絵本ナビスタイル トップ  >  絵本・本・よみきかせ   >   絵本トレンドライターN田N昌の “大人だってもっと絵本読みたいの!”   >   パパママ、おじいちゃんおばあちゃんと一緒に読みたい「おうち」絵本
絵本トレンドライターN田N昌の “大人だってもっと絵本読みたいの!”

パパママ、おじいちゃんおばあちゃんと一緒に読みたい「おうち」絵本

子どもだけが読むなんてもったいない。大人も楽しい絵本の世界を、絵本トレンドライター・N田N昌さんが、独自の視点と「ゴイスー」な語り口でご紹介! 
注目の新刊や作家さん、気になる絵本関連スポットなど、絵本のトレンド情報を大人に向けてお届けします。

親子3代、家族みんなで味わいたい、おすすめ「おうち絵本」3選

今年は、帰省される方も昨年より増えるのではないでしょうか…。久しぶりに孫の顔が見られる、おじいちゃん、おばあちゃんに会えるとお正月を楽しみにしている方も多いかもしれません。

そんななか、今回ご紹介させていただくのが「おうち絵本」でございます。実は、家をテーマにした絵本や家自体が主人公の絵本はけっこうございます。たとえば、人気絵本作家の大島妙子さまの絵本、家に足が生えて住人のおばあちゃんを乗せたまま旅に出る『たなかさんちのだいぼうけん』(あかね書房)など、ゴイスーにナンセンスな作品もたくさんございます。

 

今回選ばせていただいたのは、家自体が主人公の絵本でございます。なおかつ、ぜひとも帰省時におじいちゃんおばあちゃんと一緒に読んでいただきたい、会話が弾む絵本ということで、厳選させていただきました。

そもそも、「おうち絵本」というテーマ上ごく自然ですが、親と子、さらに孫と親子関係が描かれたものが多いように存じます。帰省時に読んでいただきたいと申し上げたのは、パパママの実家で読むことで、「パパママは、この家で育ったんだね」「どんな子どもだったの?」と、おじいちゃん、おばあちゃんとの会話も弾むはずでございます。家族みんなで楽しむおしゃべりのきっかけに是非是非ご活用いただければと存じます。

今回は、「おうち絵本」のなかでも特に帰省時に力を発揮してくれそうな3冊を選ばせていただきました。

『ちいさいおうち』

1942年初版から80年親しまれ続ける、不朽の名作。

ちいさいおうち

しずかないなかに、ちいさいおうちがたっていました。やがてどうろができ、高いビルがたち、まわりがにぎやかな町になるにつれて、ちいさいおうちは、ひなぎくの花がさく丘をなつかしく思うのでした――。時の流れとともに移りゆく風景を、詩情ゆたかな文章と美しい絵でみごとに描きだした、バートンの傑作絵本。
(2019.11改版)

まずは、ロングセラー絵本の代表といっても過言ではございません、今から80年前、1942年に出版されたバージニア・リー・バートンさまの不朽の名作絵本 『ちいさいおうち』(岩波書店)でございます。子どもの頃に読んだという大人もたくさんいるかと存じます。

主人公の家を通して、街の変化、時代の流れが見事に描かれております。ちなみに、『ちいさいおうち』では、住人はほとんど登場いたしませんが、親子3代で楽しむにはもってこいではないかと存じます。「ママの子どもの頃は?」「おばあちゃんの頃は?」「これはなに?昔の電車ってこんなだったの?」などなど、話はつきないはずでございます。おじいちゃん、おばあちゃんも喜んで語ってくれるのではないかと存じます。

そして、このあとご紹介する2冊は、期せずして今年の10月に発売になった海外絵本と日本絵本でございます。『ちいさいおうち』と違い、こちらは2冊とも住人(家族)が登場いたします。そして2冊とも、おうち絵本の十八番とも言える“家族”“人生の四季” が見事に描かれております。パパママにもオススメといいますが、むしろ大人の方がハマる絵本かもしれません。

『ランタンハウス あかりのともる おうち』

古くなった家の、再生と喜び。全米大ヒット絵本、日本上陸!

