【ふわはね絵本のある時間】2022年9月におすすめの本
絵本講師として10年以上ご活躍中のふわはねさん。絵本講座や絵本コンサル、絵本の読み聞かせ会などを年に200回以上こなしています。そんなふわはねさんに季節にあった絵本と読み聞かせ会の流れについて語ってもらいました。
二十四節気(にじゅうしせっき)を感じる
二十四節気とは… 1年を12か月さらにその半分、24個に分けた季節を表す名称です。
9月では…
白露はくろ(9月8日)昼夜の気温差が大きくなり草花が朝露で濡れるようになる頃。
秋分しゅうぶん(9月23日)昼夜の長さがほぼ同じになる秋分の日。この日を中日とした前後3日間、計7日間を「お彼岸」とする。
祖先をうやまい、なくなった人々を偲ぶ日として国民の休日となる
9月10日…お月見
9月19日…敬老の日
9月、新学期がはじまりドキドキとしているお子さんもいらっしゃるかもしれません。
まだまだ暑い日が続きます。運動会の練習もあるところも。ぜひおうちに帰ったらゆっくりのんびりとさせてあげてください。
そのそばに絵本がありますように。
絵本を読んでもらうという片手間ではできない時間が子どもたちの心を回復させます。
今月もいろいろな絵本を選んでみました。
楽しんでいただけると幸いです。
【はじまりの絵本】
まずはわらべうたから生まれた絵本『あーそーぼ』
わらべうた「ひとやまこえて」から生まれた絵本があります。
それはこんな始まり
ぶーたこちゃん あーそーぼ
あーとーで
いーまは ごはんの
まっさいちゅう
おかずは なあに?
さかな と とまと…(p2本文引用)
ぶたこちゃんの家に「あーそーぼ」と誘いにいく女の子。ぶたこちゃんはご飯の真っ際中。
「いいないいなわたしもまぜて」と一緒にごはんを食べて…。
つぎはきっきくんのところへ「きっきくーん あーそーぼ」
「〇〇ちゃんあーそーぼ」「いーいーよ」
このフレーズ、声に出すと自然に抑揚がつきませんか。
それはわらべうたの音程とされ、日本に生まれ育つものが持つ心のメロディといわれています。
やぎゅうまちこさんのかわいく優しい絵と色合いがわらべうたにぴったりで。
読んでいて本当に心地よく、優しい気持ちになれる絵本です。
読み聞かせ時間目安<2分30秒>
【季節のお話】
お歌も一緒に楽しんで『つきよのうた』
9月10日は中秋の名月。
こんなお月見のお話はいかがでしょう。
それはこんな始まり
きれいな つきよです。
こぐまは いえのまえで たぬきからの
てがみを みつけました。
”すすきのはらで おつきみしよう。
おいしいもの たくさん よういして まってます。たぬき”
(p2本分引用)
たぬきから手紙を受け取ったこぐまは嬉しくて仕方がありません。
何かいいものを持っていこうと考えて、たぬきとふたりで歌うおつきさまのうたを持っていくことにしたのですが…。
とても可愛くて優しいお話。
読んでいてると思わずふふふと笑みがこぼれます。
作中に登場する「おつきさま」を 、はせがわさとみさんが作詞し,実際に歌になったものが文溪堂のYouTubeで聞くことができます。
とても可愛いお歌です。ぜひ絵本とあわせてお楽しみください。
読み聞かせ時間目安<6分30秒>
新学期の子どもたちと一緒に読みたい『がっこうだってどきどきしてる』
新学期が始まりますね。ドキドキしているお子さんも多いのではないでしょうか。
そんな子どもたちとこんな絵本を楽しむのはどうでしょう。
『がっこうだってどきどきしてる』
それはこんな始まり
こうじの くるまが はしりまわって、あなを ほり、はしらをたて、れんがを つみあげて、ぴかぴかの あたらしい たてものを つくりました。ドアの うえには「がっこう」とかいてあります。(p3本文引用)
新学期。子どもたちがぞくぞくとやってきます。なんてにぎやかなんでしょう。
学校はどきどきしながら子どもたちを見ていました。
学校からみたがっこうの話。
「がっこうなんてだいっきらい」って子どもに言われて傷ついたり、気持ちがトゲトゲして非常ベルをならしてしまったり、でもだんだん楽しくなってきて給食の時はみんなで笑って、四角と真四角の勉強をして…。
学校目線の学校という視点が面白い。
自分もどきどきしているけれど、学校だってどきどきしている。
そう思うと、ほんの少し心が学校に向いてくれるといいななんて思いながら、新学期はじめの絵本に選んでみました。
読み聞かせ時間目安<4分15秒>
はじめてのクラス、はじめての学校、みんなどきどきするものだけど……学校だってどきどきしてるって知っていた?
