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子どもと絵本のエピソード

【子どもと絵本のエピソード】保育士がっちょに聞く!”ことば”を覚える4冊

現役保育士で絵本専門士の大河原悠哉(がっちょ)です。私は公立保育士・幼稚園教諭を計10年経験したのち、現在は株式会社SHUHARIの認可保育園元気キッズにて勤務しています。また、子育て支援のイベントを主催・運営したり、保護者向け・保育士向けの絵本講座をしています。子どもとの絵本エピソードや活用方法についてお話しします。

がっちょ先生

【3歳児クラスで読む絵本】ついつい呼んでみたくなる

子どもたち同士、友達のことを「あっちゃん」とか「なっちゃん」とか愛称で呼んだりしますよね。愛称で呼べることで、親しみが湧いたり、仲が深まったり。子どもたちの世界には、子ども同士の距離を縮めるきっかけの1つでもあるように思います。私が3歳児のクラスを受け持った時に、よく読む絵本の1つがこちら。

友達との距離がグッと縮まる絵本

あっちゃんあがつく たべものあいうえお

うたって、あそべて、たのしめる、愉快な「たべものあいうえお」。「あ」から「ん」まで、濁音、半濁音も含めて69音すべてが登場。名前の頭文字で「ことばあそび」もできます。

140ページもある、とても分厚い絵本。1日では読み切れません。数日に分けてじっくりじっくり楽しんでいくことをオススメします。「あっちゃん あがつく あいすくりーむ」「いっちゃん いがつく いちごじゃむ」とテンポよく読むことができ、読み進めていくと、クラスの友達と同じ愛称が出てきて、盛り上がったり嬉しそうにしたり。この絵本をきっかけに友達のことを愛称で呼び、仲良くなっていくなんて姿も見られたりしました。必要以上に愛称で呼んだり、からかいや悪口のようにならないように配慮したりすることは必要かと思いますが、友達と仲良くなるきっかけを与えてくれる絵本です。この絵本は違うページにいくと似たような場面が出てきます。よく見てみるとこの絵本の面白さに気が付くと思います。これも子どもたちに教えてもらった絵本の楽しみの1つです。

【5歳児クラスでよく読んだ絵本】知らない言葉でもあえて説明しない

5歳児クラスを担当した時に読む絵本の1つに『ものぐさトミー』という絵本があります。子どもに「この絵本を読むよ!」と話をすると必ずと言って良いほど、ポカンとした顔をされます。「ものぐさって何?」と。でも

敢えて説明はしません。子どもたちには伝わりづらい言葉が出てくる絵本の場合、説明しなくても良い場合と説明が必要な場合があると、私は思っています。この『ものぐさトミー』は説明の必要はありません。それは、読み進めていくと、ものぐさがどういうことかが分かるからです。説明が必要な場合は、状況や読む年齢などに応じてですが、その意味が分からないと話の内容が伝わりにくい時のみ行うようにしています。

このお話は、トミー・ナマケンボという男の子のものぐさな日常が描かれています。個人的には、こんな生活してみたいなと思うほど…。

こんな生活をしてみたい?絵本

ものぐさトミー

なまけ者のトミーは,電気じかけの家に住んでいます.朝ベッドから起きるのも,お風呂に入るのも,服を着るのも,食べるのも歯をみがくのも,すべて機械じかけ.ところがある嵐の日,停電になって…….

この絵本を読み終えた時に「ものぐさって何?」と聞いてきた子が最初に発した言葉は「パパと一緒だ!」でした。その後、「パパはね…」とものぐさなエピソードをたくさん語ってくれたのは内緒の話。今時あまり使われない言葉や子どもにとって馴染みのない言葉でも絵本を読んで、子どもたちになりに理解をしているのではないでしょうか。

普段生活に馴染みのないものの名前を絵本を通して知る

先日、『しりとりのだいすきなおうさま』を読みました。この絵本は、なんでもしりとりの順番に並んでいないと気が済まない王様のお話です。しりとりを楽しみながら、ストーリーが展開していくので、子どもたちに大人気の絵本です。

 

いつものように子どもたちとしりとりをしながら、楽しんでいきました。3、4、5歳児の子どもたちに読んだのですが、3歳の子は、王様と家来たちのやりとりを楽しみ、4歳の子は、必死にしりとりを答えようと頑張り、5歳児にもなると、自信満々にテンポよく答えていきます。

しりとりが楽しい絵本

しりとりのだいすきなおうさま

なんでもしりとりの順に並んでいないと気がすまない王様、
料理の順番も、もちろんしりとり。そして最後は好物プリンと決まっています。
間違ってラーメンなんかで食事が終わろうものなら、王様はかんかんです。
悪戦苦闘する家来たちは、そんな王様をこらしめてやろうと、ある作戦を考えました。

