【季節の絵本選びとプログラム作り】2023年8月、ひまわりの絵本、一緒に楽しむ絵本、歌の絵本、ロングセラー児童書
絵本講師として10年以上ご活躍中のふわはねさん。絵本講座や絵本コンサル、絵本の読み聞かせ会などを年に200回以上こなしています。そんなふわはねさんに季節にあった絵本と読み聞かせ会の流れについて語ってもらいました。
二十四節気(にじゅうしせっき)を感じる
二十四節気とは… 1年を12か月さらにその半分、24個に分けた季節を表す名称です。
8月では…
立秋りっしゅう(8月8日)立つ秋と書いて立秋。暦の上では秋を迎えます。と言えどもまだ夏真っ盛り。そんな中にも秋の気配が徐々に立ち始める頃と言われます。この日を境に暑中見舞いは残暑見舞いになります。
処暑しょしょ(8月23日)「処」には止まると言う意味があり、暑さがおさまるという意味の時期です。日中はまだ蒸し暑い日が続きますが、朝晩は涼しい風が吹き、ふと秋の気配を感じる頃です。
8月のおはなし会
「暦の上では秋を迎えます」なんてニュースの言葉に耳を疑いたくなる今日この頃ですが、
朝夕ふと頬を流れる風が少し涼しく感じたり、夜になると秋の虫たちの声が聞こえたり。季節は確実に秋へと向かっています。
...と言えどもまだまだ暑い夏!絵本ももう少し夏らしいものを集めてみました。
夏休みぜひ絵本と一緒に新たな扉を開いてください。
絵本を読み知ることで見えてくる世界があります。
自由研究に悩んだらパソコンの前ではなく、ぜひ本棚の前に立ってみてください。
面白そうなものきっと見つかりますよ。
【はじまりの絵本】
まずはこんな絵本はいかがでしょう。
夏のお花と言えば、思い出すのはこれでないでしょうか。
福音館書店より「ひまわり」
それはこんな始まり
ちいさな たねが とん
つちの なかの ちいさな たねが どんどこどん
どんどこ どんどこ
どんどこ どんどこ
(p1-6本文引用)
土に植えられた種は、やがて芽がでて、双葉になり、四つ葉になり、どんどこどんどこと大きくなっていきます。
とてもシンプルな絵本です。
シンプルさゆえに、わかやましずこさんの力強い絵と音が、幼いこどもたちの心に直接届くのではないかと思います。
余計な説明はありません。小さなこどもたちがじっと真剣に聞いてくれるこの絵本。
でもこれは、立派な科学絵本であり、ひまわりの一生がわかりやすく描かれている、素晴らしい絵本です。
裏を見ると、2歳から4歳向きとありますが、赤ちゃんは音を楽しみ小学生たちは絵本を参考にしながら夏休みにひまわりの観察日記なんていうのもいいですね。
読み聞かせ時間目安<1分>
【一緒に楽しむ絵本】
ではどんどんの「ど」繋がりでお次はこんな絵本はいかがでしょう。
おいしそうなソフトクリームの表紙が今の季節にぴったり!
『ど「どあい」の「ど」をみつけよう!』
この絵本、とても面白いんです。
まずはじゅーすど
ちびちび
ごくごく
がぶがぶ
飲む量が言葉の音と絵でみることができるのです。
お次は ままど
ぷんぷん
やれやれ
にこにこ
とーすとど なんていうのもある。
ふわふわ
かりかり
ぷすぷす
度合いをはかる言葉。日本語の持つきめ細やかな言葉の力を改めて感じると同時に何より楽しい!
こやまともこさんの絵もわかりやすく何よりかわいくておしゃれ。
読み聞かせでも大人気。途中のあのページで絶対笑いが(笑)
いろいろな「どあい」の「ど」を子どもたちと、見つけてみるのも面白うそうですね!
