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『鬼滅の刃』で注目、話題の「鬼」の絵本を楽しもう

原作のコミックス、テレビアニメ、そして映画も大ヒットし、今や社会現象にもなっている『鬼滅の刃』。

「劇場版 『鬼滅の刃』 無限列車編」を見て親子でハマった!という方も多いのでは?

また、もともと鬼が好きで、それがきっかけで『鬼滅の刃』を好きになった、という子もいるのではないかと思います。

こんなにも多くの人の心を魅了する『鬼滅の刃』。

その世界と通ずる絵本があります。

ぜひ、『鬼滅の刃』で注目されるの「鬼」の絵本を楽しんでみませんか?

絵本にも、炭治郎や煉獄さんのような鬼殺隊がいた!?鬼退治の絵本

『鬼滅の刃』は、家族を鬼に殺された主人公・竈門炭治郎が、唯一生き残ったものの鬼になってしまった妹の禰豆子を人間に戻すために、鬼と闘う「鬼殺隊」の一員として鬼と闘う物語です。

絵本にも、鬼と闘うお話がたくさんあります。

鬼退治の絵本を読んでみると、単純な「勧善懲悪」だけではなく、鬼たちの悲哀や人間の業など、深い物語が流れていることがわかります。

それもまた、『鬼滅の刃』と通ずるものがあるかもしれません。

ぜひ、その視点から、改めて鬼退治の絵本をお楽しみください。

日本一有名な「鬼退治の物語」と言えば、やっぱり『桃太郎』

ももたろう

おなじみの日本昔話が、日本画を想起させる水彩で味わい深く描かれました。加えてこの作品の特徴は、独特の擬態語と言葉のリズムです。桃の流れてくる「つんぶく、かんぶく」、桃の割れる「じゃくっ」、赤ちゃん桃太郎の泣く声が「ほおげあ、ほおげあ」。「鬼が島の鬼が来て、あっちゃ村で米とった。こっちゃ村で塩とった。姫をさろうて鬼が島」など、すでに知られているお話が、聴覚を刺激する音と民話調の抑揚の生きた日本語で語られ生き生きとよみがえります。このリズムは大人にとっても魅力的。昔話のよさがぎゅっとつまった一冊です。

■読者の声

掘り下げるといろんな背景が見えてくる。
改めて、「ももたろう」を読みたくなって借りてきました。
というのも、作者の松井直さんの講演を聞く機会があり、
松井さんなりの「ももたろう」のあり方、「鬼」の存在についてのお話を聞いたので、子どものころ読んだときには気付かなったアレやコレやをもう一度見てきたいな~と、思って。

「ももたろうはお姫様を鬼のところから救い出しに行ったのであって、鬼たちから宝物はもらわないんです。私の書いたももたろうは、鬼たちから“宝物をさしあげます”といわれても、断ってるでしょう?」(松井さん:談)
そのページを見つけて、お~ぉ、本当だぁ。たいていのお話では「宝物とお姫様をもらってくる」のに、なるほど~。
それから次のページ、鬼たちは鬼が島からももたろうたちの船に乗って、送り届けているんです。
よく見ると、舵取りをしているのが鬼たちじゃありませんか~。
“鬼”って、もともと百済から来た人たちのことを指していた。という説もあります。(もしかしたら、もっとロシアの方の土地の人だったかもしれませんよね?
だから、普通の日本人と違って、身体も大きく体の色も違って見えたのかもしれません。たいていの鬼たちの描写は髪の毛が黄色でくるくるしてるし…。
《ももたろう》一つとっても、深く掘り下げて読んでみるといろいろお話の背景などが見えてきて面白いな~と、思いました。

松井さんのお話には出てきませんでしたが、この絵本で鬼の大将とももたろうが戦っているとき、
キジがさり気なくお姫様の楯になっているところにも気づきました!(キジ、カッコいいぞ~)
幼児から大人まで、年齢に関係なく楽しめる日本の昔話です。ぜひ読んだことがある人、まだ読んでない人も、ぜひ一度手にしてみてください。
(てんぐざるさん 40代・ママ 女の子16歳、女の子11歳)

騙して悪さをする鬼に仇討ち!

しょうとのおにたいじ

大切なたまごを鬼に食べられてしまった“しょうと”(ホオジロ)の鬼退治。
なじみのあるストーリーを、生き生きとした語りと味わい深い絵で描いた日本昔話絵本の傑作。

■読者の声

そうだったのかー!

