【今週の今日の一冊】“かがくいひろしの世界展”開催記念! 「だるまさん」シリーズほか大特集!
「かがくいひろしの世界展」が、6月より長野県のイルフ童画館を皮切りに始まりました。かがくいひろしさんといえば、「だ・る・ま・さ・ん・が」の「だるまさん」シリーズがとくに有名ですが、他にもユーモアたっぷり、思わず笑って心がほぐれる絵本がたくさんあります。かがくいさんは絵本作家でもあり、また特別支援教育のベテラン教員でもありました。没後初めてかがくいさんの軌跡をふりかえる「かがくいひろしの世界展」では、絵本原画やアイデアノートとともに、教員時代に手がけた教材や人形劇の貴重な記録が展示されるそうです。
今週は、展覧会の開催を記念して、かがくいひろしさんの絵本を大特集! さて、皆さんのお気に入りはどの絵本ですか?
2023年6月26日から7月2日までの絵本「今日の一冊」をご紹介
6月26日 0歳の赤ちゃんから大人までみんなが笑顔に!
月曜日は『だるまさんが』
赤くて、ぷくーっと膨らんだように丸くて、小さな手足がちょこんとついていて、なんだかびっくりしたような顔をしてこちらを見ているのは…だれでしょう?
「だ る ま さ ん が」
ページをめくれば、そのまあるい体が、かけ声と共にゆらゆら揺れ出して……
「どてっ」
あ、ころんじゃった!!
「だ る ま さ ん が」
今度は……
「ぷしゅーっ」
あれ!? なんかぺっちゃんこになってる!!
0歳の赤ちゃんから大人まで笑ってしまうと、発売以来ずっと多くの読者を喜ばせ続けているこの絵本。柔らかそうな丸くて赤いかたまりが、伸びたり縮んだり、転んだり。目をつぶったり、開いたり、笑ったり。おまけに「ぷっ」とする。だるまさんっていう名前なんて知らない小さな子でも惹きつけられてしまっているのが、その反応を見ているだけでわかります。呼びかけるような言葉のリズムも声に出してみれば独特な「間」をつくってくれて、誰が読んだって笑っちゃうのです。
作者のかがくいひろしさんが絵本を作る時にこだわっていたのが「もの」「音」「うごき」「見立て」なのだそう。理屈がわからなくたって、見て、聞いているだけで楽しくなってくる。それがこの絵本の人気の秘密になっているのだということは、多くの読者からの感想を読んでいてもよくわかりますよね。
さらに、ユーモラスだけれど、どこまでも優しさを感じる表情。動きの愛らしさ。だるまさんが転ぶだけじゃない、という意外性。自然とスキンシップを取りながら読んでしまうこと。読んであげる大人の方が先に笑ってしまうこと。
…それらが全部、この絵本が愛される要素になっていることは言うまでもないですよね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
みんなの声より
子供の笑い声って、どうしてこんなに可愛いのでしょう。
笑い声を聞いて幸せな気分になりたいときにはこの本!
初めて息子に読み聞かせた時の反応の良さには驚きました。
「だ る ま さ ん が」の次のページをめくるたびにケラケラと大爆笑。
読んでとせがまれ、何度も読み聞かせましたが、飽きもせず何度も何度も笑ってくれます。
そのうちに「だるまさんが」の次のページがおもしろい、ということを覚えたようで、ページをめくるのを少し
タメてみたりすると、待ち切れずにクククっと笑いだしたりするようになりました。
そして「早く早く!」と言わんばかりの期待のこもった目で振り返る表情がとてもかわいくて、わざとタメてから
ページをめくってしまいます。そしてめくった後にはお決まりの大爆笑。
ケラケラ笑う子供を見て、ママも笑顔にならずにはいられない、そんな素敵な絵本です。
(こうままさん 20代・ママ 男の子1歳)
こちらも合わせておすすめ。
6月27日 う~む。こうなったら・・・
火曜日は『まくらのせんにん そこのあなたの巻』
まくらの仙人が、お供のしきさん、かけさんと散歩をしていると、どうやらおかしなことが起きている。ぞうさんがもがいているのです。どうなっているのかと言うと。
「鼻が穴から抜けなくなってしまって。ふんが、ふんが」
それはお困りだ。すると隣では、なんときりんさんが「ふんぎ、ふんぎ」。その隣ではうさぎさん、たこさんまで……。みんな穴から抜けられなくなってもがいている。
「これは、ただごとではないな」
そうなのです。ただごとではないのです。何とかしてくださいよ、仙人さま。ところが、その仙人さままで!? ダメじゃない、仙人さま。もうどうにもならないかと読者のみんなが諦めかけたその時。
「こうなったら『そこのあなた』に頼むしかないな」
えっ、そこのあなたって、誰のこと? すっかり話に夢中になっていたけれど、ここまで来てはっと気が付くのです。どうやらこの絵本、ただの絵本ではないってことに。予測もしなかった驚きのしかけが隠れているってことに。
かがくいひろしさんがのこしてくれたのは、ちょっとへんてこりんなキャラクターと一緒に、誰もが笑顔になる、誰もが嬉しくなる、そして誰もが「参加することができる」、最高の1冊です。これは盛り上がりますよ!