ランタンハウス あかりのともるおうち

家族や「年月の移り変わり」をやさしく包み込む
「家」の視点で描いた静かでやさしいお話をお届けします。
全米大人気TV番組「ホームタウン」の司会者でもある
エリン・ネピアによる本書は、
全米で、発売わずか1ケ月で11万部突破の大ヒット絵本。
変わりゆくことは家にとっても家族にとっても避けられない。
時として悲しいけれど終わりがあれば始まりもある。
別れや出会いを繰り返しながら生きている私たちにとって、
希望ややさしさを感じたり共感できる、
子どもから大人まで永く読み継いでいただける一冊です!!

こちらは、さきほどご紹介した『ちいさいおうち』へのオマージュ絵本と言われているアメリカの絵本でございます。アメリカでは発売わずか一ヶ月で11万部を突破。ニューヨーク・タイムズ誌のベストセラーにも選ばれた人気絵本

でございます。『ちいさいおうち』ファンの方には、是非読んでいただきたい一冊でございます。

ある一軒の家を通して、いつまでも変わらないものはない…、切ない“人生の四季”が描かれております。それでいて、最後にほっこりさせてくれるのでございます。

絵もゴイスーに素敵でございます。「見返し」(本の最初と最後のページ)に、家の壁紙が描かれておりますが、最初と最後で絵が変わっております。見返しの違いに、一番に気がつくのは誰か?家族でそんなことを楽しむのも一興かと存じます。

『おうちくん』

3世代の“想いをつなぐ”希望の物語

おうちくん

丘の上に並んで建っている、仲良しのきいろいおうちくんとあかいおうちくん。しかし、楽しく暮らしていた、ふたりに、悲しい別れのときが訪れました。希望を失いかけたとき、きいろいおうちくんを最後に待っていたのは……!? カワダクニコさんが描く、ちいさな家“おうちくん”たちによるこのお話は、子どもたちだけでなく、世代を超えた、多くの人の心に届く普遍的な物語となっています。

こちらは、隣り合った2軒の家のお話でございます。それぞれの住人(家族)も登場いたします。『あかりのともる おうち』同様、切ない“人生の四季”が描かれております。それでいて、こちらも最後には、ほっこり温かい気持ちにさせてくれる作品でございます。ご本人に伺ったわけではございませんが、きっと『ちいさいおうち』を意識されているのではないかと存じます。

こちらの『おうちくん』(303BOOKS)の主人公のおうちは、おばあちゃんが1人暮らしで週末になると孫の男の子が遊びにくるという設定でございます。まさに帰省時に読むのにぴったりの内容になっております。

家が主人公でありながら、そこに暮らす親子の関係性、人と家との関係性、人と人との関係性がしっかりと描かれております。家族だけでなく友達や物を大切にすることなども教えてくれる内容になっております。さらに、植物やそこに集まってくる昆虫などの生き物もしっかり描かれております。これは、身近な“命”にもちゃんと興味をもってもらえるように、大切に思えるようにと、作者のカワダクニコさまが願いを込めて描かれているとのこと。見返しは、おばあちゃんが育てた庭の植物と、そこに集まってくる生き物の名前がわかる「ミニ図鑑」になっております。絵本を読んでどう感じたか、3世代で話をしてみるのも思い出に残るのではないかと存じます。

絵本好きのパパママには、是非、この3冊を読み比べていただければと存じます。見比べて、この辺は『ちいさなおうち』を意識しているのかな…などと勝手に想像しながら楽しんで頂けたらと存じます。3冊読むと、より深く“人生の四季”を感じていただけること、間違いナッシングでございます。

N田N昌

絵本トレンドライター・放送作家・絵本専門士
絵本の最新情報を発信&大人絵本文化、絵本プレゼント文化の普及活動に日々努めております。  

@NtaNmasa

 

(画像は、イラストレーター・作家の網代幸介さんによる著者肖像画)

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
この記事の関連キーワード
Don`t copy text!