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【子どもの語彙力を鍛えるには】家でできる語彙力アップの方法

絵本・本・よみきかせ 2022-12-13
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最近、「語彙力」という言葉をよく耳にします。この語彙力はなぜ必要なのでしょうか。身につけるためには何をしたらいいのでしょうか。幼児や小学生の語彙力の高め方、鍛え方について知るべく、幼児期・児童期の社会性と感情能力の発達などを研究する、NTTコミュニケーション科学基礎研究所の渡邊直美さんに「語彙力」について教えてもらいました。

 

>> [幼児向け・小学生向け]語彙力をつける、鍛えるのにおすすめの本はこちら

渡邊直美さん

NTTコミュニケーション科学基礎研究所 協創情報研究部 研究主任。2015年、米国のジョージ・メイソン大学 応用発達心理学部で博士号取得。専門は発達心理学(主に感情発達)。共著に「ひと目でわかる発達:誕生から高齢期までの生涯発達心理学」(2020、福村出版)。「たくさんのきもち」監修。

語彙力とは言葉を“理解”し“伝える”こと

語彙力の意味

人と会話をするとき、私たちは言葉を理解し、言葉を使って伝えています。この「言葉を理解すること」と「言葉を伝えること」の2つの力が「語彙力」です。子どもたちは、日々新しい言葉を吸収し、頭の中で理解をしていきますが、実際に使えるようになるまでには時間がかかります。生活の中でさまざまな物事に出会い、言葉を知り使い方を学ぶことによって、伝えることができるようになります。語彙力という言葉の意味は幅がありますが、 “自分のいる世界を理解して伝える力”というふうにも言うことができます。

最近の子どもは語彙力・国語力不足!?語彙力が低下している原因

子どもたちの間では「やばい」「うざい」「すごい」などの言葉がよく使われています。いろいろな感情をこの短い言葉だけで表現する傾向にあり、国語力が低下しているとも聞きます。その要因には、家庭での親による子どもへの働きかけの違い、ゆとり教育などの教育施策、コミュニティの規模の変化などが関係していると考えられています。

 

現代は社会がより複雑化し、あらゆるツールによって人とのコミュニケーションが取りやすくなりました。しかしその一方で、家族や地域のコミュニティは規模が小さくなり、子どもに関わる大人の数は減少しています。現代はご近所付き合いがなくなったり、核家族が主流となって祖父母と過ごす時間が減ったり、子どもたちが大人の会話を耳にして大人と話をする機会が少なくなりました。こういった子どもを取り巻くコミュニティの規模の変化が、使う語彙の種類や質にも影響があると考えられます。

語彙力を鍛えるメリット

「語彙」は、生活する中である程度身についていくものですが、生活の中で全ての言葉に出会うわけではありません。特に気持ちや感情を表す言葉は、日常生活や親子の会話ですべてを体験することはできません。例えば、驚いたときに「びっくり!」とは言うけれど、「驚く」をほかの言葉で表現する機会はなかなかないものです。

語彙力を鍛えると自分の気持ちを正しく伝えられるようになる

語彙力をつけたり鍛えたりすることは、「概念を細分化できる」という利点があります。

 

例えば、「悲しい」という気持ちには、落ち込むような悲しさや切なさなど、さまざまな悲しさがあります。「悲しい」というひとつの言葉だけでは、自分が感じている悲しさをピンポイントで伝えることはできません。そんなときに、気持ちにぴったりハマる言葉が見つかれば、子どもたちは「そうか、この気持ちはこう表現するのか」と知り、言葉で気持ちを細かく分類できるようになります。新しい言葉を知って生活の中で使っていくことで、語彙力が鍛えられ概念を細分化できるようになるのです。

 

これはつまり、自分の中のモヤモヤを言葉にして伝えることができるということ。自分が体験したことを相手に正しく伝えることができ、コミュニケーションがスムーズに取れるようになるのです。

 

想像や思考する時、また、それを伝える時、語彙力があることで共通概念が取りやすくなるのです。

感情を表す語彙力を磨くと生活がより豊かに。学力にも好影響

特に、感情を表す語彙力は子どもの社会生活だけでなく学力にも影響します。感情を表す語彙力を鍛えることによってコミュニケーションが円滑になると、お友だちや先生とのトラブルが減り、生活がより豊かになります。そして、座って授業を聞けるなど、学校の授業に集中できるようになり、成績も上がるという研究結果(※1)もあります。感情を表す語彙力は学力にも間接的につながっています

 

※1) 感情語の語彙力を鍛える介入プログラムよる学力への影響 Brackett et al.(2012)

逆に感情を表す語彙力がないままでは対人関係が難しくなる

一方で感情を表す語彙力がないままでは、人とスムーズにコミュニケーションをとることができません。イライラしたとき、その原因や気持ちを言葉で伝えられないがために、お友だちをたたいてしまったり物にあたって壊してしまったり、問題行動を起こしてしまうこともあります。お友だちや先生とトラブルになりやすいことで対人関係がうまくいかなくなり、さらに授業に集中できなくなり学力の低下にもつながります。小さな頃から感情を表す語彙力を身につけることはとても大切なのです。

家庭でできる語彙力をつけ鍛える方法

家族でたくさん会話をする。自分を客観視する力も

まず大切なのは、家族で積極的に会話をすることです。その際、お子さんの話を深堀りをするような質問を投げかけることがポイント。語彙の理解に加え、概念の理解に結びつきます

 

