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未来の今日の一冊 ~今週はどんな1週間?~

【今週の今日の一冊】6月10日は「時の記念日」! 「時間」の秘密に迫る絵本特集

6月10日は「時の記念日」。「時の記念日」って名前がちょっと素敵ですよね。西暦671年に天智天皇が、唐から伝えられた「漏刻(ろうこく)」という水時計ではじめて時を知らせる儀式を行った日だと言われており、その後1920年に、時間の大切さを伝えるために制定されたのだそう。
今週は、そんな「時の記念日」に合わせて、「時」や「時間」をテーマにした絵本を特集します。
はるかなる「時」を感じてみたり、人それぞれの「時間」の捉え方の違いや、動物にとっての「時間」に思いを馳せてみたり、「時間」の奥深い秘密に迫ってみませんか。

2023年6月5日から6月11日までの絵本「今日の一冊」をご紹介

6月5日 流れていく時間を絵で見て感じる絵本

月曜日は『とき』

とき

大昔から、今につながる時間を感じる絵本。

地球の誕生から、大昔のそのまた大昔、昔々、おとうさんの子どものころ、私の生まれる前、私が生まれたとき、弟が生まれたとき、昨日、今朝、さっき、1秒前、そして今。目に見えない「とき」が、大昔の暮らしの様子や、現代の子どもたちに身近な生活の場面を見ていくことで感じられます。この絵本を前に、自分たちの「とき」の話をしてみましょう。「ときは決して後戻りしない。誰もときをとめることはできない」流れていく時間を絵で見て感じる絵本です。

http://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=18792
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みんなの声より

むかしから今にながれ、そして未来にむかっていく
決して後戻りはしないし できないそれが「とき」

だんだんと「今日」とか「昨日」とか「ちょっと前」とか解りはじめてきた息子に読みました

丁寧な絵をじーっとみていました
ページをめくるごとに今に向かっているという感じはつかめているように感じます

長く付き合える絵本のように思います
これから先、読むごとに感じる事が変化し、「とき」の大切さやはかなさやすばらしさを感じ取って欲しいな
(らずもねさん 30代・ママ 男の子2歳、男の子0歳)

6月6日 同じ5分なのに、なんだか長さが違うみたい?

火曜日は『ながーい5ふん みじかい5ふん』

ながーい5ふん みじかい5ふん

「5分で済むから待ってて」

大人の5分って、めちゃくちゃ長い。
5分なんて待てなーい!

「あと5分で行くよ」

たった5分? そんなの短すぎるよ!
……あれ。同じ5分なのに、なんだか長さが違うみたい。
それって本当に同じ5分?

そういえば、歯医者の待合室での5分はすぐだけど、歯を削られている5分は全然すぐじゃない。トイレを待ってる5分は耐えられないけど、遊んでいる5分はあっという間。ほかにも、ほかにも……。

“5分”って不思議。どうして、こんなにも感じ方が違うんだろう。子どもたちが身の回りのエピソードを通しながら、時間の面白さに触れることができるこの絵本。沢山のエピソードが次々に飛び出すのだけれど、一つ共通しているのは、“5分”に振り回される主人公の男の子の表情が最高に可愛いってこと。まさに一喜一憂、5分の世界は深いのです。

「ねえ、それ本当に5分でしょうね?」

この絵本を読んだ子には、上手に言わないと疑われてしまうかもしれませんよ。例えばそれが10分だとしたらね。

(磯崎園子  絵本ナビ編集長)

みんなの声より

順番待ちの5分は長いけど、絶叫マシンの5分は一瞬。感じる時間の長さは、時計の時間と全然違う!5分は長い?短い?時間の感覚に意識を向けることが楽しいなと思える絵本です。時計の本は色々ありますが、5分に絞って、時間の経過について考える絵本は始めて読んだので、新鮮でした。
(ぼんぬさん 40代・ママ 女の子4歳)
 

6月7日 一生の間に、動物たちは何をどれくらいするの?

水曜日は『ライフタイム いきものたちの一生と数字』

ライフタイム いきものたちの一生と数字

「世界は数字であふれている!」
一生のあいだに、みんなは「何をどれくらい」するのでしょう。
考えたことがありますか。

この絵本は、とてもユニークな数字の科学絵本です。
生き物に興味深々の子どもたちは、その生涯にかくされた数字を知って驚いたり、ショックを受けたり、感動したりするかもしれません。

気になる動物たちの「何をどれくらい」の統計をとって計算した平均の数字。
例えば、この絵本に登場するクモは一生のあいだに「1つ」だけタマゴを包むうすい袋を作る。
例えば、この絵本に登場するワニは一生のあいだに「22こ」の巣をつくり「550」このタマゴを産む。
数字になったとたんに、見えてくるものがあります。
説明をしなくても、きっと心は何かを感じることができるはず。

