【今週の今日の一冊】絵本でめぐる、魅力いっぱいの「川の絵本」特集
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夏の屋外でのお楽しみといえば、川遊び。ひんやり冷たい川に手足を入れた時の気持ち良さは格別ですよね。魚釣りをしたり、水辺ではしゃいだり、川下りに挑戦したり……子どもたちにとっては、川は冒険の舞台。気持ち良く流れる川の景色や水の音は暑い日のリフレッシュにもなりますね♪
7月7日は七夕でもありますが、七夕伝説の「天の川」のイメージがあること、7月が「河川愛護月間」であること、季節的に水に親しみやすいことから、「川の日」にも制定されているそうです。そこで今週は、楽しさいっぱい魅力あふれる川の絵本をご紹介します。
2025年7月7日から7月13日までの絵本「今日の一冊」をご紹介
7月7日 天の川にカササギの橋がかかって……
読者の声より
七夕の由来本です。何となくは知っているものの、読んでみてなるほど。
あとがきとして書かれていた日本の行事と中国の行事が合わさったという説明もよくわかりました。
一年に一度しか会えないというのが、何とも切なくともあり、ロマンティックでもあり、星を見ながら、昔の人はいろいろなことを考えたのだろうと思うと、その点にもロマンを感じます。
子どもにもわかりやすい内容ですので、七夕の時期を問わず一度は読んでおきたいお話だと思いました。
(はなびやさん 40代・ママ 男の子6歳)
7月8日 一つの川をめぐる自然と人間の営み
読者の声より
川だけでなく、ダムからの電気の流れ、
石の大きさの違い、木材など川に関した仕事など、
文章に書かれているだけでなく、
絵からもたくさんの情報があふれ、
1ページを眺める時間も自然と長くなります。
特に子どもたちは、川の周りで生活する人の動きが
気になるようで、「虫捕りしてる」「遠足かな」など
会話が弾みました。
(まことあつさん 30代・ママ 男の子6歳、男の子4歳)
合わせておすすめ。
7月9日 読むジェットコースター? 川くだりの絵本!
水曜日は『かわにくまがおっこちた』
むかしむかし……とゆっくり始まり、
どんどん加速していく、読むジェットコースター!
スリルと面白さの裏には、
今を生きるうえで大切なメッセージがこめられています。
川にくまが落っこちたことをきっかけに、
川ぞいの動物たちが一緒に川下りをします。
「ぴょーん!」「にゅっ!」「へーい!」「ヒャッ、ホー!」と
次々乗り込んでくる動物たち。
それぞれの持ち味を出し合いながら、進んだ先は?
わくわくさせられる冒険の後、川がみんなをつないでながれていること、
普段隔たれていても、同じ船に乗っている仲間たちなんだということに気づかせてくれる絵本。
読者の声より
小学校4年生の読み聞かせに使用しました。
読みやすく、絵もとてもきれいです。
ハラハラドキドキの内容なのに
最後はとってもハッピーになれる内容。
小学校4年生の子供たちが食い気味で聞き入って
「面白くて、いいはなし~」と感想を漏らしてくれました!
ホント、その通り!
面白くて、いいお話 です。
(まるこちゃんさん 40代・その他の方)
7月10日 手の中でぬるぬる…いのちがあばれる
木曜日は『つかまえた』
夏のある日、ぼくが川の浅瀬に見つけたのは大きな魚。のんびりと、よどみの中でじっとしている。そっと近づいてつかまえようとして、足がすべった!
水の中でもがきながら、のばした指に魚がふれる。
「にがすもんか にがすもんか」
必死になってにぎると、それは手の中でぐりぐりあばれ……。
忘れられない少年の頃の原体験をテーマに、絵本作家田島征三さんが何年もかけて新たに取り組まれたというこの絵本。まずひきこまれるのは冒頭からの臨場感。狙った魚を手にした瞬間、そこで感じるのは確かな命。ぬるぬるして、体温があり、必死で逃げようとあばれている。
そして、話はここで終わらない。とった魚を横にして、ぼくは夢を見るのだ。彼をだいて、だかれて。いつしかぼくにとって魚は同士になっているのだろうか。目が覚め、ぐったりしていた彼に驚き、慌てて水の中へ連れていく。
「しんじゃだめだ! しんじゃだめだ!」
絵本の中を力強く走り回る少年の一挙手一投足、逃げる魚と飛沫をあげる川の水、そしていつでもそこにある草むらと遠くに見える木々。80歳を過ぎた今もなお精力的に描き続けるその筆の線は全てが力強く生きていて、生命がほとばしり、子ども達の心に直接訴えかけてくるのです。
読んだ後、もし心がうずうずしてきたら。なんだか身体が落ち着かなくなってきたら。それはもう大正解、とにかく走り出してみるのをおススメします。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者の声より
迫力の表紙絵に、思わず惹かれました。
田島征三さんの子ども時代の原体験がベースになっているようですね。
夏の川の浅瀬で見つけた大きな魚。
近づいたら、足が滑って、川の中へ。
思わず触れた魚との格闘です。
まさしく、生命の触感ですね。
捕まえた喜びが伝わってきます。
ふと気づくと、バケツからはねて草の上でぐったりの魚。
必死の行動が、また生命を感じさせます。
ラストシーンは、魚との絆を感じます。
ダイナミックな絵が臨場感たっぷり。
なかなかこんな体験できませんから、ぜひ、一緒に味わってほしいです。
幼稚園児くらいから、でしょうか。
(レイラさん 50代・ママ)
7月11日 「川の水って、どこにいくんだろう?」
