最新トレンドは“付録えほん”!? N田流“付録えほん”の楽しみ方
子どもだけが読むなんてもったいない。大人も楽しい絵本の世界を、絵本トレンドライター・N田N昌さんが、独自の視点と「ゴイスー」な語り口でご紹介!
最近話題の新しい絵本、注目の作家さん、気になる絵本関連スポットなど、絵本のトレンド情報を大人に向けてお届けします。
大人もうれしい! 描き下ろし”えほん付録”
昨年暮れでございます。生活者のための総合雑誌『暮しの手帖 5世紀9号』(11月25日発売)に、大人のファンも多い人気絵本作家、きくちちき さまの絵本が特別付録になり、絵本ファンの間では話題になりました。子どもから大人まで楽しめる、ちょっぴり切ない、期待を裏切らないきくちちきさまならではの美しい冬の絵本でございました。
特別付録・絵本『しろいみつばち』がついた特大号
暮しの手帖 5世紀9号
出版社: 暮しの手帖社
孤独や不安、胸苦しさを味わいながら、この一年の日々を懸命に送ってきたあなたへ。
身体をいたわり、心が優しさで満たされる、「贈り物」のような特大号をお届けします。
特別付録としてつけたのは、絵本作家・きくちちきさん作の「しろいみつばち」。
愛情とせつなさが胸にしみいる、大人のための絵本です。
◎特別付録
きくちちきの絵本「しろいみつばち」
マクドナルド・ハッピーセットの絵本
“付録えほん”といえば、ご存知の方も多いかと存じますが、マクドナルドのハッピーセットにも絵本の付録がございます(2018年7月からスタートしております)。人気絵本作家さまの作品も多く、書籍化された絵本もございます。人気絵本ユニットのザ・キャビンカンパニーさまの『ねんねこ』(小学館)でございます。
想像力の羽が広がる、新しいおやすみ絵本
――ねんねこ ねんねこ 10じです 10じです――
「あら もう こんな じかん。こねこちゃん はやく ねなさい」
「やだ! やだ! ねむくないのー!」
「それなら ママと ゆめの なかで あそびましょ。ゆめの なかでね まちあわせするの」
こうして始まる猫の親子のものがたり。
ページいっぱいに広がるのは、色彩豊かな想像の世界。独創的で自由奔放、パワフルで楽しくて、そして優しい――気鋭の若手絵本作家、ザ・キャビンカンパニーの魅力全開です。
実は、ハッピーセットの付録絵本と書籍化された絵本とでは、本のサイズだけでなく、ページ数も異なっております。
マクドナルドに限らず、“付録えほん”では、よくあることでございます。書籍化される際に加筆修正されることが少なくないのでございます。
なので、書籍化されたものと“付録えほん”をセットで所有、違うところを見つけてはニヤニヤして楽しむのが、N田流“付録えほん”の楽しみ方でございます。付録は期間限定(部数限定)なので、コレクター魂も満たしてくれるのでございます。大人絵本ファンには、たまりまセブンな楽しみ方ではないかと。
ちなみに、現在(2021年1月現在)のハッピーセットの“付録えほん”は、今注目の絵本作家、はらぺこめがね さまの『ステーき 12のおいしいきのはなし』でございます。こちらも、書籍化を祈りたいと思います。
マクドナルド公式ホームページ http://www.mcdonalds.co.jp/family/happyset/next_book/
月刊『M O E』の“付録えほん”
昨年8月に発売され、“大人がハマる絵本”とか“子どもに読ませたくない絵本”として話題になり、品切れの書店が続出したという、人気絵本作家ヨシタケシンスケさまの『あつかったら ぬげばいい』(白泉社)も、雑誌『M O E』の“付録えほん”でございました。
『MOE』の2020年3月号の“付録えほん”に大幅加筆、約3倍の大増ページとして書籍化されたのでございます。
大人も子どもも楽しめる、ヨシタケ式心を緩める絵本
「ヘトヘトにつかれたら」
「ふとっちゃったら」
「だれもわかってくれなかったら」
「せかいがかわってしまったら」…。
2コマごとに展開する老若男女の疑問に、ユーモラスで痛快な答えが待っている。
大人も子どもも楽しめる、ヨシタケ式心を緩める絵本が登場!
