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「第73回 産経児童出版文化賞」受賞9作品が決定! 大賞は、『もしも君の町がガザだったら』

大賞は、『もしも君の町がガザだったら』

産経新聞社主催「第73回 産経児童出版文化賞」の受賞作品9点が決定しました。昨年1年間に刊行された全児童図書で、初版が日本語で出版された小学校高学年までが読者対象の作品など4276点が審査され、9点が大賞、JR賞、タイヘイ賞、美術賞、産経新聞社賞、フジテレビ賞、ニッポン放送賞、翻訳作品賞に選ばれました。

たくさんの児童向けの新刊から選ばれた9作品を、詳しくご紹介します。

「第73回 産経児童出版文化賞」受賞作品【大賞】

『もしも君の町がガザだったら』 高橋真樹 著(ポプラ社)

ガザやヨルダン川西岸地区に一体何がおきているのか。小学生にもわかるようにやさしく解説してくれる一冊。

占領、封鎖、爆撃、飢餓…。あらゆる人道的危機に苦しみ続けるパレスチナ。ガザやヨルダン川西岸地区に一体何がおきているのか、なぜこんな事態になってしまったのか、私達に何ができるのか。パレスチナの地をめぐる歴史を紐解きながら、約30年にわたってパレスチナに関わってきた著者が小学生にもわかるようにやさしく解説します。親子で読みたいパレスチナ入門書。世界から「無関心」がなくなることを願って刊行しました。

【JR賞】

『どきどきしてる』 たけがみたえ 著(偕成社)

今、この時、この瞬間。 世界のいたるところで、 みんなみんな、どきどきしてる。

〈にわとりは どきどきしてる
 あさいちばん おおきなこえを だして
 どきどきしてる〉

〈さなぎは どきどきしてる
 もうすぐ ちょうに なりそう〉

いろいろな生きものたちが、
この世界のいたるところで「どきどき」しています。

〈みんな みんな どきどきしてる
 いま このとき このしゅんかん〉

うれしいときも、かなしいときも、
どきどきしてる、生きている。
力強い版画と素朴な言葉でつむぐ、
やさしくて、まっすぐな、生きもの讃歌。

【タイヘイ賞】

『わたし、わかんない』 岩瀬成子 著(講談社)

自分らしく生きるために何が必要かを考え続ける物語。

「ここはいやだとおもう気もち、わたし、ちょっとだけわかる。」野間児童文芸賞、小学館文学賞、産経児童出版文化賞大賞、IBBYオナーリスト賞など数々の賞を受賞する岩瀬成子氏の最新長編作品。

校舎を見上げると、二階の窓から女の子が体を半分のりだして、いまにも飛びおりようとしていた。またあの子だ。
〈あー〉
声にはださずにさけぶ。
〈飛んじゃだめ〉
髪に黄色いリボンをむすんでいるその子にむかってさけぶ。ーー

学校で、みんなのなかにまじりこんでいるとおもっていても、気がついたら、いつもみんなの外にいる。

校舎からでて、ふりむいた。そして、あの二階の窓を見あげた。窓はあいているけれど、あの女の子のすがたはなかった。
ーーー

「そんとき、いやだ、いやだ、いやだ、って声が体のなかからきこえたんだ。その言葉がわたしの体をぐるぐるまきにしているのがわかったの」
「ぼくね、中ちゃんのそういうとこ、うらやましいよ。ぼくだって、いやだなあっておもうことはあるよ。だけど、どうしても、いわれたとおりにしてしまうんだ」


本文より。

あらすじ
教室で「わかんない」といつも答えてしまうから学校で「わかんないちゃん」と呼ばれている少女の中はいつも学校の校門へ着くと、大きなため息をつく。
校舎をみあげると二階の窓から女の子が体をのりだして、いまにも飛び降りようとしているのだ。でも、目をつぶって二階をもう一度見ると窓はしまっている。