学校がちょっぴり怖い子、苦手な子、いやだなあと思う子たちへ――こんな学校だったら、ちょっと面白いんじゃない?
はじめて新しいクラスに入るとき、新しい学校に行くとき、子どもはみんなどきどきして、ちょっぴり不安を感じるものですが、じつは、学校のほうも不安で心配でしかたなかったとしたら!? 生まれたての学校が、子どもたちといっしょに少しずつ「学校って、もちろん楽しいことばかりじゃないけど、でもやっぱり楽しいかも」と思えるようになるまでを、不安な心によりそって描きました。学校といっしょに、どきどきして、切なくなって、げらげら笑える、唯一無二の学校絵本です。
【新刊絵本】
いろんなマークと早口言葉『へんてこはやくちことば』
街を歩くといろんなマークがあるよ。いろんなマークと一緒にへんてこはやくちことばいってみよ!
まずは電車の駅のマーク
いつもだまっているけれど、たまにはたくさんしゃべりたい!
でんしゃ ごとごと みごとごと あわせて ごとごと むごとごと
たったのしい!!
禁止のマークにベルマーク、リサイクルマークに初心者マーク…。
マークにあわせていろんな早口言葉。言えるかなと楽しんでいるうちにいろんなマークを覚えてきて、そしたら街でも目について。
初回限定マークを楽しめる付録付きのこの絵本。
ぜひお子さんと一緒に楽しんでください。それはルールを自分を地球を守る始まりとなるでしょう。
読み聞かせ時間目安<2分>
人気絵本作家・新井洋行の新感覚ピクトグラムえほん第2弾!
今度はまちのマークがしゃべり出す! へんてこはやくちことば言ってみよう♪
「でんしゃ ごとごと みごとごと あわせて ごとごと むごとごと」
マークにまつわる楽しいはやくちことばがたくさん登場! かまずに言えるか挑戦しよう!!
日常で出会うマークも、実はいろんなことを考えているのかもしれません。マークのことがさらに好きになる1冊です。
【その他 9月の読み聞かせにおすすめの絵本】
絵本の読み聞かせについて思っていること
絵本はコミュニケーションツールです。 絵本は子ども達の歩みを助け、その成長を促してくれるかもしれません。 しかしそこには読んでくれる人の温もりを通した生きた声が不可欠です。 人と人とが向かい合い、片手間にはできない読み聞かせだからこそ愛情が注がれるのです。 子どもの持つその心のコップを絵本を使って愛情で満たしてあげてください。大好きな人の声で温もりの中聞く美しく豊かなお話。それはあっという間の子育ての濃密な時間を助け、後にその子どもたちの長い人生の心の支えとなるでしょう。
ふわはねプロフィール
ふわはね(内田 祐子)
大学で児童文学を学ぶ。2005年絵本講師1期生として絵本講師資格取得。関西を中心に企業での定期教室をはじめ、
絵本のつなぎてとして、絵本の作り手と読み手を。親と子を。人と人を繋いでいる。
子育てアドバイザー・JPIC読書アドバイザー
大学2回生と高校2年生の娘をもつ。インスタグラム @fuwahane
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