【4月に読みたい絵本と新刊】はじまりの季節のおはなし会におすすめ!
絵本講師として10年以上ご活躍中のふわはねさん。絵本講座や絵本コンサル、絵本のおはなし会などを年に200回以上こなしています。そんなふわはねさんに4月のおはなし会プログラムに取り入れたい絵本や、新刊絵本のおすすめを教えていただきました。
二十四節気(にじゅうしせっき)を感じる
二十四節気とは… 1年を12か月さらにその半分、24個に分けた季節を表す名称です。
4月では…
清明せいめい(4月5日)全てのものが清らかで生き生きとする頃。草木は芽吹き花が咲く。
穀雨こくう(4月20日)種まきや田植えの時期に、あらゆる穀物を潤して育てる春の雨が降る頃。
4月のおはなし会
はじまりの4月。まだまだ新しい環境に慣れないふわふわとした気持ちに寄り添ってくれるのもやっぱり絵本のような気がします。
いつもの絵本の安心感。おうちで親しんだものが、その温もりとともに外で頑張る力になることがあります。
スキンシップ多めに。さぁ今月も楽しんでもらえますように。はじまりはじまり。
今月のわらべうた
今月もまずはわらべうたから
お話会のはじまりに。親子で楽しめるものを。
今月はこちら
「いっぽんばしこちょこちょ」
いっぽんばし こちょこちょ
たたいて つねって
かいだんのぼって…
こちょこちょこちょ
ちいさな手のひらをこちょこちょ
よく知るわらべうたではないでしょうか。
「いっぽんばしこちょこちょ」で、てのひらをゆびでなぞりくすぐる
「たたいて」で、手のひらを軽くたたき
「つねって」で、手のひらを軽くつねる
「かいだんのぼって」で、人差し指と中指でトコトコと腕をのぼり
「こちょこちょ」で、脇やお腹をくすぐる
小さな手をとり、こちょこちょとふれあい遊び。
続きに「階段登って降りて、も一つ登って降りて、裏から登ってこちょこちょ」
なんてバリエーションも。
たたいたり、つねったり、くすぐったり……。
大好きな人とだからこそ楽しいし、うれしい。
こんな手遊びから安心や信頼関係を築いていけるのではないかと思います。
さぁ、今月も絵本の時間のはじまりです。
【はじまりの絵本】みんなで一緒に楽しめる絵本
少し春が足踏みをしていた3月。それでもやっぱり春はやってきて。
今月の1冊目はこんな絵本から。
『ふうしてあそぼ』
それはこんな始まり
ふうせんを ふくらまそ
せえのっ
ふうーっ
ぽわーん
(P1-2本文引用)
いろんなものにふうーっと息をふきます。
ふうせん、しゃぼんだま、ラッパにころんで擦りむいたおひざにも!
もちろんここはみんなと一緒に息をあわせて、せえのっで「ふうーっ。」
縦開きの絵本の高さをいかしてふうーっとしたものたちが広がっていきます。
最後は今の季節にぴったりな……。
息を吹きかけると広がる世界。自分のアクションでお話が進む面白さ。
みんなで一緒にふうーっが楽しい。こんな絵本から始めましょう。
読み聞かせ時間目安<1分30秒>
【今月の新刊絵本】目に嬉しく耳に楽しいくだものの絵本
いちご ころっ
バナナ ぺろん
りんご ころん
(p1-6本文引用)
子どもたちの手におさまる、ちょうどよいサイズのボードブック。
木版画で描かれるみずみずしいくだものたちが、「ころん」や「ぎゅっぎゅっ」の言葉とともに一番おいしそうな姿で登場します。
お話会では、果物を当てっこしたり、お子さんをお膝の上に抱いて、果物にみたて、ころっと横に倒してみたり、ぷら〜んとゆらしてみたりしても楽しいですね。
読み聞かせ時間目安<55秒>
【お話とお歌の絵本】お歌と一緒にリズムよく
お次は私のお話会の大定番。大好きな一冊。
少し長めのお話も、お歌が助けてくれます。
『ボートにのって』
それはこんな始まり
うららちゃんが おとうさんと いっしょにボートに のってます。
ギーコン バッシャン
ギーコン バッシャン
ボートは すすみます。
いけの まんなかで
おとうさんが ボートを とめて
おひるねです。
おひさま ぽかぽか
かぜ そよそよ
なのはな くんくん いいにおい(p1-5本文引用)
春の陽気に誘われて、お池の仲間たちが顔をだします。
ちょうちょやかえるのうたなど
絵本の中によく知る童謡がワンフレーズずつ、5曲出てきます。
このワンフレーズがちょうどよくて。読み歌いながらテンポ良く絵本は進みます。
春になると読みたくなる一冊。一緒に歌いながら楽しめる絵本です。
