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子どもと絵本のエピソード

【保育士がっちょに聞く】保育園で劇にしやすい絵本5選~年長児編~

現役保育士で絵本専門士の大河原悠哉(がっちょ)です。私は公立保育士・幼稚園教諭を計10年経験したのち、現在は株式会社SHUHARIが運営する認可保育園元気キッズにて施設長を務めています。また、子育て支援のイベントを主催・運営したり、保護者向け・保育士向けの絵本講座をしています。子どもとの絵本エピソードや活用方法についてお話しします。

劇遊び向けの絵本 年長児編

絵本などの登場人物になりきって、ストーリーを進めていく劇遊び。

クラスで劇遊びを行いたいけど、どんな絵本を選んだら良いか分からない、年齢に適した劇遊びを知りたいなどのお話を聞くことがあります。

そこで今回は年長児向けの劇遊びにしやすい絵本をご紹介していきたいと思います!

劇遊びは、子どもたちの表現力や想像力など様々な側面を見られる1つの機会です。特に自然と始まった劇遊びは、子どもたちの主体性と世界観溢れる遊びとなっていきますので、参考にしていただけたらと思います。

【1】幻想的な世界と踊りが楽しい絵本『くるみわりにんぎょう』

バレエの組曲として有名な物語『くるみわりにんぎょう』はご存じでしょうか?

お話というよりかは、音楽の方がパッと思い浮かぶかもしれません。

少し複雑で長い幻想的なお話ではありますが、年長児であれば繰り返し読んでいくことでお話の面白さが理解できるかと思います。

担任時代に隣のクラスで、『くるみわりにんぎょう』を題材にして劇遊びを行っていました。踊りなども取り入れながら行える劇遊びなので、子どもたちが夢中になって楽しんでいたのを見させてもらいました。クリスマスのお話でもあるのでこれからの時期にピッタリの絵本!CDなどを使って、子どもたちと楽しんでみてはいかがでしょう?

くるみわりにんぎょう

マリーは、ねずみたちとたたかっているくるみわり人形を助けます。バレエ組曲としても親しまれているファンタジーを絵本化。

【2】地蔵になりきる面白さと心温まる絵本『かさじぞう』

言わずも知れた日本の昔話『かさじぞう』こちらも劇にしやすいお話の1つです。

絵本を読んだ時に、子どもたちが地蔵になりきり、かさじぞうごっこが始まったことがありました。

「動かない」ということが子どもたちにとっては面白かったようで、じーっと止まって地蔵になりきる子どもたちが続出!

絵本に出てくるのは六地蔵ですが、八地蔵、十地蔵、十二地蔵とどんどん増えていったのを覚えています。

笠を作るだけ、よりかさじぞうごっこが楽しめますので、絵本を読んだ後に、笠を作ってみてはいかがでしょう?

こちらも大晦日のお話になりますので、これからの時期にぴったり!

かさじぞう

大晦日、おじいさんは売りものの笠をお地蔵さまにかぶせて帰りました。
その晩、どこからか不思議な声がして……。温かい幸せに包まれる、年越しの一冊。
おはなしもうひとつは、「じゅうにしのはじまり」。

【3】年老いた動物になりきって楽しむ『ブレーメンのおんがくたい』

グリム童話定番の昔話『ブレーメンのおんがくたい』

昨年度、私の園でも年長児クラスで取り組みました。

様々なブレーメンのおんがくたいの絵本を読みながら、役のイメージや小道具を作ったり、セリフを考えたりしながら楽しみました。

個人的には、最後にどろぼうを脅かすシーンが面白く、組体操のように動物たちが重なってばけものになり切るのも見せ場の1つです。

組体操のように力を合わせて楽しむことができるのは、年長児だからこその楽しみ方ではないでしょうか?

ブレーメンのおんがくたい

有名なグリムの昔話。年をとり、働けなくなったろば。主人に捨てられることになり、自分からブレーメンの町の音楽隊に入ろうと家を出ます。道中、同じく年をとり同じ境遇の、猟犬、ねこ、おんどりも仲間に入り、ブレーメンをめざします。
日も暮れ、寝床につこうとすると、遠くに家の明かりを見つけます。家の中には、おいしそうな食べ物がテーブルに並び、食事をしているおそろしい泥棒たちが。そこで4匹は、泥棒たちを追い払う方法を考えて・・・。

【4】個性ある登場人物になりきって関西弁を楽しむ絵本『じごくのそうべえ』

子どもたちの大好きな絵本の1つ『じごくのそうべえ』

一見、恐そうな絵本ですが、恐いを通り越して面白いのなんの!

