと子どもの食育ブログ:http://balance-kitchen-reiko.blog.jp/
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