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絵本トレンドライターN田N昌の “大人だってもっと絵本読みたいの!”

芸術の秋、パパママも絵が描きたくなる! おうち遊びにぴったりの参加型絵本

子どもだけが読むなんてもったいない。大人も楽しい絵本の世界を、絵本トレンドライター・N田N昌さんが、独自の視点と「ゴイスー」な語り口でご紹介! 
最近話題の新しい絵本、注目の作家さん、気になる絵本関連スポットなど、絵本のトレンド情報を大人に向けてお届けします。

大人も満喫、絵本といっしょに芸術の秋!

秋になると、芸術の秋ということで、“絵を描きたくなる絵本”特集をよく目にいたします。その多くは、絵を描くことがテーマになった絵本の紹介でございます。私も大好きな長新太さまの『ぼくのくれよん』(講談社)も、その代表作でございます。

ぼくのくれよん

作・絵: 長 新太
出版社: 講談社

絵を描くテーマの絵本の中でも、今回は、親子で楽しめる、ひょっとしたらパパママの方が夢中になってしまう“読者参加型絵本”(ワークブック)をご紹介させて頂きたく存じます。

思いっきり落書きしよう! 書き込んで楽しむ参加型絵本

まずは、超人気ロングセラー絵本のこちらから。 五味太郎さまの『らくがき絵本 五味太郎50%』でございます。

絵のはじまりは落書き!?

らくがき絵本五味太郎50%

「らくがきこそが絵のはじまり」と五味太郎が、らくがきワールドへと読者をいざなうかきこみ式絵本。ぬり絵、ことば遊び、めいろ、お面......。たっぷり368ページ、始めたらやめられないおもしろさ! 世界中の子どもたちが楽しんでいる、らくがき絵本の第1弾。

こちら、五味太郎さまの“らくがき絵本”シリーズの最初の作品でございます。たぶん、世界初めて本に落書きをさせた絵本ではないかと。数あるらくがき系絵本の元祖ではないかと。
各ページに五味さまの描き途中の絵とお題が記されており、そこに絵を書き足したり、塗ったりして楽しめる絵本でございます。 例えば、道路の絵だけが描かれていて、そこに「自動車をかきましょう」とお題が書かれていたり、馬の胴体と顔だけが描かれていて、「足をかきましょう」とお題が書かれていたりしております。

30年前、この絵本が出版された当時、これまでにない画期的な参加型絵本ということで大きな注目を集め、次々にシリーズの絵本が出版され、さらに世界中で翻訳本が出版されました。ちなみに、18言語に翻訳されているとか。

ちなみに、五味太郎さまがデザインした特製えんぴつ付きの『特別版 らくがき絵本 えんぴつ付セット』も9月7日から発売でございます。

『らくがき絵本』30周年スペシャル企画実施中

この絵本、実はヨシタケシンスケさまの絵本、「だるまさん」シリーズ「しごとば」シリーズなど、数々のベストセラー絵本を手がける出版社の“ブロンズ新社”が、初めて手掛けた記念すべき絵本なのでございます。

そんなブロンズ新社で今、『らくがき絵本』30周年スペシャル企画が実施中でございます。

五味太郎さまのらくがき絵本に、ブロンズ新社にゆかりのある30人の人気絵本作家さまたちがらくがきをしてしまうという、絵本ファンには、たまりまセブンな企画でございます。

秋山あゆ子さま、あだちなみさま、あべ弘士さま、荒井良二さま、アンマサコさま、飯野和好さま、今森光彦さま、オオクボリュウさま、おーなり由子さま、おおのこうへいさま、岡田千晶さま、岡田よしたかさま、亀山達矢(tupera tupera)さま、工藤ノリコさま、酒井駒子さま、鈴木のりたけさま、鈴木康広さま、高畠那生さま、トーベン・クールマンさま、中川敦子(tupera tupera)さま、長谷川義史さま、ひがしちからさま、100%ORANGEさま、牧野千穂さま、みやこしあきこさま、ミロコマチコさま、やぎたみこさま、山本孝さま、ヨシタケシンスケさま、LEEさま

……そうそうたるメンバーが名を連ねております。ゴイスーに贅沢なコラボ企画でございます。

 

こちらの企画、WEB上で楽しめるとのことですが、現物が楽しめる展覧会も開催中でございます。

その名も、「『らくがき絵本』30周年記念 五味太郎50%+絵本作家50%らくがき展」。東京・青山ブックセンターで、9月3日(木)から29日(火)まで開催中でございます。

こちらのコラボ作を観て、モチベーションをあげて、らくがき絵本にチャレンジするのもよろしいかと。

書いたり消したり、切ったり貼ったり、笑ったり……!

お次はこちら。

「顔」をテーマに、本気に遊べるワークブック

かおPLAY!

