一冊の絵本がつなぐ心。読み聞かせボランティアをはじめるあなたに贈る最初の一歩
この春、新しい環境が始まっている方、何か始めたいと思っている方も多いかもしれません。
その中で、お子さんの小学校での読み聞かせボランティアを始めようと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私も、娘たちが通う小学校で、読書ボランティアを卒業まで経験させていただきました。
また読書ボランティアをされている方からのご依頼で、講座もさせていただいております。
そうした経験からも、これから始める方に向けて、お伝えさせていただきたいと思います。
読み聞かせをはじめる前に知っておきたい大切なこと
絵本は読んでもらうもの
私が読書ボランティアの皆さまへお伝えしたいことを、いくつかの視点からまとめました。
まず最初に。
絵本は「読んでもらうもの」です。
声に出して届けられる物語は、子どもたちに喜びや楽しさ、そして安心感を与えます。
大好きな人の声で、自分のために読んでもらう時間。
それは単に「文字が読めないから代わりに読む」ということではなく、絵本を通した大切なコミュニケーションです。
何もかもを一旦置いて、自分のためだけに読んでもらう時間は、子どもにとってかけがえのないものです。
読み聞かせには、さまざまな場面があります。
家庭で、親から子へ本を読む時間。
保育園や幼稚園のお部屋や小学校の教室で、先生がクラスの子ども達に読む時間。
図書室や図書館で、司書の方が読む時間。
小学校の教室や子育て支援施設での読書ボランティアさんによる読み聞かせ。
また、イベントなどでの読み聞かせもあります。
「いつ・どこで・誰に読むのか」によって、選ぶ絵本も、読み方も変わります。
そして、読んでもらう側のその受けとめ方もまた、変わってくるのではないでしょうか。
信頼関係の大切さ
私はこれまで20年間、親子への読み聞かせに関わってきました。
その中で、1年生から6年生までの小学校での読書ボランティアをはじめ、保育園や幼稚園、子育てサークル、書店や、百貨店など、さまざまな現場で絵本を読んできました。
少人数で膝を突き合わせるような親子の時間から、500人規模の会場での読み聞かせまで、経験は多岐にわたります。
その中で強く感じているのは、読み手と聞き手の信頼関係の大切さです。
子どもたちは、「どんな絵本か」と同じくらい、
「誰が読んでくれるのか」を感じ取っています。
初めて会う人なのか、いつもの先生なのか、それともお友達のお母さんなのか。
それは、大人が「この人のおすすめなら間違いない」と感じる感覚と、どこか似ているのかもしれません。
だからこそ、読み聞かせは信頼の上に成り立つもの。
その信頼を作り上げること。そしてその信頼を裏切らないように、丁寧に向き合っていくことが大切だと感じています。
家庭での読み聞かせ
今回のテーマとは少し異なるように思われるかもしれませんが、家庭での読み聞かせについても大切にしたい視点です。
家庭での読み聞かせは、基本的に「どんな絵本を選んでも、どんな読み方をしてもよい」と私は考えています。
子どもが「これ読んで」と大好きなお母さんやお父さん、おじいちゃんやおばあちゃんに持ってくる。
「いいよ」と膝に抱き寄せ絵本を読む。
その行為自体が、すでに大切なコミュニケーションです。
内容ももちろん大切ですが、それ以前に「読んで」と言われて「いいよ」と応えること。
それが、絵本の持つ大きな役割のひとつだと思っています。
日常の中で、子どもの希望がすぐに受け入れられることは、実はそう多くありません。
だからこそ、自分のために時間を使ってもらえるこの絵本を通した時間は、特別なものになります。
また、読み聞かせは途中でやめてもいいものです。
子どもが「もういい」と感じたらやめられる関係性もまた、大切です。
もし途中で興味がなくなった場合は、無理に続けず、その今の感覚を尊重してあげてください。
大人だって、本を途中で閉じること。ありますよね。
それくらい、ご家庭での読み聞かせは信頼関係、愛着のある中でのコミニケーションのひとつだと私は思います。
集団での読み聞かせ
一方で、集団での読み聞かせには、より慎重さが求められます。
そこには、まだ信頼関係が築かれていない相手が含まれている可能性があります。
また、読み手が子どもにとって「影響力のある立場」である場合も多いからです。
集団の場では、子どもたちが途中で離れることが難しいこともあります。
そのため、選書には特に配慮が必要です。
近年、絵本の表現は多様化しています。
中には強い刺激を持つ作品や、読み手によって解釈が分かれる作品もあります。
特定の子どもにとって負担となる可能性のある内容や、恐怖や不安を強く与えるものについては、特に慎重に扱う必要があります。
不特定多数の子どもたちに向けて読む場だからこそ、
安心して受け取れる時間であることを大切にしなければと、私は考えます。
まずは一緒に楽しむ!読書ボランティア1冊目におすすめの絵本
最後に、はじめましての子ども達と学年を問わず仲良くなれる絵本をご紹介します。
まずはみんなで深呼吸なんてどうでしょう。
絵本をめくるとぷんぷん怒ってるねずみさん、えーんえーん泣いてるぞうさん...
