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絵本で伸ばそう!これからの子どもに求められる力

子どもの「生活力」、絵本でどう伸ばす? 

絵本には、子どもに働きかける様々な力が備わっています。絵本がきっかけで、新しいことにチャレンジする気持ちを持てたり、苦手なことに取り組もうと思えたりもします。子どもたちの世界を楽しく広げてくれる絵本は、子育て中のパパママにとっても、大きな味方になってくれること間違いなしです!

この連載では、とくに「これからの時代に必要とされる力」にフォーカスして、それぞれの力について「絵本でこんなふうにアプローチしてみては?」というご提案をしていきたいと思います。

「生活力」を高めよう

連載第5回のテーマは、「生活力」。

子どもたちが生まれてから毎日くりかえされる「生活」。そして、ただこなすだけではなく、ちょっとした工夫をするだけで生活は大きく変わり、楽しみも増えていきます。

また、生活スタイルを選ぶことは、住居や職業にまで関わっていきます。子ども時代のうちに、様々な生活体験をしていくことは、将来、自分はどう生活していきたいかを考えるきっかけとなり、大人になってから自分で生活をデザインしていくことにつながるのではないでしょうか。

そこで今回は、そうした「生活」の中ではどのようなことが大切かを知ることができ、生活力を楽しんで身につけられる、おすすめの絵本をご紹介したいと思います。生活の中の行動を、「みんながやっているからなんとなくやってみる」のではなく、「こうした意味があるから、やる必要があるのか!」と、子どもたちが納得して、自分から生活を楽しむきっかけとなればよいと思います。

「あいさつ」は生活力の基本

子どもたちが、社会にデビューする際、まず使うのが、「あいさつ」だと思います。挨拶は人と人との関わりの基本です。挨拶をすることが、相手と素敵な関係を作る第一歩となります。

挨拶によって毎日がとても楽しくなることを描いている絵本がこちらです。

「どういたしまして」が言いたくなったら…?

ありがとう…どういたしまして

「ありがとう」を言うのがつまらなくなったジミー坊やは、「どういたしまして」と言いたくなって…。感謝する心を教える絵本。

主人公のジミーくんは、いつでもどこでも「ありがとう」といえる良い子です。ですが、ありがとうとばかり言っていることがつまらなくなってきます。そして、ぼくも「ありがとう」と言われるほうになってみたいと思うのです。こうした気づきって大事ですよね。される側なだけではなく、してあげる側になってみたいと考えることで、ジミーくんの行動も変わるのです。

挨拶は、機械的にしてしまうことも多いですが、相手との関係や、どんなときにどのように挨拶すればよいか、そのときそのときで考えていくと、非常に面白いもので、毎日の生活が楽しくなるものだということが伝わると思います。

応用編として『挨拶絵本』(五味太郎 作/ブロンズ新社)もあります。挨拶が必要と思われる、さまざまな場面が出てくるのですが、そこは、五味太郎さんの絵本。「こんにちは」だって単純にはいきません。水泳教室のお兄さんのデートシーンに出くわしたり、ちょっと嫌な奴とすれちがったり、人ではない(?)者と出会ったり…?! 絵本に答えはないので、「いったいどうする?」と子どもと笑いながらお話ししてみると、人間関係の楽しさ複雑さを知ることができると思います。

挨拶絵本

 

作・絵: 五味 太郎
出版社: ブロンズ新社

行事を生活のうるおいに

毎日を淡々と暮らすよりも、「もうすぐお正月だね」「もうすぐクリスマスだね」と季節の変化を感じてワクワクしながら過ごすほうが、大人も子どもも楽しいですよね。ですが、せわしない毎日の中、ついついささっと行事をかけぬけてしまうこともあると思います。

これは私の反省点なのですが、節分の豆まきはしているし、こどもの日には鯉のぼりをかざったり柏もちを食べたりしているから、子どもたちも行事のことは大体わかっているだろうと思っていました。ですが、落ち着いて聞いてみると、「こどもの日? 秋だっけ?」や、「母の日のお花って、ひまわり?」など、まったく頭に入っていなかったのです! 親としては、季節行事のイベントは幼稚園でもやっているはずなのに!と衝撃を受けましたが、考えてみれば私も、とりあえずスーパーで行事に関連したものを選んでいるだけだった気もします。

そこで、親子でこんな絵本を読んでみました。

絵本を見ながら、行事の前に説明したり、「秋の虫や植物ってこういうものがあるんだって」など、機会があると子どもたちとお話しするようになりました。やはり、先に知識があるだけで、外にいっても「あ、ススキだ」などや「『鬼滅の刃』にでてくる彼岸花って、秋の花なんだね」など、ぐっと話が広がるようになり、ほっとしています。特にこの絵本は、月ごとに季節にあった遊びページもあり、一緒に工作もできて、とっても楽しめます。

 

ほかにも、『「和」の行事えほん』(高野紀子 作/あすなろ書房)も、行事の知識がたくさん載っていてとてもありがたい絵本です。3歳より下くらいの子には、『さがしえ12つき』(なかざわくみこ 白泉社)も、さがしえをして遊びながら、季節のものを知ることができて楽しいですよ。

こうした絵本をつかって、四季のある国に住んでいる楽しさを味わって生活してみてはいかがでしょうか?

