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【おはなし会】絵本講師ふわはねによる季節の絵本とお話

【季節の絵本選びとプログラム作り】2023年9月、絵本と一緒に深呼吸、わらべうたから生まれた絵本、盛り上がる絵本、お月見絵本、お話の絵本

絵本講師として10年以上ご活躍中のふわはねさん。絵本講座や絵本コンサル、絵本の読み聞かせ会などを年に200回以上こなしています。そんなふわはねさんに季節にあった絵本と読み聞かせ会の流れについて語ってもらいました。

二十四節気(にじゅうしせっき)を感じる

二十四節気とは… 1年を12か月さらにその半分、24個に分けた季節を表す名称です。

 

9月では…

白露はくろ(9月8日)大気が冷えて朝露が降りる頃。ようやく残暑が少し落ち着き、朝夕と秋の気配を感じる頃。

秋分しゅうぶん(9月23日)春分と同じく昼夜の長さが同じになる日。この日を中日に前後3日間を秋のお彼岸と呼び先祖供養の日とされます。
これから次第に日は短くなり、秋が深まっていきます。

 

9月のおはなし会

ようやく朝夕少しずつではありますが秋の気配を感じるころでしょうか。

新学期も始まりほっとしたような、落ち着かないような。

そんな時にはまず深呼吸。今回は呼吸の絵本から始めました。

長いマスク生活から、解放されたはのはいいですが、なんだか呼吸の仕方も忘れてしまった気がするのは私だけでしょうか。

ゆっくりはいて たっぷりすって、歌って笑って元気出していきましょう。

【はじまりの絵本】

まずはゆっくり深呼吸。こんな絵本はいかがでしょう。

 

それはこんな始まり

 

いいこと おしえてあげる
いっしょに やってみようか。
(p2本文引用)

男の子とネコが話しかけてきます。
椅子に座っても床に座ってもいいよって。外でやったらもっと気持ちいいかもって。
背中をまっすぐにして、じゃあ始めるよ!…と教えてくれるのは心も体も元気になる呼吸の仕方。

監修は国立研究開発法人 国立成育医療研究センターの岸本真希子先生。
カバー袖には先生の言葉が載っています。


「長引くコロナ禍で子どもたちも多くのストレスを感じていることがわかってきました。そんな中で深いゆったりとした呼吸法は緊張をほぐし、心と体が元気になるきっかけを作ってくれます。」と。(一部抜粋)

 

絵本と一緒に深呼吸。
ゆっくりはいて たっぷりすって ゆっくりはいて たっぷりすって
だんだん元気になってくる。

気功インストラクターのこがとしこさんの言葉とカワチレンさんの絵が二人三脚で呼吸の仕方をゆっくり丁寧に教えてくれる。

ゆっくりはいてたっぷりすって絵本と一緒に力がわいてくる。
誰もが意識せず生まれてから続けている呼吸。

でもそんな呼吸を味方につけて、ストレス状況に負けない、しなやかな強さが手に入れることができるなら!
それは子どもだけではなく、私たち大人にもまた強い味方になるのではないでしょうか。
 

読み聞かせ時間目安<2分15秒>

ゆっくりはいて たっぷりすって 心も体も元気になる本

深いゆったりした呼吸法を身につけ、子ども達がストレスに負けない
しなやかな強さと回復力を手に入れることができる絵本!
国立成育医療研究センターの岸本真希子医師による監修で、医学的効果を検証

長引くコロナ禍でストレスを感じている子ども達の心と体を元気にする絵本です。
登場人物の男の子と一緒に「ゆっくりはいて たっぷりすって」
深くゆったりした呼吸法を実践することで、しなやかな強さと回復力を手に入れることができます。

【わらべうたから生まれた絵本】

お次はわらべうた「ひとやまこえて」から生まれた絵本。

『あーそーぼ』

それはこんなお話。

「ぶーたこちゃん あーそーぼ」

女の子が遊びに誘います。

「あーとーで

いーまは ごはんの まっさいちゅう」

「おかずは なあに?」

「さかなと とまと」

「いいな いいな わたしも まぜて

ごはんが すんだら あーそーぼ」

掛け合いが楽しい遊び歌。

 

女の子とぶたこさん、今度はおさるのきっきーくんのところへ。

「きっきーくん あーそーぼ」

わらべうたのメロディは耳に心地よく、自然と口からこぼれる。

やぎゅうまちこさんの可愛くてあたたかい絵、そして心地いいリズム。

子どもたちに大人気の一冊。

読み聞かせ時間目安<2分45秒>

あーそーぼ

ぶたこちゃんの家に「あーそーぼ」と誘いに行くと、ぶたこちゃんはちょうどご飯の時間でした。わらべ歌「ひとやまこえて」からうまれた、言葉のかけ合いが楽しい絵本。

【盛り上がる絵本】

お次は先日幼稚園で大爆笑!読み終わった後に「もう一回!」となった一冊を。

 

おじいちゃんのくしゃみはすごい。

「あっ」となった瞬間、おじいちゃんの絵を書いていた女の子は、大事なぬいぐるみを手に部屋から逃げる。

「あーーーーーーーっちょーーーーん!」絵はぐちゃぐちゃに。

「なんてことするのよおじいちゃん!わたしのげいじゅつさくひんがだいなしじゃない。もうおじいちゃんなんてだいきらいよ!」女の子はかんかん!