そんなときはこうするよ
はなからすーっとすって、くちからふー
一緒にクラスの子どもたちとやってみてはどうでしょう。
はなからすー、くちからふー
松田奈那子さんの描く動物たちはどの子も愛らしく。
そんな可愛い動物たちが吐いた息はどれも優しい色をしていてすーっと心が軽くなる気がする。
巻末には小児科の院長による、深呼吸の正しいやり方も掲載。
読み終わる頃には子どもたちと一緒にリラックス。
緊張すると呼吸は浅くなります。
深呼吸は自分でできる自分を守る技。こんな絵本からスタートもおすすめです。
お次は新刊から。みんなと一緒に声を出すこんな絵本もおすすめ!
この絵本、なんと「あ」しか出てこない絵本です。
そして、「あ」をみんなで声に出して楽しむ絵本なんです。
さぁ、みなさん。準備はいいですか?
大きく「あ」
小さく「あ」
なが〜く「あーーーーーーー」
いろんな「あ」がどんどん出てきます。
少し緊張気味の時でも、子ども達の声にどんどん元気が出てくる。
「声に出すって楽しい!」が自然と広がる一冊。
おはなし会の導入にも、
幼稚園・小学校・高齢者の方との時間にもぴったり。
絵本って、静かに聞くもの!じゃなくていい。
絵本を真ん中に、ことばや声のやりとりが広がる時間こそ、大勢の読み聞かせの醍醐味。
とにかく、楽しい!!
ぜひ声に出して楽しんでほしい一冊です。
『ウラパン・オコサ』みんなで楽しむ数遊びの絵本
中学年、高学年にはこちらもおすすめ。
これは数遊びの絵本です。
1と2だけでかずあそびをします。
1がウラパン
2がオコサ
さるが1ぴきでウラパン
バナナが2ほんでオコサ
数が増えるとオコサを先に数えて残りはウラパンになります。
シマウマ三頭で、オコサ•ウラパンという風に。
本当に大好きな絵本で、小学校で読み聞かせを始めた時から、読みたくてウズウズしていたくらい。
忘れもしない三年生の教室。
みんなといっしょに、ウラパン、ウラパン、オコサ!の大合唱。
15分の持ち時間。
4分ほどで読み終わってしまうこの絵本。どうしようかなーと思ってましたが、
最後はクラスの人数数えよう!とみんなに立ってもらって。
どうやって数える?と聞くと、2人組になるといいよ!って子どもたちが教えてくれました。
じゃあ2人組で、1オコサ2オコサ3オコサと数えて…。
最後はさすが三年生。掛け算使って16×2+1で33人!!
あー。楽しかった(笑)
数の概念、奇数や偶数、二進法なんて難しいことではなく、ただ単純に楽しめるこの絵本。
小さい子は小さい子なりに、大きい子は大きい子なりの考え方で、数と親しみ学べる素敵な一冊です!
合わせてこちらもおすすめ。
おわりに
今回の記事では、不特定多数の大勢に絵本を読むということの心構えとして、基本的なところをお伝えしました。
次回はもう少し具体的に、絵本の選び方や、準備、読み方についてお伝えしたいと思っています。
お伝えしたのは……
ふわはねプロフィール
ふわはね(内田 祐子)
絵本講師・子育てアドバイザー・ふわはねえほん 主宰
大学で児童文学を学ぶ。2005年絵本講師1期生として絵本講師資格取得。関西を中心に企業での定期教室をはじめ、幼児教育に携わる先生や書店員への研修。絵本講座、研修、絵本コンサルなどを行っている。絵本のつなぎてとして、絵本の作り手と読み手を。親と子を。人と人を繋ぐ。
絵本のある暮らしを発信するインスタグラムはフォロワーが2万人を超える。
大学生と子ども園教諭の娘をもつ。
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