鬼が怖いけれど気になる息子に。

お地蔵さんがしょうと(ほおじろ)にたまごの守りを
頼まれますが、鬼にまんまと騙されてしまいます。
後半はさるかに合戦のような展開になっています。

昔話特有の語り口、似た場面の繰り返しと
テンポ良く物語が進みます。
暗めの色調の絵もお話しにピッタリで、
あっというまに物語の世界に吸い込まれます。

初めて読み終えた後、まず息子は
「え?!青鬼と黒鬼はいいの?どこいったの?!」
私も同じことを思ったので、その後どうなったのか
想像させるために余韻を残し敢えて描かなかったのかしら?と
思っていました。
しかし、他の方のレビューにある「赤鬼、青鬼、黒鬼は同じ」
を見て本を読み返すと…!!きちんと描かれています!
文ではなく、絵がきちんと語ってくれているということ。
お話しの方に意識が行ってしまい、肝心の絵をしっかり
みていなかったことに反省しました。
さて、その真実にいつ息子が気付くかしら…。

(空色のかわうそさん 30代 ママ 静岡県 男の子3歳、女の子0歳)

大胆にアレンジされた「酒呑童子」の物語を、京都弁で楽しめる

やさいのおにたいじ 御伽草子「酒呑童子」より

京の都に、おそろしい鬼が現れました。さらわれた娘たちを救うため、知恵と勇気のある6人が立ち上がります。絵巻物などで知られる鬼退治の伝説ですが、その姿をよく見ると、敵も味方も、なんと野菜! 鬼はツノの生えたこんにゃく芋。味方の大将は、兜ではなく固い皮をかぶった竹の子。他の仲間も、金時にんじんや堀川ごぼうなどの京野菜に姿を変えています。大胆にアレンジされた「酒呑童子」の物語を、どうぞお楽しみください。

■読者の声

酒呑童子!?野菜版

以前、ハード本になる前に
見せられて
絵巻だったらおもしろそ~と
思っていました

やったぁ~!!
ハード本になったんだ!!
と、図書館にリクエストして
何度も、何度も読み返し
眺めて・・・おもしろい

「酒呑童子」のお話しを
はっきりとは覚えていなくって
ネットで確認(笑

渡辺綱!!
この方は、宮城県村田町にゆかりが
あるようなんです
平安時代に???みたいな

坂田金時さんもいるし

そんなことも楽しみながら
昔話というより御伽噺?
歴史の人物が出てくるところが
とても興味深いところ
それに
京野菜!!
京言葉!!

イントネーションも気になり
福音館さんの動画で
京都弁で実際に読んでいるのを聞いてみたり・・・

絵が日本画のようで
でも、コミカルで
とても素敵です

絵本を閉じたら、ししがたにかぼちゃのおじいさんは
実は・・・とか(笑

実に、素敵な作品です

(しいら☆さん 50代 その他の方 宮城県)

力に頼らない鬼の倒し方は!?

ぺにろいやるのおにたいじ

人びとを怖がらせている鬼を退治しようと、兵隊が鬼の城を攻めますが、簡単に追い払われてしまいます。そんな時、ぺにろいやるという小さな男の子が「ぼくが、引っ越してもらうように頼んでこよう」と、おもちゃを持って鬼の城へでかけていきました。「こどものとも」初期の傑作。

 

■読者の声

鬼が鬼じゃなくなる

「鬼」にたいそう興味がある息子に読みました。

悪さをする鬼がいて、誰も退治することができずにいるのですが、小さな男の子が、力に拠らない方法で退治しようとでかけます。

男の子がまったく攻撃をしないので、鬼も拍子抜け・・・それどころかだんだんと心をひらき、最後には自分の中の「鬼」の部分を自分で脱ぎ去ってしまうのです。

戦うのではなく話し合うこと、それもぶつかりあうような話し合いではなく(それでは決裂しますよね)、相手の立場に寄り添ってみること、平和に暮らすための大切な基本が分かりやすく、それでいて押し付けがましくなく描かれています。

(さみはさみさん 30代 ママ 東京都 男の子3歳)

鬼の正体は一体!?