『パンダ銭湯』『しろくまのパンツ』などのベストセラーで知られる、絵本作家のtupera tupera(ツペラ ツペラ)。『かおノート』をはじめ、これまで「顔」をテーマにアイディアとユーモアに溢れた作品を手がけてきたtupera tuperaの最新作が、満を持して登場します。その名も『かおPLAY!』。
ひたすら「顔」をテーマに、書いたり、消したり、切ったり、貼ったり、笑ったり、子どもから大人まで、本気に遊べるワークブック。ページをめくる度にへんてこなお題が次々にあらわれる本書は、お子様に限らず、家族みんなで家にいる時間が増えているいまだからこそ遊びつくせるものになっています。
高田唯率いるAllright Graphicsによるポップでユーモラスなデザインで、tupera tuperaの新機軸が誕生です。また、2020年5月、東京・立川にオープン予定の新しい美術館「PLAY! MUSEUM」開館記念展「tupera tuperaのかおてん.」の公式ブックでもある本書は、展覧会とあわせて楽しめるものになっています。

しろくまのパンツ』(ブロンズ新社)、『パンダ銭湯』(絵本館)、そして体験絵本『かおノート』など、数々のベストセラー絵本を手がける人気絵本ユニットtupera tupera(ツペラ ツペラ)さまの最新作でございます。
tupera tuperaさまといえば先日、東京・立川にオープンした美術館「PLAY! MUSEUM」で、企画展「tupera tuperaのかおてん.」が開催中。
tupera tuperaさまならではの、ユニークな視点、アイデア、ポップなデザインを体感できる展覧会となっております。
その展覧会を家でも楽しめるのが、こちらの絵本でございます。展覧会に行けない方も、こちらの絵本で存分にtupera tuperaさまの世界を楽しんで頂けること間違いナッシングでございます。

内容はというと、「300時間寝てません。ずーっと寝ていない人の目やクマをかいてみよう」とか、「ひとふでがお。1本の線で顔をかいてみよう」など、ある意味、“顔”をテーマにした絵大喜利でございます。tupera tuperaさまの出されるお題に、いかに楽しく、センスをもって回答、絵を描くかが勝負でございます。描くだけではございません。切ったり、貼ったり、消しゴムで消したり、目を閉じたまま描いたり、……。読者をワクワクさせるtupera tuperaさまの本領発揮の絵本でございます。親子で描き比べるのが楽しい参加型絵本でございます。
パパママの方が本気になってしまう可能性も大でございます。

ちなみに、「PLAY! MUSEUM」で同時に常設展で開催されているのが、世界的ベストセラー『はらぺこあおむし』でお馴染みのエリック・カールさまの展覧会「エリック・カール 遊ぶための本」でございます。
ご存知の通り、エリック・カールさまの絵本といえば、とにかく鮮やかで美しいその色使いでございます。そんなカールさまのぬり絵絵本があるのをご存知でございましょうか。こちらも是非、この機会にチャレンジされてみてはいかがでございましょう。

絵本に向かって「ふーっ」

最後にご紹介するのは、これまでにない新しいスタイルの読者参加型の絵本でございます。

「次はどうなるのかな?」想像力がふくらむ絵本

ふーってして

きいろの いろみず ぽとり
ねえ ふーって して

絵本に向かってふーってすると、画面いっぱいに色彩が広がります。
「次はどうなるのかな?」想像力をふくらませながら、
感じるまま、大人も子どもも遊んでみてください。

【おうちでふーってしてみよう!】
おうち遊びや、保育や図工の時間に楽しめる色水遊びの解説付き。

画家であり、絵本作家でもある松田奈那子さまの絵本でございます。松田奈那子さまは、絵本雑誌「MOE」が開催する絵本賞「MOE絵本グランプリ」の第一回のグランプリ受賞の経歴を持つ絵本作家さまでございます。ずば抜けた色彩センスで満場一致の評価を受けたとか。ちなみに、その受賞作に直木賞作家の江國香織さまが文章を加えた作品が、大人にもファンの多い人気絵本『ちょうちょ』(白泉社)でございます。

新作絵本『ふーってして』は、今後、“絵を描きたく絵本”のラインナップの定番入りとなること間違いナッシングな絵本でございます。
こちらは、美しく楽しいだけでなく、想像力が掻き立てられる絵本でございます。
というのも、こちらの絵本、これまでの参加型(らくがき型)絵本と少々、システムが違っております。
描きこむのではなく、ふーってするのでございます。絵の中に「色のついた水滴」が描かれていて、その水滴をふーっと息を吹きかけるのでございます。すると、次のページでは、その水滴の水が線になり、それが絵になるというシステムになっております。ページをめくるまでどんな絵が出来上がるのかわからないところにドキドキするのでございます。

たとえば、もぐらのような生き物の背中に紫色の水滴がポツポツと描かれていて、そのページの文章には「むらさきの いろみず ぽと ぽと ぽとり ねえ ふーって して」と書かれております。そして、ページをめくると、その水滴がハリのように放射状にのび、その生き物がハリネズミに変身、「はりねずみの おやこが とおりまーす」という文章が書かれております。

絵本の中では、その線が伸びていく過程は描かれていないのですが、ページをめくった瞬間、息が吹きかけられ水滴から線がどんどん伸びていく様子が頭に浮かんでまいります。

 

水滴が伸びるだけでは、ございません。絵の中に登場しているものが微妙に動いていたり変化していたりいたします。そこから、あれやこれや物語を想像するのも楽しいかと存じます。

 

是非、このふーっを親子で体験いただきたいのでございます。絵本の最後には、絵本と同じことが、家庭でもできるように、遊び方がちゃんと書かれております。

松田さまが描かれたワークシートもダウンロードできるとのことでございます。

今年はおうちで、絵本といっしょに芸術の秋を満喫するのはいかがでございましょう。

N田N昌

絵本トレンドライター・放送作家・絵本専門士
絵本の最新情報を発信&大人絵本文化、絵本プレゼント文化の普及活動に日々努めております。  

@NtaNmasa

 

(画像は、イラストレーター・作家の網代幸介さんによる著者肖像画)

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絵本ナビ編集部
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