【ふわはね絵本のある時間】2022年10月におすすめの本
絵本講師として10年以上ご活躍中のふわはねさん。絵本講座や絵本コンサル、絵本の読み聞かせ会などを年に200回以上こなしています。そんなふわはねさんに季節にあった絵本と読み聞かせ会の流れについて語ってもらいました。
二十四節気(にじゅうしせっき)を感じる
二十四節気とは… 1年を12か月さらにその半分、24個に分けた季節を表す名称です。
10月では…
寒露かんろ(10月8日)朝晩の冷え込みを肌で感じるようになる頃。季節はぐっと進み秋が深まる。
霜降そうこう(10月23日)朝晩の冷え込みが更に増し、朝露が霜に変わる頃。冬の足音が近づいてきます。
10月、秋という季節は深まるという言葉でその移ろいが表現されます。
朝晩の冷え込み、虫の声、紅葉、どんぐりや栗の実、おいしい秋の実りのものたち。
その空の高さや、雲の形、色さえも夏とは違う。
そんな季節の移ろいもぜひ絵本と一緒に感じてください。
今月もいろいろな絵本をご紹介します。一緒に楽しんでいただけると幸いです。
【はじまりの絵本】
まずはわらべうたの絵本から『へっこぷっとたれた』
きのこがおいしい季節にこんな絵本から。
それはこんな始まり
おいっちに
おいっちに
おいっちに
おいっちに
おいっちにーの
きーのこちゃん
へっこぷっと たれた
(p2−3本文引用)
最後に ぷっ!ときーのこちゃんがへっこ(おなら)ぷっとたれて…。
お次はあーひるちゃんにだーるまさん、そしておーばけちゃん!
わらべうたでひろがるあかちゃん絵本として2018年9月に出版されたこの絵本。
ユーモラスでかわいいきのこちゃんやだるまさん。
他に『ねーずみねーずみどーこいきゃ』と『おせんべやけたかな』の3冊同時に発刊。
3冊どの絵本も色合いが優しい日本らしい色で落ち着きます。
わらべうたの絵本です。何も難しくはありません。
どうぞそのまま声に出して読んでみてください。自然とわらべうたのリズムに。
それはきっと日本人の風土が作るメロディ。
それでも心配な方はぜひ、オビにあるQRコードをご確認ください。こちらの動画が見られます!
読み聞かせ時間目安<1分45秒>
おいっちに……と、きのこが歩いています。ページをめくると、ぷっ! だれかがへっこ(おなら)をたれました。あひるやだるまも歩いてきて、だれかがぷっ! リズミカルな言葉とユーモラスな絵に、心もはずみます。
【季節のお話】
空をみあげて『あのくもなあに?』
秋分を越え、朝晩の冷え込みを感じ秋が深まってきました。空気が澄み、空高く美しい爽やかな秋晴れの空、つい見上げてしまうのは私だけでしょうか。そしていつもこのフレーズが頭をまわります。
「あのくも なあに?なんだろね。」
そう。絵本『あのくもなあに?』の最初のフレーズ。
天狗の座布団
風の子のリボン
雷様のお母さんの洗濯の泡・・・
富安陽子さんのリズムよい言葉が声に出して耳にいい。
山村浩二さんの絵が想像力を広げ、読み終わった後には空を見上げたくなる。
雲はとても身近な自然です。
日々姿を変え、季節と共にいます。
空を見上げ想像の翼を広げてみませんか。
読み聞かせ時間目安<2分30秒>
新米のおいしい季節に日本各地のおにぎりを知る『にっぽんのおにぎり』
新米のおいしい季節です。お次はこんな絵本はいかがでしょうか。
おにぎりは日本人の一番身近な食べ物と言っても過言ではないのではないでしょうか。
なんと、あとがきによると約2000年前ものおにぎりの化石が発見されたとあります。
この絵本では各地方で愛されたおにぎりを日本全国47都道府県別に紹介されています。
まずは北海道。そう北海道といえばサケ・マスの漁獲量日本一、その数なんと全国の約8割というから驚き!
その土地の歴史や風土、特産品なども知ることができます。
見ていると食べたくなってきて…。ぜひ、親子で一緒に日本各地のおにぎりを作ってみませんか?