例えば、子どもが保育園や幼稚園、学校から帰ってきたとき、「今日何があったの?」などと聞くとしますね。そのとき、子どもからの返事をしっかり受け止めたうえで、「どう思った?」「なぜそうしたの?」などと、さらに質問をして会話を重ねていきます。子どもたちは出来事を思い出し、言葉にして伝えようと一生懸命考えます。この過程は、言葉を理解して言葉を使うための大きな学びになります。さらに、出来事を思い出すことは、自分を客観視する力を育みます。ぜひ親子で楽しく会話をし、お子さんから言葉を引き出してみましょう。

 

また、食事のときに大人が2人以上いると、子どもの語彙が増えるという研究結果(※2)も出ており、食事をするときは、できれば大人が2人以上いる環境を作ることがおすすめです。これは、大人同士の会話にはたくさんの言葉が登場するからであり、大人が子どもに向けて喋るときよりも大人同士の会話は難易度が高いため、大人の会話を聞くだけで語彙力を育むいい機会になっています。

 

※2) 家族での食事によるこどもの語彙への影響 Snow & Beals (2006)

親も自分の気持ちを子どもたちに話してみる

語彙力を高めるためには、親も“自分の気持ち”を子どもたちに伝えることも大切です。子どもたちにとってのお手本は、お父さんやお母さん。「こんなことがあって悲しかった」「あれは嬉しかった」などと、親自身の気持ちを言葉にすることで、子どもたちも「自分の気持ちを話していいんだな」と学んでいきます。子どもたちは、気持ちを言葉で伝えることに戸惑いがなくなり、自然にできるようになります。

絵本や本から普段使わない言葉に出会う

そもそも語彙の習得に読書が有効であることは、先行研究から明らかになっています。

 

さまざまな言葉や気持ちを表す言葉は、日常生活や会話の中だけでは出会うことができず、絵本や本などからの学びがとても大きいものです。

 

そんな絵本をお子さんに読み聞かせるときは、絵本の場面と自分たちの生活を結びつけて読んでみることがおすすめです。例えば、けんかをする場面が出てきたら、「あのとき○○ちゃんもお友だちとけんかをしていたね」などと、実体験に結び付けてお話をしてみるのです。普段の会話で使わない言葉や出てこない話題も、絵本を介して使うことができます。

 

また、ひとりで本を読めるようになったら、「どんな本だった?」「読んでみてどうだった?」などと、本の感想を聞いてみるのもいいでしょう。言葉にすることで感想文を書くときの助けにもなるかもしれません。

[幼児向け・小学生向け]子どもの語彙力を鍛えるおすすめの本

ではここで絵本ナビから、子どもに語彙力をつけ、鍛えるための助けとなる本を2冊ご紹介します。

*画像をクリックすると本の詳細情報へ遷移します。

気持ちを表す言葉を知り、伝えられるようになる『たくさんのきもち』

http://www.ehonnavi.net/ehon00adv.asp?no=24049

【未就学児向け】対象年齢3~6歳

自分の感じているきもちをどう表せばいいか、どのように言えば伝わるのか。きもちの基本を学ぶことができる絵本。

調査研究によってセレクトされた、3〜6歳の子どもたちがよく使う「きもちのことば(感情語)」が50個登場。よく使う言葉といっても、実際子どもが使う感情語はその一部だけになりがち。普段使う言葉のほかに、どんな感情語があるのか。絵本を通して学び、自らのきもちと言葉を紐づけることができます。

http://www.ehonnavi.net/ehon00adv.asp?no=24049

一般的な絵本と違い文字がないことが特徴。感情を想起させる絵を見ながらお話を作って自由に楽しむことができます。

http://www.ehonnavi.net/ehon00adv.asp?no=24049

後半は、気持ちを表す言葉(感情語)が並ぶ「きもちの図鑑」。50語の感情語が図鑑のように並び、学ぶことができます。

『たくさんのきもち』

作・絵:かしわらあきお

監修:渡邊直美(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)

NTT印刷

2,970円(税込・送料込)

小学生の語彙力アップに「12歳までに知っておきたい語彙力図鑑」

http://www.ehonnavi.net/ehon00adv.asp?no=24050

【小学生向け】

明治大学文学部教授 齋藤孝先生による、楽しみながら語彙力を高められる1冊です。「ヤバイ」「すごい」だけではない、表現力と思考力を育む言葉が身につき、“伝える力が伸びる本”として話題を集めています。

http://www.ehonnavi.net/ehon00adv.asp?no=24050

「感情を表現する言葉」に焦点を絞り、語彙を集めて分類。言い換えとして、さまざまな言葉を意味と例文を合わせて紹介しています。

http://www.ehonnavi.net/ehon00adv.asp?no=24050

齋藤先生のわかりやすい解説とイラストで、「こういうときはこんな表現が使えるんだ!」と、楽しみながら語彙力が身につけられます。

『12歳までに知っておきたい語彙力図鑑』

著: 齋藤 孝

出版社: 日本能率協会マネジメントセンター

1,760円(税込)

日常会話や本を通して無理なく語彙力を鍛えよう

語彙力をつけ、高めることは、状況やお互いの気持ちの理解を深めコミュニケーションを豊かにさせます。また学力にも好影響を及ぼすメリットも渡邊さんのお話からわかりました。今回教えていただいた家で実践できる語彙力を鍛える方法は、日々の親子の会話を工夫をしたり、絵本の読み方を意識したりと、毎日の生活の中で取り入れられるものばかりで決して難しいものではありません。無理せず親子で楽しみながら子どもの語彙力を育んでいきましょう。

 

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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