 

「そんなかお しないで おじいちゃんのくしゃみは せかいいち すごい くしゃみなんだよ」とおじいちゃん。

そうなんです。おじいちゃんのくしゃみはすごいのです。

手の届かないりんごだって、猛獣たちがうようよの緊急事態でも、いやいや雲の上だって!

 

かんかんのおんなのことおじいちゃんの最強のくしゃみ。

面白い!盛り上がること間違いなしの一冊。

読み聞かせ時間目安<2分20秒>

 

おじいちゃんのくしゃみ

いつも大迷惑なおじいちゃんの大きなくしゃみ。けれども、じつは、すごいことができるくしゃみなんです。くしゃみの勢いで、木の上のりんごを落とせるし、猛獣を追い払えるし、なんと空を飛んでどこにでも行けるのだそう。女の子は信じませんが、おじいちゃんは大きなくしゃみをしたかと思うと、空高くどこかへ飛んでいってしまいました。おじいちゃんは、いったいどこへ? おじいちゃんと孫娘の微笑ましい交流を描いた、ユーモアあふれるお話です。

【季節の絵本】

9月29日は中秋の名月。お月見の日です。

今年出たばかりの十五夜の夜のお話はいかがでしょうか。

それはこんな始まり

きょうは じゅうごや。おつきみの ひ。

でも、そらには くもが いっぱい。

おつきさまは みられそうに ありません。

 

「でーない でーない、つきが」

キッカと おとうとの ゲントが ふざけて うたっています。

(p2本文引用)

そうだ!神社のお祭りに行ってみようか?ママの声に二人の顔はぱっと明るくなりました。

たくさんの屋台が並ぶ山の上のお祭り会場、広場を抜けた先には神社へ向かうリフトが。

山上の境内はたくさんの人で賑やかです。

お月見のお祭り「観月祭」がはじまりました。

 

羽尻利門さんの描く緻密で、そしてその土地の風を感じるような絵が大好きで。

日本の原風景『そらいっぱいのこいのぼり』に続く、家族で楽しむ日本の行事絵本第二弾!

大切に残したい日本が描かれる。今年一押しのお月見絵本です。

読み聞かせ時間目安<4分>

つきみのまつり

人も動物もすべての生きとし生けるものが、美しい満月をめでる観月祭の物語

羽尻利門氏が、美しい細密画で描く、家族で楽しむ日本の行事絵本第2弾。
十五夜の夜、神社のお祭りへ行くキッカとゲント。
山の頂上の境内では、月の神さまに感謝と祈りを捧げる観月祭が行われていて……。
人も動物もすべての生きとし生けるものが、美しい満月をめでる夜のお話。
本文中の各見開きには、絵本と関わりの深い言葉(4つの文字)が隠されています。文字探しもお楽しみください。

【お話の絵本】

最後は元気になるおまじない。

こんな絵本はいかがでしょう。

 

『げんきだしていこう!のおまじない』

それはこんなお話

 

あーちゃんの近くをねこが走っていきます。
「あ、ねこ」
あーちゃんが見ていたら、つるりとねこが転んでしまいます。
かっこ悪いところを見られて落ち込むねこ。

あわてて「笑ってごめんね』と謝るあーちゃんですが、ねこは「でも、へいき!おまじないをするから」とたちあがり…

 

ほっとけ ほっとけ ほっときーきの ふとんが ふっとんだ〜

 

なんだか不思議なおまじない。
恥ずかしい気持ちも、嫌な気分も、残念な気持ちもおまじないと一緒に吹っ飛びます。

さぁ、新学期が始まります。

大人もこどももみーんな頑張ってる。

いろいろあるけど、1日の終わり、いや朝だってこんな絵本を読んで元気出していけたらいいですね!
心におまじないを持つと人は強くなれる。

げんきになるおまじない
ほっとけ ほっとけ ほっときーきの ふとんが ふっとんだ〜

読み聞かせ時間目安<3分>


 

げんきだしていこう! のおまじない

猫があーちゃんに、おまじないを教えてくれました。「ほっとけ ほっとけ ほっとけーきの ふとんが ふっとんだ~!」一緒にやってみると、恥ずかしいのも嫌な気分も心配事だってぜーんぶ吹っ飛んで、すっかり晴ればれいい気分!ちょっとおかしな「おまじない」と、かわいい絵で読むとほっこり元気になる絵本です。

【その他 9月の読み聞かせにおすすめの絵本】

絵本の読み聞かせについて思っていること

絵本はコミュニケーションツールです。 絵本は子ども達の歩みを助け、その成長を促してくれるかもしれません。 しかしそこには読んでくれる人の温もりを通した生きた声が不可欠です。 人と人とが向かい合い、片手間にはできない読み聞かせだからこそ愛情が注がれるのです。 子どもの持つその心のコップを絵本を使って愛情で満たしてあげてください。大好きな人の声で温もりの中聞く美しく豊かなお話。それはあっという間の子育ての濃密な時間を助け、後にその子どもたちの長い人生の心の支えとなるでしょう。 

ふわはねプロフィール

ふわはね(内田 祐子)

絵本講師・子育てアドバイザー・ふわはねえほん 主宰
 

大学で児童文学を学ぶ。2005年絵本講師1期生として絵本講師資格取得。関西を中心に企業での定期教室をはじめ、幼児教育に携わる先生や書店員への研修。絵本講座、研修、絵本コンサルなどを行っている。

絵本のつなぎてとして、絵本の作り手と読み手を。親と子を。人と人を繋いでいる。

子育てアドバイザー・JPIC読書アドバイザー

大学3回生と高校3年生の娘をもつ。インスタグラム @fuwahane 

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