読み聞かせ時間目安<3分26秒>
【昔話の絵本】教科書で出会う前に
もしかすると日本で一番有名なロシアのお話かもしれません。
『おおきなかぶ』
それはこんなお話
おじいさんが かぶを うえました。
「あまい あまい かぶになれ。
おおきな おおきな かぶになれ」
あまい げんきのよい とてつもなく おおきい かぶが できました。
(P1-3 本文引用)
小学校1年生の教科書に何十年も掲載され続けている物語のひとつ『おおきなかぶ』
「うんとこしょ どっこいしょ それでもかぶは ぬけません。」
このフレーズは誰もが耳にしたことがあるのではないでしょうか。
お話会でもうんとこしょどっこいしょとみなさん一緒に声に出してくださることが多く、知っているという安心感と喜びを感じる絵本だなぁといつも思います。
教科書で出会う前に、絵本で大好きな人の声を通して出会ってほしいなと思う一冊です。
読み聞かせ時間目安<3分>
おじいさんが植えたかぶが、甘くて元気のよいとてつもなく大きなかぶになりました。おじいさんは、「うんとこしょどっこいしょ」とかけ声をかけてかぶを抜こうとしますが、かぶは抜けません。おじいさんはおばあさんを呼んできて一緒にかぶを抜こうとしますが、かぶは抜けません。おばあさんは孫を呼び、孫は犬を呼び、犬は猫を呼んできますが、それでもかぶは抜けません。とうとう猫はねずみを呼んできますが……。力強いロシアの昔話が絵本になりました。
【その他 4月の読み聞かせにおすすめの絵本】
【展覧会へいこう】
今回は毎月の連載記事の中でプチ「展覧会へ行こう」です。
今月ご紹介するのは、3月23日(土)より明石市立文化博物館で開催されている「エルマーのぼうけん展」。1948年にアメリカで出版されて以来、半世紀以上にわたって今なお世界中で愛される冒険物語。
今回日本語出版から60周年を記念して100点を越す貴重な原画とともに物語を辿ります。
その原画は本当に繊細で美しく、まるで絵ひとつひとつの息遣いが聞こえるようでした。
歴史ある明石市立文化博物館がまた趣があり、エルマーの世界へ心地良く誘ってくれます。
展示の仕方も、工夫が随所に見られ、物語の世界を広げてくれます。
今回、私は関連イベントとして「100人で本を読む!」と言う企画にチャレンジします。
『エルマーのぼうけん』を丸ごと一冊、2時間半かけ(休憩30分含む)100人で一緒に読むと言うこの企画。
まさにものがたりを読む"ぼうけん"へ出かけます。
リトミックHOPPEの林先生にオリジナルの音をつけてもらい、明石市立文化博物館で眠っていた70年前のピアノの演奏とともに、原画をスライドで見ながら、お話を楽しみます。
まさに大冒険。
今からドキドキしておりますが、みなさんと楽しみたいと思っています(予約は満席となっております)。
会期は2024年5月19日まで。
春休みやゴールデンウィークも挟みます。ぜひお出かけしませんか。
絵本の読み聞かせについて思っていること
絵本はコミュニケーションツールです。 絵本は子ども達の歩みを助け、その成長を促してくれるかもしれません。 しかしそこには読んでくれる人の温もりを通した生きた声が不可欠です。 人と人とが向かい合い、片手間にはできない読み聞かせだからこそ愛情が注がれるのです。 子どもの持つその心のコップを絵本を使って愛情で満たしてあげてください。大好きな人の声で温もりの中聞く美しく豊かなお話。それはあっという間の子育ての濃密な時間を助け、後にその子どもたちの長い人生の心の支えとなるでしょう。
アンケート募集のお知らせ♪
【連載】絵本講師ふわはねによる季節の絵本とお話では、読者のみなさんからの感想や質問を募集しております。アンケートよりご意見をお寄せください。
Q1. お名前またはニックネーム(記事でのご紹介が可能かどうかもご記入下さい)
Q2. 質問やご感想をお寄せください。
ふわはねプロフィール
ふわはね(内田 祐子)
大学で児童文学を学ぶ。2005年絵本講師1期生として絵本講師資格取得。関西を中心に企業での定期教室をはじめ、
絵本のつなぎてとして、絵本の作り手と読み手を。親と子を。人と人を繋いでいる。
子育てアドバイザー・JPIC読書アドバイザー
大学3回生と高校3年生の娘をもつ。インスタグラム @fuwahane
この記事が気に入ったらいいね!しよう ※最近の情報をお届けします |