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親子のための食育だより ~明治の食育×絵本ナビスタイル~

学校給食に学ぼう!子どもの好き嫌い克服・明治食育セミナー潜入レポート【3月号】

3月は、学校での一年をしめくくる時期です。普段の食生活をかえりみるにも、よいタイミングですね。明治では1月29日(日)に、「子どもの食べ物の好き嫌い」がテーマの食育イベントを開催。絵本ナビ編集部が潜入しました!

お届けしている連載企画『親子のための食育だより~明治の食育×絵本ナビスタイル~』明治の食育サイトのご協力により、お子さんとの「食べる」がより楽しく、より豊かになるよう、みなさんの食卓を応援しています。

【保存版】松丸先生に聞く!子どもの好き嫌い克服法

日曜、昼下がりのオフィス街。明治京橋ビル・キッチンスタジオでのイベントに、13名のママたちが集まってきました。みなさん、好き嫌いのある子をかかえ、毎日の食事作りに試行錯誤する方ばかりです。悩めるママの前に登場したのは、イケメン現役学校栄養士の松丸奨(まつまるすすむ)さん。「ぼく自身、かなりの偏食だったんです。ほとんどの野菜がキライで、小学校入学当時はほかの子よりだいぶ体格が小さかった」と話す姿に、はやくもママたちは熱心に耳を傾けます。

教えてくれた松丸先生はどんな人?

松丸 奨(まつまる すすむ)先生

 

2013年、第8回全国学校給食甲子園優勝の栄養士。現在も東京都文京区の小学校に勤務しながら、イベントやテレビ、書籍などで日々精力的に活動。学校給食の考えを応用した、栄養バランス抜群の献立提案多数。明治の食育サイトでのレシピ集「松丸奨の 子どもたちが大好き! おすすめ給食レシピ」も好評。

給食で「食べられない」を克服した小学生時代

好き嫌いの多い子どもだった松丸先生。「低学年のとき、あまりの偏食に学校の栄養士さんのもとへ連れられていって。怒られるのかと身構えていたら『今日の給食で挑戦する食べ物を決めよう』と言葉をかけてもらいました。それでラクになり、食べられるものが増えていった。克服のスタートは『ちょっとずつ食べはじめる』ことなんです」。

いま先生が仕事として力を注ぐ学校給食は、彼自身が偏食にうち勝った舞台そのものでもあったのです。

知ってほしい!学校給食の大切さ

冒頭は、まず現在の学校給食について知ることから。厳しい衛生管理や栄養価計算が、全国の調理室で行われていること。そして先生の所属校ではとくに、限られた食費やカロリーのなかでも食事を楽しめるよう、「だし」と「旬」にこだわる姿勢でいることにふれました。

そだち盛りの小学生では、一食のカロリーが基準内である以外にも、たんぱく質やカルシウム、ビタミン類などがバランスよく含まれている必要があります。給食ではそれを、発達段階に応じて細かく計算します。だから、家庭でメニューにまよったときは給食の献立表を参考にするだけでも、かたよりの少ない食事に近づけられるのだそうです。

また、だしにこだわる理由はこうです。「だしがしっかりとれていれば、塩分が少なくてもおいしく感じる。味覚もそだち、生活習慣病も予防できます」と先生。つぶさに語られる給食の舞台裏は「なるほど」とうなずける情報がもりだくさん。多くのママが、メモをとりながら聞いていました。

好き嫌い克服のアドバイス①野菜編

イベントの目玉は、先生考案の給食レシピを実際に試食してまなべることです。いよいよ会は本題に。紹介は全5品。好き嫌いの多い食材ごとに、野菜克服レシピ2品、魚・豆克服レシピ2品、そしておやつレシピが1品です。まずは野菜克服の2品がテーブルに運ばれてきました。
 