オニたいじ

森 絵都&竹内通雅のユーモア絵本
小さな まめたちの 大きな 冒険! ~みんなの幸せを祈って まめたちはきょうも行く~

節分の日の豆まき。今年の豆たちは、オニのお面をつけたおじさんではなくて、世界にいる本物のオニを退治したいと考えた。豆たちは、自転車泥棒、銀行強盗、密猟者、地球の侵略者を撃退。痛快で楽しいオニ退治の絵本。

■読者の声

本当の意味での鬼

節分の豆まきの光景を描いた作品ですが、
正義感の強い豆たちが、目の前の鬼(もちろん、おじさんが扮していますが)ではなく、
泥棒、強盗、密猟者、宇宙人をやっつけるという、
ナンセンスですがストレートな正義感が伝わってきます。
鬼の本来の意味が見事に伝わってくるように思いました。
ラストのおじさんの様子は、サンタクロースの正体と同じで、
ちょっと、子どもの世界観ではショックかもしれませんね。

(レイラさん 40代 ママ 兵庫県 男の子20歳、男の子17歳)

鬼舞辻無惨や十二鬼月に負けずとも劣らない!?個性的な鬼たちの絵本

『鬼滅の刃』の魅力のひとつは、それぞれにの複雑な過去を背負った個性的な鬼たちにあります。

人間だったころ、貧しさや病など不遇な状況を憂い、その嘆きや怒りから鬼の始祖である鬼舞辻無惨によって鬼になった十二鬼月の鬼たち。

その一人ひとりのストーリーがまた、観る人の心をとらえます。

絵本にもまた、かなり個性豊かな鬼たちが揃っています!

十二鬼月に負けずとも劣らない!?個性的な鬼たちが登場する絵本をご紹介します。

中間管理職の猗窩座殿も共感する!? 会社勤めの鬼のおはなし

オニのサラリーマン

お、オニがスーツを着込んでいる……なんというインパクトなのでしょう。

彼は赤オニのオニガワラ・ケン、地獄カンパニーの平社員。
今日も愛妻弁当を持ち、家族に見送られ、満員バスに揺られて地獄まで出勤です。

「オニガワラ、おまけ きょうは、なんの かかりや?」
「ちのいけじごくの みはりやねん」
「えぇなあ。らくちんやんか。」

お、驚くほど平凡な会話です。かつてないほど、地獄がお気軽に描かれています。
血の池地獄はまるでプール。
オニガワラさんは監視員のごとく注意をしながら、お昼の時間を迎えます。
美味しい愛妻弁当を食べ終わると、満腹になってコクリコクリ……

ハッ!大変です。
どんなに楽ちんだと言っても、居眠りはいけません。
気が付けば、血の池地獄に極楽からぶらさがっている“糸”につかまり、亡者たちが大量に逃げようとしているではありませんか!! この光景、どこかでみたような……?

さてさて、大変なミスをしたオニガワラさんはどうなったのでしょう。
恐ろしい姿をして、コワイものなど何もなさそうなオニたちの日常も、意外に大変なのかもしれません。読み終われば、哀愁の漂ったその背中に同情と親しみの心が生まれてくるのです。

このヘンテコリンなお話を生み出したのは富安陽子さん。なんでも2014年のお正月にほぼこのストーリーのままの初夢を見たのだとか!?やっぱり普通じゃありません。そして、まるで見てきたかのように、画面隅々まで地獄カンパニーの様子を描き出す大島妙子さんの絵も素晴らしいのです。オニガワラ家で飼っているペットや町にあるお店など、サイドストーリーも気になって仕方がなくなるのです。是非、オニのサラリーマンの日常の続きを読みたいものです。

■読者の声

オニの世界も大変

図書館でもいつも予約いっぱいの本だったので、とうとう買ってしまいました!
じごくカンパニー勤務のオニの1日です。
通勤、血の池地獄の監視の仕事は、人間の世界同様いろいろと大変な様子。
オバケやら妖怪もたくさん出てきて楽しい一冊。おうちでの様子もチラっと出てきて、パパとしての一面がより一層サラリーマンの苦労を引き立てています。
まるで我が家のお父さんのようでした。

(イヨイヨさん 30代 ママ 山口県 男の子4歳、女の子2歳)

小さくて可愛い鬼たちが大活躍!

おにぎりがしま

みなしごの少年・こたろうが出会った、おにぎりおに。無人島にたどりつくと、ちいさなおには、
もうれつな勢いで働きはじめました。田んぼをつくり、極上のお米「オニピカリ」を育てます。
そして、できあがったのはこの世のものとは思えないほどおいしいおにぎり! 
おいしそうなにおいに誘われてやってきたのは......