ある日、犯罪研究に興味があるという仲良しの幼馴染のセンくんから、近所であやしい動きをしている人を見つけ、中も一緒に見張り調査をすることに。

わからないことを抱えて生きる子ども達、大人達がそれぞれのいるべき場所と答えを探していく。

装画は日本絵本賞、講談社出版文化賞、ブラチスラバ世界絵本原画展金牌、オランダ銀の石筆賞など受賞の酒井駒子氏。

【美術賞】

『ある星の汽車』 森洋子 作(福音館書店)

広い大地を走る汽車。汽車にはたくさんの乗客が乗っていて、次々に降りていきます。

【絶滅してしまった動物たちを描いた創作絵本】

広い大地を走る汽車。汽車には、ドードーの紳士、卵を大事に抱えたオオウミガラスの夫婦、リョコウバトの団体客など、たくさんの乗客が乗っています。その中に、お父さんと旅をする男の子がひとり。男の子は車内をまわって、動物たちと会話をしたり、つぶやきを聞いたりします。しばらくすると、汽車が駅に止まり、ドードーの紳士が下車していきます。その後も駅に着くたびに、乗客がひとりずつ降りていき、徐々に車内は寂しくなっていきます。

【産経新聞社賞】

『ずかん 石積み』 ニシ工芸石積み研究会 著 / 真田純子 監修(技術評論社)

古くから棚田や城壁などにも使われている、石積み技術が楽しく学べる一冊

歴史に学ぶ 持続可能な石積み技術が楽しく学べる!
石を積み上げてつくる石積みは、古くから棚田や城壁などにも使われています。
SDGsや資源循環の観点からも、コンクリートやモルタルを使用しない限りある資源を大切にした、環境にやさしい「空石積み」技術が日本だけではなく海外でも見直されています。また、日本の匠の技術は海外でも注目を集めています。
これまで培ってきた日本の棚田や城壁などの伝統技術を学びながら、現代での石積みの活用方法を解説。環境問題についても考えながら、楽しく学べる1冊です。

【フジテレビ賞】

『ちょっとだけともだち』 なかがわちひろ 作(のら書店)

「ちょっとだけ」の関係でも、心の中で輝きつづけるともだちを描く、あたたかな物語。

ともだちづくりに励む一平くん。ある日、カメの展覧会でヒロくんと出会います。一平くんとヒロくんは、カメのことでは話が合いますが、そのほかはずいぶんちがって、いろいろ合わなくて……。でも!
「ちょっとだけ」の関係でも、心の中で輝きつづけるともだちを描く、あたたかな物語。
大好評の『すてきなひとりぼっち』『ぼくは、ういてる。』の一平くんのおはなし第3弾。


心にぴたっとはまったパズルのピースのようなともだち。それはわたしの小さな一部でしかなかったけれど、そのひとにとってわたしもそうだったろうけれど、かけがえのないひとときは遠い星のようにまたたいています。(なかがわちひろ)

【ニッポン放送賞】

『白い虹を投げる』 吉野万理子 作(Gakken)

人と人との心をつなぐ、キャッチボールの物語

「葉央は『キャッチボールクラシック』っていう大会知ってる?」
★★「チームふたり」シリーズの吉野万理子が贈る★★
★★人と人との心をつなぐ、キャッチボールの物語★★

〇第58回夏休みの本(緑陰図書)選定図書
〇令和7年度埼玉県推奨図書【小学校5・6年生向け】
〇「第44回とっとり読書絵てがみ・感想文コンクール」課題図書(小学校 高学年の部)

同じ野球チームでがんばっていた、ヤヤと葉央。ヤヤは転校してから新しいチームになじめず、残された葉央はメンバー不足で試合ができない。ふたりはメールを送り、たがいにはげまし合う。「キャッチボールクラシック」という大会を知り、ヤヤと葉央はそこで再会することを誓うが――。 
                        
<登場人物>
〇ヤヤ
野球をするのが大好きな小学6年生。前チームでエースを務めていたが、転校した。
〇葉央(はお)
ヤヤの元チームメイト。ヤヤがチームからはなれた現在はキャプテンを担っている。
〇トモ
葉央の弟。小学1年生の終わりに脚の病気になり、小学2年生の冬に手術を経験した。
 