読み聞かせ時間目安<1分10秒>
「ふわふわ」と「かりかり」はどう違うの?「たっぷり・ほどほど・ちょっぴり」などの「度合い」を表す言葉がひと目でわかる。こまやかな表現力を持った日本語の楽しさに出会える、新発想の知育絵本。
【歌の絵本】
誰もが一度は聞いたことがある世界中で愛される名曲、ルイ・アームストロングの「What a wonderful world」が絵本に。
詩人であるアーサー・ビナードさんが日本語をつけました。
もりの みどり
はなの あかも
だれのものか ふと おもう
すばらしい みんなのもの
世界はどうしてすばらしいの?ページをめくりながら男の子と共にひとつづつ解いていきます。
どこまでも世界は美しく輝いている。その絵は伸びやかで明るく大きく広がる。
ベトナム戦争が最も激化していた時代に作られたこの歌を、今改めて私たちが美しい日本語にのせて歌う。
願いは変わることなくいつの世も「すばらしい世界 それはすばらしいみんなのもの」
日本語にあわせるのは少し練習が必要かと思いますが、ぜひ歌に乗せて読んでほしい一冊です。
読み聞かせ時間目安<2分45秒>
世界はどうしてすばらしいの? 少年は美しいこの世界をめぐって冒険の旅に出る。アーサー・ビナードの美しい日本語訳でメロディーといっしょにうたいながら読める絵本。
【児童文学を読む】ロングセラー作品
最後は福音館書店から。
もしかすると一番有名な幼年童話かもしれません。
『エルマーのぼうけん』『エルマーとりゅう』『エルマーと16ぴきのりゅう』のエルマー少年とりゅうの子の冒険物語3部作セットが日本語版刊行60周年を記念して、ハンディサイズのソフトカバー版として発刊されました。
年をとったのらねこからどうぶつ島に囚われているりゅうの子の話を聞いたエルマーはりゅうの子を助けるために冒険の旅に出ます。
成長に伴い絵本の次はエルマーだよねなんて言葉をよく聞きます。
「自分で読めるでしょ」と手渡してしまう方も多いかもしれません。
ここはぜひ一緒に楽しんでほしい。『エルマーのぼうけん』だけで終わらず3冊シリーズ全部読んでこそのエルマーのぼうけんです。
「エルマーのぼうけん」シリーズ
『エルマーのぼうけん』『エルマーとりゅう』『エルマーと16ぴきのりゅう』のエルマー少年とりゅうの子の冒険物語3部作セット。ユーモアたっぷりのお話は、読むものの心を空想の世界に羽ばたかせながら、物語のリアリティーに引き込みます。幼年童話の最高峰として読みつがれているロングセラー「エルマーのぼうけん」シリーズの日本語版刊行60周年を記念して、ハンディサイズのソフトカバー版としてお届けします。
この夏は立川にあるPLAY! MUSEUMで原画展が開催されています。
私も足を運んだのですが、日本初となる展覧会で、約130点の美しい絵本原画。
それは本当に繊細で美しく、まるで絵ひとつひとつの息遣いが聞こえるよう。
改めて挿絵の素晴らしさを再認識しました。
ぜひ夏休みに出かけてはいかがでしょうか。
物語の世界をのぞく入り口になるかもしれません。
【その他 8月の読み聞かせにおすすめの絵本】
絵本の読み聞かせについて思っていること
絵本はコミュニケーションツールです。 絵本は子ども達の歩みを助け、その成長を促してくれるかもしれません。 しかしそこには読んでくれる人の温もりを通した生きた声が不可欠です。 人と人とが向かい合い、片手間にはできない読み聞かせだからこそ愛情が注がれるのです。 子どもの持つその心のコップを絵本を使って愛情で満たしてあげてください。大好きな人の声で温もりの中聞く美しく豊かなお話。それはあっという間の子育ての濃密な時間を助け、後にその子どもたちの長い人生の心の支えとなるでしょう。
ふわはねプロフィール
ふわはね(内田 祐子)
大学で児童文学を学ぶ。2005年絵本講師1期生として絵本講師資格取得。関西を中心に企業での定期教室をはじめ、
絵本のつなぎてとして、絵本の作り手と読み手を。親と子を。人と人を繋いでいる。
子育てアドバイザー・JPIC読書アドバイザー
大学3回生と高校3年生の娘をもつ。インスタグラム @fuwahane
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