【今週の今日の一冊】防災対策を見直そう! 家族で読みたい防災の本
毎年3月になると、とくに思い出される2011年3月11日の東日本大震災。今年は震災から12年の年となります。また、1ケ月前に起きたトルコ・シリア大地震についても心配が続いていますね。いつ、どこで発生するかわからない自然災害。日本で、世界で、自然災害のニュースを耳にするたびに、慌てて防災対策や防災用品を見直してみたりしながらも、これで大丈夫なのだろうか? と不安は尽きません。
今週は、あらためて防災を見直そう! というテーマで、物と心の両面において備えたい、防災対策の本を集めてみました。コロナ禍での避難についてなど新しい情報が載った本もさまざま出版されています。自分自身とそして周りにいる大切な人たちを守るために、新しい情報や知恵を備えておきたいですね。
2023年3月6日から3月12日までの絵本「今日の一冊」をご紹介
3月6日 過去の体験談から防災について学び、考える
月曜日は『そのときどうする? もしも災害が起こったら』
いつ、どこで発生するかわからない自然災害。
子どもはもちろん、大人にとっても直接被害に遭わなければ、なかなか想像できないのが、自然災害の大変さです。
「こんなに急に浸水するとは」「まさかここまで崩れるとは」
台風や大雨による災害もちょっとした「まさか」で被害が広がることがあります。
そんなときに役立つのが、過去の体験談から防災について考える、本書のようなガイドブック。
「もしものときにどんな危険があるのか」「まわりがどうなってしまうのか」を知り、実際に起きたときを想像するのが防災の第一!
本書では、過去の災害で被災した人たちの実際の行動を知り、マンガや写真でそのときの状況をふりかえることができます。
災害に巻き込まれた場合、どのようなシチュエーションなら、どう行動すべきなのか。
親子や学校で、一緒に読んで考えるのにぴったりの本です。
個人的には2018年の西日本豪雨で、自宅の外に出て避難するのかしないのか、家族の会話がとても参考になりました。
「まだいいんじゃない」「よし、避難しよう」「え、本当に避難するの?」というやりとりから、危機一髪で難を逃れるまでの経緯がマンガで描かれ、わかりやすいです。
すでに外はひどい大雨のとき、わざわざ安全に思われる自宅から出るのかと迷うケースは多いはず!
また東日本大震災で「釜石の奇跡」と呼ばれた、小中学校の点呼なしの避難もふりかえって検証され、改めて学校現場の避難を考えさせられます。
災害は学校で日中起きるのか、夜に家で起きるのか。
体験談から学び、考えたことを、いつか災害が起きたときに、身を守るための知識として生かす。
日頃のちょっとした心がけで、大きく変わる運命もあるかもしれません……。
本書は「命をつなぐ防災」シリーズの第1冊目。
他に2冊目「今日からできる!命をつなぐそなえ」、3冊目「みんなで助けあう!避難生活と復興」があります。
本シリーズをぜひ防災に役立ててくださいね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
「もしも」にそなえて「今」できること 命をつなぐ防災シリーズ、こちらも合わせて
3月7日 小学生に伝えたい、状況ごとの身の守りかた
火曜日は『じしんのえほん こんなときどうするの?』
ぐらっときたとき、ひとりきりだったら どうしたらいいの? 通学路や自宅、教室など、状況ごとに身の守りかたを伝える地震防災絵本。
読者の声より
小学校1年生の子供たち目線で、地震が来たら、どうするか?という事が分かりやすく描かれています。
1人での下校途中で地震が来たら・・・
1人でお留守番の時に地震が来たら・・・
海やスーパーマーケットで地震が来たら・・・
など、様々な場所での対処方法が書かれています。
子供目線と、親目線との両方が書いてあります。また、最後のページには災害用伝言ダイヤルの使い方、待ち合わせの方法などがあって、我が家も地震についてしっかり親子で学べました。
(みっちー77さん 30代・ママ 男の子8歳、女の子3歳)
3月8日 子どもたちの身を守るための35個の防災ルール
水曜日は『一生つかえる!おまもりルールえほん ぼうさい』
地震、台風、土砂災害。あした起きるかもしれない、大きな災害。
「こわい!」だけじゃ自分を守れないときのために、絵本で学ぶ35の「おまもりルール」が役に立ちます!