☆☆☆☆★★★★★★☆☆☆☆
この本のストーリーの見どころ
★★★★☆☆☆☆☆☆★★★★
1.自身のルーツや甲子園に出られないことに悩む少女――
主人公の少女・ヤヤは、転校先の学校や新しく入った野球チーム「桜坂ナイン」の雰囲気になじめず、自身が日本人とアメリカ人の間に生まれたことや、女子が夏の甲子園大会に出られないこと、野球チームを取りまく保護者たちの微妙な関係性などに思い悩みます。
 
2.脚の手術をして退院したばかりの弟を思いやる少年――
激しい運動ができない弟・トモを思いやり、兄の葉央は野球の話を積極的にしないようにしていました。しかし、トモはそんな葉央に対してどこか怒っているようで……。「そんなに大変に見える?」と言われた葉央はトモとどう接すればいいか悩むようになります。
 
3.ふたりの少女・少年はキャッチボールクラシックに臨む――
キャッチボールクラシックの県大会で再会することを誓ったふたりは、それぞれのチームで練習にはげみますが、野球とは勝手がちがって……。チームメイトのこと、母のこと、弟のこと……。少女・少年たちがどのような思いでキャッチボールに臨むのか注目です。

【翻訳作品賞】

『サメのイェニー』 よこのなな 訳(岩波書店)

「わたしはサメなんだ。」子どもの想像力や感性をユニークに描く一冊。

小2のイェニーは、読書が大好きで大声を出すのがきらい。教室でもサメのように、静かにひとりですごしたいのに、先生もみんなもわかってくれません。ある日、水族館〈海の世界〉に迷い込んだイェニーはサメと出会い、悩みを相談しますが……。子どもの想像力や感性をユニークに描いた、ニルス・ホルゲション賞受賞作。

『レーナとヒキガエルの紳士』 河野万里子 訳(徳間書店)

「あの森にはなにかいる。 森には目がある。耳もある」

世界で活躍する人気イラストレーター、
ジュリア・サルダの絵本

西のはてに奇妙な森があった。
町の人たちは
「あの森にはなにかいる。
森には目がある。耳もある」とうわさをした。
森から二度ともどらない人もいた。
でも、町の人は森にたきぎや木の実を
とりにいった。

森と町のあいだには、川が流れていた。
町でただひとり、舟を持つ物静かな少女レーナが、
渡し守をしていた。
ある日、レーナがひそかに思いを寄せる
青年オーレンが、森からもどらなかった。
数日後、嵐のなか、現れたのは
奇妙なヒキガエル。
「森の主(あるじ)」と名乗るそのヒキガエルに、
レーナは森の奥の家へ招待される。
このヒキガエルなら、オーレンのことを
何か知っているかもしれない。
レーナはヒキガエルについていく。

ところが、ヒキガエルが「見てはならない」という部屋をのぞいたレーナが見たものは…?

ちょっぴりこわい昔話風の物語に、
世界で人気をほこるイラストレーター、
ジュリア・サルダが絵を添えました。
美しい絵とともに物語を堪能できる、
子どもから大人までひきこまれる絵本。

【選考委員】

《文学》 川端有子氏(日本女子大教授)、土居安子氏(大阪国際児童文学振興財団理事)

《絵本・美術》 落合恵子氏(作家・クレヨンハウス代表)、さくまゆみこ氏(翻訳家)

《社会・科学》 木下勇氏(千葉大学名誉教授)、張替惠子氏(東京子ども図書館理事長)

《ゲスト選考委員》 協賛社のタイヘイおよびメディア各社の選考委員が最終選考に参加

【主催】産経新聞社 

【後援】フジテレビジョン、ニッポン放送

【協賛】JR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州、JR貨物、タイヘイ

産経児童出版文化賞とは

「次の世代を担う子どもたちに良い本を」を主旨に、昭和29(1954)年に制定されました。これまでに児童文学、絵本、翻訳本、図鑑などの児童書約1200作品が受賞しています。戦後日本の児童文学、絵本文化の歴史を形づくってきた表彰制度です。

下記のテーマでは、2000年以降の大賞受賞作品を集めてご紹介しています。

歴代の大賞作品にはどんな作品が選ばれているのか、チェックしてみてくださいね。

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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