お手伝いで生活力を高めよう

子どもたちがおうちの中のお仕事を覚えるには、まずは「お手伝い」から。子どもたちも、小さいころから「なにか、お手伝いしたい、大人のやることやってみたい!」という気もちでうずうずしています。そんなとき、「どんなおてつだいだったらできるかな?」と親子で確認できるのが、この絵本です。

「やってみたい」気持ちを育む絵本

いろいろおてつだい

おてつだい、なにができるかな?
好評の『いろいろおてがみ』、『いろいろおしたく』につづき、
あてっこしながら、こどものこころをはぐくむ絵本の3作め。
はなちゃんが、食事のしたくをお手伝いします。
「おてつだい おてつだい なにしよう?」
食器をはこんだり、テーブルをふいたり、かんたんなお手伝いを中心に、あてっこ形式でいろんなお手伝いをしている気持ちになって楽しめます。
お子さんの思いやりを育て、「やってみたい」気持ちを育む絵本です。
 

小さな子でもできるお手伝いの流れがとても楽しく描かれています。また、「テーブルが片付いていないとごはんが食べられないね」や、「食べ終わった後、テーブルが汚れているね」など、お手伝いをするとき、どんなことに気づいて何をすればいいのかな?という視点から描かれていることが、とってもすばらしいのです。日々のお手伝いで大事なことを教えてくれますよ。

また、ちょっと視点が変わりますが、『みつばちみつひめ てんやわんやおてつだいの巻』(秋山あゆ子 作 ブロンズ新社)では、お手伝いを「したい」側の気持ちを楽しく描いています。はちのすじょうのお姫様・みつひめが、されるばっかりじゃなくて、自分もお手伝いしたい!と思ってはちゃめちゃを引き起こす物語です。

 

親として手伝ってもらう側になると、どうしても「自分でやったほうが早いんだけど」「ぐちゃぐちゃにされると困るわ」などとも思ってしまうのですが、この絵本を読むと「お手伝いをして『自分でもできた』っておもうとうれしいよね」、「大人がやってることってやってみたいよね」と考えさせられます。お手伝いの楽しさを感じて大人も子どももポジティブな気持ちになれますし、パパママとしても、「たまにはどうなってもいいから、思いっきりお手伝いしてもらおうか!」と腹がくくれる楽しい絵本です。

生活にはアクシデントもつきもの

おなべひとつでナポリタン!

ワタナベさん

ワタナベさんは、なべひとつでどんな料理でもおいしくつくる名人です。
しかし、あるときナポリタンを注文されてしまいます。
フライパンがないとできない、とこまってしまうワタナベさんでしたが、悩んだ末に、なんと、なべひとつでできるナポリタンを作り始めます。
はたしてそのお味は?

日々の生活の中では、思ってもみないことが起こることもありますよね。この絵本では、そんなアクシデントにどう対応していくか、いわゆる「生活の中の底力」が描かれています。

鍋のワタナベさんは、お鍋ひとつでどんな料理でも作る名人。和洋中からカレーまで、なんでも作れるワタナベさんですが、ある日お店に「ナポリタンください」という注文が飛び込んできます。はたしてお鍋でナポリタンは作れるのか?ワタナベさんの挑戦はいかに?という物語です。

大きなアクシデントでなくとも、「今あるものの中でどうにかせねばならない!」というとき、あたふたするよりも、「どうやって乗り切るか」を考え行動していく習慣があるほうが、強く生活していくことができると思います。ワタナベさんの姿から、生活は工夫できるぞ、楽しいぞ、という底力を感じることができます。そして、お鍋一つでできるナポリタンは、とても簡単で実際にもちもちナポリタンが作れるので、読み終わった後、一緒に親子クッキングをしてみるのも楽しいですよ。

 

生活の工夫という点で、「知っておくべきというわけではないけれど、知ってると生活が豊かになる……かも?」という知識が載っていてとっても楽しい本に『図解!! やりかた大百科 for KIDS』(パイインターナショナル)があります。絵本ではないので、一人で読むには小学生以上になりますが「太陽コンパスの作りかた」や、「パラパラマンガを描くには」など、知っていたらけっこう自慢できる豆知識満載で面白いですよ。お子さんにやってみせてあげるのもおすすめです。私が小学生の頃にあったら、絶対自由研究でやってみせたのに!とうらやましくなる一冊です。

さいごに

生活を楽しみ、どんな生活をしていきたいか選ぶには、やはりそれにかかわる知識があった方が、イメージしやすいですよね。「生活をデザインする」という考えは、だいぶ大きくならないと出てこないかもしれませんが、男の子も女の子も、お料理をしたり、お裁縫をしたり、本棚を組み立てたり、鉢植えを育てたりなど、様々なお手伝いを実体験することで、自分の向き不向き、興味のあるなしをわかっていくと思います。

正直言いますと、私は、生活の全部を自分の手でやる必要はないと思っています。ですが、様々な生活体験をしていくことで、「これは自分でやりたいな」「これは買ってもいいし、人にお願いしてもいいかな」など取捨選択できるようになるのではないでしょうか? そして、そうやって選んでいくことが、自分の人生をデザインすることなのかなと思います。

また、いろいろなことをお手伝いしてもらう際には、できれば、「そのお手伝いにはどういった意味があるのか」もいっしょにお話ししてあげてほしいです。我が家の反省点ではありますが、お片付けで「出したものは必ずしまう」ことだけを言い続けたところ、とりあえず箱にダーンと落としたり丸めてすみっこに押し込んだりするだけで満足してしまい、部品は欠けるわ、後から使うときに見当たらないわ、毎回大騒ぎになりました。ですので、「なぜそうしなければいけないか」も教えてあげると一つ一つのお手伝いについて、自分でどうやればよいか考えてくれるかなと思います。

いずれ、子どもたちがひとり立ちして生活していく将来のために、ご紹介した絵本をきっかけに、生活をゆたかに楽しむ術をいろいろ知っていってもらえればとおもっています。

徳永真紀(とくながまき)


児童書専門出版社にて絵本、読み物、紙芝居などの編集を行う。現在はフリーランスの児童書編集者。児童書制作グループ「らいおん」の一員として“らいおんbooks”という絵本レーベルの活動も行っている。6歳と3歳の男児の母。

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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