巻末には、絵本に登場した気になる生き物たちの生態について詳しい解説が付いています。
この絵本のあとがきも是非読んでください。訳者でもあり生物学者の福岡伸一さんが、「生き物には2つのタイプがあること」を分かり易く教えてくれます。生き物の生態を通して、算数の考え方、人間としてできることをやさしく語りかけ、興味を持つきっかけを与えてくれそうな一冊です。

(富田直美  絵本ナビ編集部)

http://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=108041
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みんなの声より

ひらく前からどきどきわくわくした本は、久しぶりです!!
いったいどんないきものがでてきて、それらにどんな数字が関係してくるのか……。
身近ないきものがたくさん出てきますが、そこに出てくる数字は驚きの数字ばかり。
知らなかったことがたくさん書かれているので、ぐいぐいとひきこまれていきました。
娘はタツノオトシゴのページにくいついていました。私もこのページが大好きです♪
こういった絵本に幼い時に出会えるということは、本当に幸せですよね♪
もっと知りたいという思いがふつふつとわきでてきました。
これからもいろんな世界を娘と共有していきたいなと思わせてくれた絵本です。

6月8日 今、この時間に世界ではなにが起きている?

木曜日は『ONE WORLD たったひとつの地球 今この時間、世界では…』

ONE WORLD たったひとつの地球 今この時間、世界では…

イギリスのロンドンは今、真夜中の12時の1分前。ほとんどの人が眠る時間だけど、「地球のほかの場所では、なにがおきているんだろう?」と気になって眠れない2人の子は、真夜中を知らせる時計の鐘の音とともに、手をつないでベッドから窓の外に飛び出しましたよ。「ねえ、わたしたちといっしょに、地球のいろいろなところを見にいかない?」

日付は4月21日。ロンドン深夜0時は、北極圏は午前1時。太陽が沈まない春の白夜で、ホッキョクグマのお母さんが獲物をつかまえようとしている。一方、インドの海岸は午前5時30分。夜明け前にウミガメのあかちゃんが海をめざしている。中国では6時30分、朝日のさしこむ森でテナガザルが歌い出す……。

22日を迎えるまでの丸一日、2人の子は地球をぐるっと巡り旅をします。この日付には意味があり、4月22日は『地球の日(アースデイ)』と呼ばれ、1970年のアメリカからはじまり、地球環境について考える日として世界に広がった日なのです。

地球の各地点の生き物たちをリレーする、ひとつながりの文を書いたのは、イギリス・ケンブリッジ大学で動物を研究するニコラ・デイビスさん。子ども向けの本を執筆し、映像メディアBBCで野生動物や自然をテーマにした番組のプロデュースにも関わってきた人物で、日本でも『ちいさなちいさな めにみえない びせいぶつの せかい』(ゴブリン書房)や『生きものはみんなちがっておもしろい』(化学同人)など多数の絵本が翻訳されています。

絵を描いたのはイギリスのイラストレーター、ジェニ・デズモンド。命に覆われた地球のダイナミックさと、生き物への繊細な愛情が伝わってきます。ホッキョクグマは、氷が溶けて獲物がとりづらくなっているかもしれない。テナガザルは木の伐採で生息地が狭まり、だから山のてっぺんで歌うしかないのかもしれない。オーストラリアのカンガルーは、山火事で水飲み場が減る中で移動しているのかもしれない……。

子どもたちひとりひとりのペースで、地球についてじっくり考えたり想像したりする1冊に、ぴったり。大きな生き物から小さな生き物まで、それぞれの生態系の中で暮らす描写は、私たち人間を地球の同じ生き物として公平な気持ちにしてくれます。地球上の野生動物たち、それぞれの危機について、想像力が広がっていく大判絵本です。

(大和田佳世  絵本ナビライター)

6月9日 凝縮した時間の中で繰り広げられるのは?

金曜日は『がっこうに まにあわない』

がっこうに まにあわない

7時47分。ぼくは玄関をとびだし、ゴウゴウと走り出す。このままだと学校に間に合わない。今日は遅れちゃいけない訳がある。

ランドセルを背負い、帽子をかぶり、必死な形相で地面を蹴りあげ、いつもの道をまっすぐ駆けていく男の子。ところがなんだか変だ。何かが変だ。ワニが潜む水たまり、壁の高さを越えるほど大きな犬たち、ぐにゃぐにゃまがる歩道橋。51分、52分、53分……あせればあせるほど、景色が、時空が、ゆがんでいく。だけど今のぼくはそれどころじゃないんだ!