最後のオチを楽しみ、裏表紙もしっかり見せます。絵本は、裏表紙で完結するものも多くありますので、忘れないように心掛けています。この絵本も、裏表紙で完結するのですが、それだけでは終わりません。

 

こちらの絵本は、表紙に醍醐味があります。裏表紙まで読んだら、表紙に戻ります。読む前には気付かなかった表紙のしりとりに気付く子がいるのです。

こけし

絵本でしりとりに慣れた子どもたちはスラスラと、「りんご、ごりら、らっぱ、ぱんつ・・・」と楽しんでいくと、途中で子どもたちが止まってしまいます。こけしとまりで。現代の子どもには、あまり馴染みのないものだからでしょう。こちらがすぐに答えず待っていると、一人や二人知っている子がいるんですね。「こけし」「まり」と答えてくれます。

まり

そこで、子どもたちは「こけし」「まり」を知るのです。普段生活に馴染みのないものも絵本を通して知る。これも絵本の魅力の1つかもしれませんね。

“しばかり”ってどんな意味?

保育園や幼稚園では、馴染みのある【ももたろう】。絵本や紙芝居など私も幾度となく、読んだ昔話の1つです。4、5歳児くらいになってくると、大まかなストーリー展開は多くの子どもたちが知っていたり理解することができたりするので、劇遊びに発展しやすいお話でもあります。ももたろうと言っても絵本や紙芝居によってストーリー展開は様々です。子どもたちが聞いたり知っていたりするももたろうも違うのではないかと思い、色々なももたろうを集め、日替わりで違うももたろうを楽しむ『ももたろう週間』というのを行いました。(『ももたろう週間』については、次回以降触れていきたいと思います)

劇遊びの定番絵本

ももたろう

おばあさんが川で洗濯をしていると、大きな桃が流れてきました。桃をもちかえって切ろうとしたら、なんと桃からかわいい男の子が生まれました。「桃太郎」と名付けられた男の子は、おばあさんとおじいさんが用意してくれたおかゆや魚を食べて、どんどん大きくなり、立派に成長します。そんなある日、桃太郎は鬼が島の鬼が悪事をはたらいていると聞き、鬼退治にでかけることにします。力強い絵とともに、真の昔話の面白さが味わえる1冊です。

色々なももたろうを読み進めていくと子どもからこんな呟きがありました。「“しばかり”ってどんなお仕事?」と。みなさんは子どもに同じ質問をされたとき、どのように返しますか?私は「芝生を刈ることかな!」と返しました。すると違う子どもに「でも、枝を拾ってるよ?」と言われ、絵本を見返してみました。すると絵本には芝生を刈っているシーンはありません。どのももたろうを見てもおじいさんは木の枝を拾い、背負っています。ちゃんと絵で語られていました。そう、しばかりとは、柴(木の枝)刈りだったのです。子どもたちの見ているところは鋭いと感じた瞬間でもありました。今でも思い出すと恥ずかしい話ですが、子どもたちのおかげでしばかりの本当の意味を知ることができた大切な思い出です。

質問コーナー

保育士さんならではの「ワザ」があれば教えて欲しい

2歳4ヶ月の子どもが苦手な食べ物も、今通っている保育園の先生は「野菜を食べるとお目々がキラキラになるよ!」「ほっぺがぷるぷるになるよ!」など、上手に乗せて食べさせてくださっているようです。

 

他にもこのような感じで、子どもの気分が乗らなくてやってくれないようなことを上手にやらせてあげられるような、保育士さんならではの「ワザ」があれば教えて欲しいです。(40代 2歳の女の子のママ)

と質問を頂きました。

 

とても素敵な先生ですね!お子さんも気持ちよく保育園生活を送れているのではないかと思います。

私がよく行っているのは、食事の時は、「スプーン電車に乗せて、おくち駅にしゅっぱーつ!」など楽しんで取り組めるようにしています。着替えやおもちゃなどのお片付けなども「○○にへーんしん!」とその子の好きなものに変身できるような言葉掛けをしたり、「先生とお片付けの勝負だ!よーい、どん!」と勝負して負けてみたり、「遊び」の要素などを入れて関わるように心掛けています。

 

大人もそうですが、楽しみながら行えると子どもたちも気持ちよく生活できるのかなと思っています。

大河原悠哉(がっちょ)

公立保育士・幼稚園教諭を計10年経験ののち退職。現在は、株式会社SHUHARIの認可保育園元気キッズにて勤務。 平成29年6月に独立行政法人国立青少年教育振興機構による「絵本専門士」を取得。子育て支援センターや図書館、本屋などでおはなし会や保育者・親子向けの絵本講座や研修を行っている。 現在は、保育士・ライター・子育て支援イベントの主催、運営・講師など様々な顔を持つ。 『【絵本専門士】がっちょの絵本ブログ』を運営

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掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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