【昔話絵本】
女の子が主役の昔話えほん『おだんごころころ』
秋の夜長に昔話をひとつ。
それはこんな始まり
むかしむかし、
あるところに、
ひとりのむすめが いました。
あるひのこと、むすめは、おだんごを もって、
やまへ しばかりに いきました。
お昼になったので、持って行ったお団子を食べようとしたら、ころころころがって、もうひとつのおだんごもころころころがって、最後のひとつまでころころころころころがって、ついたところは おにの家。
すると家の中から おにがお団子を食べながら出てくるではありませんか。
そしてむすめにもっと作れと おにの家に引っ張り込みました。
さぁむすめはどうなるのでしょうか。
刺繍と布絵で描かれた絵本は昔話の世界観とぴったり合っていて、お話の世界により入り込ませてくれます。
強くたくましく生きる女の子のお話は、小さなその心に勇気をくれるかもしれません。
読み聞かせ時間目安<3分40秒>
ころころころがるおだんごを追いかけたむすめが、鬼の元へ行き着き、おだんごを作らされるお話。鬼の家には、おだんごを食べたがる鬼がたくさんいて、おそろしい思いでむすめはおだんごを作ります。粉が足りなくなると、不思議なおたまを鬼から手渡されて……。
日本の四国地方に伝わってきた昔話で、小説家・中脇初枝さんが再話したもの。途中、ドキドキするところもありますが、最後はハッピーエンド。あまり怖くない鬼なので、幼いお子さんも楽しめます。この話のように、鬼の宝のおたまやしゃもじを持って帰ってくる物語は全国各地に伝わっているそうです。
とにかく本書はMICAO(みかお)さんの刺繍と布の絵がすてき! ステッチで輪郭をとられた赤い着物姿の女の子はかわいらしく、鬼たちの姿もユーモラス。鬼の毛やひげ、川、植物など、縫い目をたどってずっと眺めていたくなります。
本書は「女の子の昔話えほん」シリーズの1冊。男性が主人公になりがちな昔話の中で、女性がお話の主役となるさまざまな伝承を集めているのが特徴です。たとえば同シリーズには他に、フランスのお話『花をさかせたがらない小さなキャベツ』、ハイチのお話『わたしがテピンギー』などがあります。
お話自体は、男の子や女の子関係なく、現代に読んで違和感なく味わえる昔話です。これからの時代を生きる子どもたちに、ぜひ肩の力を抜いて楽しんでもらえたらいいですね。
【新刊絵本】
「母の友」特選童話集 『こどもに聞かせる一日一話』
毎月愛読している福音館書店の雑誌『母の友』
その中でも11月号は特に楽しみ。なぜならこどもに聞かせる一日一話という見開き1ページの絵と共にあるお話の企画があるから。
毎日一話。それがちょうどよくて。「
1953年「母の友」創刊号にあった企画が2003年「母の友」50周年の際に復活し、以来ほぼ
中には子どもたちの楽しんだあのお話や、
装丁の美しさも相まってまたまた宝物になりそうな一冊です。
「こどもに聞かせる一日一話」は、福音館書店の雑誌「母の友」で長く続く人気企画です。短くておもしろい童話を30話一挙に掲載。気軽に読めて、子どもとおとなが一緒に楽しめると毎年好評をいただいています。この本には、21世紀以降、約20年分の「一日一話」から選んだ楽しいお話を中心に『ぐりとぐらのピクニック』や『だるまちゃんとうらしまちゃん』など、過去に「母の友」だけに掲載された、絵本の人気者たちの未単行本化作品を収録しています。
【その他 10月の読み聞かせにおすすめの絵本】
絵本の読み聞かせについて思っていること
絵本はコミュニケーションツールです。 絵本は子ども達の歩みを助け、その成長を促してくれるかもしれません。 しかしそこには読んでくれる人の温もりを通した生きた声が不可欠です。 人と人とが向かい合い、片手間にはできない読み聞かせだからこそ愛情が注がれるのです。 子どもの持つその心のコップを絵本を使って愛情で満たしてあげてください。大好きな人の声で温もりの中聞く美しく豊かなお話。それはあっという間の子育ての濃密な時間を助け、後にその子どもたちの長い人生の心の支えとなるでしょう。
ふわはねプロフィール
ふわはね(内田 祐子)
大学で児童文学を学ぶ。2005年絵本講師1期生として絵本講師資格取得。関西を中心に企業での定期教室をはじめ、
絵本のつなぎてとして、絵本の作り手と読み手を。親と子を。人と人を繋いでいる。
子育てアドバイザー・JPIC読書アドバイザー
大学2回生と高校2年生の娘をもつ。インスタグラム @fuwahane
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