■読者の声

おにぎりおにカワイイ!
小舟に乗ったおにぎりを見つけたこたろう。
こたろうが近づくと、光ったおにぎりから出てきたのは、小さなオニ。その名もおにぎりおに。
こたろうとおにぎりおには、無人島へ流れ着いてしまうのですが、おにぎりおには小さな体からは想像もできないようなパワーと技術で、見事な稲を育て、ご飯を炊き、美味しいおにぎりを作りました。
そしてそのおにぎりから、またおにぎりおにが生まれて…。
どんどんお話が展開していくので、続きが気になって気になって目が離せません。いい香りが漂ってきそうなほかほかおにぎりと、色とりどりの具材と、めまぐるしく動くカワイイおにぎりおにたち。親子で夢中になってしまいました。
そして、ただおにぎりを作るだけでなく、そのおにぎりが色んな仲間を呼び、無人島だった島がだんだん賑わっていく様子が、夢や希望を与えてくれます。
ラストのオチ(?)だけはちょっと意味が分からなかったけど(苦笑)それを差し引いても、楽しい絵本だと思います。
幅広い年齢で楽しめるはずです。

(環菜さん 20代 ママ 宮崎県 男の子6歳、男の子5歳)

鬼とは思えないほど弱い!泣き虫鬼が主人公

なきむしおにのオニタン

鬼の子オニタンは、鬼の子なのにとっても泣き虫。「あーん、あーん。キキがぼくのだいふくたべちゃったー」って、また泣いてますよ。そこで、オニタンは、泣き虫をなおすために人間の国に行くことに。トラのパンツをはいて金棒を持つと、勇気がわくんだって。節分の日、泣きそうになりながら人間の国を走り回ったオニタンは・・・。幼い読者に小さな勇気が伝わる、節分におすすめの絵本です。

■読者の声

夫は泣きそうになったみたい・・・
3歳の子供に読みました。
節分が終わったばかりだったので、興味しんしんで聞いていました。

主人公のおにたんが人間に豆をぶつけられても泣かずに頑張るシーンがあるのですが、夫はこのシーンを見て、これからわが子が歩む人生と重ね合わせて泣きそうになったそうです。
(私が読んだ時は何も感じなかったのですが…)

もちろん子供はそこまで深くは考えず、「鬼」だとか「豆」だとか「まばたきで人間界へ移動」とかを単純に喜んでました。
(夜の樹さん 30代・ママ 女の子3歳)

まるでかまぼこ隊!?ツッコミどころ満載、とにかく笑える鬼トリオ!

オニじゃないよ おにぎりだよ

この作品を読む前に、シゲタサヤカさんの既刊本を、周りの人に声に出して4冊続けて読んだところ、大爆笑!ドカンドカン受けるので、すっかり気分が良くなってしまい、まるで自分が面白い事を言ったかの様な勘違いまでする始末。
シゲタさんの作品は、そんな風に、まずシゲタワールドにはまってみてから読むのがオススメ。ページをめくる時の「くるぞ、くるぞ・・・」という期待感が倍増し、予想を裏切る展開をより楽しめる気がする、というのは個人的な感想です。

『オニじゃないよ おにぎりだよ』というのは、とにかく主人公のオニたちに対してのツッコミどころが満載なのです。
そもそも「オニはおにぎりが好き」という大前提。食べ方!服!強烈な勘違い!・・・いちいち忙しくて仕方が無い!
あ、これも個人的な楽しみ方ですね。その他にも色々なみどころがあるんですよ、美味しそうなおにぎりとか、くるくる変化するオニの表情とか、鉄板のオチとか、他の作品のキャラクターが何気なく登場していたりとか。おまけに、読み終わった後にはカバーを使って「おにぎりになれる」(!?)という特典付き。
いやもう皆さん、一冊まるごと好きなように楽しんでくださいね。

■読者の声

愉快なオニトリオ

「もっかい読んで!」
読み終えるとすぐにリクエスト。

おにぎり大好きのオニ3人組が知恵を絞って人間たちに美味しいおにぎりを届けようと奮闘します。

おにぎりもオニも大好きな2歳児は食い入るようにみてました。

絵柄も可愛く、賑やか。
何よりオニ3人組の掛け合いが読んでいて楽しい。
読み手も感情移入しやすく、言いやすいせりふ回しです。

オニさんが苦手な子もきっと好きになっちゃいますよ。

(ゆうのまんげきょうさん 20代 ママ 東京都 男の子2歳、女の子0歳)

◆こちらもあわせてどうぞ!


シゲタサヤカさんにインタビューしました!

まるで鬼殺隊VS.十二鬼月!? 鬼との掛け合いが面白い絵本

『鬼滅の刃』では、鬼殺隊と鬼たちによる手に汗握るバトルが繰り広げられています。

「全集中の呼吸」を使った鬼殺隊の剣技と、十二鬼月による血鬼術との戦いは、迫力満点で目が離せませんが、絵本にも見逃せない鬼との対決があります。

それは、こんなにも楽しい鬼との掛け合い!