金曜日は『うみまでいけるかな?』
小さなねずみのチュッチュとチョピー。大の仲良しの2ひきがふと疑問に思ったのが、こんな事。「川の水って、どこにいくんだろう?」
どうやら海って言う、大きな大きな水たまりにいくみたいだけど? すると目に飛び込んできたのが、木にひっかかっていた帽子。「あれに乗って、海までいけるかな?」
…うん、わかるわかる。その感覚。帽子ではちょっぴり頼りない気するけれど、2ひき一緒なら、なんだって実現できるはずなのです。早速、帽子に乗り込んで、意気揚々と出発したチュッチュとチョピー。だけれど、いきなり目の前に現れたのは、大きな大きな…へび!? 大ピンチ、ちゃんと海までたどり着けるのでしょうか。
好奇心旺盛な2ひきが大はりきりで繰り出す大冒険には、ハラハラドキドキがたくさん。でも、遊びゴコロも盛りだくさん。穴あきのめくりしかけ絵本になっているのです。「あぶない!どうしよう!」「ああー、よかった」の繰り返しが、子どもたちを夢中にさせてくれます。子どもたちの毎日だって、きっとこんな風に驚きと安心に満ちているのでしょうね。
人気絵本作家の新井洋行さんと小林ゆき子さんが組んだ作品は、とても爽やかで可愛いらしい1冊になりました。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者の声より
夏らしい絵本が読みたくて探しているときに見つけました。
とても可愛らしく、見やすいイラストでした。
青いズボンのチュッチュと、赤いズボンのチュピー。
2ひきのねずみが、川を下って、海を目指すというお話です。
途中、さらにめくるというしかけもあって、とても楽しいです。
特に、滝を落ちるシーンは、迫力がありました。
小さい子と読んだら、喜んでもらえそうです。
(クッチーナママさん 40代・ママ 女の子16歳、女の子13歳、男の子10歳)
7月12日 いっしょにつれてってと、小舟はどんどんにぎやかに
土曜日は『ガンピーさんのふなあそび<新版>』
ガンピーさんが、小舟で出かけます。途中で、子どもたち、うさぎ、ねこ、いぬ、ぶた、ひつじ、にわとり、こうし、やぎ……と、つぎつぎに「乗せてください」と乗りこんできました。
はじめは、みんな仲よく乗っていましたが、さて、どうなるでしょう?
バーニンガム独特のさわやかなタッチで描かれた、ケイト・グリーナウェイ賞受賞の傑作絵本が新版として生まれかわりました。
読者の声より
ガンピーさんが小舟で出かけると、途中で子供たち、うさぎ、ねこ、犬、ぶた、ひつじ、にわとり、子牛、やぎが次々と乗り込んできます。子供たちには「けんかさえしなけりゃね」、うさぎには「飛んだり跳ねたりしなけりゃね」、ねこには「うさぎを追い回したりしなけりゃね」…とそれぞれ条件を伝えるのですが、その条件って実は彼らの本能そのもの。みんなが乗り込んでしばらくすると、みんなはいつもの自分たちに戻ってしまい……。
やさしく何でも受け入れるガンピーさんのキャラクターが魅力的。川くだりという英国的な田園の楽しみ方にも惹かれました。どんどん動物たちが乗り込んで小舟が狭くなっていく情景は「てぶくろ」を思い出したけれど、この作品のよさはむしろ劇的な変化よりもゆったり流れる午後の平穏さとそこにたたずむ主人公たちかな。
動物たちが登場する場面は右ページが彼らのポートレートになっていて、特に小さな子供たちを魅了することでしょう。(娘もこの右ページいっぱいに描かれた動物が大好き。)最後の方にアフタヌーンティーの場面が描かれているのですが、ほのぼのしていていいなー。テーブルの上のケーキ、いつかこれを焼いてうちでもアフタヌーンティーを楽しみたいなと思ったのでした。
(ムースさん 40代・ママ 男の子9歳、女の子4歳)
7月13日 源流から河口までを空からたどる鳥瞰地図絵本
読者の声より
多摩川のすべてを知りたい人におすすめ。
奥多摩の山の神様とおつかいの男の子(精霊?)が多摩川の源流から海までをたどっていく絵本です。
奥多摩の山の中から始まって、ずーっとずーっと川は流れてゆきます。
その様子を途切れることなく、細かくイラストの地図にしています。
奥多摩のダムのこと、田園地帯の円筒分水というしくみのこと。
狛江であった洪水のこと、分倍河原での大昔の戦のこと・・。
川と人間の暮らしのさまざまなことを学べました。
息子も知っている小田急線・南武線・田園都市線・・
行ったことがある場所はいっそう興味深くくいつきもよいです。
中でも大好きな等々力渓谷には「あ~!ここをこうやって歩いたよね~」と嬉しそう。
同じく山歩きの好きな祖父が、源流から海まで歩いたことがあるそうで、
この絵本を見ながら息子と「さいごの所だけ工場で入れなかったんだよ」とお喋りしてました。「いい絵本だ」とも。
かなり細かく地名も載っているので、子どもから大人まで
いろんな楽しみ方ができそうな絵本です。
もちろん地図マニアな私も楽しみました。
(10月さん 30代・ママ 男の子5歳)
「日本の川」シリーズ、全国の魅力的な川を探検してみよう!
他にも素敵な「川の絵本」がいっぱい。
いかがでしたか。
この夏も、川の近くを歩いてみたり、子どもたちと川遊びをしたり、川下りに挑戦してみたり、川をたっぷりと楽しんでくださいね。
選書・文:秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)
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