【クリスマス】どんなきみだって、どこにいたって。伝えたいことは「きみはたいせつ」だっていう事。
子どもたちに伝えたいのは、ただ一つ。「きみは たいせつだよ」ってこと。どんなきみだって、どこにいたって、例えひとりぼっちだとしても。きみはきみ、世界でただひとり。どうか素敵な時間を過ごせますように……。
クリスマスの夜にだって、伝えたいことはただひとつ…「きみはたいせつ」
きみの存在には、意味がある。『きみはたいせつ』
きみはたいせつ
自分がどうしようもなく小さく思える。
誰にも気にされていないんじゃないかと感じる。
そんなきみにこそ、伝えてあげたいのは。
「きみは たいせつだよ」
ってこと。なぜかっというとね……。
気づかれないほど小さな微生物も、やっかいものだと思われてる生き物も、足並みを揃えることのできない子や、助けを求めても気が付いてもらえない子も。
たとえ、きみが抱えきれないほど大変なことが起きたとしても、大切な人と信じられないほど遠く離れていたとしても、たまらなくさびしくなったとしても。
みんなひとりじゃない。この宇宙の中で、生命の進化の中で、そのすべてのつながりの中で生きているきみの存在には、意味がある。
素朴な可愛らしい絵で優しく語りかけてくれるのは、『おばあちゃんとバスにのって』(鈴木出版)でコールデコット賞オナーブックに選ばれ世界で注目されている絵本作家クリスチャン・ロビンソン。『きみはたいせつ』も世界8か国、6万部以上も出版されているそう。原書はYou MatterというBlack lives matterにも呼応するタイトルで、子どもたちも含め、誰も排除されない社会への願いがこめられています。
「どんなきみだって、たいせつ」
ゆっくりと、そして、くり返し。一緒に読み続けてあげてくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
ここは、なんて素晴らしい世界なんだろう…!
ほら、ここにいるよ このちきゅうで くらすためのメモ
「やあ! このほしへようこそ」
広い宇宙にぽっかりと浮かんでいるこの大きな星。
それがぼくらの住んでいる“ちきゅう”。
このちきゅうには、見るものも、やる事も、いっぱいある。
陸があれば、海もある。空だって。
そして、たくさんの“にんげん”がいる。
にんげんは、色もかたちも大きさもそれぞれ。
“どうぶつ”なんて、もっと色んなかたちや大きさがあるよね。
言葉があるし、昼や夜がある。時間もね。
なんて素晴らしい世界なんだろう!
でも、ぼくらだって全てがわかっているわけじゃない。
まだまだできることがたくさんある。
だからこそ……
世界的絵本作家オリヴァー・ジェファーズが、誕生したばかりの息子に向けてつくられたというこの絵本。自分たちの生きていくこの場所を、ずっと離れた宇宙からの視点で、壮大に、そしてポップに描きだすことで、ここにいる奇跡、不思議さを感じることができます。日本の子どもたちのためにこの絵本を翻訳してくれているのはtupera tupera。オリヴァーの魅力的な世界にぴったりとはまる書き文字にも注目です。
「このちきゅうで とほうにくれているかもしれない すべてのきみたちへ」
絵本の中には、きっと進むべき道へのヒントが隠されているはず。迷った時には何度でも読み直してもらいたい一冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
ひとりぼっちには慣れているけど…
すてきなひとりぼっち
「うまいじゃん」「すげえ」
そう言われて夢中で絵を描いていると、出来上がった頃にはみんなはもういない。一平くんは、こういうひとりぼっちには慣れている。
「うげっ」
雨の帰り道、誰も見ていないところで転んで、傘が折れて、水たまりで全身びしょびしょになる。そんなひとりぼっちにも慣れている。だけど、今日はちょっとつらい。だって、おかあさんが家の鍵を閉めたまま、どこかに出かけてしまったんだ。なんでだよぉ……。
思いきって街へ出た一平くん、だけどそこには出会いがあり、出来事があり、そして思わぬ時間の発見へとつながっていく。
「あっ!」
ふとしたことで手に入れた、一平くんのたいせつな時間。自分だけの空間。読んでいるみんなは、もう見つけているのでしょうか。なかがわちひろさんが描く繊細であたかな絵童話は、ひとりでこっそり読みたくなるような素敵な出来上がりです。そう、ひとりぼっちも悪くない。読んでいるあの子を、あたたかく見守ってあげてくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
だれか、いっしょにいてください!
テオのふしぎなクリスマス
「流れ星だ」
テオは目をとじ、両手のこぶしをぎゅっとにぎり、舌をかみ…。お父さんがいつも言っていたのです、願いごとをするときは、心臓のありったけで願わなくちゃいけないって。テオは心臓のすみからすみまで、全部をこめて、願いごとをします。
「ひとりぼっちじゃなく、いられますように」
今夜は、クリスマスイブです。なのに、テオのお父さんとお母さんは、いつものように仕事で留守。ベビーシッターは、テオをほったらかして居眠りをしているのです。
すると、テオのうしろで、クリスマスツリーが、さわさわと音を立て…古ぼけたツリーの飾りたち(天使、ブリキの兵隊、コマドリ、木馬)が動きだします! テオは、とりあえずひとりじゃない。でも、彼らはそれぞれ自分たちの願いがあるようで、それを叶えるためにみんなで外へ出かけ……。こうして、テオと飾りたちの一夜限りの冒険がはじまります。
みんなが本当に大切にしているものを次々に見つけていくなか、テオの心からの願いは叶うのでしょうか。
読み応えのあるストーリーだけれど、愛らしく、カラフルで華やかなイラストが全ての場面を彩りながら進んでいくので、ちっとも長さは感じません。そして、少し切なさを感じるテオの置かれた環境だって、優しく包み込んでくれているようです。そして、最後。感動のクライマックスの場面へと連れていってくれます。テオ、お父さん、お母さん、どの立場の視点から読んだとしても、少し鼻の奥がツンとくるような奇跡を起こしたのが、まさかあの子だったとは!
表紙はまるでツリーの飾りのようにキラキラとひかり、表紙カバーをはずせば更に驚きの装飾が入っている素敵な装丁は、もちろんクリスマスプレゼントにぴったりな一冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
合わせておすすめ…「きみはひとりじゃないよ」
どんなに楽しい時間を過ごしていても、どんなに恵まれている環境にいたとしても。ふと「自分はひとりぼっち」と感じる瞬間が訪れることがあります。自分にとって「たいせつなこと」は何か。すぐには見つからなかったとしても、大人が子どもたちの視野を広げてあげるのは、とても大事なことなんだと思いますよね。
磯崎 園子(絵本ナビ編集長)
撮影:所 靖子
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