ちょっとおとぼけで可笑しい鬼たちの様子に、ほっと一息つけるかもしれません。

天真爛漫な山姥の娘・まゆに振り回される鬼の様子が最高です

まゆとおに-やまんばのむすめまゆのおはなし

山姥の娘まゆは、ある日鬼に会います。鬼はまゆを煮て食べようとお湯を沸かしはじめます。まゆはそうとは知らず、薪の山を作ったり、かまどの石を積んだり、手伝います。その怪力に驚いた鬼も、鍋のお湯が沸くころには、もうすぐまゆを食べられるとにんまり。ところがお湯が沸くと、風呂を沸かしているとばかり思っているまゆは、「お先にどうぞ」と言うなり、鬼を鍋に放り込んでしまいます……

■読者の声

愉快、痛快、とっても楽しい!

評判が良さそうなので、読んでみました。
結果大正解!痛快なストーリーと魅力的な登場人物。とても楽しかったです。
モダンな昔話風の物語といった印象です。
降矢ななさんの挿絵もダイナミックで魅力的。

山姥の娘まゆが、ある日鬼に出会います。
鬼はまゆをゆでて食べてしまおうと、まゆをうちに誘い、お風呂を沸かすと嘘をつきます。
そうとは知らないまゆは、薪を作ったり、かまどの石を並べたりと手伝います。お湯が沸くと、礼儀正しいまゆは「おさきにどうぞ」と鬼を鍋にほうりこんでしまいます…!!
ここで娘は怖がって、読み聞かせる私の後ろに隠れるほどでしたが、最後友達になった二人を見て、ニコニコ顔になりました。

ひたすら純粋でまっすぐで、明るく元気いっぱいのまゆ。
いつの時代も子供ってこうであって欲しいなあ。
さらに怪力なところが、スウェーデンの大人気キャラ「長くつしたのピッピ」を彷彿とさせます。山姥のお母さんも、スラリと細くて若くて、かっこいい!

この絵本はこの先もずっと読み継がれていきそうですね。

(いちがつにがつさん 30代 ママ その他 女の子3歳、男の子0歳)

鬼と大工の知恵比べ!勝つのはどっちだ!?

だいくとおにろく

昔、あるところにとても流れの速い大きな川がありました。どんな橋をかけても流されてしまうので、村の人は困りはて、腕のいい大工に工事をお願いしました。
しかし、引き受けてはみたものの大工も本当に作れるのか、心配になってしまいました。そんなとき、大きな鬼があらわれて、「おまえの目玉をよこしたら橋をかけてやる」と言います。次の日、川へ行ってみるとどうでしょう。おどろいたことに、りっぱな橋が半分できていたのです……。

さあ、本の表紙の鬼の絵を見てください。からだも巨大だし、手も口も大きくておそろしそう。こんな鬼に「目玉をよこせ」なんて言われてとっても怖いはずなのに、この大工ったら、「おれは、どうでもいい」なんて返事をしてうちへ帰ってしまうのです。ええっ、そんな適当な返事をして大丈夫なの? とびっくりしていると、ここからさらに意外な展開が待ち受けています。

でも、誰だって目玉をとられるのは困ってしまいますものね。鬼と大工の知恵くらべ、いや、運くらべの始まりです。おおらかな大工と鬼のやりとりは、スリリングだけど、なんとも言えないおかしみをかもしだしています。「してやったり!」「やられたー!」というお互いの心の声が聞こえてきそうな、ころころ変わる鬼と大工の表情にも注目です。

会話のテンポや擬音表現がおもしろいので、ぜひ声に出して楽しんでみてください。最後の大工のセリフは、お子さんと一緒に大きな声で読みたいですね。

■読者の声

パパに挑戦してほしい本
「だいくとおにろく」とは、僕がまだ絵本の読み方なんて
あまり考えていなかった頃、近くの絵本屋さんを探そうと
ネット検索したところ、偶然パパ´sプロジェクトを発見しまして、
その中で田中パパが、この本の読み聞かせにはすごく自信を
持っているということを書かれていまして、
絵本を上手に読むってどういうことかと興味を持ったのと、
自分の十八番の絵本があるってカッコイイなぁと思い、
では手始めに「だいくとおにろく」とやらで自分の技量を
試してみようと買ったのがこの本で、
今のコレクション(趣味)にも大きく影響したことは間違いないです。

