【パパも絵本を楽しもう!】読み聞かせの達人パパが選ぶ「朝の読み聞かせボランティア」で読みたい絵本
「子どもに読んであげる絵本を、パパが選ぶのってすごく楽しい。パパ自身がもっと絵本を楽しんだら、いろんなことを子どもと分かち合えるし、自分にも返ってくる。ママとパパ、複数の目線で選ぶと、子どもの本棚はすごく豊かになるんです。」 そう語るのは、イベントなどでの読み聞かせ活動歴10年以上、ロングセラー絵本の知識はもちろん新刊情報もいち早くキャッチしている読み聞かせの大ベテラン、奥平パパ。2児のパパでもあります。
たとえば、好きな詩を共有するように、パパも絵本を通して子どもたちに思いを伝えられたらいいですよね。
気負わず楽しく、パパ目線で絵本選び。奥平パパから子育て中のパパたちに向けて、絵本を選ぶコツと季節のおすすめ絵本を紹介します!
パパが選ぶ、「朝読みボランティア」で読みたい絵本
僕の子ども二人が通っていた小学校で月に一度程度、「朝読みボランティア」といって絵本を読む時間がありました。2020年2月、娘が小学校卒業目前のタイミングで最後に娘のクラスで朝読みの機会をもらった矢先、学校が突然休校となり、その時間をもらえないまま卒業することとなったのでした。自分の子どもが卒業しても継続して朝読みのボランティアは登録できるのですが、結局小学校での朝読みの時間はその後いくどかの緊急事態宣言の影響もあり、それ以来長く開かれてきませんでした。それがついに、いよいよ、再開すると連絡があったのです!なんと1年9ヶ月ぶりです。考えてみると2020年4月に入学した1年生には一度も機会をもてないままだったのですね。子どもたちにとってこの1年9ヶ月の意味はどれほどだったか。ともかくも、また子どもたちの笑顔に会えることがとても楽しみです。そして今度はこの日常が穏やかに続きますように。
その願いを込めて、今回は朝読みボランティアセレクトの楽しい絵本特集です。朝読みの様子を再現してお届けします!
時間は8時30分。今日の担当は2年〇組。あ、先生がいないのに朝読みの準備を子どもたちが自主的にしているぞ(※1)。机を下げて体操座りして(※2)、日直の子が僕を招き入れます。
※1…落ち着きがなく先生が来るまで自分たちでは準備できないクラスもあります。4月のときと年末や年明けになったときとクラスの印象がガラッと変わり、1年のうちでも大きく成長を感じることがあります。
※2…再開してからは子どもたちは机に着席のまま、読み手とは少し距離をおいての活動になりそうです。
1冊目:『あかにんじゃ』
おはよう! 久しぶりにみんなと会えてとてもうれしいです! みんなはどうだったかな?
僕は●●保育園でも読んでいるので●●保育園を卒園して入学してきた子はそこでも僕と会っているはずだよ。覚えてる?
さあ今日最初に読むのは忍者の話。忍者ってみんなどんなイメージ? うん、すばしっこい、手裏剣、忍術、黒。そうそう、そうだね。でも今日の本は「あかにんじゃ」。赤い忍者の出てくる話なんだって。目立っちゃう? 見つかっちゃう? ちょっと読んでみよう!
変身上手な赤忍者が活躍する痛快娯楽活劇!