たった数分の出来事。けれど、彼の中では永遠に続くかと思われるほどの長い道のり。もどかしく、心が折れそうになるけれど。「どうか気をつけて、ちゃんとまわりを見て、だけどあきらめないで」手に汗をにぎりながら、でもこんな世界をどこかで懐かしく思い、応援をしながらページをめくる。すると最後に待っていたのは、時間を忘れるほど素敵な……。

日常の中で刻まれる平凡な時間を、強く印象的で魅力的な景色として描き出してしまうのは、人気の絵本作家ザ・キャビンカンパニー。凝縮した時間の中で繰り広げられる物語は、年齢に関係なく多くの読者の心を揺さぶります。この緊張感と解放感、どっぷりと浸ってみてくださいね。

(磯崎園子  絵本ナビ編集長)

http://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=175866
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6月10日 時間の秘密が詰まった一冊を「時の記念日」に…

土曜日は『時間のしくみを科学する』

時間のしくみを科学する

退屈なときは時間がいつまでも進まず、楽しいときはあっというまに過ぎてしまいます。そのときの感情によって、ひとりひとりが感じる時間の長さは変わります。

でも、それとは反対の「客観的な時間」も存在します。
「いま、何時なの?」
この質問に答えるために、人びとは試行錯誤を繰り返しながら時間を計る道具を発明してきました。時間ごとに変わる影の長さを利用した日時計、歯車を組み合わせた機械式の時計、そして数億年に1秒しかずれない原子時計……。

でも、ちょっと待ってください! どうしてそこまで正確に時間を計る必要があるのでしょう?
ヨーロッパでは、18世紀ごろまでは時を知らせる教会の鐘の音が聞こえるところまでが、ぴったり同じ時間を使える範囲でした。ほとんどの人が同じ村で一生を終える時代では、遠く離れた場所までぴったり同じ時間である必要はなかったのです。
ところが19世紀に鉄道が発達すると、鉄道沿いに電信網が張り巡らされて、やっと広い範囲で「ぴったり同じ時間」が使えるようになりました……。

こんな楽しい時間のお話がこの本にはいっぱい!
そのほかにも、生物の命の時間、わたしたちの祖先や子孫の時間、夢の中の時間、そしてアインシュタインの発見……いろんな時間の秘密が詰め込まれた、楽しい学習しかけ絵本です。科学と論理的思考が学べるので、子どもも大人も一緒に時間の謎に挑戦してください。

http://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=167904
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6月11日 ぼくの時計はどっち?

日曜日は『「はやく」と「ゆっくり」』

「はやく」と「ゆっくり」

 

朝からパパとママはぼくに言う。

「はやく はやく」

起きた時、ごはんを食べる時、出かける時。夜寝る時も。ぼくは目が回るように忙しい。田舎のおじいちゃんとおばあちゃんはぼくに言う。

「ゆっくり ゆっくり」

出かける時、森を歩く時、食べる時。まるで時計のない家に住んでいるみたいだ。ある時、おじいちゃんとおばあちゃんが家にくると、ぼくは「はやく」と「ゆっくり」の間にはさまれちゃって、どうすればいいのかわからなくなり……!?

誰もが心の中に時計を持っている。それはパパやママ、おじいちゃんやおばあちゃんだって同じ。ぼくも自分のリズムを見つけられるかな。

台湾から届いたこの絵本。さまざまな時間の感覚を体験しながら少しずつ成長していく男の子の様子を、あたたかな目線で描き出します。「はやく」と「ゆっくり」って面白い。わかったつもりになっていた大人の心にも響く一冊です。

(磯崎園子  絵本ナビ編集長)

http://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=175697
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みんなの声より

カラフルでおしゃれなイラストに惹かれ、手に取りました。
主人公の男の子は、お父さんやお母さんには「はやくはやく」と急かされ、おじいちゃんやおばあちゃんには「ゆっくりゆっくり」と言われ、混乱します。
子どもたちにいつも「はやくはやく」と急かし続けてしまっていたことにハッとしました。
登場するおじいちゃんの「はやくてもゆっくりでもかまわない。自分のリズムを見つけるんだよ」というセリフが印象的。
「ときどきはやく、ときどきゆっくり」を、私も心に留めておこうと思います。
(クッチーナママさん 40代・ママ 女の子18歳、女の子15歳、男の子13歳)

いかがでしたか。
はるか昔からずっと続いている長い時間から、世界のどこにいるかで変わる時間、私たちの今目の前にある時間など、時間の概念にはさまざまなものがありますね。時間はひとつなのに、その時々の状況や感情によっても、長さの感じ方が変化することもとっても興味深いですよね。「時の記念日」には、絵本をきっかけに、時間への考察を楽しんでみませんか。

 

 

秋山朋恵(絵本ナビ 副編集長)

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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