絵本屋さんで手にして、いざ買おうとした横から嫁さんが
「買うのぉ?」「お話しが尻切れみたいだけど、気に入ったのぉ」と
全く乗り気じゃなさそうでしたが、
(「買うって決めて来たんだからごちゃごちゃ言わないのっ!!」と
心の中で嫁さんをけん制して)レジに行ったことを今でもよく覚えています。

さて本題は「だいくとおにろく」を読んだ子供の反応ですが、
初めは、息子も3歳になるかならないかくらいで、
画面に大きく書かれた(にたにた笑う)鬼を怖がったようでしたが、
それも束の間、「うんにゃうんにゃちがぅあう」とか
「聞いたぁぬぅあぁぁぁ」のようなセリフに抑揚と、
凄味の利いた声やコミカルな声など日々違った読み回しをすると、
すぐにお気に入りの絵本になりましたよ。

野太い声なんかはなかなかママでは出せませんし、
この本は多くのパパが待ち望んでいる、
パパのための十八番絵本ではないでしょうか?!

また挿絵の点でも、(僕の中では)赤羽末吉さんの最高傑作だと思います。
画を拡大して額に入れて飾りたいくらいです。

絵本も出会いだなぁとつくづく思います。

(追伸:最近読み聞かせに力が入った作品にはこんなのがあります、
「すっとんだちょうべい」
(ラジオの中の読み聞かせコーナーで朗読されたのを聞いて
すぐに本屋さんへ走って買っちゃいました)や、
「じごくのそうべえ」 (嫁さんも使い慣れない関西弁と、屁ブクロに夢中です)
まだまだ鍛練の日々は続きます)
(伴門陶汰さん 30代・パパ 男の子4歳)

森の少女・ゼラルダは、得意の料理で鬼と対決!

ゼラルダと人喰い鬼

森の少女ゼラルダは、お料理が大すき。ある日、町へお使いにいくとちゅう、おそろしい人喰い鬼とばったり出あうが、あんまり腹ぺこだった鬼はたおれてしまう。かわいそうに思ったゼラルダは…。すてきなお料理がいっぱい登場。国際アンデルセン賞受賞作家の傑作絵本。

■読者の声

最初怖かったけど・・・

ムスカンさん 30代 ママ 東京都 男の子5歳、女の子1歳
いかにも怖そうな表紙の絵に、
人食い鬼が大好物なのは子供という説明に、
最初の2、3ページは固まっていた息子。。。

ゼラルダが登場し、喰われるんじゃないかとハラハラもしましたが、
お料理の得意なゼラルダが腕を振るった絶品の数々、
そして人食い鬼の屋敷で雇われる展開に、
目が離せなくなったようでした。

屋敷のパーティで出てきたお料理の絵、
そしてお料理の名前もとっても個性的です!
七面鳥の丸焼きシンデレラ風って何だ!?

最後の展開には読み聞かせていた私も目が点になりましたが、
最後まで親子で目が離せず、
とてもいい一冊に出会えて嬉しく思いました。

後で知った事ですが「すてきな三にんぐみ」と
同じ作者だったんですね!

最初の怖い展開から、女の子が出てきて・・・って、
そういえばなんだかちょっと似ていますね。

悪い鬼だけじゃない!禰豆子や珠世さんのように「良い鬼」が登場する絵本

『鬼滅の刃』には、鬼の始祖である鬼舞辻無惨をはじめ、人を殺し、人を食う怖い鬼たちが多数登場します。

一方で、主人公である竈門炭治郎を守ったり助けたりしてくれる「良い鬼」も登場します。

絵本にも、悪い鬼ばかりではなく、良い鬼、優しい鬼たちのお話があります。

心優しい鬼たちが織り成す、ちょっと切ないお話も、ぜひどうぞ。

涙なしでは読めない、永遠に語り継ぎたい名作

泣いた赤おに

やさしく素直な、若い赤おにが山に一人で住んでいました。
赤おには、鬼たちのために良いことをしたい、さらに出来ることなら人間たちの仲間になって仲良く暮らしていきたいと思っていました。そこである日赤おには、自分の家の戸口の前に、木のたてふだを立て、人間が遊びに来てくれるように誘いました。
山のふもとの村人たちは、赤おにのたてふだに興味津々ではありましたが、だましてとって喰うつもりでは、と警戒し、誰も遊びに来てくれませんでした。
赤おにの家を訪ねてきた仲間の青おには、話を聞いて赤おにに、自分がふもとの村で暴れるから自分をやっつけろ、そうすれば人間は安心して赤おにと仲良くしてくれるだろう、と提案します。

かくして、人間の家に入り込んで暴れる青おにを赤おにがやっつけ、村人たちは赤おにに心を開くようになるのですが、赤おにはそれとひきかえに、かけがえのないものを失ってしまうのです。