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
みんなの声より
まくらのせんにんシリーズ第二弾!
第一弾で、たくさん笑わせてもらったので、この作品も期待を込めて読ませていただきました。
期待を裏切るどころか、期待以上の作品でした。
まくらのせんにんさまは、案の定アナにハマってしまい、ひっくり返って、短い手足をバタつかせているところがたまらなく可愛かったです。
思いもよらぬ仕掛けが施してあり、しっかり「そこのあなた」に良い意味でやられました!!!
息子は、喜んで「そこのあなた」のお手伝いをしてくれて、読み終わった後も、『面白かった~♪』と言っていました。
おはなし会で、今度この作品もやってみたいと思ったのですが、その時は、来ている子どもたちにも「そこのあなた」のお手伝いをやってもらいたいです♪
盛り上がること間違いなしです
(ぷりこさん 30代・ママ 女の子8歳、男の子3歳)
合わせて読みたい!「まくらのせんにん」シリーズ第一弾はこちら。
6月28日 「がまんできます! あなたのためなら…」
みんなの声より
おいしそうなものが目の前にあるのにおあずけで、今すぐにでも食べたいのに食べちゃいけないなんてつらいです。かめぞうさんとこいたろうのどうにも待てない気持ちがとっても伝わってきました。とうとう我慢できなくなって、食べようとしたときに見つけたけろこさんからのメモ。これは効果抜群でしたね。
かめぞうさんとこいたろうの心の格闘が最初から最後まで面白かったです。
(てつじんこさん 30代・ママ 男の子8歳、男の子5歳)
6月29日 みみかき草を手に、今日も名人の技がさえわたる!
みんなの声より
タイトルからして、興味をそそるこの一冊、読んでみると、どこまで笑わせるの?というほど、おもしろさ満点でした。
登場するものがどうしてこんなにユニークなんでしょうか。変わってるとかではなくて、どれも温かみのある性格の持ち主で、それでいて、どの本のだれにも似ていない。。。かがくいさんのつくりだしたものは、みんな愛らしいキャラクターばかりですね。
笑いが絶えないので、ぜひ、クラスのよみきかせに使わせてもらいたいです。最後の部分は、びっくりするものが登場するので、読まれた方は、「この季節に読めばいいなあ!」と思われるはず。全体にただようほのぼの感がまたよくて、なつかしさも感じます。
みみかきされる心地よさと同様、この本を読むと心地よくなることまちがいなしです。
(けいご!さん 30代・ママ 女の子10歳、男の子6歳)
6月30日 こんな出前がきたら、どうする!?
金曜日は『ふしぎなでまえ』
絵本作家かがくいひろしさんのほんわかしているけど、シュールで個性的な絵。予測のつかない不思議なお話の展開。
今度のお話も、やっぱりちょっと見ただけじゃ、内容の予想がつきません。
この方が更に面白いのは、こんな何でもない「じゃがいも」や「さつまいも」を主人公にしてしまうところ。
でも、なぜかとっても表情が豊かで生き生きしてるんですよね・・・。
さて、お話は。ものぐさコンビのじゃがさんとさつまさんが電話で出前を頼みます。ラーメンとカレーライス、おすしに天丼に・・・。さぁ、最初にラーメンとカレーライス、のはずがやって来たのは?