試食をしながら先生の話に聞き入ったり、しっかりとメモをとる真剣なママ

野菜嫌いをなおすには「キライな野菜が入っていると認識させ、少しずつ食べる」のが有効だと先生はいいます。苦手でも食べてもらおうと、細かくみじん切りにしてわからなくするのは常とう手段。しかし、それでは根本的な解決にならないようです。認識し、少量から口にしていって最終的に平気になるというステップを踏むのが本当の克服。そのためにはその食材が「おいしさの決め手」になる料理を選ぶのが重要です。

 

苦手な野菜をピーマンとし、解決法として示されたのが1品めの「ガパオ風そぼろ炒めライス」です。たしかにこの献立は、たっぷりのピーマンが入っていないと料理として成立しません。ピーマンの苦みが全体の味をひきたてるカギなのです。


同時に運ばれた2品めは「食感もっちもち! さつまいもと野菜のすいとん汁」。こちらは会の冒頭で、家庭でのかんたんなだしのとり方として紹介された「こんぶ水」をベースにしています。こんぶ水は、乾燥こんぶを水につけておくだけでできます。

家庭で簡単に作れる「こんぶ水」

試食中のママにきくと「1品めはもともとタイ料理ですが、味つけがやさしくとても食べやすいです。ピーマンがいいアクセント。うちの子も苦手なので、さっそく試してみます」とのこと。

また別のママは、すいとん汁のはなやかで深いうまみに驚いたようです。「おいしい……」とつぶやき、何度も確かめるように口にしていました。

好き嫌い克服のアドバイス②魚・豆編

3、4品めは魚と豆の料理。「魚が苦手になる大きな原因は、骨と臭み。克服には、それらが少ない白身魚からはじめます」と松丸先生。焼き魚でもはじめは白身魚で出し、慣れたらこの2つの要素がより強い青魚へと移行させるのがうまいやり方だそうです。煮魚ならねぎや生姜で臭みを消したり、圧力鍋で骨がやわらかくなるまで煮込むのも手です。

3品めにはそれを実践した「白身魚のプチプチ白黒ごま焼き」が登場。焼く前にヨーグルトを使い、臭みと身のぱさつきを防いでいます。あるママは「ごまの食感が楽しくて魚料理だと忘れます」とおしえてくれました。

4品めは小魚と豆を使った「青のりポテトビーンズ〜小魚パリパリ揚げ」です。先生は「豆という食材はキライでも、好きになる要素をくっつけて調理すればどんどん食べやすくなります。『揚げる』『青のりフレーバーをつける』などは典型例。ひと口でも食べられた達成感を感じ、自信をもつことがまずは大切」とも。食べられない子の視点から調理法を具体的に提案してくれるので、わが子の気持ちを理解する助けにもなります。

子どもにお手伝いを頼める簡単オリジナルおやつ

最後の品は、子どもがお手伝いできる簡単おやつ「やきいもアイス」。作り方は、やきいも1/2本とバニラアイス1個を混ぜ合わせるだけでした。お手伝いも食べ物とのかかわりを深め、偏食から抜け出す方法のひとつ。これなら親側も気軽にまかせられますね。

【番外編】おやつ「大豆プラリーヌ」と「大学ナッツ」

さらに、番外編として先生は「大豆プラリーヌ」「大学ナッツ」も紹介。前者はグラニュー糖のシロップで、大豆を煮詰めて作ったもの。後者も砂糖と醤油で大学芋のたれをつくり、それをナッツにからめたものです。どちらも材料や手間をさほどかけずにできる、健康的な手作りおやつ。

食の楽しみを子どもに伝えるには、おやつをうまく利用するのも賢い選択だと、会場に語りかけました。

簡単だけど、美味しいおやつ

松丸先生にきく!子どもの食の悩み Q&A

好き嫌い克服にすぐ使えるヒントがちりばめられた本イベント。しめくくりには参加者から事前に集まった「子どもの食の悩み」に、先生がわかりやすく答えてくれました。

絵本ナビユーザーから集めたアンケートから

Q. 子どもが食に興味がありません。


松丸先生:お手伝いで食の興味をそだてるのが第一歩。材料を洗う、混ぜるなど、ごく初歩的な調理をまかせてみましょう。
 

もっと詳しくQ&Aをチェック!