とても有名なおはなしで、他にも絵が違う作品が数多く出ています。
この作品では、絵本化にあたり原文を省略せずに使用しており、実に本格的な絵本に仕上がっています。
愛蔵版として本棚におかれることをおすすめします。

■読者の声

今回気付いたこと

子どもの頃から何十回となく読んだおぼえがあり、日本の子どもたちもどこかで必ず読み聞かせなり読んだりしている馴染みの深い話です。

息子もストーリーを知っていましたが、今回読み聞かせしてみてあることに気付きました。

それは自己犠牲を買って出たあおおにのこと。あおおにが身代わりになることを申し出た時に

「なんとなく、ものがなしいげな目つきを見せて」とあり、そこには今後自分はどうすべきかまでを汲み取った覚悟があるような気がしたのです。

今まで、あおおにはあっさりと身代わりを引きうけたような気がしていたので、私としてあおおににはこんな気持ちがあったことを知りました。

おそらく子どもの頃には、全体像ではなく主人公のあかおにの方に感情移入して読んでいたんですね。

もう一つ、あかおにの部屋に応接間がありそこに絵が飾ってあったことも今回初めて気がつきました。

巻末には、原作全文を掲載とあるので、私が今まで読んできたものはダイジェストだったのかもしれません。

再度読んでみて、自己犠牲、友情、後悔、ほろ苦さ、いろいろな気持ちが読みながら湧き起こってきました。

話を読むということは、読んでいる間だけではなく、読んだ後にも心の中に話は残りますし、話の中にある気持ちを汲み取ったり寄りそったりする追体験をするものであるなあというのを改めて感じました。

一度だけでなく繰り返し読む効用というものですね。

子ども時代に何度も繰り返し読んで心に残る本って、どのぐらいあるのだろうと思いました。

(はなびやさん 40代 ママ 愛知県 男の子9歳)

鬼であるが故に傷つく、心優しい鬼の物語

おにたのぼうし

○あらすじ
節分の夜のことです。どのうちからもまめをまく音がして、おにの子のおにたは、いくところがありません。つのをかくす古いむぎわらぼうしをかぶって、まちを歩いていきました。ようやく小さな橋をわたったところに、まめのにおいのしない家をみつけました。そこには、おんなのことおかあさんがすんでいました。おかあさんは病気でした。てんじょうのはりの上で、ふたりのようすをみていたおにたは、おんなのこをよろこばせてやりたいと思います。

○編集部より
おんなのこを思いやるおにたの気持ちが、せつなくいじらしく、いわさきちひろさんの絵とともに、いつまでもこころにのこります。あとがきで作者のあまんきみこさんは、「どうも、このごろのオニは、帽子をかぶりたがっている気がします。そして、雲霧四散したがっているようにさえ思われてきました」と書かれています。・・・おにたは今、どこにいるのでしょうか?

■読者の声

切なくて美しい
姿は鬼だけど、本当は心優しいおにた。

お腹をすかせた女の子のために、雪まみれになってごちそうを用意するおにたの優しさに心が和みました。

しかし、女の子の「鬼が来ればお母さんの病気が悪くなる」の言葉に打ちひしがれ、姿を消してしまうおにた。

おにたは豆に姿を変えて、完全に消えてしまったのでしょうか。
ぱらぱらと静かな音でまかれる豆が、おにたの涙のような気がしました。

お話だけでも心を打つものですが、いわさきちひろさんの絵の美しさがこの作品の切なさと美しさを倍増させていると感じます。
(ともっちーさん 40代・ママ 女の子8歳、男の子4歳)

さみしがりやの鬼の、悲しい物語

島ひきおに

昔、海の真ん中の島に鬼が住んでいて、ひとりぼっちで寂しがっていました。
ある嵐の晩、沖を通りがかった漁船が、遠くに光る鬼の目を家の明かりと見間違えて、助けを求めて鬼の島へやってきました。
鬼はうれしくなって漁師たちの前に現れましたが、漁師たちは肝をつぶし、命乞いをします。
人間たちと一緒に暮らすにはどうしたらよいかを尋ねる鬼に困惑した漁師たちは、自分たちの島は狭いので、鬼が島をひっぱってきたら一緒に暮らせるのだが、と、口からでまかせを言いいます。
これを真に受けた鬼は、島を引っ張って海を歩き、人間たちの島へと行くのですが・・・。

