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絵本トレンドライターN田N昌の “大人だってもっと絵本読みたいの!”

ナンセンスの王道!? “空を飛ぶ”絵本特集

わたくしが毎年、春になると思い出す絵本の中に『はるのごほうび』(鈴木出版)がございます。飛べるはずのないブタやウシが空を飛んでいるお話でございます。飛べるはずのないモノたちが空を飛ぶという設定の絵本は、ナンセンス絵本の王道かもしれません。これまで数多くのナンセンス絵本が様々なモノを飛ばしております。

そこで今回は、空を見上げる機会が増えるこの季節に、ほのぼの系ナンセンス絵本からシュール系ナンセンス絵本まで、“空を飛ぶ”絵本を特集させていただきます。

あんなものや、こんなものまで 空を飛ぶ?!

春です。空にブタが浮かんでいます。

はるの ごほうび

あらあら、ネコさんも。あらあら、カエルさんも。「どうして空にうかべるの?」ウシさんがブタさんに聞くと、「こいのぼりさんが教えてくれたんだよ」と。やさしい風が吹く春の空いっぱいにみんなのんびりと浮かんでいます。

いろんな動物が空を飛んでおります。というより浮かんでおります。なんで空に浮かぶことができるのか? その理由は是非ご自身で絵本を見てご体感いただければと思います。絵本ならではというか、人気絵本作家、内田麟太郎さまならではの素敵な理由がご用意されております。村上康成さまの絵も素敵です。ほのぼのした気分になること間違いナッシングでございます。これからの季節にオススメの一冊でございます。

とびますよ

「とびますよ とびますよ」
ぶた、ぞうから、バスまで、色々なものが空をとんでいきます。
こんなことがわたしたちにも実際に起こるかも? と思える、楽しいユーモア絵本です。

そしてもう一冊、こちらも内田麟太郎さまの作品です。絵はにしむらあつこさま。こちらは動物どころか、さらに色んなモノが飛んでおります。それなのに飛んでいる理由がどこにも書かれておりません。しかし、諦めないでしっかり絵を見ていただきたいのでございます。飛べた理由が描かれております。絵と文章、両方で成立する絵本ならでは特長であり、魅力のひとつでございます。文字を追いがちな大人はなかなか気づかなくても子どもは必ず気づくはずでございます。是非、こちらも親子でご体験くださいませ。

空を飛ばなくたっていいんです

とびません。

鳥なのに空を飛ばないペンギン。鳥の仲間がいっしょに飛ぼうよと誘っても飛びません。飛行機に乗ったゴリラや、気球に乗ったパンダがあらわれても飛びません。空を飛ばないのには、ちゃんと理由があるんです。『うごきません。』のコンビによるユーモア絵本。

『とびますよ』の次はこちら、『とびません』でございます。人気絵本作家、柴田ケイコさまが絵を担当されているナンセンス絵本でございます。『うごきません。』『なまけていません。』に次ぐ「〇〇ません。」シリーズの最新刊でございます。

主人公はペンギンでございます。ペンギンですが“飛ぶ”がテーマのナンセンス絵本には登場回数が多いような気がいたします(鳥なのに飛べないということで、アヒルやニワトリと共に絵本にしばしば登場いたします)。お話の中で飛ばない理由も明らかになります。そして最後には、意外な動物が登場!素敵なオチのナンセンス絵本でございます。是非、親子でお楽しみいただければと存じます。

ペンギンが再び空を飛ぶまでの奮闘を描くユーモアあふれる絵本

空の飛びかた

 

ある日、わたしは1羽のペンギンに出会った。「空から落っこちたんだよ」と、ペンギンは言う。
ペンギンが空を飛べないことくらい、わたしだって知っていた。
でも――。

そしてお次はドイツの絵本、『空の飛びかた』でございます。こちらもペンギンが主人公でございます。正確にはペンギンとおじさんの奮闘記でございます。海外でもペンギンは飛べないキャラの代表的な動物なのかもしれません。デッサン調の絵とお話の内容の取り合わせがとにかく秀逸なのでございます。観ていただければお分かりになると存じますが、ゴイスーにシュールなナンセンス絵本でございます。お笑い好きパパママはハマること間違いナッシングでございます。わたくしも、この作者のゼバスティアン・メッシェンモーザーさまの大ファンでございます。大人が楽しめるナンセンス作家さまでございます。この絵本を読んで気に入られた方は是非是非、他の作品も読んでいただけたらと存じます。

飛ぶのは、ゴムの頭を持つ少年?!

ゴムあたまポンたろう

山にポンとぶつかって、ボールのように空をとぶゴムあたまポンたろうのふしぎな世界一周の旅。

そしてシュールといえば、こちらもかなりシュールです。日本を代表するナンセンス絵本作家の長新太さまの絵本でございます。長さまが飛ばしているのは、なんと人間でございます。それも、ただの人間ではございません。ゴムの頭を持つ少年(?)、ポンたろうでございます。ポンたろうが地上の様々なモノに衝突しては、飛んでいくという物語でございます。まさにナンセンスの中のナンセンスでございます。この絵本に衝撃&刺激を受けた絵本作家さまも多いと聞きます。ナンセンス絵本に馴染みのない方は覚悟をもって望んでいただきたい一冊でございます。読んで後悔することはないかと存じます。

ゾウだって空をとべるへんな絵本

そらとぶアヒル

アヒルは、ハトにからかわれました。「飛べない鳥は、鳥じゃないわ」。そんなアヒルを、ゴリラは励まします。夜が明け日が昇り、アヒルはもしかしたら!と思い地面を蹴りました。すると……。アヒルだけでなく、ゴリラでって、ゾウだって、カバだって空を飛べる変な絵本。豪快な絵のタッチが後押しし、空飛ぶ夢見る動物たちを、本当に飛ばせてしまいます。「もしかして…」とファンタジーの世界を遊ぶ想像力がかき立てられる絵本。

最後は、長新太さまと内田麟太郎さまがタッグを組んだ作品『そらとぶアヒル』でございます。こちらの主人公はアヒル。その他にも様々な動物たちが空を飛んでいます。こちらの空を飛べる理由もゴイスーに素敵です。内田麟太郎節が炸裂しております。ナンセンスの王様ふたりがタッグを組んだ絵本、是非ご体験くださいませ。

意味がまったくないナンセンスも魅力的ですが、ありえない素敵な理由が付いているナンセンスも魅力的かと存じます。それぞれ読み比べていただければ本望でございます。

N田N昌

絵本トレンドライター・放送作家・絵本専門士
絵本の最新情報を発信&大人絵本文化、絵本プレゼント文化の普及活動に日々努めております。  

@NtaNmasa

 

(画像は、イラストレーター・作家の網代幸介さんによる著者肖像画)

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