「こんなでまえがきたらどうする!?」
どうなるんでしょう。それは読んでのお楽しみ。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
みんなの声より
かがくいさんの絵本はどれもおもしろくて大好きです。このお話はものぐさ者のじゃがさんとさつまさんが出前を取るところから始まります。ものぐさだから出前を取ったのに、なんとも驚きの展開で、奮闘するじゃがさんとさつまさんの姿がユーモアたっぷりで思わず応援したくなりました。
奇想天外なストーリーも、かがくいさんの優しいタッチのイラストで楽しい笑いに変えてくれます。そして、読み終わったあと出前のラーメンやカレーが食べたくなりました♪
(ouchijikanさん 40代・ママ)
7月1日 みんな、夏に向かってまっしぐら!
土曜日は『なつのおとずれ』
気象予報士のかたつむりが「梅雨明けはもうすぐでしょう」と伝えました。すると太陽が「もうすぐ梅雨明けですか。そろそろみんなに知らせますか」と立ち上がりました。
まず、メロンとスイカが誰かに呼ばれたような気がしました。それに続いて、セミ、カブトムシ、かきごおり、ソフトクリーム、せんぷうきとひまわりも呼ばれたようです。いよいよ夏の風物詩たちの出番になりました。
みんなは、夏に向かってまっしぐらに走っていきます。すると、かとりせんころうさんや、とうもろこしぞうさんが一緒に連れていってと走ってきました。そして、きんぎょばちかさんに、うきわのすけさんも合流します。全員がそろうと、目の前に大きな大きな黒い雲が見えてきました。一瞬にして、大雨が降り、雷が鳴り響き、突風までおこりました。そしてながしそうめんのじっちゃんに会うと……。さあ、夏はもう目の前です!
梅雨明けから夏までをユーモアいっぱいに描いた一冊。
みんなの声より
母子ともかがくいひろしさんの作品の大ファンです。
娘にこの本を持ってくると、夏の風物詩達の可愛さと滑り台のように青空から夏が飛んでくるライブ感に大喜びしました。
わっせ、わっせと一列になって走る彼らの姿には毎度キャーキャーいって楽しんでいます。
娘は、「はっきよいはたけばしょ」「まくらのせんにんそこのあなたの巻」をかがくいひろしさんの作品の中で一番好きだといいますが、私はこの作品が一番好きです。
こんなに、いきいきとした暖かい太陽さんが描けたらどんなに楽しいだろう。楽しそうなスイカさん、ながしそうめんさんもみんな素敵。
夏は大好きな季節ではないですが、夏の持つ湿気、匂い、うだるような暑さ、暑さのかなふっと感じる涼しい風など「日本の夏」の良いところがぎゅっと詰まっています。
夏をワクワクさせてくれる素晴らしい作品です。
(かわゆいゆいさん 40代・ママ 女の子5歳)
7月2日 みんな、どんなねぞうになるのかな?
みんなの声より
最近お気に入りのかがくいさん。
サイズもちょっと小さめで、小さい子にぴったりの絵本。
でも、5歳の上の子も大喜びで、ページをめくるたびに大笑いでした。
表紙で寝ているソフトさんも、裏表紙で寝ているキリンさんもかわいい。
たこさんの「くーるくる」、ソフトさんの「と~ろとろ」、と擬音もまた楽しく、ページをめくるのが楽しいです。
ありさんはちょっと小さすぎて表情が分かりにくかったですが。
おふとんの柄も見逃さないで!
うちの息子はトイレットペーパーさんのおふとんの柄を目ざとく見つけました。
(だかりんさん 30代・ママ 男の子5歳、女の子2歳)
かがくいひろしさんプロフィール
かがくい ひろし
1955年東京生まれ。東京学芸大学卒。教諭として学校勤務のかたわら人形劇の活動や紙を使った造形作品を発表。 2005年、『おもちのきもち』(第27回講談社絵本新人賞受賞作品)で絵本作家としてデビュー。子どもの目線に立ったテーマ選びと、ほのぼのとした画風が人気を集め、以来『もくもくやかん』(講談社)『おむすびさんのたうえのひ』(PHP研究所)、『だるまさんが』(ブロンズ新社)、『まくらのせんにん さんぽみちの巻』(佼成出版社)など話題作を多数発表。2009年9月急逝。
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公式図録はこちら
いかがでしたか。
「みんなの声」を読んでいると、かがくいさんの絵本が、子どもから大人まで本当に愛されていることが伝わってきます。親子で読んだり、教室の読み聞かせで読んで、子どもも大人も一緒になって笑っている、楽しそうな様子が思い浮かびました。展覧会はちょうど夏休み期間も開催されていますので、親子で足を運べたら楽しそうですね。
秋山朋恵(絵本ナビ 副編集長)
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