大声を出したら疲れちゃう。
閉じ込められたときは、防犯ブザーを使ったり、物を叩いたり、音や光で助けを呼ぼう。
避難してからも、命を守る行動はつづく。
避難所では健康を守るため、こまめに水を飲んで体を動かそうなど、前半「じゅんびのルール」では、災害が起きる前に知っておきたい心構えや準備を紹介しています。
後半「こうどうのルール」では、どんな場所で、どんな災害にあったら、どうすればいいのか、その具体的な行動のためのルールが示されています。
地震でドアが壊れると、外に出られない。
よゆうがあれば先にドアを開けて、机やクッションなどで頭を守ろう。
もしもエレベーターに乗っている時に災害に気づいたら、全部の階のボタンを押して、止まった階で降りよう!
子ども向けにかわいいイラストとやさしい言葉で記されている本書ですが、その内容は、防災に関する最新のイロハを学ぶための入門書として、大人にもおすすめしたい充実度。上で紹介したものに加え、インターネットによる誤情報の流布に注意をうながす項目もあり、近年の災害事情をくんだ防災ルールがたくさん収録されています。
本書巻末、保護者へ向けたメッセージによれば、100人以上の犠牲者を出す大地震は6年に1度の割合で発生。記録的豪雨の回数も増え、温暖化に伴いそうした災害リスクはさらに高まるとのこと。
地震が起きた時に机の下に隠れるというルールも、それだけでは不十分なケースもあり、状況に合わせた行動が必要になります。そのために必要なのが、正しい知識と心構え。いつ起きるかわからない災害のために、今日から備えるその第一歩としておすすめです。
(堀井拓馬 小説家)
読者の声より
図書館でかわいらしいイラストの防災の本があるのを見つけ、気になって手に取りました。
小さい子にもわかりやすく、楽しく読める本です。
ルールチェックリストや非常持ち出し袋の中身チェック、命を守るポーズ集などなど、ためになるページがたくさんありました。
小さいお子さんを持つご家庭に1冊あると安心だと思います。
(クッチーナママさん 40代・ママ 女の子18歳、女の子15歳、男の子13歳)
3月9日 大切な人と身につける新しい防災の「心・技・体」
木曜日は『イラスト・図解でまるっとわかる! 家族でそなえる防災・被災ハンドブック』(2023年1月刊)
被災前も被災時も被災後も。
一家に一冊、大切な人と身につけるあたらしい防災の「心・技・体」。
「災害ってこんなもの」「それなりに備蓄してるから」「自分は大丈夫でしょ」といった思い込みをなくそう。
防災シミュレーションゲーム「クロスロード」も学べます。
日本は世界的に見ても災害が多い国です。
地震、津波、台風、集中豪雨、土砂崩れ、火山の噴火etc…
もしもの時に役に立つ防災の知識や知恵を
イラストやマンガを使って家族みんなが理解できるよう紹介しています!
CHAPTER01 「その日」に備える!被災してもなるべく快適に暮らしたい
CHAPTER02 「その日」がきた!
CHAPTER03 被災時における からだとこころの健康管理
CHAPTER04 いのちをまもるための知識
CHAPTER05 被災後の暮らしとお金の話
CHAPTER06 教えて!矢守先生 防災心理学とクロスロード
チャレンジ!防災クイズ!