赤忍者は真っ赤な忍者。お城に忍び込みますが、真っ赤な姿はすぐに見つかってしまいます。
おいつめられてドロンドローン。
敬愛する歌人穂村弘さんと、木内達朗さんによる傑作絵本。穂村さんは「『酔ってるの?あたしが誰かわかってる?』『ブーフーウーのウーじゃないかな』(「シンジケート」1990年)みたいな歌を詠む人ですが、この絵本でも、「はにかみやはぐらかし」といったことが表現されているように感じて、すごく穂村さんの特徴が出ている作品のように思います。とにかくそういうカジュアルさをもって絵本の世界に切り込んできた方なので、忍者にもはぐらかされ、焦点がずらされ、突拍子もない展開が続いていきます。それを受けて木内さんの絵がまたすごい。物語の世界観を強化するシュールな絵でこれに応えています。
2冊目:『これはのみのぴこ』
じゃ、2冊目。みんな、「のみ」ってわかる?うん、そう、めちゃくちゃ小さい虫だね。くっつくとかゆいかも。今度はその「のみ」の出てくる話を読むよ。
「これは のみの ぴこ」
「これは のみの ぴこの すんでいる ねこの ごえもん」……
ページをめくることに言葉がつみかさなっていく楽しい言葉遊び絵本
「これは のみの ぴこ」
「これは のみの ぴこの すんでいる ねこの ごえもん」
「これは のみの ぴこの すんでいる ねこの ごえもんの しっぽ ふんずけた あきらくん」
ページをめくることに言葉がつみかさなっていき、
最初は短かった文章が、どんどん長い文章に。
言葉遊びで絵本をつくってくれる谷川俊太郎さんと、
その世界観をユニークに表現してくれる和田誠さんのベストコンビによる1冊。
繰り返しの部分を何回も聞いているうちに、
子どもたちは思わず声に出してみたくなるようです。
最後にはいったいどうなるのでしょうね…?
『これはのみのぴこ』は、谷川俊太郎&和田誠の(個人的には)ゴールデンコンビによるもの。他にもいっぱい共作がありますが、どれも面白いです。和田誠さんはちょうど今の時期(2021年12月)、東京で展覧会もやっていますね。これから全国に巡回もされるみたいです。この本でも谷川さんの奔放な想像力をあの特徴的な柔らかい絵で受け止めていると思います。僕は特に「市長さん」が好きだな。早口言葉的に読んじゃうのも面白いと思います。
3冊目:『さかさのこもりくんとおおもり』
さあ3冊目。最後はコウモリの出てくるお話。みんなコウモリって知ってるでしょ?どういうの?夜飛ぶ、洞窟にいる、うんうん、逆さにぶら下がってる、そう。逆さだね。この「さかさのこもりくんとおおもり」っていうのはみんなさかさになっちゃうっていうお話なんだけど、どういうことだろう、わかるかな?読んでみるよ!
さかさ言葉のこもりくんのお父さんが登場!
こもりくんのお父さんは“おおもり”。さかさ言葉しか話せないこもりくんとお父さんのへんてこであったかなお話です。
『さかさのこもりくんとおおもり』は、「さかさま」の概念がわかるようになる小学生くらいからは、爆笑必至の大傑作絵本。さかさまにぶら下がっているから、言葉の意味もみんなさかさま。「うれしい」を「かなしい」、「おいしい」を「まずい」。これがわかると、おとうさんとこもりくんの会話がもうヘンテコで、愛にあふれていてとても楽しいです。僕はこれをよく小学生に読みますが、あるクラスではその日一日、さかさ言葉で通したと後で担任の先生に聞いたことがあります。みんなその日の給食はすごくまずかったそうで、先生のことも大嫌いだったって(笑)。
はい、今日はこの3冊を読みました。久しぶりの朝読みはどうだったかな?どれが一番楽しかった?また次に来るときも楽しい絵本を読みたいと思います!今日の朝読みをこれで終わります。
これで先生にバトンをお渡しして朝読みの時間は終わりです。
(その後図書室に行って、今日読んだ絵本と子どもたちの反応をクラス別のノートに書いて、来週以降の担当者に引き継ぐ、というのがこれまでの流れだったのですが、新生した朝読みではGoogleフォームで絵本の記録を登録し、スプレッドシートで管理するようになりました!)
まだまだたくさん! 奥平パパセレクト、パパが読みたい「朝読みボランティア」のおすすめ絵本
『へっこきあねさ』 「へえこいたのだれだ」子どもたちはおならは大好き。できるだけ「ブーーーーッ!」て大げさに読みましょう。
『うえきばちです』絵のインパクトが素晴らしく、リズムよく読めばめちゃくちゃ面白い。短いので時間調整にも重宝します。
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絵本ナビ編集部
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