ついつい絵本の登場人物の真似をしてみたくなるのが、そうべえの面白さです。

『じごくのそうべえ』はオペレッタ用にCDブックもあります。これに合わせて体を動かせば、そうべえになりきれること間違いなし!

音楽を中心としたオペレッタとして楽しいですし、言葉のやりとりを楽しむ言語劇として楽しむのも1つです。

子どもたちに合わせて楽しんでみて欲しいと思います!

じごくのそうべえ

「とざい、とうざい。かるわざしのそうべえ、一世一代のかるわざでござあい。」綱わたり最中に、綱から落ちてしまった軽業師のそうべえ。気がつくと、そこ は地獄。火の車にのせられ、山伏のふっかい、歯医者のしかい、医者のちくあんと三途の川をわたってえんま大王の元へ。4人はふんにょう地獄や、針の山、熱 湯の釜になげこまれ、人を食べる人呑鬼にのみこまれます。そうべえたちははたして生き返ることができるのか、あとは読んでのお楽し み。
桂米朝の高座で名高い上方落語の「地獄八景亡者戯」(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)を題材に、関西弁を駆使して描く、スケールの大きな落語絵本で す。第一回絵本にっぽん賞受賞した、ユーモラスなストーリーが子どもたちに大人気のロングセラー絵本。

【5】先輩保育士に憧れて…『おしゃべりなたまごやき』

おしゃべりなたまごやき

たまご焼きが大すきな王さまのユーモラスなお話。1959年「こどものとも」で発表された旧版は、文藝春秋漫画賞を受賞し、絵本作家長新太の原点となった作品です。けんらんたる色彩と自在なフォルム、上質な日本語、発表以来大好評を続けるロングセラーです。

このお話に関しては、先輩保育士が「劇遊び」をやっていたのを見て自分もやってみたい!と思ったのがきっかけです。

こちらも、テンポ良くストーリー展開していきながら、ミュージカルを見ているかのような雰囲気の「劇遊び」CDがあります。こちらのお話は、理論社から出ている『おしゃべりなたまごやき』がベースになっていますが、福音館書店から出ている『おしゃべりなたまごやき』の方が子どもたちはイメージしやすいように感じます。

「劇遊び」を繰り返し行ううちに、「ニワトリの檻が欲しい」「鍵を作りたい」など絵本のイメージを小道具で表現するようになっていきます。子どもと一緒に作ったり、作ってあげたり、子どもたちが「劇遊び」をより楽しめるように用意していけると良いですね。台本もありますが、それらをベースに子どもたちが言いやすいように変えたり、子どもたちの様子に合わせて書き換えたりするなどして、楽しめる工夫をしていくことも必要でしょう。ぜひ楽しんでみてください。

『おしゃべりな たまごやき』劇遊びCD

絵本の世界を子どもたちと一緒に作る

年長児の劇遊びの醍醐味の1つとして、子どもたちと一緒に小道具を作ったり、セリフを考えたりすることがあると思います。

登場人物になりきって、やっていくうちに「○○を作りたい!」「○○って言いたい!」など子どもが主体的になって取り組んでいくと、どんどん面白い劇遊びに発展していきます。

子どもの声に耳を傾けて一緒に作り上げていく過程が大切です。

クラスや子どもたちによって、絵本の世界をどのように表現していくか、異なってきます。子どもたちの表現を楽しみながら、絵本の世界を一緒に作っていって欲しいと思います。

大河原悠哉(がっちょ)

公立保育士・幼稚園教諭を計10年経験ののち退職。現在は、株式会社SHUHARIが運営する認可保育園元気キッズにて施設長を務める。 平成29年6月に独立行政法人国立青少年教育振興機構による「絵本専門士」を取得。子育て支援センターや図書館、本屋などでおはなし会や保育者・親子向けの絵本講座や研修を行っている。 現在は、保育士・ライター・子育て支援イベントの主催、運営・講師など様々な顔を持つ。 『がっちょの絵本ブログ』を運営。

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絵本ナビ編集部
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