具体的なお子さんのお悩みに耳をかたむける先生とママたち

参加したユーザーさんからの質問とご感想をご紹介

会場からは、追加の質問がいくつも出ました。そのうちの2つを紹介します。

Q.濃い味が苦手で、食べやすいはずの料理を食べません。ハンバーグなどを食べさせるには?


松丸先生:外で食べさせるのではなく、手作りの味を基本に。うす味にして、徐々に慣らしていきましょう。

 

Q.肉がキライ。食べやすくするには?


松丸先生:麹やパイナップルなどでやわらかく下ごしらえすると、食べられる子が多いです。ゆっくり時間をかけて食べるよう伝え、根気よく見守りましょう。

質問している熱心な絵本ナビユーザーママ

帰り際には残って質問する人も出るほど、みなさんにアドバイスが響いたようすでした。

小学校に今春入学予定の男の子のママに、感想をきいてみると……。「本当にたくさんのヒントをもらえました。家で試してみるのが楽しみです!」

先生の簡単おやつに作り方をきく絵本ナビユーザーママ

また、こんな声も。「働いていることをいいわけに、食のことはいつもやっつけ仕事のようになってしまっていて……。今日のお話で、やる気がわきました。限られた時間のなかで、どうすれば手早くおいしく作れるか。そのカギは、だしにあるのだろうと気づけたんです。これから料理のバリエーションを広げるべく、がんばります」。

 

一生懸命なママたちに、深くとどいた90分でした。

参加してくれてた絵本ナビユーザーママと記念にパチリ!

「偏食はなおります。」松丸先生からのメッセージ

松丸先生はいいます。「偏食はなおります。ぼくがなによりの見本。ゆっくり根気よく子どもにつきあう姿勢は、かならず伝わりますよ」。

食べることは、夢をかなえるための土台です。新年度を迎えるいま、食の大切さをあらためて感じる時間になりました。

http://www.ehonnavi.net/ehon00adv.asp?no=10869

松丸先生のその他のレシピはこちらからご覧になれます!(↑)

http://www.ehonnavi.net/ehon00adv.asp?no=10862

今号は、明治の食育様ご協力のもと、1月に開催された松丸奨先生の食育セミナーの内容をレポートいたしました。すぐに実践できるものばかりですので、みなさん、是非おうちでお試しくださいね。

取材協力/てらしまちはる(ライター/絵本こどもアプリ研究家)

3月はこんな絵本はいかが?季節の絵本

おたんじょう月おめでとう 3月生まれ あしたはだれにあえるかな

大好きなイチゴを食べおわって「ああ、おいしかった」。
あしたは何を食べようかな・・・って考えるときのしあわせ。
面白い映画をみおわって「ああ、おもしろかった」。
つぎは何の映画をみようかな・・・って考えるときのしあわせ。
楽しいことが終わった後の“余韻”の時間。こんなに幸せそうに描かれている絵本なんてはじめて!
大切な宝物のような時間だということが、女の子の表情から伝わってきます。
そして、3月。ずっと一緒だったおともだちや保育園とのお別れはさみしいけれど・・・でも。
楽しい時間が終わってしまうことを本気で悲しむのが子ども。こんな風にあしたはだれに会えるかなってワクワクできるのも子ども。子ども達はこんな毎日を過ごしながら大きくなっていくんだなあ。感動してしまいました。

(磯崎園子  絵本ナビ編集長)

明治の食育とは・・・

 

「食べること」は、明日の私たちの「心とからだを育むこと」。
明治は、お客さまの健康な食生活を目指して「食育セミナー」、「料理教室」といった「食育」活動を続けています。また、明治の食育ウェブサイトでも、食にまつわるさまざまな役立つ情報を配信しています。
これからも「食を知る、学ぶ、楽しむ」ための場をお届けし、
みなさまと共に健やかな未来へ歩んでいきます。

 
掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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