大切な人への贈り物や、お守りのように側に置きたい1冊です。
昨年10月に発売になった人気絵本作家のコンドウアキさまの『ゆめぎんこう』も、『M O E』の付録えほん発の絵本でございます。
『小学1年生』の“付録えほん”
コンドウアキさまといえば、『小学一年生』(2021年2月号)の付録えほんも、コンドウアキさまの絵本でございます。
『小学1年生』の“付録えほん”も人気でございます。『小学一年生』の90周年記念企画としてスタートした人気の巻頭付録で「ぴっかぴかミニ絵本」と呼ばれております。このミニ絵本に加筆等、装いを新たに書籍化された絵本が、小学館の「ぴっかぴかえほん」シリーズでございます。シリーズには、数多くの人気絵本作家さまの作品がラインナップされております。
ちなみに、昨年11月に発売になった人気絵本作家の大島妙子さまの『すっとびこぞう!~おばけかいどう おつかいどうちゅう~』も、「ぴっかぴかミニ絵本」発でございます。
愉快、痛快、妖怪人情物語!
足が早くて気はやさしい、だけどちょっぴり泣き虫なとびのすけ。
ある日、おとっつぁんが謎の病気にかかってしまい、薬をもらいに行っとくれと、おっかさんに頼まれる。おつかいに行く先は、なんと、おばけの国!
おっかさんは、人間界にお嫁にきたろくろっ首で、実家はおばけの国の薬屋さんだと打ち明けられる。
ちょっとこわいけれど、おとっつぁんの病気を治すため、とびのすけはすっとび出す。
おばけかいどうをひた走る、とびのすけ。街道沿いには、かっぱ、ひとつめ、おおにゅうどう、からかさ、てんぐに、のっぺらぼう、アマビエまでいて大にぎわい。
立ちはだかる困難を、おばけや妖怪たちの助けも借りながら、乗り越えていくとびのすけ。
ラストは、じんわり心あたたまり、スカッと爽快、元気になれる絵本です!
『kodomoe(コドモエ)』の“付録えほん”
“付録えほん”をご紹介してまいりましたが、毎号“付録えほん”がつく確率がゴイスーに高いのが、子育て情報誌『kodomoe(コドモエ)』でございます。
こちらは、同時に2冊の“付録えほん”が付くこともございます。“付録えほん”ファンには、たまりまセブンな雑誌でございます。
人気絵本作家の工藤ノリコさまの「ノラネコぐんだん」シリーズをはじめ、多くの作品が書籍化されております。ちなみに、人気絵本作家のシゲタサヤカさまの産休明けの復帰作が、この『kodomoe(コドモエ)』の“付録えほん”でございました。すでに書籍化されている『たべものやさん しりとりたいかい かいさいします』が、それでございます。
商店街で「しりとり大会」開催!おすしやさんにパンやさん、ラーメンやさんチーム…優勝はどのお店!? 笑い&涙ありで、心も満腹に!
絵本人気が高まっている昨今、絵本が付録になるケースはさらに増えてくるのでは…。漫画家の方々の絵本進出も相次ぐなか、漫画雑誌に付録として付いたりしても面白いのではないかと。今後、“付録えほん”がさらに注目を集めることは、間違いナッシングでございます。
N田N昌
絵本トレンドライター・放送作家・絵本専門士
絵本の最新情報を発信&大人絵本文化、絵本プレゼント文化の普及活動に日々努めております。
(画像は、イラストレーター・作家の網代幸介さんによる著者肖像画)
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