防災・被災時に役立つウェブサイト一覧
3月10日 伝わってくるのは、命の大切さとかけがえのなさ
金曜日は『きみは「3.11」をしっていますか? 東日本大震災から10年後の物語』
豊富なカラー記事とデータが満載。表紙を見て、一見、難しいのかな? 長いのかな? と思った子もいるかもしれませんが、本を開いてみると文章がひとりひとりに優しく語りかけるように紡がれていく、とても読みやすい1冊です。
「この本を手に取ってくれたきみへ」のメッセージの中に、「2011年の3月11日に大きな地震と津波が起こりました。その時きみは、何歳だったかな。」の語りかけがあり、この本が小学生や中学生に向けて書かれたことが分かります。ソフトカバーで軽く、難しい内容はほとんどありません。ひとりで読むとしたら、小学校4年生ぐらいからでしょうか。すべての漢字にルビも振られています。
本書は5章に分かれているのですが、第1章は、宮城県石巻市にある「石ノ森漫画館」での3.11からの5日間がまんがで描かれています。まんがを描かれているのは、漫画家の細野不二彦さん。最初がまんがから始まるので、本を読むのがちょっと苦手という子でも、無理なく読み進めていけそうです。
つづく第2章は、津波で大切な娘さんを失った中学校教師の平塚真一郎さんの「天国の笑顔のために」。とても胸が詰まり、読み進めるのがつらい場面もありますが、ここに書き紡いで下さったことに感謝すると共に、心に残ることばとたくさん出会うことができます。
第3章は、東北を代表する新聞社「河北新報社」が集めた被災地の「声」。41人の方それぞれの震災体験とそこからの日々のこと、読者へのメッセージが伝わります。それぞれに大きな困難や悲しみに見舞われながらも、周りの人々に支えられ、前に進んできた歩みが力強く感じられます。
第4章は、〇〇で見る3.11ということで、「新聞で見る3.11」「地図で見る3.11」「数字で見る3.11」「写真で見る3.11」……というように、とても分かりやすく震災に関するデータがまとめられています。
そして最後の第5章は、観光学者の井出明さんによる「死の意味と復興の力強さ」と題したまとめが語られます。
この章では「なぜ震災を学ぶのか」、その理由がストンと胸に落ち、さらに防災の世界でしばしば語られるという「2度目の死」ということについてじっくりと教えて下さいます。
震災の日のこと、大切な人を失った悲しみ、命のとらえ方、若い人に伝えたいそれぞれの方からのメッセージ‥‥‥。この本はたくさんのことを教えてくれますが、一貫して伝わってくるのは、命の大切さ、かけがえのなさです。
「命はひとつ。大切なきみの命。名前もひとつ。大切なきみの名前。」
この本の編集をされた方が、あとがきで「泣きながら作りました」と書いていましたが、たくさんの伝えたい、伝えなければという思いを受けて、子どもたちが震災のことだけでなく、自分の命について考える時に、大きな助けとなる1冊となるに違いありません。この本に触れることで、頭で知る知識だけではない、心で感じる知識がしっかりと胸に刻まれていくことでしょう。もちろん大人の方にもおすすめしたい1冊ですが、読み終えた後は、ぜひ身近にいる子どもたちに手渡していただけたらいいなと思います。また、学校の図書室や教室や児童館など、子どもたちが自然と手を伸ばせるところに置いていただけたら、と願います。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
3月11日 震災から12年 震災を知らないこどもたちへ
土曜日は『震災から12年 震災を知らないこどもたちへ』(2023年2月刊行)
東日本大震災を知らない子どもたちへ
記憶を引継ぎ、希望を伝える写真絵本
東日本大震災から毎月東北へ通う写真家が、
震災を知らない子どもたちへ伝える、
東日本大震災と12年間の東北の人々の写真絵本です。
震災の悲惨な事実を伝えるとともに、
日々を生きることの大切さ、
日常が決してあたりまえでないこと、
毎日を大切に生きていこうという、
生きるメッセージが込められています。
2023年は震災で亡くなった方の13回忌にあたります。
報道とは違う視点から、東北を想い、
希望を写した、心に伝える写真絵本です。
3月12日 「もしも」のときに欠かせない、食事の不安を解決!
日曜日は『電気・ガスが止まったときに役立つレシピ』
近年相次ぐ自然災害。だれの未来にも、その「もしも」のときが来る可能性があります。そのときに大事なのは「命を守る」こと、そして欠かせないのが食事です。
1巻では、自然災害が発生してライフライン(電気・ガス)が止まったときに、 限られた道具と食材でできるレシピを紹介!塞ぎ込んだ気持ちを取り払う、「美味しいもの」を「楽しく」作る、簡単レシピを紹介します。
「「もしも」のときに役に立つ! 防災クッキング」シリーズ、こちらも合わせて
他にも読んでおきたい防災の本がたくさん出版されています。各家庭の目的に合わせてどうぞ。
秋山朋恵(絵本ナビ 副編集長)
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