 鬼は何の悪いことをしたわけではなく、ただ寂しくて誰かと一緒にいたかっただけでした。
素直で純朴な鬼は、漁師たちに言われたとおりに島を引いて歩き出します。
行く先々の村で、鬼はだまされ、厄介払いを受けますが、それでも鬼は一緒に暮らしてくれる相手を探して島を引くのです。
人間たちの卑怯な振る舞いに怒りを感じますが、人間たちとて家族を守らなければならず、鬼と一緒に住むわけにはいかないのです。鬼の報われない想いに、せつなく胸が詰まります。一方的にどちらが悪いということでないところに、このおはなしの悲しさがあると思うのです。

このおはなしは、作者山下明生氏のふるさと、広島県の能美島の近くにある敷島という無人島にまつわるいいつたえを元に作られています。鬼の引っぱってきた島だから引島、それが敷島になったそうです。作者自身が子どもの頃、誰にも遊んでもらえず感じた孤独、それがこのおはなしのベースになっていて、単なる民話ではない深みを感じることができるのでしょう。

読む者の心に問いかけ、考えさせ、成長させてくれる、素晴らしい名作です。

■読者の声

物悲しいお話でした

このお話に出てくる鬼は、悪さなどせず、ただ遊び相手が欲しいだけの、寂しがり屋の鬼。
けれど対峙している人間にしてみれば、人に害をなすものか否かなど分かる筈もない。
だから排除しようとする。

けれど、鬼の立場から見ていると、人間の対処の仕方も、狡猾で、どっちが鬼だか・・・という気がしないでもありません。

島を引きずって海の中を歩く鬼が、何だか哀れに思えてなりませんでした。

(hime59153さん 40代 ママ 三重県 男の子8歳)

鬼のことをもっと知りたいあなたへ……

『鬼滅の刃』を読んだり見たりしていると、とにかく鬼のことが気になってきませんか?

鬼についてもっと知りたくなった方には、こちらの絵本をお勧めします。

鬼の生活、鬼の習慣、そして鬼の起源など……鬼についていろいろなことが詳しく書かれている、絵本の図鑑です。

山の鬼と海の鬼の生活や住居、習慣などがわかる絵本図鑑!

オニの生活図鑑

オニの世界にも、山オニと海オニとのはげしい争いがあります。ヒサクニヒコの新説で、オニのすべてが発見されました。

■読者の声

山オニと海オニ
このお話は、山の鬼と海の鬼の生活や住居、習慣などを描いたお話でした。本当にあるかのようにリアルな設定で描かれていて、うちの子は鬼の生活に夢中になって見入っていました。絵もかわいいタッチだったので小さい子も楽しめそうです。
(イカリサンカクさん 30代・ママ 男の子7歳)

鬼の起源や歴史など、鬼とは一体何なのかを、写真と資料を通して解説

鬼が出た

鬼といえば、こわいもの、悪いものの代表のようにいわれていますが、そのほんとうの姿はあんがいしられていません。ふるい図像を手がかりに鬼本来の姿をさぐっていく『鬼の百科』。

■読者の声

鬼の作り方
鬼の起源から、歴史、そもそも鬼とはなんなのか?鬼のいろいろがわかる絵本です。
写真や資料もたくさんで、読み応えがあります。
子供より、自分の方が夢中になってしまいました。
桃太郎の鬼が島は、昔、海上の島々のお互いに住むものを鬼と見ていたからとか、興味深いです。
「鬼の作り方」には笑ってしまいました。
全体の形は人間と同じにする。
人間に似ているから、怖いんだよ。というのに納得です。
(クッチーナママさん 40代・ママ 女の子16歳、女の子13歳、男の子10歳)

『鬼滅の刃』の世界はどこまでも続く……

コミックス23巻をもって最終回を迎えた『鬼滅の刃』。
漫画も気になりますが、
ぜひ絵本でも、色々な鬼に注目しながら「鬼」の世界を楽しんでくださいね。

* * *

 

*禰豆子の「禰」は「ネ」に「爾」が正式表記です。
*煉獄杏寿郎の「煉」は「火」に「東」が正式表記です。

洪愛舜(ほん えすん)

ライター・編集者・絵本作家。
1977年大阪府堺市生まれ。出版社勤務を経て、現在は育児・教育系ライターとして雑誌、書籍、Webメディアなどで執筆。絵本の編集や絵本作家のアシスタントを通じて、絵本の世界の扉を開ける。一女一男2児の母。子育て中の体験からアイディアを得て、日本語と英語両方で読めるDual絵本『すき! I like it!』(教育画劇)を出版。子どもに一番たくさん読み聞かせした絵本はたぶん『おたすけこびと』。
掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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